春告げる長瀞をほがらかハイク|春の低山歩きに最適ギア5つをレビュー
日帰りハイキング志向のユーザーさんに向けて、季節×ロケーションをテーマにアイテムレビューをお届けする本連載。アウトドアライターの大城実結さんが、のんびりとした山旅の様子をレポートします。
今回の舞台は、春を告げる蝋梅(ろうばい)や梅の名所として知られる長瀞・宝登山(ほどさん)。鳥の声に耳を澄ませながら気ままにハイキングを楽しみつつ、春ハイクで活躍するアイテムをご紹介します。
(文:大城実結 写真:黒沢真美)
この記事で紹介するアイテム
早春を満喫する低山歩き
こんにちは、アウトドアライターの大城です。
冬山の静けさや雪山の凜とした美しさなど、冬ならではの魅力を感じながらも、やはり寒いものは寒い! 南国にルーツを持つ筆者にとって、冬は生活するにも遊ぶにもストイックな季節です。それゆえ春の足音が聞こえてくると、肩の力が抜けるような穏やかな気持ちに満たされるのです。
湿度をはらんだ風が花の香りを運び、遠くの稜線にはぼんやりと霞がかかる。そんな春らしい風景を探しに、埼玉県・長瀞の宝登山を訪れました。
▶今回歩いたコースはこちら:ロープウェイで気軽に楽しめる“宝の登山”の山上散策
歩いたのは3月上旬、蝋梅の名残と梅の盛りを迎えた頃。麓の駐車場では八分咲きの梅の出迎えがあり、森の中では鳥の歌声が心地良く響いていました。そして山頂付近に広がっていたのは黄色、紅色、桃色に染め上げられた春爛漫の景色。
五感に染みわたるような「春」に、大きく背伸びをすると、どこか力が抜けるような朗らかな気分になったのでした。
さて、そんな春の低山ハイクですが、ウェアやギアも春用にチューニングが必要です。あたたかな季節を堪能するために、今回のハイキングで役立ったアイテム5つを解説します。
眩しさをカットし、景色がもっと鮮やかに
春霞に白む空ゆえ、眩しく感じるシーンも多いのが春の山。なおかつ紫外線量は3月頃から増え始め、4〜5月で本格的な対策が必要な時期*に入ります。そこで目のケアとして欠かせないのがサングラスです。
*参考:日最大UVインデックス(観測値)の月平均値の数値データ表|気象庁
YAMAP別注 FLOAT(フロート)シリーズ
「低山をのんびりハイキングするのに、スポーティーなサングラスは合わないな…」
そんな思いに応えてくれたのが、日本生まれのブランド「FLOAT(フロート)」がつくるYAMAP別注 サングラスシリーズです。
どのモデルも街中でも使いやすいカジュアルなデザインが目を惹きますが、実は登山での使用を前提に設計された本格的なサングラスとなっています。
レンズには紫外線カット率99.9%の偏光レンズを使用。そもそも偏光レンズとは、水面や登山道などあらゆるものに反射した光(乱反射光)を遮断し、自然光だけを目に届けてくれる機能を持ったレンズのこと。レンズカラーの濃度を上げることなく、余分な光をカットできるので、ギラつきを抑えてクリアな視界を確保できるのが特徴です。

YAMAP別注シリーズは、樹林帯や曇天時でも見やすいライトグレーレンズとなっているため、頻繁に付けたり外したりしなくてもいいのもポイントです。
商品名に「フラッシュミラー」と付いているアイテムは、光を反射することで眩しさを軽減する「フラッシュミラー」加工もレンズに追加しています。
実際に付けてみると、「肉眼で見るよりも綺麗に景色を見られる」ように感じるのが不思議でした。樹林帯でさえずりを手がかりに鳥の姿を探す際も、サングラスを付けた方が見つけやすいという現象に遭遇したほど*です。
*明るさの感じ方は個人差があるため、目安としてお考えください。
このサングラスのもうひとつの特徴として、かけ心地の良さが挙げられます。耳にかけるフレームの「つる」にバネ機能を持たせることで、頭を両サイドから優しく挟み込むような設計に。こうすることで鼻や耳に負荷がかかりづらい上に、下を向いたり飛び跳ねたりしてもズレにくいのです。
サングラスを外しておきたいときは、バネ機能を生かしてネックレスのように首にかければOK。収納する手間もいらず、必要になったらすぐにかけられるのも非常に便利です。
今回のようなゆるいハイクはもちろん、宿泊を伴う登山や縦走など本格的な使い方もできるため、今後ステップアップしていきたい人にとってもおすすめのアイテムです。
クラシカル×現代風の小粋なバックパック
気軽なハイキングであれば街用のバックパックでも良いのですが、せっかく山に登るなら背負いやすく使いやすいバックパックをチョイスしたいところ。
今回のハイキングでは、春の陽気にもぴったりな「RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)」の「バンビエックスパック」を背負ってみました。
バンビエックスパック
「バンビエックスパック」は、見た目のおしゃれさはさることながら、その素材と機能性に注目してもらいたいバックパックです。
メインの素材としてアウトドアでは定番の「X-Pac VX21」を採用。防水性と引き裂き強度に優れており、ガシガシ使い込めるのが特徴です。さらにトップやサイドポケット、ショルダーストラップには高強度の「ダイニーマ X グリッドストップ」を組み合わせ、機能性とこなれ感を両立したデザインになっています。
総容量は最大28L(外ポケットを含む)ですが、ロールトップ式なので収納したいアイテム量によって柔軟に調整が可能です。今回は気軽な低山ハイクということで省荷物でしたが、高さを最長60㎝まで拡張できることから、山小屋泊やUL装備でのテント泊まで可能。今後、本格的に登山を始めたい人のファーストチョイスとしてもおすすめです。
機能性に優れた仕様ながら、シンプルな使いやすさも魅力のひとつ。両サイドには大容量のメッシュサイドポケット、フロントには2.5Lの大型ポケットがあります。サイドには飲み物やポールを、フロントポケットにはレインウェアやシェル、行動食などを。使っていく中で自分らしい使い方を見つけるのも、楽しみのひとつです。
春の気候に欠かせない「山シャツ型ウィンドシェル」
麓では終日暖かな気候でも、山では日が陰ると肌寒く感じたり、登っていると汗ばんだり、春山での体温調整は気をつけたいポイント。そんなときに便利なのが薄手のシェル「MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)」の「YAMAP別注コアエアシェルシャツ」でした。
コアエアシェルシャツ
コアエアシェルシャツのテーマは「脱ぎ着がいらないウィンドシェル」。防風性に加え、通気性やストレッチ性、さらには幅広いシーンでも映えるデザイン性をプラスしました。
この日の気温は、最高気温が約15℃ほど。日向で登っていると汗ばみ、風が吹く中に佇んでいると少々肌寒く感じる王道の春山コンディションでした。こういった場合、ベースレイヤーに薄手のウィンドシェルを重ねて着るのがベターです。
コアエアシェルシャツでは「PERTEX®QUANTUM AIR™(パーテックスクァンタムエア)」という高機能素材を採用。防風性と通気性という、一見背反するような要素をバランス良く取り入れているのが特徴です。触ってみると非常に滑らかで薄手ですが、引き裂きや擦れにも強い頼れる一着です。
サッと小さく折りたためるパッカブル設計も魅力。シャツの背面内側ポケットに、本体を折りたたんで入れることでコンパクトに早変わりします。今回であれば、バックパック(バンビエックスパック)のサイドポケットにちょうど良く入りました。
防風用のウィンドシェル、下山後の着替え、日常使いのシャツとして。春から夏、秋まで3シーズン活躍するヘビロテ必至の一着です。
生地、丈ともに軽やか!快適ハイクの鍵を握るパンツ
大きく足を上げたり時には岩場を越えたり、足まわりの動きやすさはハイキングや登山において重要な観点です。ただ、登山用パンツは世の中に溢れかえっており、何を選ぼうか悩んでいる方も多いはず。
そんな方へ「とりあえずこれを買っておけば春山ハイクはばっちり!」と太鼓判を押したいのが、YAMAPオリジナルの「ベーシックトレイルアンクルパンツ」です。
ベーシックトレイルアンクルパンツ
ベーシックトレイルアンクルパンツは、YAMAPが独自で開発したウェアのひとつ。YAMAPに寄せられた多くの声をかたちにすることを目指して製品化しました。
薄手で柔らかな生地は引き裂き強度や耐摩耗性に優れているため、木の枝に引っかけてしまってもすぐに破れることはありません。さらに撥水加工を施しているため、多少の雨であればレインウェアなしでも行動を続けられます。
そして特に注目したいポイントがふたつ。
ひとつ目はスマホ専用ポケットがあること。右側のバックポケットはスマホポケットとなっており、座ったときもお尻の下敷きにならないよう位置を微調整しています。これは登山アプリを提供するYAMAPならではのこだわりです。
ふたつ目が、どんな人でも履きこなせるアンクル丈であるということ。
多くのトレッキングパンツは、足が長い人に合わせて股下を長めに設計されていますが、このパンツは“あえて9部丈”にしています。裾上げ不要で、多くの人にフィットする丈感ですので、届いたその日から履きこなせるのがポイントです。
この日はローカットシューズと合わせ、靴下がちらりと見える丈感に。足さばきもしやすく軽やかに歩けました。
柔らかく心地良い万人に好かれるベースレイヤー
ベースレイヤーとは、登山のレイヤリングの中で直接肌に触れるトップスを指します。
季節によって求められる機能性は変わりますが、春先の山で必要なのは保温性や速乾性、防臭性。そこで今回チョイスしたのが、YAMAPオリジナルの「プラックスウール200ロングスリーブT」です。
プラックスウール200ロングスリーブT

プラックスウールを着用した瞬間に感じるのは、柔らかな空気に触れたような安心感です。半袖のベースレイヤーなどで使用される生地の多くは薄手(150g/㎡前後)ですが、このウェアは春先にちょうど良い中厚手(200g/m2)とちょうど良い厚みです。
そして本製品の最大の特徴といえば、高い防臭性を備え快適に着用し続けられるということ。ニオイの原因になる細菌の繁殖を抑える「PlaX(プラックス)」とウールの混紡生地を採用し、速乾性と防臭性を両立しています。さらにプラックスは自然由来の生分解性プラスチック「ポリ乳酸」を原料にした環境負荷の少ない素材です。

ウールとプラックスをより合わせた糸で編んだニットは柔らかく弾力があり、もちもちと心地良い肌触り。ハイキングのみならず、春のキャンプや釣り、サイクリングなど幅広いシーンで着回せる一着です。
登頂時には筆者もプラックスウール一枚になりましたが、暑くも寒くもなく、ドライな心地よさを体感。「きっとお風呂上がりに着ても気持ちいいんだろうなあ」と妄想を膨らませていたのはここだけの話です。
心ゆくまで春の山を歩こう
「山にはこんなに音や色があったんだ」
一年ぶりに登った春の山で、筆者は改めて感じました。足元に視線を移せば新芽が顔を出し、空からは鳥の鳴き声が聞こえる。見渡せば色とりどりの花が咲き誇り、まるで季節の移ろいを祝福しているようでした。
こうしている間にも、身近な低山は春の色に染められつつあります。「仕事している場合じゃない、早く山に行きたい」という本音をグッと堪えて、まずはギア選びを楽しんでみませんか?
フリーランス編集/アウトドアライター
大城 実結(おおしろ・みゆう)
1993年10月東京都生まれ。沖縄にルーツを持ち、南国の文化に惹かれながら育つ。筑波大学芸術専門学群(彫塑専攻)卒。大学時代にはサイクリング部に在籍し、北九州から出雲まで自転車でのテント泊ツーリングや、南西諸島を自転車×船での旅を通じ、衣食住を担いで移動する魅力にはまり込む。在学中に宣伝会議・編集ライター養成講座の卒業制作で混浴に関する記事を執筆、本作の大賞受賞をきっかけに商業ライターとしてデビュー。その後は、アウトドアを専門に八重洲出版サイクルスポーツをはじめ雑誌やwebメディアで幅広く執筆。YAMAP STOREでは季節×ロケーションをテーマに山道具をレビューする「わたしのギア山歩」を連載中。モットーは体当たり。比較的どこでも寝られる特異体質を持つ。




