秋の登山、服装選びに迷ったら? レイヤリングの基本と秋ならではのコツ
登山の服装はレイヤリング(重ね着)が肝。 特に、気温が下がり、行動中の体温と気温の差が大きくなる秋はさらにその重要性が増します。では、どんなアイテムを、どんなバリエーションで揃え、どう重ねたらいいのでしょうか?
登山ガイドの岩田京子さんが、YAMAP MAGAZINEで教えてくれたレイヤリングの基本と気をつけたい点を参考にしながら、秋山登山・紅葉トレッキングにふさわしい服装について見ていきましょう!
YAMAP STOREの取扱商品のなかで、秋山登山のレイヤリングにオススメのアイテムもご紹介しているので、是非チェックしてみてくださいね。特に、登山初心者必見です!
秋山では何を着るべき? 登山ガイド岩田さんのレイヤリング見本

登山の服装はレイヤリング(重ね着)が基本です。
秋山は行動中の体温と気温の差が大きいため、効果的なレイヤリングが特に重要になってきます。
ということで、まずは私が普段、秋山登山でどんなレイヤリングをしているのかお伝えすると、一番上から
①ソフトシェル
②薄めのフリース
③ベースレイヤー
④ドライレイヤー
の順に重ね着しています。これから、①から順番に詳しくお伝えしていきますが、その前にひとこと!
レイヤリング(重ね着)と言えど、「何でもかんでもとにかく重ね着すればいい」というわけではないのでご注意を。
大事なのは、ウェアそれぞれの特徴・機能を理解し、状況に応じ適切な重ね方をすること。寒いからといって、同じような機能のウェアを何枚も重ねて着てしまうのは、適切なレイヤリングではありません。
以下で紹介するポイントをおさえて、安心安全に紅葉登山を楽しんでくださいね。
①空気が冷たい秋だからこそ活躍してくれる上着「ソフトシェル」

ソフトシェルとは、中間着として位置づけられることもありますが、撥水性(生地の表面についた水をはじく効果)があるものが多いです。
ストレッチ性があるものがほとんどなので、保温着を着ない行動中などに活躍します。
もしソフトシェルがなければ、ゴアテックスのレインウェアやウィンドブレーカーなどでも対応は可能。ですが、行動中にたくさん汗をかいた場合には、本来ならば水蒸気として外に排出されるはずの汗や湿気が内側に溜まり、濡れてしまうことがあるのでご注意を。
その点、ソフトシェルは汗を発散しやすいので、低温時の行動中におすすめです。
[YAMAP STOREのおすすめソフトシェル]
finetrack(ファイントラック)/フロウラップフーディ
ファイントラックのレイヤリングシステムにおいて「ミッドシェル」と呼ばれるラインの中でも、主力となる定番のウェア。驚異的な生地の伸びで、活動をよりアクティブにしてくれます。
②年中使える「薄めのフリース」は秋山でも活躍

一言でフリースといっても、厚さや種類があり気温や季節に応じて上手に使い分けが必要です。
秋山にかぎらず、年中通して使えるのが薄めのフリース。というのも、標高の高い山では平地より気温が下がります。暑い夏でも例外ではありません。特に朝晩などは冷えを感じやすいので、こうしたときにさっと羽織れる薄めのフリースがあると重宝します。体温の変化が起こりやすい「登り始め」や「行動中」にも便利。脱ぎ着の調節が簡単にでき、おすすめです。
このように、登山時にはウエアでの体温調節が欠かせません。汗でウエアが濡れてしまうと体も冷えやすくなるので、こまめな脱ぎ着、調節を心がけましょう。
[YAMAP STOREのおすすめ 薄手のフリース]
and wander(アンドワンダー)/アルファダイレクトプルオーバー
繊維を編むことで抜け落ちを防いだ画期的な中綿、ALPHA DIRECT。この素材を使い、保温性は確保しながら、身体を動かすことによって発生する熱や汗をスムーズに放出します。
NORRONA(ノローナ)/フォルケティン アルファ120 ジップ フード
確かな保温力と熱を放出する通気性を兼ね備えたPolartec® Alpha120を採用し、寒冷地での行動に順応できる機能性を持ったフリース。ハードシェルなど他アイテムとのバランスの取りやすい、ミドルレイヤーの代名詞ともなりうるアイテムです。
③汗をかいてもベタつかない「ベースレイヤー」

肌に近いものは、綿素材などの汗で濡れて乾きにくいものは体を冷やしてしまうため、NG。下から2番目に着るベースレイヤーは、速乾性や吸水性があるものがほとんど。
かいた汗を素早く生地に吸水してくれて(吸水性)、綿素材などよりも早く乾く(速乾性)のが特徴です。
ちなみに私は、特に焼けやすいうなじの日焼け対策として、ハイネックのものを選んでいます。袖部分に関しても、直射日射が肌に当たるのを防ぐため、夏も秋もロングスリーブ(長袖)のベースレイヤーを愛用中です。
[YAMAP STOREのおすすめベースレイヤー]
icebreaker(アイスブレーカー)/150ポケットロングスリーブ クルー
icebreaker(アイスブレーカー)/200 オアシス ロングスリーブ クルー
メリノウールの特徴である吸水速乾性と防臭効果に、伸縮性を加えることでアクティブなシーンでも快適に着用できるベースレイヤー。自然由来の素材だからこそ、着心地の良さが◎。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)/エクスペディションドライドットクルー
ベースレイヤーとフリースを組み合わせたようなWニット構造で、肌面に撥水加工を施すドライ層、表面には汗を素早く拡散・乾燥させるための吸水拡散層を設けています。
finetrack(ファイントラック)/ドラウトクアッドジップネック
吸汗速乾性というベースレイヤーに求められる機能は標準装備。さらにその吸汗性が半永久的に持続し、洗濯機で何度洗っても吸汗性は損なわれないという優れモノの一着です。
④秋冷えの季節こそ気をつけたい!肌に直接身につけるべきは「ドライレイヤー」

行動中は体温が上がって汗をかきます。だからこそ肌に直接身につけるものは、水分を遠ざけてくれる「撥水性」があるものを着用するのがいいと思います。
上述したように、秋とはいえ、下界から比べると風は冷たく感じます。風にあたって体が冷えるだけでも低体温症になり、命に直結することも。
汗によるベタつきを防いで快適な登山をするためにも、内側から汗冷えを防いで安全な登山をするためにも、特に注意が必要です。
[YAMAP STOREのおすすめドライレイヤー]
finetrack(ファイントラック)/ドライレイヤーベーシック
ドライレイヤーの上に着るベースレイヤーへ汗をスムーズに受け渡すから、素肌はいつもサラサラに。休憩時の汗冷えを防いでくれる、秋山登山にふさわしい商品。
finetrack(ファイントラック)/ドライレイヤー ウォーム
ドライレイヤーシリーズの中でも、最大厚を持つ冬仕様モデル。保温性のある厚みと汗抜けの良さという、相反する要素を併せ持った、冬季の理想のベースレイヤーです。
秋山登山の服装、レイヤリングのコツをおさらい!
登り始めは、「ドライレイヤー」と「ベースレイヤー」の2枚重ねで、途中休憩をはさんで体が冷えそうになったらその上からフリースを羽織ればOK。さらに道中、気候や気温、体温に変化があれば、ソフトシェルを着てこまめな対応を。
上記で紹介した4つのアイテムを元に、天候や気温、行動に応じて臨機応変に重ね着しましょう。
初出:YAMAP MAGAZINE「秋の登山、服装選びに迷ったら? レイヤリングの基本と秋ならではの注意点」2020年10月16日公開
監修/登山ガイド 岩田 京子
編集協力/EDIT for FUTURE
写真/駒田達哉