揃えたテント泊ギアをお試し! 新緑の山で「シミュレーション登山」をしてみよう
日を追うごとに深くなる山の緑。
本格登山を楽しめる夏山シーズンはもう目前です。
今年こそはテント泊や縦走登山に挑戦したいと考えているのであれば、装備を揃えるだけでなく、新調したギアの「テスト」も大切。
「テント場についたけれど張り方がわからない」
「シュラフとマットの寝心地はどうだろう?」
「テント泊の荷物を背負って歩けるかな」
などなど、フィールドに出てみないとわからないこともたくさん。
そこで、オススメしたいのが「シミュレーション登山」。テント泊であれば、近場の低山で試し張り&野営の練習をしてみましょう。
装備のチェックになるだけでなく、グッとイメージが掴めるはずです。

テント泊装備を背負って歩いてみよう
テントにシュラフ、防寒着など、テント泊の装備はデイハイクとはまったく別物。「重い荷物を背負って歩けるかな?」「どのくらいなら体力が持つかな?」など、まずは体感してみることが大事。
あくまでシミュレーション。テント場までの距離が短く、アプローチのよいキャンプサイトがオススメです。今回お世話になったのは、瑞牆山(みずがきやま・2,230m)や金峰山(きんぷさん・2,599m)などの玄関口として親しまれている「富士見平小屋」。駐車場から1時間ほどでアクセスでき、樹林帯のキャンプサイトを備えた、まさにテント泊登山をこれからはじめたいという方には最適なロケーションです。

登山口から荷物を背負ってハイクアップ。グッと背中にのしかかる重さを感じながら、トレイルを歩いていきます。ここでチェックしたいのが、バックパックを正しく背負えているかどうか。フィッティングやベルトの調整を行うことで、負荷がかなり軽減されるんです。
新緑の季節コーデ

街よりも遅い春を迎える山。木々が芽吹きはじめる春は樹林帯のハイキングにぴったりなシーズン。でも、歩いていると汗ばんでしまうことも。行動中は速乾性を備えていたり、軽量だったり、肌触りがよかったりと、機能性ウェアが安心。加えて、日陰の冷え込みや尾根の風対策にシェルジャケットを持っていくなど、「あってよかった!」と思えるアイテムもたくさんあります。コーディネートと合わせて、ご紹介していきましょう。
MENS STYLING

ブラックのジャケットにオリーブのパンツ。モダンな印象のメンズコーデは、ビビッドなカラーを入れないことで、大人っぽいシックな仕上がりに。山行中の快適さも考慮し、アイテムはライトウェイトなものをセレクト。
PICKUP - 1
首の日焼け対策にも◎ 夏にこそ使ってほしい「ネックゲイター」

夏山登山では日差し対策が必須。ハットやキャップをかぶっていても、「首の後が焼けてしまった!」という経験はありませんか? そこで試していただきたいのが、「halo commodity(ハロ コモディティー)/ピークスタップネックゲイター」。
速乾&軽量生地を採用しているので夏でもサラッとした着用感があり、しかもネックゲイターとしてだけでなく、ヘアバンドやマスクとしても使える優れもの。コーデに合わせやすいグレーのカラーもポイントです。
PICKUP - 2
防寒も雨もOK! レインウェア兼用の「軽量ウィンドシェル」

登山の必携品のひとつ、レインジャケット。雨から身を守ってくれるだけでなく、冷たい風をブロックしてくれる効果もあり、ウインドシェルとしても活躍します。今年注目が集まるのは、ULスタイルの軽量モデル。軽やかな着心地と動きやすさに加え、着用しないときもかさばりません。
PICKUP - 3
足さばき抜群の美シルエット「トレッキングパンツ」

アウトドアパンツ選びのポイントは、素材の快適さとシルエットの美しさ。シルエットが美しいということは、身体の構造によく馴染み、動きやすいことと同義です。足捌きがよく夏山でも涼しい生地を選べば、ロングパンツでも快適。ジャケットがブラックな分、パンツにカラーを入れてアクセントに。
WOMENS STYLING

やわらかな印象のホワイトのトップスをメインにアースカラーのパンツを合わせたコーデ。小物をブラックで統一することですっきりまとめています。ナチュラルとモノトーンのちょうど中間。かわいらしさとクールさ両方を感じる仕上がりに。
PICKUP - 1
夏でも被れる清涼感のある「ビーニー」

「ハットやキャップよりもビーニーがいい!でも夏は暑いから…」と敬遠している方には「NEUTRALWORKS.(ニュートラルワークス)/ホールガーメントビーニー」を。通気性のよい生地で快適なだけでなく、頭頂部の日焼け対策にも活躍します。ツバがないので、顔まわりが明るくなるのも魅力。日焼け止めと組み合わせるのがベター。
PICKUP - 2
動きやすさ良好のプルオーバータイプ「ウィンドシェル」

「andwander(アンドワンダー)/パーテックスウィンド ロングスリーブT」は、カジュアルなスタイルのプルオーバータイプのウインドシェル。耐風素材「パーテックスウィンド」は、風のブロック性能だけでなく従来のウィンドシェル素材の25倍という圧倒的な通気性のよさも兼ね備えた、まさに夏山向けのアイテムです。
PICKUP - 3
どこにでも履いていきたい軽量スリムな「ストレッチパンツ」

ハイキングはもちろん、下山後の移動でも違和感なく着られるおすすめのトレッキングパンツをご紹介。足捌きのよい細身のデザインは、どんなシーンでもコーディネートしやすい「一着持っていると便利」なアイテムです。
本番さながらの山道から見る瑞牆山の絶景

生い茂る新緑の木々、山域特有の岩場を抜けて尾根道に出ると、視界がパッと開けました。風が抜ける見晴らし台でクールダウン&ひとやすみ。遠くに見えるのは、クライマーの聖地としても知られる瑞牆山。登ってみたい気持ちがムクムク湧いてきますが、今回はシミュレーション。その気持ちをグッと抑え、富士見平小屋を目指します。
テント場に到着! テント張ってみよう
あっという間に富士見平小屋に到着。山小屋でチェックインを済ませて、テントを張るスポットを探します。ポイントは「石や木の根が少なく」「可能な限りフラット」、そして「見晴らしのよい場所」を選ぶこと。お気に入りのスポットを見つけたら、早速テントを張ってみましょう。
1. バックパックを下ろして、ギアを取り出す

バックパックを下ろすまえに、汚れ防止のシートを広げましょう。場合によっては泥や砂などが付いてしまうこともあり、一枚シートがあると便利です。カメラやサコッシュなどの置き場としても活躍します。

山で使うなら、オススメはレジャーシートではなく「ブランケット」。収納サイズは手のひらサイズとコンパクトながら、広げれば2人分のバックパックが置ける余裕の大きさ。バックパックのサイドポケットなど、すぐに取り出せるところにしまっておくのがポイント。休憩時にも活躍しますよ。
2. テントを立ててみよう!

2人で協力してテント張り。ポールをどのようにインナーに取り付けるのか、フライシートの掛け方など、取り扱い説明書に書かれているプロセスで立ててみましょう。「もし雨だったら?」「風が吹いていたら?」というように、山の環境をイメージしながら立ててみるのがオススメ。

日本の山岳環境をターゲットに開発された自立式テントの代表格「finetrack カミナドーム2」。軽量性もさることながら、設営のしやすさや悪天候時にも耐えられる強度、内部の快適性など、ほとんどの登山をカバーするスペックの高さが魅力です。

四角をペグダウンし、ガイラインを張って設営完了。家では広げても細部のチェックは難しいのですが、こうして実際に設営してみることでベンチレーションの位置や内部構造など、テントの仕組みがよくわかります。
テント泊登山の楽しみといえば、やっぱり「山ごはん」
テントを設営したら、ご飯の準備に取り掛かりましょう。デイハイクであれば、おにぎりやパンでOKですが、縦走登山を想定して、アルファ米とレトルトカレーの豪華な山ごはんを。

レトルト食品のエキスパート企業「にしき食品」とYAMAPがコラボレーションして開発した「NISHIKIYA KITCHEN(ニシキヤキッチン)/山で食べたいカレー」と登山者御用達の「Onisi(オニシ)/アルファ米」。沸かしたお湯でアルファ米を戻している間に、カレーを湯煎すればスムーズに調理ができます。

山行時間を短くしているため、テント場での時間に余裕があるのも「シミュレーション登山」のいいところ。「これはこれで楽しいかも?」というくらい充実した時間が過ぎていきます。ご飯を食べたあとは、もう一度バーナーでお湯を沸かしてコーヒーブレイク。

インスタントも便利でいいけれど、せっかくならおいしいコーヒーを楽しみたい。ということで、今回はミルで挽く本格仕様。「GSI ドリッパー」ならフィルター要らずなのでゴミの削減にもなります。テーブルは「SOTO フィールドホッパー」で安定感抜群。キッチンツールはできる限り地面に置かない方が衛生的で安心ですね。

登山用の調理ギアは、「SOTO(ソト) 」のクッカーとバーナーをセレクト。デイハイクから縦走登山まで使えて、しかも複数人用の料理にも使える容量が魅力。食事の取り分け皿やコーヒーカップとして使える「シェラカップ」は登山には必ず持って行きたいアイテムのひとつです。
下山の時間までは「宿泊」のシミュレーションを
本来であれば、ここから「山で寝る」ことになるのですが、「いきなりはちょっと心配!」ということで、マットとシュラフを出してシミュレーション。「マットはちゃんと膨らませられるかな?」「寝袋の寝心地は??」チェックしてみましょう。

夏山テント泊のために新調した「KLYMIT(クライミット)/スタティックV2」。インフレータブルタイプと呼ばれる、空気で膨らませる仕組みで、高い断熱性と心地よいクッション感が特徴。空気は口で入れるタイプですが、野外使用向けの特殊な吹き込み口を採用しているため、数回の吹き込みで一気に膨らみます。山の上でも使いやすい仕様。

シュラフはYAMAPとNANGAがコラボレーションして開発した「NANGA YAMAP別注 UDD BAG 450HD」をセレクト。キルトタイプでありながらも防寒性を高め、3シーズン対応となり、低山からアルプスまで活躍する新モデルです。
シミュレーション登山=ゆったりデイハイク&キャンプ

名残惜しいですが、夕方になる前にサクッと下山。「このまま山で泊まってもよさそう」と思えたならば、シミュレーションは大成功。不安要素があれば次回の課題としてチェックしておけばOK。
これからシーズンを迎え、夏山のテント泊や縦走登山に挑戦したいという方。道具は揃えたけれどまだ使っていないという方。ぜひとも「シミュレーション登山」をしていただきたいと思います。テントやマットなどの使い方はもちろん、テント泊の装備を背負っての山行など、体験してみなければわからないことはたくさんあります。まずは近場の山に装備をパッキングして出かけてみてはいかがでしょうか?!
スタイリングアイテムのご紹介
YAMAP STOREイチオシのコーディネートをあらためてご紹介。春の低山ハイクから夏山縦走まで活躍するアイテムが揃っています。単体でプラスするもよし、コーデをそのまま参考にするもよし。要チェックです。

【MENS】
【WOMENS】
シミュレーション登山が楽しめるオススメのテント場をご紹介!

オーレン小屋 テント場
→ 硫黄岳・天狗岳・赤岳
桜平駐車場から1時間20分ほど。はじめの30分は林道歩きで、その後オーレン小屋までの登山道も比較的緩やか。天狗岳のほか、硫黄岳、赤岳などへの登頂を狙える。オーレン小屋のヒノキ展望風呂「オーレン山の湯」は、テント利用者でも1回500円で入浴可。
(写真:monoさんの活動日記より)

山小舎 福ちゃん荘 テント場
→ 大菩薩嶺
登山の入門ルートでもある大菩薩嶺へと続く、登山道の途中にあるテント場。登山口となる上日川峠から福ちゃん荘までは約40分。あえてテント装備を背負って山頂まで歩くのもいいかも。雷岩から大菩薩峠までの尾根道からは、富士山や南アルプスの山々が一望できるという抜群の見晴らしが楽しめます。
(写真:ケースケさんの活動日記より)