どんな装備があればOK? 雪山登山をもっと身近に、楽しくするためのギアをYAMAPスタッフがご提案
ちらほらと飛び込んでくる降雪のニュース。いつも親しんでいる山が真っ白な雪と氷に覆われる姿を見て、「今年こそは雪山登山をしてみたいな」と思っている方も少なくないはず。でも、「装備を揃えるのが大変そう」「辛かったり、難しかったりするのかな」と、なかなか一歩を踏み出せないということもあるでしょう。
そんな方のために、今回はYAMAP STOREから、はじめての雪山登山を楽しむためのオススメ装備をご提案したいと思います。誰でも最初は初心者。基本装備や注意ポイントに触れながら、雪山登山の魅力に迫ります!
雪山登山をはじめる前に、YAMAPスタッフのウェアのお悩みをチェック!
はじめての雪山登山に挑戦するのは、YAMAP STOREスタッフの伊藤(左)と藤原(右)。経験者の豊島(中央)が指南役となり、ギアのセレクトやふたりのお悩みを解決していきます。
伊藤さんの心配ごとは「体温調整」。気温の低い山でも体を動かしていると汗だくになってしまうのだとか。山行時のウェア選びやレイヤリングが課題のようです。そして藤原さんは以前は映像関係の仕事をしていたこともあり、「山で写真を撮る」のが目標。でもハードなコンディションでは大切なカメラを持っていくのが心配…ということで、カメラ用のフロントバッグをテストしてもらうことに。
では、それぞれのお悩み解決を詳しくご紹介していきましょう。
CASE|1|「寒い山でも登りで汗だくに…」快適なレイヤリングに辿り着きたい!
気温は低くても、登っているうちにすぐに暑くなり、汗だくになってしまうという伊藤さん。その汗が冷えて山頂でガクガクブルルブル…という経験もあり、ウェア選びとレイヤリングに迷っているのだとか。
ー伊藤 登りはじめは寒いので着込んでいるのですが、すぐに暑くなってしまって…。でも休憩していると一気に冷えちゃって。行動中と休憩中の温度差の調整をどうしたらいいのかわからないんです。なので、厚手のダウンやジャケットなど、いろいろなウェアを持って行って、頻繁に脱ぎ着をしているのですが、もっとスマートにレイヤリングできたらなって思っています。
ー豊島 暑がりさんはレイヤリングが難しいですよね。春や秋のシーズンは多少寒かったり暑かったりしても我慢できると思うのですが、冬の汗は低体温症のリスクも大きく、注意が必要です。登山での「快適性」を追求したい伊藤さんは、私も愛用している「finetrack(ファイントラック)」のレイヤリングをぜひ試してみてください!
ー豊島 まずは、一番肌に近いウェアから。「finetrack / ドライレイヤー」は、ベースレイヤーの下に着用する「汗対策」のためのアイテムです。3シーズン用のベーシックと冬用のウォームの2タイプがありますが、暑さが気になるのであれば冬でもベーシックでOK。
ー伊藤 かいた汗が外のレイヤリングに逃げていくんですよね。着心地もいいですし、ベースレイヤーだけとはどのような違いがあるか今から楽しみです。ベースレイヤーは普段の登山でも愛用している「patagonia / キャプリーン ミッドウェイトクルー」にしました。その次のミドルレイヤーですが、種類や保温力の違いなどバリエーションが多くて、雪山登山にはどれがいいのかわからなくて。寒いと思って厚手のダウンを選んだら、暑すぎてほとんど着ていられないということも(汗)。
ー豊島 それなら、適度な保温力に通気性を兼ね備えた「finetrack / ポリゴンライトジャケット」はいかがでしょうか。ダウンではなく化繊素材の中綿を使ったインサレーションジャケットです。体の熱が篭りにくく、汗の滞留も抑えられているので、オーバーヒートの心配が少ないんです。
ー伊藤 なるほど! 山行中に暑くて脱いだりしなくてもいいってことですよね。着心地も軽やかですし、動きやすいのもいい感じです。汗かきの私にはぴったりかも。
ー豊島 アウトドアのウェアは、どれも明確な目的があって作られています。登る山や体質、アクティビティに合わせて最適な組み合わせを見つけることが、快適な登山の近道です!
CASE|2|「山で写真を撮りたいけど、大切なカメラが心配…」アウトドア用のカメラバッグでスマートに!
山で写真を撮るのが好きな藤原さん。天気のいい夏山ではカメラを斜めがけにして撮影できますが、雪が降ったり、気温差の大きい冬山ではむき出しだと心配…ということで、バックパックに収納して、撮りたいときに取り出すスタイルに落ち着いたのだとか。
ー藤原 バックパックに入れておけば安心なのですが、いい景色に出会うたびに取り出すのは面倒で、シャッターチャンスを逃してしまうことも多くて。縦走で疲れていると、バックパックを下ろす気にもならず、撮らないで下山することもあって、あとで後悔するんです。
ー豊島 私も写真を撮るのは登山の楽しみのひとつ。それなりに重たいカメラを持っていくのだからこそ、「すぐに取り出せる」「安心して持ち運べる」かどうかが重要なポイントですよね。
ー豊島 オススメは、「paagoworks / フォーカス」。バックパックのショルダーハーネスにアタッチするタイプの登山用のカメラバッグで、撮りたいときにすぐにカメラにアクセスできるのが魅力です。ブレを抑える設計も盛り込まれていて安定感も抜群。防水生地を使っているので多少の雨でもOK です。
ー藤原 本体上部のフックでハーネスに接続。下のベルトを腰に巻けば、屈んでもバッグが落ちてこないんですね! 岩場で屈んだときでも揺れないのはすごいです。よく考えられているなあ。胸元にあるので足上げの妨げにもならないし、すぐに取り出せるのはいい。なんで今まで使ってこなかったんだろうって、もう思っています(笑)。
雪山登山の装備が整ったらいざ出発!
今回の山行は長野県須坂市と上田市の境に位置する根子岳(ねこだけ)。周辺にはスキー場があり、冬はスノーハイクで人気を集める標高2207mの山です。
はじめての雪山登山にオススメなのは、「3〜5km程度のショートコース」「岩場や急登のない緩やかな山」。3シーズンの登山装備にプラスアルファで登ることができ、天候変化があってもエスケープできるコースを選ぶのがポイントです。
山行は12月初旬。まだまだ雪山と呼ぶには降雪が少なかったのですが、見上げれば霧氷が。冬らしいクリアな青空と真っ白に凍った枝のコントラストに目を奪われます。気温はマイナス5°C。キリリと冷たい空気に包まれます。
高度を上げていくとガスが立ち込めて幻想的な雰囲気に。モノトーンの静かな景色もまた冬の登山の魅力。ときおり強い風が吹いたり、雪が舞ったりと目まぐるしく変化する山の天気。こんなときにこそ、ギアの大切さを感じます。
ー伊藤 実は、帽子も汗対策が必要だなと思っていて、「halocommodity / マカルーフラップキャップ」をセレクトしました。耳を覆えるフラップがあってモコモコで暖かいのですが、サイドがメッシュになっているので通気性もバッチリです。
ー藤原 眺望はないけれど、真っ白な世界もいいですね! 早速「paagoworks / フォーカス」が大活躍。冬用のグローブをしていても、ファスナータブが大きなループになっているので、開け閉めがしやすいですね。とにかくバックパックを下ろさなくても撮りたいときに撮れるのはめちゃくちゃ嬉しい!生地が水をはじくので雪がついても安心です。
冷たい雪と風から身体を守ってくれるレインウェアは必携品のひとつ
山頂に到着したものの、すっかり霧のなか。しかも雪も降ってきました。ちょっとハードなコンディションですが、夏山にはないピリッとした感覚は雪山ならでは。なお、標高を上げて気温が下がり、風が出てきたタイミングでそれぞれレインウェアを着用。冷たい風と雪から守ってくれるレインウェアは雪山登山の必携品です。
ベンチレーションつきでアクティブに動ける「グラナイトクレストジャケット / patagonia」
—藤原 柔らかい生地感なのでレインウェア特有のガサガサ感が少なく、レイヤリングしても窮屈な感じはなかったです。脇下のベンチレーションを上げれば中の空気が換気されるので暑がりの自分にはピッタリなアイテムでした。
身長178cmでLサイズを着用しています。ちなみに、環境への配慮を考え、素材は漁網をリサイクルしたものを使用。着ているだけで環境に向き合えるのもオススメしたい点ですね。
斜めジッパーで脱ぎ着しやすいアノラックタイプ「レディバグジャケット / Teton bros.」
—豊島 レインウェアですが、生地が柔らかくしなやかなのが特徴。動きやすく、ゴワつきがないぶん行動時のストレスが軽減されています。素材は、ティートンブロスと東レが開発した「Täsmä(タズマ)」。防水と通気を意図したものなので、今回の山行ではミドルレイヤーはあえてインサレーションではなく熱のこもりにくいフリースを着用してみました。結果、一度も脱がずに全行程を終えることができ、どんなシチュエーションでも非常に快適でした。
アノラックタイプはセンタージッパーのものと比べて脱ぎ着しにくいのがデメリットですが、斜めのジッパーのおかげで解決。ダブルジッパーになっているので、暑いときは下側を開けてベンチレーションにすることも可能です。
157cm、Lサイズを着用しています。中に厚手のベースレイヤーやミドルレイヤーを重ね着してもゆとりがあり、快適な着心地でした!
雪山ランチは時短アイテムでスマートに!
ー豊島 やっぱり冬の山では温かいごはんを食べたいですよね。でも、雪山は気温が低く、休憩が長くなると身体が冷えてしまいます。ガスバーナーを使って調理をするとなおさら時間がかかってしまうので、お湯を入れた保温ボトルで賢く調理するのがオススメです。
ー藤原 「THERMOS / 山専用ステンレスボトル」が気になっていたんです。登山者といえばコレ!って感じで、愛用者も多いですよね。使ってみて、その実力を体感しました。登山口で沸かしたお湯からまだ湯気が出てる! カップラーメンもいけますね。
ー伊藤 行動中にサッと取り出して飲めるのもいい。山頂で寒かったときにお湯があって助かりました。でも、一般的な保温ボトルだとここまで保温はされませんよね。夏はいいけど、冬はやっぱり山専ボトルですね。
ー豊島 食後にコーヒーを淹れたいというときもOK。今日はYAMAPオリジナルの冬限定コーヒーを持ってきました! チョコや焼き菓子との相性を考えて、中深煎りのコーヒーになっています。
ー藤原 気温の低い山での暖かいコーヒーは沁みます! 食後のコーヒーブレイクにも合いますね。疲労からか甘いものも食べたいなと思ってチョコレートを一緒に食べたのですが、コーヒーのほどよいキレとも相性がよかったです。
ー伊藤 寒い雪山で飲むのなら、絶対に中深煎り。深みがあるのに雑味がなく、とげのないまろやかな苦みがいい。力強いのに上品さを感じました。湯気と一緒に立ち上る香りが最高です。こんな美味しいコーヒーが山で飲めるのはやっぱり贅沢ですね。
お悩みは解決できた!? はじめての雪山登山を振り返って
めったに出会えない霧氷の森を歩き、真っ白でちょっと過酷な山頂にも辿り着き、いろんなギアも試すことができたふたり。伊藤さんの「汗だく問題」、藤原さんの「雪山で写真撮りたい」は解決できたのでしょうか?
■伊藤さんコメント
途中で雪が降って景色がガラッと変わったのには感動しました。コントラストが強くてハッとするような美しい景色は雪山でしか見られないものですね。総括としては、装備を見直すことで行動中や立ち止まる時も基本的に快適で、汗対策に自信がつきました!
「finetrack / ドライレイヤー」は、汗が体に張り付かないので寒さを感じることはありませんでした。やはり登りでは多少汗をかきますが、しっかり対策ができていれば安全で快適に登れることがわかりました。
「finetrack / ポリゴンライトジャケット」は、実は羽織った瞬間は薄くて保温力あるのかなと思ったのですが、行動しているときにその実力を感じました。体の熱を上手に維持しつつ、汗ムレがゆるやかに抜けていくので快適のひとこと。
「halocommodity / マカルーフラップキャップ」は、も同じく温かさと通気性が両立していてとてもよかった。しかもかわいい!
次は、悪天候時の対策をもっと充実させたいですね。行動予測を考えたり山のことを知ることで解決できそう。もっと山にたくさん登って、レベルアップしたいです!
■藤原さんコメント
実は、登りはじめは寒かったので、オーバーダウンを着るなどレイヤリングしすぎていました。途中でミドルレイヤーだけで登れることに気づいて脱いだのですが、汗が冷えて寒かったですね。雪山というと寒いから防寒!というイメージがありましたが、行動中はもっとライトでいいんだということがわかりました。
伊藤さんと同じように、「finetrack / ドライレイヤー」にベースレイヤー、そして「finetrack / ポリゴンライトジャケット」のようなミドルレイヤーがあればOKですね。もちろんもっと冬本番になって寒くなれば、山頂で着用したような「グラナイトクレストジャケット / patagonia」を着ればいいのかなと。
「paagoworks / フォーカス」は、さっそく冬山登山の相棒になりました(笑)。手元で動作が完結するのは本当にストレスフリー。サコッシュやショルダーバッグのように揺れないのもよかったです。家に帰って写真を見返すのが楽しみです。
雪山は少しビビっていたのですが、道も空気も景色も新体験で、とても楽しかったです。雪山へのハードルが下がったので、今年中に雪山にもう1度挑戦してみたいです!
ー豊島 おふたりが快適かつ楽しく雪山を楽しめたようでよかったです! 次はどこの雪山に行きましょうか。帰りの車で計画を立てましょう〜!
今回も天気の変化があったり、「これさえあれば!」という答えを見つけにくいのが雪山登山の難しいところ。でも、見方を変えれば、それだけ奥が深く、装備選びや経験値を高めていく楽しみもあるということでもあるんです。雪山登山に憧れていたけれど、なかなか踏み出せなかったという方。まずは身近な山から、少しずつレベルアップしていきましょう。美しい冬の山の景色が待っていますよ。
みなさんの新しい挑戦を応援!
5000円OFFの登山応援クーポンを配布中
おかげさまでYAMAP STOREは今年で5周年を迎えます。
わずかばかりではございますが、1月1日〜2月29日にかけて利用できる「登山応援クーポン」を限定で配布させていただきます。
これまでなかなか決心がつかなかったアイテムの購入に、お役立ていただければ幸いです。
今年も、ぜひ楽しい山の思い出をたくさん作ってください。