山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

山の救急セットこと「ファーストエイドポーチ」は、低山から縦走までどんな登山にも欠かせない持ち物のひとつ。しかし、どんなアイテムを収納すべきか悩むことも多いことでしょう。

そこで今回はYAMAPスタッフへ救急セットに「何を入れているか」「どんなこだわりがあるか」をインタビュー。 ぜひあなたの救急セットづくりのヒントにしてみてくださいね。
構成:大城実結

登山に欠かせない「ファーストエイドポーチ」とは

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

登山の醍醐味といえば、自然を五感で感じられること。その冒険には、いざというときも自分で対処する“セルフリカバリー力”が欠かせません。例えば転んで足をくじいたり、引っかけて切り傷を作ってしまっても、街のように救急車を呼ぶことも、すぐに病院へ行くこともできません。

そのために欠かせないのが、「ファーストエイドポーチ」です。テーピングや虫刺され薬、ポイズンリムーバー、絆創膏といった外傷への対処用品や、鎮痛剤や胃腸薬、漢方などの常備薬などを収納するのが一般的とされています。

さらにビバークに備えて、エマージェンシーシートや予備の乾電池を入れておくこともあります。

YAMAPスタッフ5名の救急セットを大解剖!


しかしながら、救急セットに入れるアイテムは、山のレベルや登山スタイルによって変わってくるもの。そこで、登山をこよなく愛するYAMAPスタッフに救急セットへのこだわりを深掘りして聞いてみました。

迷わず取り出せるようにひと工夫|スタッフ朝比奈の場合

朝比奈 杏咲美(あさひな あさみ)

YAMAPが大好きなユーザーからYAMAPスタッフに転身。現在は、YAMAPアウトドア保険の保険代理店でお客様サポート、安全啓発のコンテンツ作成を担当している。登山歴7年、年間の活動日数は65日ほど。関東近郊の低山を中心に、山ご飯、アルプス登山、旅行をしながらの山歩きを楽しんでいる。

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

毎週末の日帰り登山を中心に、アルプス山小屋泊や雪山登山などを楽しむ登山スタイル。海外のトレイル歩きが年に一度の楽しむ、スタッフ朝比奈のポーチの中身はこちら。

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

〈入っている物〉

1.ゴム手袋 2.生理用ナプキン 3.エマージェンシーシート 4.常備薬(鎮痛剤・調整剤・下痢止め・酔い止め・アレルギーの薬・目薬) 5.予備モバイルバッテリー 6.ヘッドライト予備電池 7.カイロ(貼るタイプと貼らないタイプ) 8.非常食(ブドウ糖・スポーツようかん・顆粒アミノ酸・干し梅) 9.爪切り・ピンセット 10.日焼け止め 11.リップ 12.保湿剤 13.ガムテープ 14.WFAのファーストエイドガイド

Q1 どのような事態を想定して、このセット内容にしているのでしょうか?

万が一下山できなくなった場合にビバークする可能性を想定して、一晩やり過ごせる最低限のものを備えています。非常食は有事に備えて、すぐにエネルギーになるブドウ糖や、どんなに疲れていても食べられる好きなもの(私の場合は干し梅)を入れています。

常備薬は普段使っているものに下痢止めをプラス。以前、登山中に急な腹痛に襲われてギリギリの事態になってしまったことがあり、入れるようにしています。欠かせないのは酔い止めとアレルギーの薬。山小屋泊ではアレルギーの薬なしでは眠れません。

中身は日々見直し中で定期的に検討をしています。いろんなことに備えたいけど荷物が重くなってしまうので、一人で行くか誰かと行くか、どのくらいの距離歩くかによって都度付け足しています。

Q2 セットのなかで絶対に欠かせないもの、自分なりに工夫している点を教えてください。

私は救急セットを普通のポーチと兼用しているので、必ず日焼け止め、リップ、保湿クリームを入れるようにしています。

エマージェンシーポーチを緊急時だけ使うような作りにしてしまうと、使用頻度が低くなり、ついパッキングでも奥の方に入れてしまいがちに。そこで日焼け止めなど普段から使うアイテムを入れてポーチを兼ねることで、自然と取り出しやすい位置に救急セットをパッキングできるんです。

足まわりのトラブルに備える|スタッフ石堀の場合

YAMAP STORE 事業部長

石堀 隆之(いしぼり たかゆき)

登山歴20年超。雪山からテント泊縦走まで楽しむオールラウンダー。家族全員で山の思い出を作るのが目標

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

月に2〜3回ほど、景観の良い山を選んで登山を楽しむスタイル。季節を問わず、3ヶ月に1回ほどの頻度でテント泊も実施。趣味のひとつでもある写真撮影では、山の朝焼けや夕焼け、星空をカメラに収める時間が何よりの楽しみ。そんなベテラン登山者である、スタッフ石堀のポーチの中身は?

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

〈入っているもの〉

1.日焼け止め 2.予備ライト 3.携帯トイレセット(消臭袋入) 4. テッシュ 5.予備モバイルバッテリー 6.ハッカ油 7.絆創膏 8.ハサミ・針 9.テーピング 10.ポイズンリムーバー 11.常備薬(傷薬・解熱剤)

Q1 どのような事態を想定して、このセット内容にしているのでしょうか?

「足元のトラブル」と「細かな忘れ物対策」を想定してセットしています。

靴擦れを起こしやすい傾向にあるため、特にミドルカットの登山靴を履く際は注意が必要。予防用のテーピングはもちろん、万が一水膨れができてしまった時に水を抜くための針や、その後の保護に使う絆創膏は欠かせません。

また、救急だけでなく「山行の快適さを維持するもの」も入れています。うっかり忘れがちな日焼け止めや、何かと重宝するゴミ袋などもこのポーチが定位置。夏場にはこれに加えて、ステロイド外用薬やポイズンリムーバー、ハッカ油などの虫刺され対策アイテム、万が一に備えて日帰り登山でもゴールゼロのライトも常備するようにしています。

Q2 セットのなかで絶対に欠かせないもの、自分なりに工夫している点を教えてください。

絶対に外せないのは、やはりテーピング。過去の登山で、登山靴のソールが完全に剥がれてしまったことがあり、テーピングをぐるぐる巻きにして応急処置することで、なんとか下山できました。それ以来、靴擦れ防止や膝のサポートといった身体のケアだけでなく、装備の破損に対する修理用としても必ず携帯するようにしています。

また日焼け止めやゴミ袋など、つい忘れがちな小物の保管場所をポーチに集約しているのも個人的なポイント。これらを救急用品とともに管理することで、山行中の「しまった、忘れた」というストレスを減らしています。

とにかく乗り物酔い防止に特化|スタッフ大室の場合

YAMAP STORE コンテンツディレクター

大室 明子(おおむろ あきこ)

男児ふたりを引き連れて、低山ハイクにキャンプにとアウトドアな育児を満喫中。スタミナと筋力をアップして、もう少し高い山も目指したい。YAMAP STOREでコンテンツ制作や撮影を担当しています。年間何百着ものアイテムに触れ、目が肥えるものの財布の中身は減る一方。紫外線が天敵。

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖※撮影品はサンプルのため内側メッシュのカラーが異なります

低山を中心に、ときどき遠出で高い山にも挑戦! ソロ登山はほとんどなく、基本は仲間とワイワイ登るのが好きな大室のファーストエイドの中身を見てみましょう。

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

〈入っているもの〉

1.エチケット袋 2.絆創膏 3.ピンセット 4.予備のモバイルバッテリー 5.ハッカ油 6.冷えピタ(子供用) 7.酔い止め 8.ミント系タブレット 9.常備薬(胃薬・痛み止めなど) 10.子供の保険証コピー

Q1 どのような事態を想定して、このセット内容にしているのでしょうか?

三半規管が驚くほど弱く、乗り物酔いしやすい体質で、特に「バス」は天敵。乗車シーンを想像しただけで気持ち悪くなってくるほどです(笑)

ただ、公共交通機関を使って山に行く場合、バス移動が必須になってくることも。そのため酔うことを想定して、「乗り物酔い対策」に全振りしています。

Q2 セットのなかで絶対に欠かせないものとその理由、自分なりに工夫している点を教えてください。

ハッカ油は、乗り物を降りてもしばらく気持ち悪かったり、気分が切り替えられなかった時にシュッとひと吹きすると、ハッカのスーッとした清涼感で気持ち悪いのが少しマシになるのでおすすめです!

普段乗り物に酔わない人でも、疲労やいつもとは違う環境で酔ってしまった、という話も聞きます。バス移動を伴う山行計画では、エチケット袋はどなたも用意しておくとベターだと思います。

子連れ登山用にアイテムをシフト|スタッフ挾間の場合

YAMAP STOREコンテンツディレクター

はさま

「暮らすように山を歩く」をライフテーマに、John Muir TrailやKungsleden、国内では熊野古道・大峯奥駈道、信越トレイルなどのロングトレイルを歩く。最近、念願のチベット・カイラス山巡礼路を踏破。クライミングや沢登り、スキー、キャンプと山遊びならなんでもござれ。

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

かつては長期のアルプス縦走や、巡礼路、ロングトレイルをメインに歩いていたが、子どもが生まれた今は、日帰りの子連れ登山が中心に。そんな挾間のポーチの中身はこちら!

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

〈入っているもの〉

1.エマージェンシーシート 2.予備電池 3.常備薬(解熱剤・痛み止め・ビタミン剤などのサプリメント) 4.絆創膏(大判タイプと通常タイプ) 5.アルコールジェル 6.穴開きペットボトルキャップ(傷口洗浄用) 7.テーピング 8.予備ライター 9.ピンセット 10.傷薬 11.ポイズンリムーバー 12.未開封ガーゼ 13.各種袋類(ビニール手袋 ・ファスナー付き保存袋・小袋) 14.予備の行動食(パワージェル・アミノ酸パウダー)

Q1 どのような事態を想定して、このセット内容にしているのでしょうか?

長期での山行が中心だった頃は、すぐに下山できない事態を念頭に、応急処置に必要なファーストエイドを揃えていました。しかし、子連れ登山がメインになり改めてキット内容を見直すと、骨折箇所を固定するサムスプリント(副子)や三角巾、靴擦れ防止テープなど、「今の山行では使わないかもしれない」というアイテムも。そこで改めて必要なものを洗い出した結果、子どもの怪我を想定したラインナップに落ち着きました。

未就学児の子どもと一緒に山に行くと、転んだり、岩で擦りむいたり……とにかく小さなキズが絶えません。なので絆創膏とキズ薬、未開封のガーゼはマストで装備しています。

また、意外と多いのが木のトゲ。大人なら家まで我慢できますが、子どもだといたがって泣いて歩かなくなるので、その場で処置ができるようピンセットも欠かせません。さらに、突然の嘔吐や止血の際の感染症対策として、小袋・ファスナー付き保存袋・使い捨て手袋と各サイズの袋も常備しています。

Q2 セットのなかで絶対に欠かせないもの、自分なりに工夫している点を教えてください。

地味ながら一番活躍するのが、傷口洗浄用の穴開きペットボトルキャップです。

未開封の水のペットボトルに、このキャップを付け替えるだけで、勢いよく水を噴射できる洗浄器に早変わり。以前、子どもがぬかるんだ場所で派手に転んで、腕を擦りむいた経験から、穴開きキャップと未開封の水を持ち歩くようになりました。

自分用として欠かせないのが、体調管理のための常備薬とサプリメント類、筋肉疲労を回復するアミノ酸系の細粒やエネルギー補給用パワージェルです。以前、長期山行で栄養不足に陥り、行動不能になった経験から日帰りでも持ち歩くように。ちょっとしたトラウマになっているので使わなくても、持っているという安心感をもたらすためのお守りとして必ず忍ばせています。

登山経験15年のノウハウを詰め込んで|スタッフ乙部の場合

YAMAP STORE 商品企画

乙部

京都在住。関西百名山踏破を目指し愛犬と週末登山を楽しんでいます。2025年はYAMAPメンバーと雲の平山荘に行ったこと、ネパールのアンナプルナベースキャンプトレックを歩いたことが一番の思い出です

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山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

毎月のYAMAPデジタルバッジコンプリートを目標に、月1〜2回のペースで山を歩く。愛犬とのハイキングや自転車のバイクパッキングなど、登山のみならず幅広くアウトドアアクティビティを楽しむ乙部のファーストエイドはこちら!

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

〈入っているもの〉

1.エマージェンシシーブランケット 2.虫刺され薬 3.リップバーム 4.リカバリーセット(常備薬・爪切り・絆創膏など) 5.予備のモバイルバッテリー / 予備変換ケーブル 6.予備ヘッドライト 7.トイレ3点セット(ティッシュ・携帯トイレ・ウェットティッシュ)

Q1 どのような事態を想定して、このセット内容にしているのでしょうか?

登山経験15年の中で得た教訓を反映し、過去に「持っていれば良かった」と痛感したものは積極的に採用する一方、一度も使ったことがないものや、手ぬぐいで代用できる三角巾などはあえて排除。自分の経験値に基づき、本当に必要なものだけを厳選した「自分だけの万能セット」を構築しています。

私は低山から雪山、長期縦走まで山行スタイルが多岐にわたるため、準備不足のリスクを避けるために装備は常に固定しています。下山後に必ず補充する運用を徹底することで、準備の思考コストを下げつつ、どの山でも自分にとっての「これさえあれば安心」という状態を維持するよう心がけています。

Q2 セットのなかで絶対に欠かせないもの、自分なりに工夫している点を教えてください。

私の救急セットに欠かせないものは、①モバイルバッテリー・変換プラグ、②トイレ3点セット、③爪切り、④リカバリーセットの4点です。

①モバイルバッテリー・変換プラグ
過去に「充電器はあるのにケーブルを忘れる」「充電切れで地図が見られない」という失敗したことがあります。スマホでのルート確認や動画撮影が欠かせない私にとって、電池切れは死活問題です。メインで使っているケーブルレス充電器とは別に、「お守り用の予備バッテリー」を常備。さらにスマホだけでなく、ヘッドライト等も充電できるよう変換プラグをセットにし、あらゆるデバイスに対応できるようにしています。

②トイレ3点セット
お腹が弱いため、「ティッシュ・携帯トイレ・ウェットティッシュ」の3点は必須。実際に使わなくとも、入れておくことで「いざとなればどこでも対応できる」という精神的な安心感があります。

③爪切り
数日間の山行では栄養バランスの影響か、毎回必ず爪が割れてしまいます。無理に剥がすと激痛で歩行に支障が出るため、100均で買った小さな爪切りを携行。

④リカバリーセット(アミノ酸・芍薬甘草湯)
重量のあるテント泊の山行は年間では頻度が少なく体が慣れきっていないため、筋肉痛や足の攣りの対策として。翌日に疲れを残さないための「アミノ酸」と、急なトラブル(足の攣り)や痛みに即効性のある漢方「芍薬甘草湯」をセットで携行し、フィジカル面をサポートしています。

救急セットの決定版! オリジナルファーストエイドポーチ

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

YAMAPのオリジナルファーストエイドポーチは、登山者のリアルな声から生まれた優れた使い勝手が魅力。その具体的な機能と特徴を、スタッフのコメントを交えながら3つのポイントでご紹介します。

①一目でわかるデザインと携行性

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

鮮やかな赤いカラーと取っ手付きの仕様により「ザックの中からすぐに見つけて引っ張り出せる」と評判です。自分が動けない緊急時でも「同行者に頼んだ時、ひと目で救急ポーチだとわかるのが120点!」と、その分かりやすさが大きな安心感に繋がっています。また、愛らしいライすけのイラストも人気の秘訣です。

②コンパクトなのに驚きの収納力

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

「思いのほかコンパクトなのに、え、まだ入るの?というくらい入る」という1.8Lの頼もしい容量を誇ります。さらに「マチが拡張するため、テーピングのような幅のあるロール状のアイテムもスムーズに収まる」という声がある通り、見た目以上の収納力も魅力です。

③視認性の高さと機能的なポケット

山の救急セットに何入れる?YAMAPスタッフのファーストエイドポーチを大解剖

「観音開きでガバッと開くため視認性が高く、5種類のポケットで中身がバラバラにならない」構造も大きなメリットです。実際に「頻繁に使う薬や絆創膏は手前のメッシュポケットへ」「濡らしたくない予備バッテリーは中央の簡易防水ポケットへ」といったように、用途に合わせて定位置を決めやすいため、いざという時にも迷わず素早く取り出せます。

安心を支える、オリジナルの救急セットを作ろう


YAMAPスタッフの救急セットには、それぞれの経験や個性が詰め込まれていました。

最も重要なのは、誰かのファーストエイドをそのまま真似するのではなく、自身の登山スタイルやニーズに合わせて、アイテムを厳選すること。そして緊急時に迷わず使えるように備えること。

ぜひこの記事をヒントに自分だけのファーストエイドポーチを完成させてくださいね!

    紹介したブランド

    • YAMAP

      YAMAP

      「つづく、つながる、ものがたる」を大切にしているYAMAP STORE...

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