冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

登りでかいた汗が、休憩中に一気に冷える。そんな経験がある方なら、「ドライレイヤー」という言葉を一度は聞いたことがあるはずです。

finetrack(ファイントラック)のドライレイヤーは、汗冷えのリスクを軽減するために生まれた登山用アンダーウェア。最近は各ブランドから同様な役割を持つドライ系アンダーウェアが展開されていますが、ファイントラックのドライレイヤーこそ、汗冷え対策ウェアの先駆者です。

今回は同シリーズの中から、冬山に最適な「ベーシック」と「ウォーム」を比較。山行に合わせた最適な選び方から開発背景までを、ファイントラック直営店スタッフの柴崎さんに話を聞きました。

(文:大堀啓太 写真:亀田正人)

なぜ汗冷えを軽減できる?

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方左:ドライレイヤーベーシック、右:ドライレイヤーウォーム

──そもそもなぜ登山で「汗冷え」を防ぐ必要があるのでしょうか。

真冬の山でも、登りのときには滴るほどの汗をかくことがあります。

そのまま樹林の隙間や稜線で凍てつく風に吹かれて、ゾクリ……一気に体温を奪われてしまう。登山者なら誰もが一度は経験したことのある、これがいわゆる“汗冷え”です。

汗で濡れたウェアが肌に張り付いくことなどが原因となり、汗冷えは強い不快感をもたらします。それだけでなく、体温が奪われることで低体温症につながる恐れもある、山岳リスクのひとつです。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

──なるほど。そこで「汗冷え」予防にドライレイヤーが一役買うということですね。

はい、まさにファイントラックのドライレイヤーは、汗を肌から離す役割を担うアンダーウェア。ドライレイヤーが汗を肌から離し、その上に着る吸水速乾性をもつベースレイヤーが汗を吸い上げることで、肌をドライに保ち、汗冷えを軽減します。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

まずは、ドライレイヤーの機能や着用方法についておさらいしてみましょう。

ドライレイヤーの大きな特徴は、優れた撥水性。試しに水滴を落としてみると、生地表面できれいな水玉になるほど水分を弾きます。ドライレイヤー自体が水を含みにくいため、その名の通りドライな着心地が持続するのです。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

ドライに保たれる仕組みの秘密は、生地の構造にもあります。

かいた汗は、行動中の動きなどによってメッシュ生地の孔から押し出され、レイヤリングしたベースレイヤーに移行。無数に空いた極小の孔ですが、それぞれがしっかりと貫通した孔になっていることで、汗がスムーズに通ります。 

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

ドライレイヤーは正しく着用することで効果を発揮します。ポイントは3つ。 

〈 着用時のポイント〉

1.ドライレイヤーが肌にぴったりフィットしている
2.上に着用するベースレイヤーが高い吸汗性を備えている
3.ベースレイヤーが適度に体にフィットしている

ルーズなフィット感だと汗を押し出す機会が少なくなり、上に着るベースレイヤーの吸汗機能が十分じゃないと汗を吸い上げられません。肌に汗を残さないために大事なポイントです。

ベーシックor ウォームどちらを選ぶ?シリーズを徹底比較

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

つぎに、ドライレイヤーの選び方について、柴崎さんにお伺いしました。

──いまでは登山メディアでも多く取り上げられて、レイヤリングの定番といえるドライレイヤーにも種類があるようですね。

はい、ドライレイヤーは季節やアクティビティに合わせて選べるよう、3シリーズを展開しています。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

──初めて買うドライレイヤーだと、どのモデルがいいのでしょうか。

それでしたら、どんなシーンにも対応する「ドライレイヤーベーシック」がおすすめです。春夏秋はもちろんですが、汗かきや暑がりの方は積雪のない冬の低山でも使えます。保温力はレイヤリングするベースレイヤーなどで調整すれば大丈夫です。

次の一枚として、寒がりな方や雪山に登る方には「ドライレイヤーウォーム」を選んでいただくのがいいです。秋山や冬の低山を、より暖かく楽しめますよ。

初めての一枚に「ドライレイヤーベーシック」

暖かさが欲しいときの次の一枚「ドライレイヤーウォーム」

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方オールシーズン活躍するドライレイヤーベーシック

──「汗かき」や「寒がり」などといわれますが、体質も合わせて考えるべきでしょうか。

汗をかく量や体感温度は人それぞれですからね。たとえば、汗かきの方が夏の低山でドライレイヤーを着たら、より多くの汗をかいてしまう恐れがあるので、着用自体をおすすめしないこともあります。

ドライレイヤーの使い分けについてはホームページなどでご案内していますが、あくまで目安です。登る山の環境、時期、アクティビティ内容、自分の体質を総合的に考えて選んでいただくといいですね。

実際に着用しない場合でも、気温変化や発汗量の増加といった「もしも」に備えて、ドライレイヤーをお守り代わりとして現場に持ち込んでおくことをおすすめしています。分からないことがありましたら、finetrack TOKYO BASEにぜひお越しください。

実際の山では、どう使う?

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

ドライレイヤーを実際の山行でどう使うのか。ここからは、柴崎さんに教えていただいた、シーン別の行動中レイヤリング例を具体的にみていきましょう。

 CASE 1|暑がりの登山者で、冬の日帰り低山(積雪なし)

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方レイヤリングアイテム:ドライレイヤーベーシック、メリノスピンライト、ドラウトクロー

暑がりで汗っかきな方には、ほどよい保温力でOK。ドライレイヤーベーシックを着用することで、かきつづける汗に対応しつつ、行動し続けられるウェア内環境を保てるレイヤリングを提案します。

【レイヤリング例】

・ドライレイヤーベーシック
・メリノウールと化繊をハイブリッドして保温力と速乾性を両立する薄手のベースレイヤー
・適度な通気性と高い汗処理能力を兼ね備えたミドルレイヤー

 CASE 2|寒がりの登山者で、冬の日帰り低山(積雪なし)

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方レイヤリングアイテム:ドライレイヤーウォーム、ドラウトサーモ、フロウラップ

寒がりな方は、冬の低山でも「保温力」が重要。ドライレイヤーウォームを着用することで保温力と速乾性を高め、さらにソフトシェルで冷気を防ぎながら行動中の蒸れを排出します。寒がりといっても、少なからず発汗はあるのでドライ感を維持しながら、暖かな着心地が持続するレイヤリングがいいでしょう。

【レイヤリング例】

・ドライレイヤーウォーム
・高い保温力と速乾性を両立した中厚手の化繊ベースレイヤー
・優れた防風性と透湿性で冷たい風の寒さと蒸れを軽減するソフトシェル

 CASE 3|雪山登山(八ヶ岳など)

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方レイヤリングアイテム:ドライレイヤーウォーム、ドラウトサーモ、ポリゴンULジャケット

本格的な雪山登山では、高い運動強度で汗をかきやすいのに寒さが過酷という、相反する雪山環境に対応する必要があります。そこで重要なのが、保温力と通気性のバランスに優れたレイヤリング。

ドライレイヤーウォームと中厚手のベースレイヤーで保温と速乾性を持たせながら、あたたかさと通気性を持つアクティブインサレーションを組み合わせることをおすすめします。

【レイヤリング例】

・ドライレイヤーウォーム
・高い保温力と速乾性を両立した中厚手の化繊ベースレイヤー
・保温素材入りなのに高い通気性で蒸れないアクティブインサレーション

水辺がきっかけのメイドインジャパンが、口コミで広がる

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

最後に、いまでは登山者の定番となっているドライレイヤーの開発背景をお聞きしました。

──登山者の長年の悩みだった“汗冷え”対策ができるドライレイヤーの発売当時は、きっとすごい反響だったのではないでしょうか。

実はそうではなかったんですよ。初代ドライレイヤーを発売したのは2004年なのですが、その当時にはベースレイヤーの下にもう一枚レイヤリングするという考えがなくて、登山専門店さんの反応も渋いものでした。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方沢登りを楽しむfinetrack代表の金山氏

──それは意外ですね。それではドライレイヤーはどうやって広まっていったのでしょうか。

そもそも開発のきっかけは、ウォーターアクティビティでした。代表の金山が、沢登りやカヤックなどで濡れによる冷えのリスクを実感して、もっと安全で快適にフィールドで遊びたいという想いからです。

ただ、リスクは分かっていても、軽減できる手段がありませんでした。そこで、ファイントラックを創業し、国内アウトドアブランドの製品開発をしていた経験を活かして、あたためていたアイデアを基に素材を作ることからドライレイヤーの開発をスタートしたんです。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方国内にわずかしかない丸編みローゲージニットの編み機

──素材から作るとは大変そうですね。

大変でしたが、そこはメイドインジャパンの底力が発揮されました。理想的なモノを創るために、国内にわずかしかない丸編みローゲージニットの編み機を探し出し、撥水の加工方法は数えきれないほどの試行錯誤を重ね、初代ドライレイヤー「フラッドラッシュスキン」が誕生したんです。

まっさきに反応したのは、カヤック専門店や沢登り用品を扱う登山専門店でした。濡れによる冷えのリスクを理解していたからでしょうね。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方いまも使われるドライレイヤーの体感デモキット

──登山者にはベースレイヤーの下にもう一枚着るという概念がなかったということですが、どうやってレイヤリングの定番にまでなったのでしょうか。

登山やクライミング、自転車などさまざまな遊びをしていた金山は、濡れ冷えは汗をかくアウトドアアクティビティ共通のリスクと認識していたんです。そこで、ドライレイヤーの効果を疑似体験できるデモキットを片手に、車で全国キャラバンをして、その必要性を登山専門店に地道に説いて回りました。

やがて賛同する登山専門店が少しずつ増え、ドライレイヤーを使った登山者や沢屋から口コミで広がっていき、その口コミを聞いた登山者が登山専門店に求めていただくようになりました。

登山専門店も体感デモキットを使って、汗冷えを軽減できるウェアとしておすすめいただいたおかげで、ドライレイヤーを着用する登山者が増えていったんです。

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方2018年7~8月実施したアンケート

──口コミから広がったというのは、汗冷えで悩んでいた登山者が多かったということですね。

ハイクアップ後の休憩とか、風の強い稜線で着込んでいるのに寒いとか、山に登っていると汗冷えを体験するシーンはけっこうありますよね。いままでは対応手段がなかったので、我慢していた登山者が多かったのではないでしょうか。

以前に行ったドライレイヤーのアンケートでは、89%のユーザーが汗冷え防止効果を実感いただいています。93%の方が続けて使いたいと言っていただいているのは、とてもうれしいことですよね。

ドライレイヤーは、汗冷え対策のスタート地点

冬の汗冷え対策、どれ選ぶ?|ファイントラック「ドライレイヤー」の正しい選び方

ドライレイヤーは、ただ着るだけでは本当の効果を発揮できません。けれど、正しく使えば、登山中の「汗による冷え」の不安を確実に減らしてくれる一枚です。

はじめてなら「ドライレイヤーベーシック」。
寒さが気になるなら「ドライレイヤーウォーム」。

自分の体質や登る山に合わせて選び、正しい着用ポイントをおさえれば、その効果はより実感できます。汗冷えに悩んだことがあるなら、ドライレイヤーをぜひお試しください。

登山道を守る人を応援する、finetrack × YAMAP別注ドライレイヤー

ドライレイヤーの機能はそのままに、美しい自然を愛する方々にぴったりな深く優しい色合いのオリジナルカラー「ネイビー」を採用。襟元にはさりげなくこのプロジェクトのロゴマークをデザインしています。

ご購入いただくと、購入金額の5%がYAMAPを経由し、3つの登山道整備団体に寄付。寄付金は、登山道整備をはじめとした山の保全活動に充てられます。

その他のドライレイヤーベーシック

その他のドライレイヤーウォーム

柴崎 篤信

柴崎 篤信

finetrack・TOKYO BASEサブマネージャー 春から夏は縦走登山、秋からきのこや紅葉狩り、冬は、雪山、トレランを楽しんでいます。 まだ見ぬ絶景を求め、山の地図と向き合う日々。下山後のお風呂と肴を目的に、山に足を運び、安全で快適な山を楽しんでいます。近年は、登山道保全の現場にも関わっています。

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