日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材

繊維産業が盛んな北陸地方。福井県にある「アタゴ」は、YAMAPがお届けする極上のウールインナー「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズの生地開発から製造までを一貫して行う、昭和2年創業の老舗トータルニットメーカーです。

YAMAP STOREは「アタゴ」を訪問し、製造現場の裏側を取材させていただくことに。「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズの特徴や製造工程について、お話を伺いました。

現地で見えてきたのは、分業制の進んだ繊維業界で『一貫生産体制』を確立しているからこそ実現できた徹底的なこだわりと、伝統に支えられた確かな技術力。made in japanの底力をお届けします。

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気候の相性がよく、繊維産業が発達した北陸地域

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衣服に使われる生地は、「糸」を編み上げたり織り上げたりして作られています。分厚い生地には太い糸が用いられ、肌に触れるような薄手の生地には細い糸が用いられるといった具合です。細い糸は非常に繊細で、生地づくりの最中に糸切れを起こしてしまうなど、扱いにくさという難点もあります。しかし、北陸地方の繊維産業が得意とするのは、その極細繊維の取り扱い。技術は世界でもトップレベルと称され、多くの海外スポーツ・アウトドアメーカーも、北陸地方の繊維産業に注目しているのです。

北陸地域で繊維産業が発展した理由のひとつとして、繊維加工や生地製造に適した「気候風土」が挙げられます。北陸地域は、南部に大きな山岳地帯があることから繊維産業に必要な水資源が豊富なうえ、年間を通じて湿潤な気候であることから、乾燥による糸切れが少ないのだそう。そのため、地の利を生かした繊維産業が生まれ、発展してきたと言われています。時代の変遷とともに、衣服の原料は天然繊維の「絹」から合成繊維である「人絹織物(レーヨン)」、「ナイロン」、「ポリエステル」と徐々に移り変わっていき、現在に至ります。

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材

今回YAMAPが共同開発を申し込んだ「アタゴ」は、創業から100年近い歴史をもつ福井の老舗工場。創業地域の特性を活かし、スポーツ・アウトドアウェアの生地開発や製造を多く行ってきたトータルニットメーカーです。その技術力は世界レベルで評価されており、サッカーやバスケットボールの日本代表ユニフォームを製造するなどの実績も。

また「アタゴ」は、素材開発、編立から縫製、検査までを一貫して生産できる体制を整えています。これは、分業化が進んだ繊維業界ではきわめて特殊なこと。単独工程だけでは難しい独創的な製品を作り出すことが可能な体制を構築し、独自のポジションを築いているのです。

生地開発や素材研究を約100年に渡って行ってきた「アタゴ」。その知見を活かし「究極の天然素材100%テキスタイル」の研究開発を行うなかで誕生したのが、極細メリノウールを使った生地。YAMAPの「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズでも使われています。

工場に潜入取材!独自インタビューを敢行

古くから繊細な繊維の扱いが得意な北陸地域の繊維産業。スポーツ・アウトドアウェアの製造を長年手がけてきた「アタゴ」だからこそ、この地域性を活かし、アウトドアシーンでも実用性の高い”極細のウール”に着目した生地開発が行われました。

今回YAMAPスタッフは、インナーウェアの製造工程の裏側に迫るべく、福井県に赴き「アタゴ」を直接取材。製造工程だけでなく、「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズの生地やデザインへのこだわりについても深掘りをしてきました。

メリノウールのなかでも最上級の糸を使った生地開発

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YAMAPがお届けする「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズは、「アタゴ」が独自開発したウール100%の生地を採用しています。使われているのは、メリノウール繊維の中でも最も細いとされる「スーパーエクストラファインメリノ」という分類の糸。

一般的なメリノウールの細さは20μm程度といわれていますが、本製品の生地ではなんと15.5μmという超極細繊維がセレクトされています。その繊維の細さは「繊維の宝石」とも称される極上の素材「カシミヤ」に匹敵するほど。繊維が細いことで、身体の曲線や動作に追従する、柔らかくなめらかな生地の開発に成功しました。

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材テキスタイル工場長の木下さん

「ウール100%の生地の中でも最上級と呼べるものに仕上がっていると思います。その手触りはカシミヤに匹敵するものです。『ならばカシミヤを使えばいいのでは?』と思う方もいるかもしれませんが、ウールのもつクリンプ(縮れ)の特性はアウトドアに最適なものであり、カシミヤではその特性は薄れてしまうんです」と語るのは、テキスタイル工場の木下さん。

ウールの大きな特徴のひとつである、くるくるとカールした毛の形状。これは「クリンプ(縮れ)」と呼ばれます。「クリンプ」は、空気をたくさん含むことができるという特徴があり、その空気の層が断熱効果を発揮することで、『冬は暖かく、夏は涼しい』という機能が生まれます。ウールというアウトドアに適した原料を用いながら、着心地のよさを究極まで追求することでうまれたのが、15.5μmの極細ウール繊維を使った生地なのです。

インナーウェアに特化したパターンメイキングや縫製技術

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材企画担当の田中さん(右)

「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズは、製品づくりにも、たくさんのこだわりが詰まっています。パターンメイキングや縫製仕様は、アウトドアフィールドで着用する肌着であるということを前提に開発されています。

「いちばん重視したのは、着心地や動きやすさでした。ザックやレイヤリングに干渉せず、登山中の歩く、登る、座るなどの動きをさまたげないデザインというYAMAPさんからのご要望に合わせて、生地の特性を考慮しながら各パーツのパターンを検討しました」と企画部の田中さんは、生地サンプルを手に熱心に説明してくれます。

大手アウトドア・スポーツメーカーのアンダーウェアの縫製も手がける「アタゴ」。アンダーウェアは肌に触れるものであるうえ、使われる生地も伸縮性に優れた特殊なものが多いため、一般的なTシャツを縫製するよりも難易度が高く、パターンから縫製まで、高い知識と熟練の経験が必要とされます。使用時の状況や使い手の動作までを徹底的に想像し、作り込まれたディテールはさながら伝統工芸のような細やかさです。

ここからは、「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズのディテールと特徴をご紹介します。


■スーパーエクストラファインメリノロングスリーブ

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材
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「スーパーエクストラファインメリノロングスリーブ」は、ザックを背負う肩に縫製部分が重ならないラグランスリーブを採用。胴体部分の縫製ラインも、腕や重ねるウェアとの重なりが少なくなるよう前身頃に振ってパターンメイキングを行っています。

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足上げやしゃがみなど、腰回りの関節を大きく動かす動作の多い登山シーンを考慮し、ボトムスから裾が出にくくなるように後身頃の裾を長めに設計。骨盤の広い日本人女性特有の体型も考慮し、ウィメンズモデルのほうがメンズモデルにくらべて後ろ裾が長い設計になっています。


■スーパーエクストラファインメリノタイツ

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「スーパーエクストラファインメリノタイツ」は、開脚動作のしやすさを考慮して股下にガゼットパターンを採用。腰からお尻周りを包み込むようなデザイン設計となっており、『タイツが突っ張って動きにくい』といった悩みも解消されます。

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ウエストゴムは平ゴムを採用。メリノウールでゴムを包み込むことで肌あたりをよくし、パンツを履いたときでも、すっきりとした着心地を提供します。洗濯や脱ぎ着の際になかのゴムがひっくり返るトラブルを回避するために、ジグザグのステッチでゴムとタイツ本体を縫い付ける、使い手に嬉しいひと工夫もポイント。


■スーパーエクストラファインメリノネックゲイター

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「スーパーエクストラファインメリノネックゲイター」は、一見シンプルな、チューブ型のデザイン。しかし、顔や首などのデリケートな素肌に触れることを考慮し、縫製部分には最も凹凸のすくないフラットシーマ縫製を採用しています。フラットシーマ縫製は、トップスとタイツの縫製部分にも採用されています。

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材
日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材

上部の両サイドには、耳かけ用のループを配置。『風の強い稜線や空気の冷たい冬季の登山シーンでは、首だけでなく頬や鼻まで覆いたい』というニーズに応える仕様です。マスク代わりにもなる一石二鳥なディテールとなっています。

細かなニーズにも柔軟に対応できる一貫生産体制

日本の肌着で、日本の山に登ろう|YAMAP限定ウールインナーの工場を潜入取材

凄まじいスピードで素材や機械の技術革新が進む現代。その発展を受け、ものづくりの現場にも、高い技術と細やかな作業が求められています。

しかしながら、「登山」という特化したフィールドに適した生地開発、デザイン、縫製を行える工場は、決して多くありません。なぜなら、生地の特徴を正しく理解しないことには、適切なパターンメイキングや縫製を行うことができないためです。

社内に一貫した生産体制をつくりあげ、生地開発から製造までを行う「アタゴ」との共同開発だからこそ、生み出すことができた「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズ。ぜひお試しいただければ幸いです。

日本の肌着で、日本の山に登ろう

ものづくりの背景を知ることで、買うこと、使うことへの思いも一層強くなりますよね。今回の取材を通して、産地の背景や「アタゴ」さんの想い、そして「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズ誕生のプロセスを知ることができました。

日本の地理や文化・歴史背景が生んだ産地「福井県」。そこで培われた技術と作り手の情熱から生まれたYAMAPだけの特別なウールインナーは、快適な山歩きのための機能や工夫がふんだんに込められています。

着心地、快適さ、どれをとっても満足していただけるインナーウェアができました。ぜひ、私たちの生まれ育った日本の歴史や文化を感じながら、日本の山を歩いてみてください。

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      YAMAP

      「つづく、つながる、ものがたる」を大切にしているYAMAP STORE...

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