目的・用途別バックパックの選び方|シーズンはじめに選びたい個性派4選
全国各地から開山のニュースが飛び込んでくる春真っ只中。ゴールデンウィークや夏休みを見据えつつ、ギアを新調するにも良い季節がやってきました。
特におすすめしたいのがバックパックの見直しです。登山における三種の神器のひとつにも数えられる重要アイテムですが、用途はもちろん、容量やフィット感、サイズ、ディテール、デザインなど、幅広い要素が絡み合う複雑なプロダクトです。
今回紹介するのは「やりたい!」に応えるザック──つまり用途を軸にしたザックの選び方。その上でYAMAP STOREが選んだ注目すべき4アイテムをご紹介します。
ザック選びに大切なのは「目的・用途」

近年、「幅広いシーンで使えること」を謳ったザックが増えてきました。オールマイティに使えることは長所であるものの、用途や目的が具体的に決まっているのならば、それを軸に特化したザックを選ぶことをおすすめします。
例えば山行スタイル。重量のある荷物をしっかり背負うトラディショナルな登山スタイルがあれば、軽荷でスピード重視でトレイルを進むスタイルもあります。前者が選ぶべきは、堅剛かつフィット感の高いザックで、後者は軽さに重点を置き機能を研ぎ澄ましたザックといえます。
登山をする目的も実にさまざまです。絶景を見るため、動植物を観察するため、写真を撮るため、おいしいご飯を食べるため……、登山者の数だけ目的があります。「自身の好き=目的」がしっかりと定まっている人は、そこからどんな機能があればより便利なのかを考えてみましょう。
オールシーズン山に登りたい:ロウロウマウンテンワークス「ラスカル」
日帰り登山からテント泊縦走、冬のスノーハイクまで、一年を通して山を楽しみたい人におすすめなのが、ロウロウマウンテンワークスの「ラスカル」です。

最大容量45Lの大型ザックですが、容量に合わせて自在に形状を変えられるのがポイント。荷物量の多いテント泊縦走ではトップをファスナー留めして、余すところなく荷物を詰め込めます。逆に日帰り登山など荷物が少ないときは、ロールトップすることで綺麗な形で背負えます。

キャッチーな大容量メッシュポケットも大活躍。ストレッチ性に長けている上に、ポケット底にはマチもあり、見た目以上に荷物を収納できます。行動食や地図、サッと出し入れしたいシェル類などの収納に最適です。ポケット底部には水抜き穴もあり、スノーシューやショベルなど、冬期の使用も想定されたつくりになっています。
着脱可能なウエストストラップもポイントです。日帰り低山であればストラップを外して軽やかに。山小屋やテント泊などの山行ではストラップを活用してしっかり背負う。枠にとらわれず自由に山歩きを楽しみたい人にぴったりのザックです。

\ここがポイント/
①ファスナー or ロールトップで自由に:荷物量に合わせてザックの形をフィット。いつでも綺麗に背負えます。
②万能なメッシュポケット:目を引く大胆なフロントメッシュポケット。マチも水抜き穴も付いており、シーズンに合わせて柔軟に活用できます。
③ウエストストラップも取り外しOK:低山ハイクから縦走まで。山行に合わせてカスタマイズできる柔軟さも魅力です。
山でも街でもシームレスに背負いたい:アンドワンダー「エコパック18Lバックパック」
平日は街で仕事、週末は里山や低山歩きや小旅行へ。山でも街でもシームレスに背負えるザックを探している人におすすめなのが、アンドワンダーの「エコパック18Lバックパック」です。アンドワンダーは、アパレルブランドのエッセンスとアウトドアを融合させた独創的なブランドで、一般的なアウトドアプロダクトとは一線を画します。

エコパック18Lバックパックもそのひとつ。まず目を奪われるのが、前面に配置された大胆な斜めジッパーでしょう。デザイン的なアクセントとなる上に、上下どちらからでも開けられるダブルジッパーで機能性も抜群です。

山歩きでも安心して背負える本格的なつくりにも注目です。本体には100%リサイクルポリエステルのECOPACKを採用。耐水圧20,000mmの高い防水性と耐久性を併せ持ち、強度が必要となる場所にはシリコンコーティングが施されたコーデュラナイロン素材を組み合わせました。加えて開口部は防水性の高いロールトップ型なので、雨にも強く安心です。

しっかり背負うためのショルダーストラップは、ゆるやかな曲線を描いた形状に。荷物を体に密着させても、肩から胸、脇腹にかけて締め付けられるような苦しさはありません。
ザックの背面には柔らかさとコシを両立させたパッドを配置。通気性の高いメッシュ生地で覆いつつ、H型に浮き上がるデザインを採用することで、背中への接地面を減らし、蒸し暑い季節でも快適に背負うことができます。

\ここがポイント/
①都会的なデザインでシティユースも:フィールドを問わず使える洗練されたデザインです。アウトドアライクな見た目が苦手な人にもOK。
②アクセントの大胆な斜めジッパー:前面のジッパーでメイン荷室へのアクセスも楽々。アクセントとしてもクールに映えます。
③快適に背負い続けられる工夫:ECOPACKとコーデュラナイロンで雨にも強く。ショルダーストラップと背面部にも工夫を施し、背負いやすさに配慮しています。
気持ち良くトレイルを走りたい:ノローナ「セーニャ エコニール70 15Lパック」
スピード重視で心地良く森の中を駆け抜けたい。その気持ちに応えるのがトレイルランニング用のザックです。数あるトレランザックの中で今回ピックアップしたのが、ノルウェーのアウトドアブランド・ノローナの「セーニャ エコニール70 15Lパック」です。
容量は15Lと食料、衣類、装備用のスペースが広く、保温着の持ち運びで荷物がかさばる冬のトレイルランニングや、長距離のアクティビティに適しています。

独創的な機能性に富んだセーニャ エコニール70。数多あるギミックの中で特に注目したいのが、“背負ったままできることの多さ”です。
スピード系のアクティビティには欠かせないハイドレーションシステムへの対応はもちろん、幅広ショルダーハーネスの両サイドにはソフトフラスクの収納も可能。フラスク用縦長ポケットの両サイドにはポール収納用のバンジーコードが付属しており、ザックを下ろすことなく着脱ができます。
そしてボトム部のアシンメトリーな収納ポケットも要チェック。右サイドには飲み薬や小銭入れなど小さなアイテムの収納に適したジッパー付ポケット、左サイドにはメイン収納に繋がっているポケットが付いています。これにより背負ったまま荷室に楽々アクセスできるのです。
表現するならば『行動を妨げないベスト型マルチザック』。洗練された北欧デザインに宿る妥協なき機能美を堪能してみてください。
\ここがポイント/
①長距離や冬にも使える15L:十分な水分や保温着もしっかり収納できるサイズ感。
②背負ったままできることが多い:ハイドレーションシステムやショルダーハーネスのポケット、趣向を凝らしたサイドポケットなどスムーズな行動をサポート。
③洗練された北欧デザイン:深みのあるオリーブグリーンに、大胆にあしらわれたバンジーコードなどが目を引く独創的なプロダクトです。
本格的なアルパイン仕様:パタゴニア「アセンジョニスト35L」
岩壁や氷壁など、過酷な環境に挑むクライミングという険しいアクティビティ。パタゴニアの「アセンジョニスト35L」は、紙一重の状況に耐えられるよう研ぎ澄まされたクライミング用ザックです。

登山用ザックとクライミング用ザックの主な違いは、堅剛性と軽量性、そして機能性の3点。クライミング用ザックは、軽量化のためにポケットやバンド、ベルトなどの装備が簡略化される一方、ピッケルホルダーやハイドレーションシステムなどの必要不可欠なディテールは備えています。「アセンジョニスト35L」もまさにアルパインクライミングに適したバックパックといえるでしょう。

メイン素材に採用したのは、アルピニズムの厳しい要求を満たしつつ、軽量化を果たしたリサイクルナイロン100%のリップストップ素材。これにより35Lの容量ながら、本体重量771gという驚異的な軽さを叶えています。耐久性、撥水性にも優れており、環境負荷の低い耐久性撥水加工が施されています。

一般的な登山ザックと異なり、外ポケットの少ないスッキリとしたデザインですが、ザックの表側とサイドパネル、上部に複数のホルダーを備え、外付けのカスタマイズ性が高いのもポイント。アイスアックス用のストラップは調整・取り外しも可能です。

アクセスの良い上部ポケットや、グローブをしながらでも開閉しやすいメイン収納の開口部は、厳しい環境での素早い行動をサポートする心強いギミック。

「アセンジョニスト35」はパタゴニアの登山用バックパックの中でも、より本格的な領域で登山を楽しむ人の最適解といえるでしょう。
\ここがポイント/
①クライミングに特化:機能を取捨選択し、本格的なアルパインスタイルに応えるザック。
②研ぎ澄まされた軽量性:軽量性、耐久性、撥水性に優れたリップストップリサイクルナイロン100%を採用。35Lの容量ながら本体重量771gの軽さを誇ります。
③複数のホルダーでカスタマイズ性◎:引っかかりのリスクを抑えたすっきりとしたデザイン。外付けのカスタマイズ性も高く、あらゆるシーンに応えるザック。
ザック選びは自分らしさの第一歩

今回ピックアップしたザックはどれも個性派揃い。どれも自分自身の「やりたい」を叶えてくれる心強い相棒です。これらを参考に、改めて自分らしい山での遊び方を見つめ直してみませんか。
好きな歩き方や走り方、登り方が見つかれば、きっとそれを叶えてくれるザックが見つかるはず。シーズンのはじまりに、背中を預けたくなるザックを探してみてくださいね。
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