何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

パッとおやつを取り出したり、サングラスを収納したり。チェストバッグは登山ギアの名脇役。ただ、各ブランドから数多くのバッグが発売している上に、その容量もデザインも実にさまざまです。「最も自分にぴったりなバッグって何?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

今回は2ブランド4種のチェストバッグを徹底比較! バックパックへの取り付けから、収納できるギアの目安、各アイテムの特徴まで、YAMAPライターの大城が深掘りしてみました。

大城 実結(おおしろ・みゆう)

筑波大学サイクリング部で、衣食住を担いで移動することの悦びを知る。以後、自転車や登山、チェアリングなど垣根なく楽しむアウトドアライターとして活動。モットーは『取材執筆は体当たり』。Webや雑誌などアウトドアメディアを中心に活躍中。どこでも寝られる特異体質を持つ。

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人気チェストバッグ、注目するポイントは?


今回注目するのはこの4アイテムです。

・スナップ|PAAGOWORKS(パーゴワークス)
・フォーリッジャーポケット S|MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)
・フォーリッジャー ポケットL|MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)
・ウイングマンマルチポケット|MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド
何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

これらを筆者の私物である20Lバックパックに取り付けて検証してみます。ポイントは取り付け方と、収納できるアイテムの目安の2点。それではさっそく見ていきましょう。

オーガナイザーで気持ち良く整理整頓|スナップ

パーゴワークスの「スナップ」はコンパクトなのに、収納力は抜群。細長くスリムな見た目に反して、多くのギアをきっちり整理整頓できるチェストバッグです。

▶バックパックへの取り付け

取り付け方は非常にシンプル。裏側に幅広の面ファスナーが設けられているので、ショルダーストラップを挟み込むように取り付けるだけ。フラップの間にはチェストベルトを通す穴が、上部にはカラビナが付いています。

チェストベルトをフラップに通して取り付けるのが一般的ですが、カラビナを用いて低めの位置に取り付けることも。筆者のバックパックだと、チェストベルトの根元にカラビナで固定できたので、ベルクロ+カラビナで固定して使用できました。体格や好みによって位置を調整できるのも良いポイントですね。

▶収納量

スペック上の容量は0.5Lですが、想像以上にたっぷり収納できるのが「スナップ」の魅力。試しに入れてみたのが、日焼け止め、虫除けシート、手ぬぐい、ペン、携行食各種。正直、「本当に入るの?」と半信半疑でしたが、しっかり入りました。

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

収納力の秘密は、サイズの異なるポケットが複数ついたオーガナイザー仕様によるもの。左の深いポケットはストレッチメッシュで、スマートフォンやモバイルバッテリーなども入ります。
右は細々としたものを分けて収納できる上下2つの浅型ポケット。さらに折り返し部分は、ペンやマルチツールなど細長いものを入れるスペースも。貴重品用のストラップも付属しています。

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

外側には伸縮性に長けたメッシュポケットがあり、携行食やサングラスなど、さっと取り出したいものの収納に最適です。

左利きの人へ「レフティー」もあります

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

「スナップ」は、左ショルダーに取り付けて右手で取り出すつくりですが、左利きの方へ向けた左右反転モデルも発売中! こうした細やかな配慮も日本のメーカーならではといえるでしょう。

\こんな人におすすめ/


収納に苦手意識のある人へ

スリムな見た目に反する収納力と細やかなオーガナイザー。実際に触って感じたのが、「パッキングが苦手な人こそ使ってほしい」ということ。細々したアイテムの定位置が決まっていない人にとって細やかなポケットワークは、整理整頓への近道です。
よく分からなくとも、まずはサイズが合うものを入れてみる。そして使っていく中でブラッシュアップしていけば、きっと理想の定位置が決まるはずです。

マルチに取り付けられるシンプル収納|フォーリッジャーポケットS

ミステリーランチの「フォーリッジャーポケットS」は、シンプルな機能美と幅広い取り付け方法が特徴のチェストバッグです。

▶バックパックへの取り付け方

「フォーリッジャーポケットS」は背面にボタン式のベルトが2本、さらに2つの幅広ループが付属しています。ショルダーハーネスに取り付けるときは、ボタン式のベルトで留めます。

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

2本の幅広ループをウエストベルトに通せば、腰回りに収納を拡張することも。ベルトかループを通せる場所ならば、どこにでも取り付けられるのが「フォーリッジャーポケットS」の魅力。バックパックの外側に取り付けたり、ベルトに取り付けたり、ちょっとした収納を気軽に足し算できるアイテムです。

▶収納量

「フォーリッジャーポケットS」は非常にシンプルなつくりで、収納スペースはひとつ。例えば、手ぬぐい、スティック型日焼け止め、虫除けシート、携行食の収納がぴったり収まる容量感です。こうした細々としたギア以外にも、コンパクトデジカメなどの収納にも向いているのではないでしょうか。
ウエストベルトに取り付けて横向きにも使えるので、用途の幅は人の数だけありそうなバッグです。

\こんな人におすすめ/


マルチに収納を“ちょい足し”したい人へ

「フォーリッジャーS」がおすすめなのはズバリ、臨機応変に収納スペースをちょい足ししたい人です。ミリタリー風テイストで、アウトドアのみならず日常生活でも使いやすいのも特徴です。可愛いサイズ感なので、小柄な方やキッズのチェストバッグとしても良いかもしれません。

シンプルで大型なチェストバッグ|フォーリッジャーポケットL

▶バックパックへの取り付け

「フォーリッジャーポケットL」は、収納容量1.0L(Sは0.75L)のウエストバッグです。基本的なつくりは「フォーリッジャーポケットS」と同様で、ひと回り大きなサイズ感です。

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

そのため、体格によってはチェストに取り付けると少々大きく感じてしまうことも。身長163㎝の筆者も、胸元に取り付けると少し圧迫感があるサイズでした。

ただ、ウエストポーチとしてはバッチリです! 開口部がしっかり開くので視認性もよく、気兼ねなく携行品を入れられます。キャンプ時にマルチツールやファイヤースターター、ナイフを入れても良さそうです。

▶収納量

収納容量も1.0Lとあって、しっかり入ります。特徴的だったのが、手帳(コクヨの野帳)が入ったこと。今回比較した4種の中で唯一のサイズ感なので、大判のアイテムを収納したい方には特におすすめです。

\こんな人におすすめ/


スケッチ、自然観察…山で+αを楽しみたい人へ


もちろんシンプルで大きめのチェストバッグが欲しい方にもおすすめですが、特にぴったりなのが野草観察やバードウォッチング、スケッチをされる方々かもしれません。山でさまざまな観察や創作活動を楽しむ方の中には、手帳や小さなスケッチブック、筆記具を持ち歩く方も多いはず。

そんなときに役立つのが、「フォーリッジャーL」です。ルーペや双眼鏡、色鉛筆など、趣味ポーチとして。バックパックを背負ったまま、さっとアイテムを取り出せるのも良いですし、バックパックを下ろしたら「フォーリッジャーL」をズボンのベルトに装着し、軽身で赴くままに花や風景のスケッチを……なんて素敵ですね。

ドリンク+小物収納の欲張りバッグ|ウィングマンマルチポケット

チェストバッグにドリンクホルダー機能もくっつけてしまったのが、この「ウィングマンマルチポケット」です。必要なギアをすべて胸元で集約したいときにベストなバッグでしょう。

▶バックパックへの取り付け

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

バックパックのショルダーハーネスへは金具とベルトを使った3点で固定。ドリンクを入れると重量も増えてしまいますが、3点留めのおかげでバタつきも抑えられます。

さらにウイングマンの長所としてバックパックの取り付け以外に、斜め掛けポーチとウエストポーチとしても使えるという特徴があります。これが筆者のイチオシポイント!

例えば、日々のウォーキングや散歩、子どもとの公園、野外フェスなど、ドリンクと小物を同時に運びたいシーンは山以外にも沢山あるはずです。そんなときにも第一線で活躍するのがこの「ウィングマンマルチポケット」。
日常から週末の登山、連休の縦走まで、これひとつで対応できる使い勝手は、抜きん出るものがあります。

▶収納量

収納量は1.5Lとチェストバッグの中では大型サイズ。500mlペットボトルの他に、手ぬぐい、虫除けスプレー、チューブタイプの日焼け止め、ヘッドライト、紙地図がすっぽり入りました。
ボトルホルダーには1lのナルゲンボトルまで確実に収納でき、落下防止のためのストラップも付属しています。
背面外側のポケットはスマートフォンの出し入れにちょうどよい位置とサイズです。

\こんな人におすすめ/


どんな場面でもマルチバッグとして使いたい人へ


「ウイングマン」をおすすめしたいのは、日常生活から登山シーンまで問わず、マルチなバッグを求めている方ではないでしょうか。ドリンクも貴重品も小物も、一式収納できるので、場所にとらわれずに活躍します。
すぐに水分やおやつを取り出せるので、犬の散歩や子どもとのお出かけにも最適かもしれません。手近に機能性と拡張性をそのままプラスできるようなバッグです。

スタイルやシーンを妄想してベストなバッグを!

何がどれくらい入る? チェスト・ウエストバッグ比較&選び方ガイド

チェストバッグを比較して感じたのが、どれも使いやすい上に拡張性も高く、よく考えられて作られているということ。ただ、それがその人にとってのベストアンサーかというと、それはまた別の話かもしれません。
最適解に辿り着くために大切なのは、使いたいシーンや用途、目的を具体的にすることかもしれません。例えば今回、実際に筆者がそれぞれのアイテムに感じたのは、こんな印象でした。

・「きっちり整理整頓」→スナップ
・「収納をちょい足ししたい!」→フォーリッジャーポケットS
・「自然観察を楽しむ趣味人」→フォーリッジャーポケットL
・「日常生活から使いたい」→ウイングマンマルチポケット

山行スタイルやバックパックの種類、体格などを踏まえて、ぜひ深〜いチェストバッグの世界に踏み込んでみてください。きっとぴったりのアイテムに出会えるはず! 妄想を膨らませながら、アイテムチョイスを楽しんでくださいね。

大城 実結(おおしろ・みゆう)

大城 実結(おおしろ・みゆう)

筑波大学サイクリング部で、衣食住を担いで移動することの悦びを知る。以後、自転車や登山、チェアリングなど垣根なく楽しむアウトドアライターとして活動。モットーは『取材執筆は体当たり』。Webや雑誌などアウトドアメディアを中心に活躍中。どこでも寝られる特異体質を持つ。

    紹介したブランド

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