地球想いで高機能!「プラックスウール」のベースレイヤーを愛用者が骨太レビュー

停滞時は寒いのに、動き出すと汗をかくほど暑い──秋冬の登山ほど、ベースレイヤー選びに悩む季節はないかもしれません。
保温性、速乾性、そして防臭性…必要な機能が多く、頭を悩ませることになるでしょう。筆者は長年ウールウェアを愛用していますが、ひと口にウールといっても千差万別。機能性はもちろん、肌触りや厚み、シルエットまで理想の一枚に出会うのはなかなか難しいものです。

そんな私が「これ一択」と信頼してやまないのが、YAMAPオリジナルの「プラックスウール200ロングスリーブT」。ウールと最新素材「PlaX(プラックス)」を混紡することで、ウールの良さをさらに引き上げたベースレイヤーです。機能、着心地、シルエット、どれを取っても文句なし。そのうえ、地球にもやさしい素材を採用しているのもお気に入りの理由です。
正直、他に浮気する余地がありません。

今回はそんな“推し”の一枚について、愛用者としてのリアルな使用感をお伝えします。

YAMAP(ヤマップ)/プラックスウール200ロングスリーブT/UNISEX

豊島 七海(とよしま ななみ)

元・YAMAP STOREコンテンツディレクター。アウトドア用品店やアパレル業界で培った知識と経験を活かし、製品紹介コンテンツを制作してきました。 現在はアーボリストとして活動中。登山のために集めた道具たちは、仕事でも大活躍しています。今回ご紹介するベースレイヤーも、そのなかのひとつ。 野外救命救急資格(WAFA)保持。YAMAP認定インタープリターとしても活動しています。

PlaX(プラックス)とウールが叶えた「臭わない」ベースレイヤー

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私の推しポイントを語る前に、まずは簡単に「プラックスウール200ロングスリーブT」をご紹介しましょう。

本製品は、YAMAPと植物由来の合成繊維を開発する会社Bioworksが共同で企画・開発した中厚手タイプ(200g/m²)ベースレイヤーです。私は夏の高山や秋冬を中心に着用しています。(もう少し薄手の製品が発売されれば、間違いなく夏のスタメンにしたいです!)
素材は、ウールとPlaXの混紡。ウールはご存じの方も多いと思いますが、「PlaX」を知っている方は少ないかもしれません。PlaXは、自然由来の生分解性プラスチック「ポリ乳酸」を繊維にしたものであり、大きな分類では「化学繊維」に該当します。しかしながら、原料は石油燃料などではなく、サトウキビなどの植物。有限な石油資源を必要としないうえ、従来のプラスチックのように地球上に永遠に残ることがなく、分解されて自然に還る「生分解性」を備えています。

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デザインは、ラグランスリーブを採用した長袖。バックパックを背負う時も縫い目が干渉せず、肩の可動域を邪魔しないという特長のあるデザインです。首周りは程よい開き具合で、インナーとしてはもちろん、一枚で着用しても様になります。袖は腕を上げるシーンなどを想定して少し長めの設計になっています。

実体験に基づいたリアルレビュー

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私はこの製品を昨シーズンの発売時から愛用していますが、これまで毎日の仕事や趣味の登山、ウィンタースポーツや出張時など様々なシーンで着用しています。どのシーンにも自然と馴染む色味と、日本人向けにデザインされたシルエット。さらに、ロゴプリント等の大きな主張がないのも使いやすさのポイントと言えます。
それでは、ここからは私の実体験を踏まえながら、この製品の魅力を4つのポイントに分けて語っていきたいと思います!

推しポイントその①|本当に「臭わない」!

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まずお伝えしたいのは、ほんっっっっとうに「臭わない」という点です。

今年の夏は長野県・前穂高岳(標高3,090m)へ1泊2日の登山遠征に行きました。途中で雨に降られたりもしながら、2日間ずっと着用しましたが、帰りのバスの中でも匂いが気になることはありませんでした。

また、私は平日に野外作業の仕事をしていますが、そのときにも「プラックスウール200ロングスリーブT」を着用しています。登山の時より激しく汗をかきますが、それでも臭くない。4日間作業着として着用し続けても、気になるニオイはありません。たとえ汗をかいていても、ニオイが気にならないだけで連続着用時の不快感はとても緩和されます。着替えをたくさん持っていけないシーンなどで、このベースレイヤーが非常に重宝するんです。

正直、「何日着たら臭くなるのか」、まだわかりません。今も仕事や山で着続けて、“どこまでいけるのか”を試している最中です。

「プラックスウール200ロングスリーブT」がここまで臭わない理由は、素材の組み合わせにあります。簡単に言うと、ウールの“臭わない”特性と、PlaX(プラックス)の“菌を増やさない”特性を組み合わせた、W防臭構造になっているのです。

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まず、ウールといえば防臭性があるという知識をお持ちの方も多いでしょう。ウール繊維の表面は魚のウロコのような「スケール構造」 を持っていて、外側は撥水性がある一方で、湿気は繊維の内側に吸収することができます。この構造によりウールは吸湿性が高く、ニオイの原因である細菌の繁殖を防ぐ効果があります(菌の繁殖には汗などの水分が必要です)。また、このスケールはニオイ成分を閉じ込める働きもしてくれます。これが、「ウールは臭わない」という機能性のメカニズムです。

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そして「PlaX(プラックス)」は、繊維から分泌される「乳酸」の作用で細菌の増殖を抑える抗菌性が備わっており、部屋干しや生乾きのニオイの原因であるモラクセラ菌や、汗や加齢臭などのもとであるイソ吉草酸などに作用し、防臭効果を発揮します。

ニオイの発生源を予防する「ウール」と、ニオイの原因になる細菌の繁殖を抑える「PlaX(プラックス)」。このふたつの組み合わせは、防臭のための最強のコンビです。

推しポイントその②|汗冷え知らず!

地球想いで高機能!最新サステナブル素材のベースレイヤーを愛用者が骨太レビュー前穂高にて。急登を終えて休憩中。

ウールに備わる吸湿性は、コットンの2倍、ポリエステルの30倍と言われています。それだけ、かいた汗や熱気を繊維に含んでくれるため、ウェア本体のビチョビチョ感を感じにくいというメリットがあります。さらにPlaXの原料であるポリ乳酸は、水を吸わない疎水性があり、汗などの濡れをすばやく乾かしてくれるため、汗冷えが少ないという特徴もあります。

昨今のアウトドアウェアでは、耐久性や肌触り、速乾性をさらに高めるために、ウール100%のウェアではなく、ポリエステルとの混紡を選んでいるメーカーが多くあります。しかし私個人としては、化繊とウールを混ぜることで生分解性が失われ、マイクロプラスチックの流出やリサイクルが難しくなることを課題に感じていました。そんな私のモヤモヤを解消してくれたのが、「プラックスウール200ロングスリーブT」。混紡されているPlaXはポリエステル繊維のような速乾性を備えながらも、生分解性を備えた植物由来繊維のため、環境や私たちの未来に負荷をかけない選択ができます。

推しポイントその③|肌触りが良い!

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ウール素材のベースレイヤーで起こりがちなチクチク問題。「プラックスウール200ロングスリーブT」は、このよくある問題とも無縁です。ウールとプラックスを撚り合わせた一本の糸で編み上げたニット生地は、柔らかく弾力があり、身体の曲線にゆるやかにフィットしてくれるようなやさしい着心地。このモチっとした弾力感が、いい意味でアウトドアウェアらしさがなく、リラックスできるのです。

袖口にはリブがないものの、生地自体に伸縮性があるため、腕まくりをしても自然にフィットし、ずり落ちにくい設計になっています。これも優秀なんですよね…リブや袖口がタイトすぎて捲り上げられないと、体温調整が大事な山では相当のストレスですし、逆にずり落ちてしまうものだと捲る手間が増えて鬱陶しい。程よい伸縮性が洗濯などでヨレることなく長続きする点も、使い続けていて感じている魅力です。

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また細かい部分ですが、首裏のネームタグや腰の製品表示タグがないのもGOODポイント。生地が柔らかい分タグがついているとすごく気になりますし、しっかり縫われているものだと解くのも面倒。こういった余計な手間がない点もすごく魅力的。

推しポイントその④|乾燥肌にもやさしい、天然由来の弱酸性素材

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私は乾燥肌体質で、冬は空気が乾いているうえに風も強く、肌が荒れやすい環境です。(恥ずかしながら、乾燥が進んで肌が粉を吹くようなこともしばしば…。)

化繊素材は軽くて乾きやすいという利点がある一方で、水分をほとんど含まないため、素肌もそのまわりの空気も余計に乾燥しやすくなります。さらに、一般的な化繊は中性〜弱アルカリ性の性質をもつため、弱酸性に保たれている肌のバランスを崩しやすく、刺激を感じることがあるのだとか。
その点、天然繊維であるウールは吸湿性が高く、繊維そのものがほどよく水分を含んでくれる素材。汗や湿気を吸ってもビチョビチョにはならず、肌まわりにほどよい湿度を保ちながら快適に過ごせます。
さらに、プラックスとウールはどちらも素肌と同じ弱酸性の性質をもつため、肌に刺激を与えにくく、乾燥しやすい山の中でもやさしい着心地が持続することを実感しています。肌トラブルの多い私でも、一日中快適に過ごせる数少ないベースレイヤーです。

推しポイントその⑤|ガシガシ洗えてすぐ乾く!

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ウール素材のウェアというと、「デリケートで扱いづらい」「手洗いしなきゃダメなんでしょ?」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかしこの製品は、洗濯機で丸洗いできるウォッシャブルウール。特別なケアをしなくても、日常の洗濯ルーティンにそのまま導入できちゃいます。私は正直なところ、ネットに入れる事さえ忘れて「他の服と一緒にそのまま洗濯機へ突っ込む」こともあります(※あくまで個人の見解です)。

もちろんタンブラー乾燥はNG(縮みのリスクがあります)ですが、脱水後に軽くシワを伸ばして干しておけば、生地の厚みの割に驚くほど早く乾くのも嬉しいポイント。型崩れや縮みもなく、ニット生地なので毛羽立ちも懸念していましたが、ほとんど見られません。

登山や仕事で毎日のように着るからこそ、「気を使わずに洗える」「すぐ乾く」は大事な要素。ガシガシ使えて、ケアもラク。機能性だけじゃなく、“日々のシーンで使えるリアルな強さ”も、このウェアの大きな魅力です。

機能だけじゃない、“心地よさ”で選びたいベースレイヤー

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乾燥肌の私は、ケミカルな素材を素肌にまとうことに少し苦手意識があります。そしてポリエステル特有の汗をかいた後のニオイや、ニオイもどりが大嫌い。だからこそ、肌に優しく、防臭性の高いベースレイヤーを追い求めてきました。そんな中で出会ったのがこの「プラックスウール200ロングスリーブT」。自然由来の素材を使っているうえ、防臭性も非常に高く、身につけることで自分のからだを思いやる心地よさを同時に感じることができます。

さらに、この“心地よさを優先したウェア”が、自然環境への負荷を減らすサステナブルな選択にもつながっているのだと思うと、自身の道具選びにも少し誇らしさを感じられるのです。

今では、私の暮らしに欠かせない一枚になった「プラックスウール200ロングスリーブT」。ぜひ皆さんにも、この心地よさを体感してみてほしいです!

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