山での走りに最適なアルトラのシューズを大解剖。実際の履き心地を徹底レビュー
トレイルランナーからだけではなく、ハイカーからも絶大な支持を受けるアルトラのシューズ。でも、種類がたくさんあって、どれを選んだらいいものか悩むこともありますよね。
そこで、人気の3モデルについて、機能説明を読んだだけでは分からないトレイルでの「フィット感」「グリップ力」「安定感」について履き比べ、それぞれが得意なシーンなどを確かめてきました。
故障の少ない、自然な体勢で走れるように
ストレスのない履き心地で、走りのパフォーマンスを引き出してくれるのが、アルトラのシューズ共通の特徴です。まるで素足のような自然な体勢で走れるため、膝や腰痛などのランニング障害も軽減してくれます。
そんなアルトラのシューズのなかでも人気なのが、「ローンピーク7」「オリンパス5」「モンブラン」の3モデル。それぞれに機能が異なり、得意なトレイルシーンがあります。
ローンピーク7
足入れした瞬間に分かる安心のフィット感。クセがなく全体的にバランスのいい機能は、アルトラのシューズのはじめの1足としてもおすすめです。ミドルレンジ(30〜50km程度)のトレイルランニングや、荷物の軽い登山で快適な行動をサポート。
オリンパス5
トレイルからの衝撃を吸収しながら抜群の安定感。ビブラムソールの「メガグリップ」を採用し、あらゆるトレイルシーンで地面をしっかりグリップ。高い安定感でロングレンジ(50〜100km程度)のトレイルランニングや、荷物が重いテント泊縦走登山でも、安心して行動できます。
モンブラン
長い距離もスピーディに走れる軽快さ。ロングレンジのトレイルランニングでも快適に走り続けられるよう、アッパー素材とソールは徹底的に軽量化しています。トレイルを走り慣れていて、速さを追求するランナーにおすすめの1足です。
トレイルの路面状況、走る距離などによってシューズを履き分けることで、最高のパフォーマンスで走れるため、アルトラのシューズを選ぶときには、ぜひご参考にしてください。
まずは、アルトラのシューズたる2つの共通機能をご紹介し、トレイルでのレビューは後半にお伝えします。
アルトラの特徴|1|裸足感覚で走れる「バランスクッション」
一般的なシューズでは、衝撃吸収性や推進力などをもたせるために、ヒールのクッションがつま先よりも厚めに設計されています。この設計には、さまざまな障害やケガのリスクが潜んでいます。ヒールが高いために、つま先立ちのような不自然な前傾姿勢になってバランスが崩れ、筋肉や関節に余計な負荷が掛かかってしまうからです。
障害やケガのリスクを減らすためにアルトラが採用したのが、つま先とヒールのソールの厚みの比率を1:1にすることで、地面からの距離を均一にする「バランスクッション」です。このバランスクッションがあることで裸足で立っているのと同じ状態、つまり人間本来の自然な体勢をとれるため、駆け上がるための筋肉やクッションとしても機能する関節本来のパフォーマンスを発揮しながら、走り続けられます。
アルトラの特徴|2|足指を自由に動かせる「フットシェイプデザイン」
つま先が広がっている「フットシェイプデザイン」は、足指が自然に広がりストレスのない履き心地を実現する構造です。シューズ内の足指を使って地面をグリップできる感覚を持てるため、バランスも取りやすく安定感を高められます。
なによりも足指に窮屈さがないため、長時間でも快適に履き続けられます。
アルトラの人気3モデルの比較早見表
ここからは、「ローンピーク7」「オリンパス5」「モンブラン」のそれぞれのレビューをご紹介します。まずは、一覧できるように、レビュー結果とスペックをまとめました。
奥多摩のトレイルで試し履き!
アルトラのシューズを試すためにやってきたのは東京の奥座敷、奥多摩エリア。舗装路、土、木の階段、岩などいろいろな路面シチュエーションがあるトレイルで、3モデルの「グリップ力」「安定感」「フィット感」を試しました。
他のシューズが履けなくなるほどのフィット感「ローンピーク7」
「ローンピーク7」は、快適に走り続けられるようにフィット感を重視したモデルです。
シュータンやヒール周りに配置したクッションが足にぴったりフィットして、シューズ内の足ズレを軽減。足がしっかりホールドされているのに、やさしく包み込まれるような快適な履き心地は、足型を選ばず多くのトレイルランナーやハイカーにシンデレラフィットします。
アウトソールには独自開発の「マックストラック」を採用し、岩や木の根でも粘るようにしっかりグリップ。矢印のように配置されたソールパターンとの相乗効果で、ぐんぐんと前進できます。
下りでもズレにくく、安心して駆け下りられる
フィット感:★★★★★
足入れした瞬間「あぁ、いいな」と直感するほど、シュータンとヒール周りのクッションボリュームがよく、足と一体化するようなフィット感を実感しました。シューレースを下から順に正しく締めると、足の甲はしっかりとホールドされているのに、足指は自由という不思議な履き心地。思いっきり駆け下ってもズレる心配はなく、アップダウンの多いトレイルランニングでもストレスなく安心して走れますね。
グリップ力:★★★☆☆
前進するときのグリップは頼もしく、進行方向にまっすぐ足を置いて地面を蹴り上げるときには、グンと推進されるような走り心地。ただ、角度のついた岩に横向きに足を置いたり、少し斜度があるトレイルのトラバースなどでは、グリップが弱く感じることもありました。
安定感:★★★★☆
着地時などでも、とくにブレたりすることはありませんでした。ヒール周りに配置されたTPU素材と、少し後ろに飛び出ているヒールカウンターのおかげですね。
25mmという絶妙なソールの厚みは、トレイルの状況が分かるような足裏感覚もあり、バランスを崩しそうな悪路でも、自由な足指でバランスをコントロールすることもできました。
トレイルランニングを楽しめる快適なシューズ
他のシューズに目移りできなくなるほど、快適なフィット感のまま走り続けられました。レースを攻めるというよりは、仲間と楽しく走るトレイルランニングを満喫したくなるような一足。
「フィット感」「グリップ力」「安定感」と機能のバランスがよく、クセがないため、あらゆるトレイルでオールラウンドに使えそうです。木の根が張り出したり、岩がゴロゴロしているようなトレイルでは、横方向へのグリップに少々不安が残りますが、足の置き方に気を付けたり、ゆっくり走れば問題ありません。
足運びもサポートしてくれるソール構造の「ローンピーク7」は、登山にも十分に使えます。登山もトレイルランニングもどっちも楽しむアウトドアズマンにおすすめですね。
抜群の安定感とグリップ力「オリンパス5」
「オリンパス5」は、岩場などの不安定なトレイルでも走れるように安定感を極めたシューズです。
乾いた路面でも濡れた路面でもグリップするビブラム社の「メガグリップ」をアウトソールに採用。ソールの厚みが33mmもあるクッション性との相乗効果で、あらゆる地形のどんな環境でも抜群の安定感を発揮します。
安定感を重視しているため3モデルの中では一番重たいモデルですが、どこにでも足を置ける安心感は何ものにも代えがたく、どんなトレイルでも気兼ねなく走り抜けられるジープのような走破性は爽快です。
どんなトレイルも走れる万能感
フィット感:★★★★☆
足入れ部分が硬めでボリュームも薄く、ヒール周りのフィット感はやや心もとない印象でしたが、シューレースを締めると足の甲がしっかりホールドされて、かかとの不安は軽減されました。走っても、かかとが浮くような感覚はなかったので、履き慣れれば心もとない印象も一掃できそうです。
グリップ力:★★★★★
さすがのメガグリップ。濡れた岩でも、湿っている木でも、角度のある岩に横向きに足を置いてもしっかりグリップしました。この安心感があれば、どんなトレイルだって駆け抜けられます。
安定感:★★★★☆
着地時の安定感が高く、下りでも不整地でも安定して走れます。底に向けて広がるような台形の形をしたソール構造と、下りの衝撃や不整地の突き上げも吸収できる高いクッション性のおかげですね。ただ、ソールが厚いためか、足裏感覚がもう少しある方が個人的には好きです。
不整地に強く、長距離も疲れにくそう
重量があるモデルですが、履いてみるとどんなトレイルでも走り抜けられる安心感がありました。
このクッション性と安定感があれば、疲労の蓄積をかなり軽減できそうなので、ロングレンジのトレイルランニングで活躍しそうです。木の根や岩場など不整地での走破性も高いため、いろんな路面がでてくるようなトレイルに最適ですね。
トレイルをまだ走り慣れていない人にも、安心して走れる一足としておすすめできそう。まるで登山靴のような安定感は、テント泊装備を背負った縦走登山にも良さそうですね。
トレイルを攻めるために徹底軽量した「モンブラン」
ヨーロッパアルプスなどの急峻な岩場などを駆け上がるために作られたのが「モンブラン」です。
アウトソールには軽さとグリップ力を両立させたビブラム社の「ライトベース」、超軽量で足が透けるほど薄いメッシュも要所に配置したアッパーやシュータンと、徹底的に軽量化して走りの軽快感を追求しています。
軽いばかりではなく、衝撃吸収と着地のエネルギーを推進力に変える反発性を兼ね備えたソール設計で、運動強度の高いトレイルランニングをサポートしてくれます。
登りも軽快に駆け上がれる
フィット感:★★★☆☆
ヒール周りのクッションも軽量化されているためフィット感がゆるく感じましたが、厚手のソックスなどを履いたり、シューレースをつま先からしっかり締め上げることで、カバーできそうです。シュータンも薄くて、シューレースの締め上げの圧力も気になりましたが、平紐に変えたりすると軽減できそうです。
グリップ力:★★★★☆
ウェットでもドライでもあらゆる路面でしっかりグリップしてくれました。蹴り上げるときにグッと踏み込むと、足の動きに合わせてソールも屈曲してくれるため、斜面もがっちりとグリップできます。軽くて粘り気がある分、耐久性が気になりました。
安定感:★★★☆☆
足指が自由に動いて、クッション性と足裏感覚が両立されているので、バランスを取りやすかったです。必要以上に安定感をサポートしてくれる感覚はありませんでしたが、トレイルを走るための筋力がしっかり発達していて、トレイルを走り慣れていれば、安定して走ることができますね。
トレイルを走り慣れたランナー向き
なによりも驚かされたのは、履いたときの軽さです。まるで履いていないかのようでした。
重量の軽さはもちろんですが、フィット感や足指を自由に動かせるフットシェイプデザインが、この軽快な履き心地を実現しているのだと思います。そして、グリップ力とソールの反発力で、登りは気持ちいいほどにぐんぐんと駆け上がれました。
レースを攻めるために、トレーニングをしっかり積んだトレイルランナーにおすすめ。クッション性も高いため、ミドルからロングレンジのトレイルランニングに活躍しそうです。
目的に合ったアルトラのシューズで、ケガなくそれぞれが楽しいトレイルを!
アルトラのシューズは、裸足のような快適な履き心地で人間本来の自然な体勢に導いてくれ、故障やケガのリスクも軽減できるため、多くのトレイルランナーやハイカーに愛用されています。
しかし、みんなが履いているからといって良いものではありません。シューズに求める機能は、人それぞれです。「フィット感」「グリップ力」「安定感」だけではなく、「軽さ」もあります。自分がシューズを選ぶときに重要視する機能を考え、どんなトレイルをどう走りたいかを想像しながら、今回のレビューをぜひ参考にしてください。
サイズは自分の足の実寸+1.3cmを選ぶと、より快適に最大限の機能でアルトラのシューズを履くことができます。
アルトラのシューズで、それぞれのトレイルランニングを楽しみましょう!