SONYの超小型デジタルカメラ「RX0」
大きさは、スマホの1/4くらい。アクションカメラのような見た目ですが、持ってみると想像よりもずっしりとしています。表面はひんやりと冷たく、頑丈そうな質感。
ガジェット好きにはたまらない雰囲気のこの物体、SONYの超小型カメラ「RX0」です。
幅広いシーンでの活躍が期待できそうですが、今回は、登山視点でこのカメラを見てみました。
RX0(DSC-RX0)
すっぽり手のひらに収まる極小サイズ
このカメラの一番の特徴は、そのサイズ感。カメラを握りしめると完全に手のひらに収まってしまうほどに小型化されています。
引いて見るとその小ささが分かります!
登山において、「小ささと軽さ」はそれだけで美点。少しでも荷物を少なくしたい人にとって、このカメラは願ったり叶ったりのカメラです。
また、小さいということは、取り回しがいいということ。
ウェアのポケットやサコッシュはもちろん、ザックやカラビナなどに引っ掛けることも可能です。
後ほど紹介しますが、多少荒っぽく扱っても問題ないほど頑丈な作りになっています。
驚くほど早く撮れる
思い立ったらすぐに撮影ができるのも、RX0の特徴です。
起動時間は約1.7秒。これは、一眼レフやスマホ、アクションカメラではありえないスピード。
ポケットから取り出して5秒以内には美しい写真を撮ることもできます。まさにスナップショット感覚で撮影できます。
RX0で撮影
安達太良山の爆裂火口
小さから生まれるメリットは、これだけではありません。
このカメラ、撮る場所・シーンを選ばないという大きなメリットが。例えば、草木の間に手を突っ込んで撮ってみたり、トレッキングポールを持っている手でそのまま撮影をしたり。
RX0で撮影
草の中に突っ込んでみる
RX0で撮影
トレッキングポールを持っていてもOK
スマホや一眼レフでは「撮ろう」と思わない状況でも、シャッターを切りたくなってしまうこのカメラは、撮影者の新たなアイデアや発想を生み出すきっかけをくれるかもしれませんね。
もちろん、撮影した写真はスマホにその場で送れるので、SNSヘの投稿などもスムーズに行えます。
山に持って行きたくなる頑丈さ
RX0の防水性と堅牢性はなかなかのもの。例をあげれば、水深10mの防水性能、2.0mの落下耐性、200kgfの耐荷重など。日常生活はおろか、山行の中でも谷に落としでもしない限りそうそう壊れるものではありません。
小川の底に置いても、何の問題もない
この頑丈さが、先にあげた小ささとスピードと組み合わさると、RX0の可能性はさらに広がります。地面すれすれだろうが、水の近くだろうが、水の中だろうが、手が届く範囲であれば何も心配せず、気軽に使うことができます。
それでいて、映りは本物
小さくて、すぐに撮れて、頑丈なRX0ですが、カメラとしての真価、すなわち写真の仕上がりはどんなものなのでしょうか。
答えは、なんと、一眼に肉薄する表現力。
スマホよりも広角な24mmのCarl Zeissレンズに、1インチ大型センサー、そして高速画像処理エンジンBIONZ X。極小サイズの機体からは想像もできない、見事な描写力を実現しています。
RX0公式より引用
これに関しては、説明をするよりも、実際の写真をご覧になってその表現力をお確かめください。
RX0で撮影
RX0で撮影
RX0で撮影
RX0で撮影
RX0で撮影
RX0で撮影
RX0(DSC-RX0)
あるときは主役。またあるときは脇役
小さい・早い・強い・美しい。
ここからは、これらの特長を持つRX0が、具体的に登山で活躍するシーンを「主役」と「脇役」に分けてご紹介します。
主役になるシーン
RX0が主役として大活躍をするシーンは主にふたつ。
ひとつは、悪天候時の山行。もうひとつは、トレイルランニングやファストハイキングのシーンです。
悪天候
山で天気が崩れたとき、普通であればスマホやカメラは浸水を防ぐために収納してしまいます。
悪天候の山行の写真が極端に少ないのも仕方がないこと。しかし、RX0であれば雨も気にせず手間もかけずに写真を撮ることができるのです。
RX0で撮影
モデル:太田江莉奈
(山旅日記のロケ中)
この状況であれば、RX0の独壇場。ピンチはチャンス、普段は撮れない写真を思う存分に撮ることができます。
トレラン、ファストハイキング、UL
もうひとつのシーンは、「軽く・少なく・長く・速く」などがテーマになる場面。トレランやファストハイキング、ULといったジャンルがそれに当たります。
トレラン中の撮影シーン
ポケットなどに入れて、気楽に取り出せる
RX0は持ち運びやすく、起動時間も速い。なおかつ写真の出来映えは一級品なので、「良い写真を撮る」ためのコストを極限まで減らすことができます。
脇役として活躍するシーン
カメラを複数台持っているけど、山に2台以上持っていくのは辛い・・・と思ったことがある人は多いはず。そんな人にとって、RX0はうってつけの機体です。
RX0は24mmという広角の領域をカバーしているので、例えばメインとなるカメラに55mm以上のレンズを装着すれば、「寄りの写真はメイン機で、引きの写真はRX0で」、というような使い分けが可能になります。RX0のサイズ感と重量を考えれば、おにぎり一個を持っていくよりも断然楽です。
また、一眼を取り出すまでもないような写真をRX0で捌く(とはいえハイクオリティで)というスタイルも。グループ登山の何気ない風景、テントや山小屋の中の様子など、ちょっとしたワンシーンを記録的に残すのに活躍しそうです。
RX0で撮影
RX0はそのサイズ感から、相手にカメラを意識させずに撮ることができるのも利点です。ときには、撮られたことすら気がつかないほど。山に限らず、日常のスナップショットでも重宝したくなるカメラですね。
愛すべき注意点と隠し玉
ここまで、RX0のメリットをあげてきましたが、逆に注意点にも触れておきたいと思います。ただ、この注意点までも愛せてしまうのがRX0の魅力。
単焦点であること
RX0は基本的に単焦点レンズだと考えた方がいい(一応ズームも可能)。単焦点ということは、基本的に自分の足で動いて構図を決めなくてはなりません。
RX0で撮影
この試行錯誤が、デメリットであるはずなのにとても楽しい。ズームレンズに頼った撮影では気がつけない発見もたくさんあるはずです。
手ぶれ補正がないこと
RX0には手ぶれ補正がついていない分、シャッターボタンのつくりが絶妙です。人差し指を置いてみると、まるで吸いつくようなフィット感。そこから軽く押し込むだけでシャッターが切れます。
左が電源ボタン。右がシャッターボタン
もちろん半押しでフォーカスができる
シャッターを切るのに力がいらないので、人差し指を押し込む際に機体が傾いたり、振動することもありません。気を抜きすぎるとぶれることもありますが、しっかりとホールドをして撮れば問題ありません。
見えない世界が視える。超スローモーション
実はこのカメラ、驚きの動画能力を兼ね備えています。960fps(1秒に960コマ)という驚異のスーパースローモーションを撮れるのです。
一般的な映像が30fps(1秒に30コマ)、スマホについているスローモーション機能が240fps(1秒に240コマ)くらいなので、その遅さは一目瞭然。山の中で素早い動きをするシーンはなかなかないかもしれませんが、虫や小動物の姿を捉えたり、トレランのワンシーンを撮ってみたりするのは面白いかもしれません。
小さい。早い。強い。そして、美しい。
4拍子揃ったRX0を持って、今までにないアウトドア写真ライフを楽しんでみてはいかがでしょうか?
RX0(DSC-RX0)