アウターは1枚じゃ足りない? 夏の羽織もの問題|最適なウェアをシーン別に検証
登山の本格シーズンを目前に控えた今日この頃。夏の高所の特徴といえば、1日の中で何度も「暑さ・寒さ・濡れ・紫外線」といった環境にさらされることです。登山をはじめたばかりの人は、レインジャケット1枚で済ませがちですが、行動中の快適性を考えると改良の余地があるのも事実でしょう。
そこで今回は、「夏山の羽織りもの」に注目します。レインウェア・ウィンドシェル・UVカット機能付きウェアを、行動中や休憩中などさまざまなシーンに当てはめ、ベストアンサーを導きます。「こんなときは何を持って行けばいいの?」という疑問をスッキリ解決していきましょう!
夏山の「羽織もの問題」なぜ1枚では足りないの?

平地では猛暑が続く近年の夏ですが、夏山の高所ではガラリと環境が変わります。中には山で「寒い」と感じたことのある人もいるはずです。「夏山の冷え」の要因としては、この4つが挙げられます。
- 高所であることによる冷え
- 風に吹かれることでの冷え
- 天候の急変、霧や雨
- 朝晩の冷え込み
例えば、一般的に標高が100m上がるにつれ気温は0.6度下がり、風速1m/sで体感温度が1度下がるといわれています。標高2500mの山なら、平地よりも15度低いことも珍しくはありません。そこで天候が急変し、風雨にさらされるケースを想像すれば、「夏山の冷え」を軽視してはいけないと直感的に思えるはずです。
ただしレインウェアを常備していても、雨以外の状況によってはオーバースペックになることも。
例えば、好天下の行動中に受ける強風には、適度な通気と防風に長けた薄手のウィンドシェルが最適な場合もあります。
また、冷え以外にも気をつけるべきポイントに、「紫外線対策」が挙げられます。高所に行けば行くほど、紫外線の影響を受けやすくなることに加え、近年の研究から、日焼けは翌日のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことが明らかになりました。それゆえ、今やUVケアは老若男女問わず欠かせないものとなっています。こういった日焼けや暑さ対策には、薄手の羽織ものがマッチすることもあります。
これらの変化しやすい山の環境での使用を踏まえて、YAMAP STOREから夏山のシーンに最適な羽織りもの4点をピックアップしました。

※夏山行動中のアウター比較のため、フリース・インサレーションは今回の検証では対象外
※表はあくまでも4アイテムを比較した結果になります
シーン別おすすめアウター比較
次に具体的なシーンでの使い勝手を見ていきましょう。
【行動中:樹林帯】暑さ対策と虫除けを両立する

夏の樹林帯は蒸し暑く感じたり、虫が煩わしく感じたり、実は不快な要因も多いシーン。こんなときにおすすめなのが薄手のロングスリーブです。


薄手の長袖を一枚重ねることで、虫刺され対策に効果的。通気性のいいコアエアシェルシャツなら前を開放して、軽く羽織るようなスタイルで着用してもOK。遮熱効果のあるサンブロックフルジップフーディーは、ロングスリーブでありながら涼しく感じる効果をもたらします。
【雨天・雷雨】突然の降水で命を守る防水性能

夏山における天候の急変は遭難のリスクを高める要因のひとつ。雨に濡れることで身体が冷え、低体温症のリスクも増大します。そのための装備に欠かせないのがレインウェアです。

山岳用レインウェアは高い防水性を誇り、しっかりと身体を雨から守ります。さらに優れた透湿性とベンチレーションシステムで、ウェア内の結露を防ぎ常に身体をドライにキープ。本格登山に欠かせない性能を備えた、頼れるレインウェアです。
【行動中:稜線歩き】風と汗蒸れをどう制する?

稜線歩きでは防風と汗蒸れの両立が欠かせません。こんなシーンに便利なのが、ウィンドシェルです。風による汗冷えを防ぎつつも、長けた透湿性で蒸れを防ぎます。


両者の大きな違いといえば、ベンチレーションのサイズ感。コアエアシェルシャツはボタン式のフロントを開くことで、大きく蒸れを逃がすことができますが、一方でより保温性が高いのはプルオーバー型のマウンテンスモック。寒さの感じ方や発汗量でどちらを選ぶか決めるのが良いでしょう。
止まった瞬間が一番寒い! 休憩中、急な冷え込みへの対処にも◎

例えば、汗だくになったあと休憩を取った瞬間に、急な冷え込みに驚いたことはありませんか? こんな時に役立つのも薄手のウィンドシェルです。
コアエアシェルシャツはパッカブル仕様でコンパクトに携行が可能。もちろん着っぱなしでも良いですが、暑がりさんなら「いざというときのために持ち運ぶ」ウェアとして使えます。
マウンテンスモックはフロントファスナーがないことはもちろん、裾やウエストの紐を絞ることでしっかりと冷気を遮断。内部の暖かい空気を逃さず、高い保温性を発揮します。
【UV・強い日差し】高所の紫外線は対策マスト!

樹林帯を抜けて、一気に視界がひらけたとき、風の心地よさと同時に感じるのは太陽光の強さでしょう。平地よりも強力に紫外線が降り注ぐ高地では、紫外線対策は誰にとってもマストです。

日焼け止めのベトベト感や「塗っている感」が苦手な方には、羽織るだけでUVカット機能を発揮するサンブロックフルジップフーディーがベスト。顔回りから手の甲まで、ケアしづらい部分もしっかりと守ってくれます。
【軽量化・パッキング】スルーハイカー目線の重量比較

もっと軽く、早く歩きたい。そんなULハイク志向の方にとって重量は欠かせない指標のひとつ。今回紹介した羽織ものの中でも軽量なウェアは、マウンテンスモック(131g)と、コアエアシェルシャツ(119g)の2点。どちらもおにぎりと同じ重量感で、コンパクトに携行できるパッカブル設計です。
必要な荷物だけを持ち運ぶUL志向、歩きを楽しむロングトレイル志向の方にはうってつけ。好みのスタイルや着こなしを考慮して選んでみてくださいね。
【街中・公共交通機関】エアコンによる寒暖差の対策

たとえば登山前後の移動中、猛暑にうだる街中で、電車やバス、お店など効きすぎた冷房に寒いと感じることはありませんか?

こんなシーンにぴったりなのがシャツタイプのウィンドシェル。シックなシャツスタイルは下山後のタウンシーンでも使いやすく、街中でも溶け込むコーディネートに。パッカブルで小さく折り畳んで通勤バッグに入れておけば、冷房が直接当たる場所に座っても安心です。
結局どれを買えばいい?読者タイプ別おすすめ

シーン別にベストな羽織ものを紹介してきましたが、「結局何を買えばいいの?」と迷っている方へ。タイプ別におすすめのアイテム・組み合わせをご紹介します。
▶縦走・稜線メイン派
「エバーブレスフォトン」
縦走や稜線歩きでは防水性が最優先。高い透湿性で行動中も着続けられるエバーブレスフォトンは、悪天候のリスクを考えると最善の一手でしょう。
▶山小屋泊・のんびりハイク派
「マウンテンスモック」
着心地と保温性のバランスがよく、山小屋のお食事タイムや休憩中にも重宝します。のんびりと山を歩いたり、下山後の街歩きを楽しんだり、多彩な着こなしができるのも魅力です。
▶汗っかき・暑がり派
「コアエアシェルシャツ」
素材・構造の圧倒的な通気性で、暑い夏も軽やかに。稜線でもウィンドシェル代わりに使える最軽量の選択肢です。宿泊の登山や悪天候が想定される際には、別途レインウェアをお忘れなく。
▶UV・美肌ケア派
「サンブロックフルジップフーディー」
高地の強烈な紫外線を完全ブロック! 遮熱効果で暑さを防ぐため、低山から高山まで役立つ1着です。海辺のアクティビティやキャンプ、フェスなど、幅広いシーンでも大活躍。
▶たくさん歩こうロングハイカー派
「コアエアシェルシャツ+エバーブレスフォトン」
行動用のコアエアシェルシャツと、雨天用のエバーブレスフォトンの2枚体制で最適なパフォーマンスに。それぞれの専門性を生かすことで、長期にわたって最適なコンディションをキープしてくれます。
▶山でも街でも使いたい欲張り派
「コアエアシェルシャツ」
今回紹介した4アイテム中で最もタウンユースに馴染むシャツスタイルです。駅やカフェ、オフィスなど、アウトドアに見えすぎずカジュアルに着こなせます。
夏山の羽織ものは「シーン」で選ぶ
【レインジャケット】エバーブレスフォトン

レインウェアは万能ジャケットの最高峰。レインウェアといえば、登山をはじめる際の“三種の神器”のひとつにも数えられ、誰もが持っているというアイテムのひとつではないでしょうか。
finetrack(ファイントラック)のエバーブレスフォトンは、確固たる実力を誇る本格派レインウェア。防水性はさることながら、透湿性にも優れており「製品(生地)1㎡あたり、1日(24h)で10,000g(10kg)の水蒸気の汗を透過する(外に出す)能力」を保持。生地には独自開発した素材を採用しています。

ひと昔前のレインウェアのようなシャカシャカ感はなく、マットでやわらかな肌触りが特徴です。さらに、100%以上伸長する高いストレッチ性でどんな動きにもスムーズに追従してくれる心地よさがあります。
【シャツ型ウィンドシェル】コアエアシェルシャツ

コアエアシェルシャツはMOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)とYAMAPが共同開発した次世代トレイルシャツです。「脱ぎ着がいらないウィンドシェル」をコンセプトに、新素材の「PERTEX® QUANTUM AIR」を採用。高機能なテクノロジーを生地に搭載しつつも、往年の山シャツを彷彿とさせる着回し抜群のシルエット。風を防ぎながら高い通気性を誇る、高機能山シャツです。


フロントのスナップボタンによる細やかな体温調整や、襟を立てることで首の日焼けを防ぐなど、シャツスタイルならではの恩恵も。
【プルオーバー型ウィンドシェル】マウンテンスモック

RIDGE MOUNTAIN GEAR(リッジマウンテンギア)のマウンテンスモックは、フランス軍山岳部隊のウェアから着想を得たプルオーバー型のウィンドシェルです。素材には通気性や撥水性、防風性に長けた「PERTEX® EQUILIBRIUM」を採用。裏面に施された凹凸により、汗をかいても肌離れがよく、さらりとした着心地が続きます。

ゆったりとしたシルエットで重ね着しやすく、ウエスト紐や裾のゴムコードを絞ることで、冷気の侵入を防いだり、シルエットの変化を楽しんだり、自在に着こなせるのもいいところ。
【フルジップ型ベースレイヤー】サンブロックフルジップフーディー

YAMAPオリジナルのサンブロックフルジップフーディーは、着用するだけで紫外線と暑さをブロックする高機能ベースレイヤーです。酸化チタンを練り込んだ独自の糸により、UPF50+のUVカット効果と、体感温度を約2℃下げる遮熱効果を実現しました。


優れたストレッチ性に体温調整がしやすいダブルジップ、頭や首を日差しから守るフード、手の甲を覆うサムフードなど、登山で役立つディティールが満載。
サンブロックフルジップフーディーが本領を発揮するのは、強い日差しや暑さが気になる夏山の稜線といった、徹底した日焼けや暑さ対策が必要となるシーンです。日焼け止めの塗り直しが面倒なときや、水辺のアクティビティにもラッシュガードとして活躍します。

待ちに待った山のハイシーズン。「暑さ」だけではない夏山の環境では、シーンに合わせたアウトドア用の羽織ものが必要不可欠です。蒸し暑い樹林帯や風の強い稜線、急な雨や冷え込みなど、夏山ではあらゆるシーンに遭遇する可能性があります。
その中でも自身のスタイルに一番ぴったりくる羽織りものはどれか、改めて考えてみませんか? 今回紹介した4アイテムの特徴や強みを把握し、ベストな選択をしてみてくださいね。そうすればきっと、もっと快適に今年の夏の登山へ出かけられるはずです。
▼本記事で紹介したアイテム




