やっぱり定番が好き!パタゴニアの実直さを感じられる、春夏のおすすめ大特集
今回紹介するパタゴニアのニューフェイスたち。パタゴニア好きなら「あれ? 定番多いんじゃない?」と思う人も多いかも知れません。でも「定番だからこそ練られているのだ」と、パタゴニア好きライターの櫻井さんは鼻息を荒くします。パタゴニアの定番たちの魅力は細かいアップデートにあり! そんなアイテムたちを櫻井さんに紹介していただきます。
櫻井 卓(さくらい たかし)
1977年生まれ。「TRANSIT」「Coyote」などの旅雑誌の他、登山雑誌「PEAKS」やアウトドア誌「Be-pal」、ファッションカルチャー誌「Houyhnhnm Unplugged」など多数のジャンルで執筆中。趣味は海外のトレイルを歩くことで、好きなエリアはカリフォルニアのヨセミテ北部。
ナノエアLOVER必見!
ウルトラライト仕様が登場
ナノエアウルトラライトフルジップフーディー

待ってました! と思わず声がでたナノエアシリーズの新作です。ナノエアライト、ナノエアライトハイブリッドに新たに仲間入りしたのが、このナノエアウルトラライトです。他の2つが40gのインサレーションなのに対して半分の20gに抑えることで、シリーズ最軽量&最コンパクトを実現。なんだか暑い時期が長くなっている気がする近年、こうしたライトなインサレーションは重宝する場面が多いです。
しかもチェストポケットに収納できるパッカブル仕様。これはもう、必携品にして良いレベルだと思います。夏の高山はもちろん、冬の低山、さらにはトレイルランやクライミングなど多用途で使える点も、満を持してのニューモデルということで、さすがの仕上がりです。ナノエアといえば、発売当初から愛用している思い入れある製品で、穴が開こうが一生着ていく! と心に決めているんですが、ここに着てのウルトラライトの登場。これは買い足し案件かもしれないです。
バック・トゥ・初代!
万能型バックパックの本命
アセンジョニスト35L

シンプルイズベスト。それを体現したかのようなバックパックです。アセンジョニストといえば、13年前に初代モデルが発売されて以来多くの愛用者を獲得しており、、その耐久性も相まって初代モデルの愛用者がいまだに多い名品です。今回はその初代をオマージュしたようなシンプルさがとても魅力的。
しかも用途にあわせてヒップベルトやパッドを取り外したりと、カスタム要素があるのも、幅広いシーンで使う助けになってくれそうです。機能的にはもちろんなんですが、色味がまた渋くて良い! グレー基調にオレンジ、パープル、そしてブルーの差し色がなんとも映えますね。クラシカルなんだけど、新しい。パタゴニアの色使いにはいつも感心させられています。
より柔らかく進化して
体に寄り添うヒップパックへ
テラヴィアミニヒップパック

このヒップパックはもともとブラックホールシリーズの一部だったんですが、素材をより薄くて軽いテラヴィアのハイクパックのものに変更。新生テラヴィアシリーズとして生まれ変わりました。この「テラヴィアミニヒップパック」は、ブラックホールシリーズだった頃と比べると、その柔らかさが格段にアップしているので、日常使いもしやすくなっています。
ヒップパックという名前ですが、実際には腰前にまわして使うことも多いと思います。そうなったときに前にだらーんと垂れるとヒジョーに使いにくい! 今季からベルトと本体の接合部の作りを工夫することでだらーん問題も解消してくれているのも、細かいところですが素晴らしいと感じるポイントです。
旅バッグとしても優秀な
バックパック兼トートバッグ
テラヴィアトートパック

こちらも新生テラヴィアシリーズの一員。これまではブラックホールトート パックという商品名でリリースされていましたが、ヒップパック同様に素材が変更されています。デザイン変更などは特にありませんが、それだけ完成度が高いという証拠だと思います。
バックパック的に背負えるので旅バッグとして優秀ですし、トート型ならショッピングバッグとしても使いやすい。僕は収納性の高さにも注目していて、旅先にサブバッグ的に持って行くことが多いです。お土産なんかで荷物が増えてしまったときなどにも活躍してくれています。サイドにボトルポケットが付くので、これがあれば軽いハイキングなら行けちゃいますしね。
実直さと堅実さこそが
風雨を防ぐレインジャケットに欲しい要素
トレントシェル3Lレインジャケット

発売から15年ほど経つ、言わずと知れたパタゴニアを代表するエントリー向けシェルジャケットです。発売当初は2.5レイヤーでしたが、2022年に3レイヤーに変更され、耐久性も申し分ないレベルに引き上げられています。実はこの仕様変更は湿気が多い日本の気候に合わせたもの。パタゴニア日本支社がアメリカ本社に何年にもわたりリクエストして実現したという背景があるんです。まさに日本仕様のパタゴニア。
びしょ濡れでもへっちゃら!
パタゴニア史上、最高の重量比保温性
マイクロパフフーディー

軽量で耐久性のあるパーテックスのクアンタムシェルと、濡れに強い化繊綿のプルマフィル・インサレーションを組み合わせた定番ジャケットは、、パタゴニア史上、重量比でもっとも高い保温性を備えた画期的なアイテムです。何と言っても素晴らしいのが水濡れに強いところ。縦走時など、着替えを確保しにくい長時間の山行時には大助かりします。愛用している知人によれば、土砂降りに降られたとしても着続けられる保温性があるとのこと。私自身、しっとりとした質感になる雨の山も大好きなので、一度その性能を試してみたいと思っているジャケットです。

ナノパフシリーズとどっちを買うか迷ったりもしますが、保温性を重視するならこちら。2シーズン前からキルトの間隔が大きめに変更されたことでさらに保温力がアップしています。しかもコンパクトに収納できるため携行性にも優れており、まさにダウンジャケットに変わる性能を、漁網リサイクル、PFASフリーという環境に配慮した上で実現しているところにパタゴニアの底力を感じられるアイテムです。
派手な変化がないことは、製品の完成度の証

こうやってみると、やはりパタゴニアには定番モデルが多い。今回取材させてもらったときも「今季からの変更は?」という質問を何度もさせてもらいましたが、ほとんどの製品が従来品のマイナーチェンジ。ですが、それがまた魅力なんです。シーズンごとに続々新商品を出すのではなく、従来のものをどんどんアップデートしていく。そういう地道な積み重ねの中からでしか、名品と呼ばれるものは生まれないのかもしれません。
ばんばん新製品を開発するというのは、環境負荷にも繋がりますし、その姿勢もパタゴニアらしくて好きです。逆説的にいえば、パタゴニアがニューモデルを出してきたということは、満を持して! ということなので期待値高めで大丈夫です。トレンドを追うアパレルじゃなくて、あくまでもアウトドアのためのギアなんですから。