【finetrack × YAMAP】別注ミヤマパンツって何だ!? 夏の快適ボトムス、誕生の裏側を語る

国産アウトドアブランド・finetrack(ファイントラック)とYAMAPによる共同開発アイテム「YAMAP別注ミヤマパンツ」が登場。これまでも「カミノパンツ」など、両者のコラボレーションからさまざまな別注モデルが生まれてきました。

今回は、新しいシリーズとなる「YAMAP別注ミヤマパンツ」の開発の裏側を、finetrackでミヤマパンツの企画・開発を担当した夏見 智子さん、YAMAPで別注企画を担当した河上、そして長年ファイントラックの着画モデルを務める、ユーザー代表・山下晃和さんによる、3者の鼎談形式でお届けします。

▼本記事で紹介するアイテム

なぜ「YAMAP別注ミヤマパンツ」は誕生したのか

なぜ「YAMAP別注ミヤマパンツ」は誕生したのか

山下:そもそも「ミヤマパンツ」はどういう商品なのでしょうか? また、このコラボレーションがはじまった経緯など、今回の別注が生まれたきっかけもユーザーとして気になります。

夏見:ファイントラックでミヤマパンツの開発がはじまったのは数年前。年々、夏の暑さが厳しくなってきていると感じていましたし、お客様も夏向けのパンツはもっと薄いものを求めてるのかなと感じていた頃でもありました。

実際に、お店のスタッフやお客様から聞き取りをしてみると、これまでは薄手のパンツを求める声が多かったらしいのですが、最近は「涼しい」パンツが欲しいという声が多くなっているそうなんです。「薄手のパンツ」というキーワードでは響かなくなってきてるのかなと……。

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夏見:自分自身、山に行くときにカミノパンツじゃオーバースペックだなと思う日も時々ありました。もちろん、縦走登山の装備で深い山に入っていく時は頼れる存在なんですが、軽いハイキングや散策といったシーンでは、もっとリラックスしてはけるぴったりとしてないリラックスフィットだったり、ウエスト周りがライトな仕様のパンツがあってもいいのではと思い始めていたんです。

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河上:ファイントラックさんとは、カミノパンツ以外にもカミノパンツライトという薄手のモデルも共同で開発していました。人気商品だったのですが、生地が生産終了してしまったんです。

そこで、新しく薄手の軽い感じのパンツが出るということで展示会で拝見して、その場で履かせていただいて、めちゃめちゃ良かった。その場でもう色まで相談してしまいました(笑)。

カミノパンツは非常に優れた登山向けのパンツではあるものの、岩稜帯に行かない登山者にとっては若干オーバースペックになる時は確かにあるのではと思っていました。カミノパンツよりもライトなモデルを考えていたときに、ミヤマパンツが発売され、「これだ!」と。

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山下:すごくサラッとしてはき心地がいいですよね。この生地感を出すのは大変だったのではないでしょうか?

夏見:「66ナイロン」という産業製品でも使われる高強度で耐磨耗性の高い素材を使用しています。すごく柔らかい素材で、逆にその柔らかさを抑えて適度なハリ感をもたせ、コットンライクのようなサラッとした感じを出すほうが苦労しましたね。

また、ナイロンという生地は滑らかなのが特徴。しかし、滑らかすぎると体にまとわりついてしまいます。今回、ミヤマパンツで実現したかった、夏用パンツのサラッとした感じとは真逆になってしまうので、生地組織のバランスを工夫しました。

あえて挑戦した「ゆったりシルエット」

あえて挑戦した「ゆったりシルエット」

山下: 僕自身もトレッキングにおいてファイントラックの製品を愛用していますが、「厳しい条件下でこそ機能を発揮するブランド」という印象があったので、あえてのリラックスシルエットの登山パンツを出したことに驚きがありました。今回の別注の開発は、チャレンジングな企画だったのでしょうか?

夏見: まさにその通りです。私自身、かなり前から欲しいと思っていたプロダクトなんです。実現したのは、YAMAPさんとのコラボレーションアイテムだったということも大きいですね。正直、社内で企画が通ったときは自分でも驚きました(笑)。

山下:なるほど! シルエットの設計はどのように行ったのでしょうか?

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河上:ワイドシルエットのパンツはたくさんありますが、YAMAPとしては、ファッション的というより夏向けのものは体に密着しないことがポイントになると考えていました。

生地が肌に密着してしまうと、生地そのものの通気性がよかったとしても、暑さや不快さを感じてしまいます。そのため、軽やかに履けるパンツを考えたときに、シルエットを太くするという結論に至ったのです。

夏見: 当初、YAMAPさんからハーフピッチほどサイズをアップさせたいというお話しがありました。ピッチというのは、MサイズとLサイズの大きさの差のことです。弊社のメンズサイズの場合、ヒップサイズでいえば5cm 、渡り(もも幅)だと1.5cmですね。

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そこでサンプル試作したのですが、結果的にもうちょっとシルエットを調整したいということでプラス1ピッチ程度のサイズアップとなりました。ちなみに裾幅はそこまで大きく広げたくなかったので、裾に向けてテーパードするようなシルエットになりました。

山下:今回の別注モデルでは、ファイントラックさんのサイズや幅の規定っていうのは適用されないということでしょうか?

夏見:YAMAPさんとの別注ということもあり、自由度は高くなりました。社内ではルールがあるのですが、コラボとなるとYAMAPさんの考え方との掛け合わせとなってくるので、社内のルールを拡張していけるんです。

YAMAP別注ならではのオリジナルカラーと左右のスマホポケット

グレーとブラウンの2色展開グレーとブラウンの2色展開

山下:つづいてカラーについてお伺いしたいです。この2色にしたというのは、何か理由がありますか?

河上:チャコールはYAMAPでも人気がある色で、カミノパンツでも好評でした。チャコールは黒ほど汚れが目立ちにくく、レイヤリングもしやすい色味なんですよね。ファイントラックさんのインラインにはない色として、「チャコールグレー」を選ばせていただきました。

もう1色に関しては、インラインのアイテムでバーントアンバーという色があるのですが、YAMAPでは「ブラウン」としています。こちらはファッション的な色合いとして、コーディネートを楽しめる色として、選ばせていただきました。

山下:スマホのポケットを左右に配置している理由をお伺いしたいです。僕は左ききではないのですが、左に持つこともあるので嬉しいポイントでした。

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河上:社内やユーザーの声を聞くと、「左側に入れたいのになんで必ずスマホポケットって右なんですか?」という意見がありました。かくいう私も実は左側派でして(笑)。状況に応じて左右を使い分けられるのは非常にいいなと思っていたんですが、ここはファイントラックさんの方でかなり努力していただいた点かと思います。

山下:ジッパーも縫製が独特で、見えにくいようになっていますね。

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夏見:コンシールファスナーですね。縫製がとても大変で、結構工場泣かせな仕様です。ファスナーが目立ってしまうと、山感というか、テクニカルなウェア感がどうしても出てしまいます。そこでコンシールファスナーにすることで、シンプルな見た目にできます。ただコンシールファスナーの縫製は縫う側の手加減が難しく、ごまかしが効かないんです。

河上:おかげですごく見た目が一気にすっきりしました。確かに、ファスナーが見えると、いかにも山パンツ感が出てしまいますね。シンプルなデザインを追求するがゆえ、縫製にものすごく苦労された。それがミヤマパンツなんですね。

ミヤマパンツが変える「夏山の歩き方」

河上:これまでさまざまなファイントラックのパンツを履いてきた山下さんにお伺いしたいのですが、ミヤマパンツはどういう印象を持ちましたか?

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山下:まずシルエットがいいですよね。ウエストがギャザー仕様になっているので、ヒモやベルトをわざわざ締めなくても自然にフィットしてくれる。こういう仕様って、アウトドア用のパンツでは意外と珍しい気がします。いわゆるイージーパンツ的なラクさがあるのに、生地はアウトドア用でしっかりしているのは、本当に素晴らしいバランスだなと感じました。

山下さん着用サイズ(身長182cm):XLサイズ/グレー山下さん着用サイズ(身長182cm):XLサイズ/グレー

「トレッキングパンツ=少しタイト」というイメージで、自分には合ってないなと感じている若い世代も多いと思います。そんな人たちに選んでもらえたら嬉しいですね。

若い世代を中心に、カジュアルブランドやスポーツブランドのジョガーパンツを普段からはいている人も多いですよね。だからこそ、ミヤマパンツのシルエットはきっと馴染みやすいと思います。見た目は取り入れやすいのに、機能もすごくいいですから、「登山用のパンツをはいてみようかな」と選ぶひとつのきっかけになったら嬉しいですね。


河上:企画した側からの気持ちとしては、夏場はこのパンツ1本でどこでも行けるみたいな感じで使っていただきたいなと思っています。上がってきたサンプルを試したときに、履き心地がすごくよくて、山はもちろん、下山して次の日は町を散策するときも、この1本で全てをこなしていける。それがミヤマパンツの最大の特徴だと思うんですよね。

涼しさという部分では、通気性もそうですが、肌に張りつかない生地感が魅力。山では虫に刺される心配もあるので、暑くてもハーフパンツは履きたくないんです。そんな悩みを解決してくれて、しかも普段も履ける。暑い夏をこれで乗り越えて、楽しんでもらいたいと思います。

【finetrack × YAMAP】別注ミヤマパンツって何だ!? 夏の快適ボトムス、誕生の裏側を語る

夏見:生地強度がすごく強いので、山でもどんどん使っていただきたいですし、釣りだったり、自転車でポタリングしたり、キノコ狩りに行ったりとか、幅広く使っていただきたいですね。

カミノパンツと使い分けてるのもいいと思います。標高の高い山など、垂直的な動きをするようなシチュエーションではカミノパンツを選んでいただいて、暑さが気になる山だったり、気軽に自然を楽しみたいというときにはミヤマパンツがフィットすると思います。

モデル 山下晃和・finetrack 夏見 智子・YAMAP 河上 稔

モデル 山下晃和・finetrack 夏見 智子・YAMAP 河上 稔

山下晃和(やました あきかず) タイクーンモデルエージェンシー所属。主に、広告、カタログ、WEB、雑誌等でモデルとして活動。また、トラベルライターとしてアウトドア、モーターサイクル、自転車系メディアで原稿を書いている。著書「自転車ロングツーリング入門(実業之日本社)」、共著「Let’sゆるポタライフ(山と渓谷社)」がある。他に、自転車とキャンプをテーマにした旅イベントBIKE&CAMP主宰でもある。 夏見 智子(なつみ ともこ) デニムデザイナーと大手アパレルでのパタンナーを経て、2020年㈱finetrack入社。 週末は一年中フィールドへ。登山をメインにグラベルバイク、SUP、最近ハマっているスキーと、季節に応じた「マルチアクティビティ」がライフワーク。自ら遊び、体を動かし続けることで、アウトドアウェアに求められる本当の機能を日々追及。 河上 稔(かわかみ みのる) YAMAP STORE バイヤー。取り扱っている商品すべてをメーカーからセレクト。近年はライトトレッキング勢で、公園などのピクニックから山はキャンプ・スノーアクティビティ、海はシュノーケルなど、年間通じて自然の中で遊ぶことが好き。

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