ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ニュージーランドの大地が育んだ、シンプルでタフなバックパックブランド「macpac
(マックパック)」。フィールドで見られるどのバックパックとも相容れないクラシカルなデザインや素材は、ブランド創設当初から多くのアウトドアラバーたちに愛され続けています。実は、ヤマップ専属ガイドのひげ隊長もそのひとり。

そんなマックパックから、今年は縦走登山〜ハイキングまで、幅広く使える軽量バックパックが新登場しました。その名は、「Hesper(ヘスパー)」。

今回は、「軽さ」と「背負いやすさ」を両立する「Hesper(ヘスパー)」をひげ隊長がお試し&レビュー。軽量を追い求めたギアには抵抗があったと話すひげ隊長に、最新の軽量バックパックの実力を体感してもらいました。

マックパックの「ファストパッキング」シリーズがリニューアル

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー原宿のマックパックショールームにお邪魔したひげ隊長(左)とマックパック・マーチャンダイザーの増井琢也さん(右)

マックパックの新「ファストパッキング」シリーズをチェックするべく、東京・原宿のショールームに突撃したひげ隊長。マックパック・マーチャンダイザー増井さんに、その魅力を伺いました。

ひげ隊長「マックパックというブランドのことはもちろん知っていたよ。僕自身も、バックパックを愛用してる。オリジナルの素材『アズテック(AzTec®︎)』のクラシックな感じが僕ら世代には刺さるんだよね。マックパックは、この『アズテック』のイメージがすごく強かったから、違う素材で作られたシリーズがあることは全然知らなかったな。増井さん、詳しく教えてください」
『アズテック(AzTec®︎)』は綿ポリエステルの混紡素材にワックス加工を施し、水に強く、高い耐久性を実現したマックパック・オリジナル素材です。開発当初から現在まで、マックパック製品のあらゆるモデルで使用されています。

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビューマックパック愛用者のひげ隊長がお気に入りなのは、『アズテック(AzTec®︎)』素材のバックパックたち(奥)

増井さん「マックパックの本拠地であるニュージーランドは、手つかずの自然が多く残り、ダイナミックで美しい景観を最大限に満喫できる場所。 豊かな自然環境に恵まれていることもあって、アウトドアスポーツがとても盛んなんです。

登山はもちろん、アドベンチャーレースや、長い距離を歩くロングトレイルなども幅広い世代が楽しんでいます。そのため、マックパックでは『アズテック』を採用しないマウンテンスポーツ向けのバックパックの開発にも、以前から力を入れているんです」

増井さん「そして近年、より注目されているのが『ファストパッキング』という登山スタイル。レースのような競うものではないですが、従来の登山よりも軽い装備にすることで、より遠くまで、より速く移動する登山スタイルのことです。

『ファストパッキング』は、ニュージーランドに限らず世界的に注目されていて、日本では『UL(ウルトラライト)』という言葉の方が馴染みがあるかもしれません。

そんな最近の登山スタイルの変化を受けて、マックパックが精力的に開発をしているのがこの『ファストパッキング』シリーズなんです。今までに培ってきた、マウンテンスポーツ向けのデザインや機構が活かされれいます」

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー増井さんが手にしているのが、新作の「ヘスパー40」

ひげ隊長「なるほど。ぽっと出ではないということね。ということは、去年までは別のモデルがあったの?」

増井さん「はい。昨年までは『フィヨルド』というモデルがあったのですが、今シーズンからフルモデルチェンジをして、新たに『ヘスパー&ハーパー』という名前で登場しました。バンジーコードを削ぎ落としたり、フレームやバックパネルを見直すことで背負い心地の向上と軽量化を実現しています」

アウトドアショップ時代の経験から、ULには苦手意識があった

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ひげ隊長「僕がアウトドアショップを経営していた頃は、ちょうど海外のブランドがULのアイテムを作り始めた、まさにUL黎明期と言うべき時期だったんだよね。もともと新しいものより古いものが好きだし、当時からデイナデザインやグレゴリーのような丈夫でしっかりしたバックパックが好きだったんだけど、時代の流れを汲んで、取り扱ってみようとULブランドのサンプルを本国から取り寄せて、実際に使ってみたこともある。

でも、当時はまだ技術が追いついてなかった。数回の使用でヘタレちゃったり、穴が空いたり…。耐久性では、ほかの堅牢なものづくりをしているブランドにはやっぱり勝てなかったし、背負い心地もイマイチ。取り扱うことも結局しなかったよ。こんな経験から、自分はULだとか軽いギアだとかに全然興味を持てずにここまできてしまったんだよね」

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ひげ隊長「でも、今は当時よりもギアの軽量化が進んでいるし、ファストパッキングという言葉も耳にする機会が増えたよね。最近、頑なに拒絶していたトレランシューズの魅力にも気付かされたことだし、今回は自分も大好きなマックパックの考える軽量バックパックということなら、一度、使ってみようかな…」

ファストパッキング向け新作バックパック「ヘスパー」の魅力とは

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビューマックパックの新ファストパッキングシリーズ「ヘスパー&ハーパー」

「ファストパッキング」とは、従来の登山よりも軽い装備にすることで、より遠くまで移動する登山スタイルのことを指します。「ファストパッキング」を実現するには、ウェアやテントなどの軽量化はもちろんのこと、それらを収納するバックパックも軽量化の対象。「ヘスパー」は、従来の登山装備を見直して、より快適な山歩きをしたい方におすすめの製品です。

1.軽量バックパックでは珍しい、豊富なサイズ展開

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー左上:「ヘスパー30」、右上:「ヘスパー40」、左下:「ヘスパー50」、右下:ハーパー30」

ユニセックスモデル「Hesper(ヘスパー)」とウィメンズ モデル「Harper(ハーパー)」を展開。YAMAP STOREでは、ヘスパーの30L、40L、50Lサイズに加えてハーパーの30Lをセレクトしています。

ユニセックスモデルとウィメンズモデルでパーツの形状や背面長が異なります。今回の開発には、ニュージーランドの女性ハイカーが携わっており、ニュージーランド南北3000㎞を縦断する「テ・アラロア」トレイルでテストされた経験と知恵が惜しみなく投入されて生み出されたのが、この「ヘスパー&ハーパー」なのです。

2.ランニングパックのような軽快さと、重心のブレない安心感のある背負い心地を両立

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

マックパック最軽量のハイキングハーネス「HeliumAir(ヘリウムエアー)」を採用した「ヘスパー&ハーパー」。フレーム入りの50Lでもその重量はわずか1kgほどで、従来の縦走用バックパックの半分程度の重量となっています。

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

凹凸状の波型ウレタンフォームのバックパネルは、背中とのフィット性が高く、空気の流れを生むため、背面も蒸れにくく快適。UL特化のバックパックと異なり、バックパネルが存在することでパッキングした中身が背中に干渉しないのも嬉しいポイント。

ワイヤーフレームが背負う人に合わせた最適な曲線を形成し、耐荷重能力を向上させるので重心のブレにくい安定した背負い心地を提供します。※30Lのサイズはフレームが付属しません。

3.シンプルな構造で壊れにくい

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

マックパックのブランド哲学として、「Simplicity Beyond Complexity(簡素であることは複雑である事より勝る)」という言葉があります。大自然のなかで遊ぶということは、道具に対して壊れにくいタフさだけでなく、修理できるシンプルさも求められます。バックパックで言えば、縫製箇所を減らすことで縫い目からの破損リスクを抑えることができます。そもそも壊れにくいのが、「マックパック」の特徴なのです。

4.取り外し可能なパーツ類で様々な軽量スタイルに対応

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

①トップリッド(雨蓋部分)
②背面ワイヤーフレーム
③ウエストベルト
④背面シート
の取り外しが可能な「ヘスパー50」と「ヘスパー40」は、目的、知識、体力、経験などを
考慮したうえでカスタムが可能。初級者から上級者まで、自身のレベルに合わせてお使いいただけるバックパックです。

山行の回数や経験が増え、遊び方が変わったとしても、使い続けることができる。マックパックの哲学があらゆるディテールに落とし込まれているのです。

「ヘスパー」の真価を体感すべく、早速フィールドへ!

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

増井さんに「へスパー40」をお借りして、フィールドへ向かうひげ隊長。テストフィールドに選んだのは箱根の「浅間山(標高802m)」です。箱根の「ミルフォードトラック」とひげさんが絶賛する山。バスや箱根登山鉄道などの公共交通機関で登山口にアクセスすることができ、軽い山歩きやファストハイクにぴったりです。


ひげチャンネルにて動画も公開中!ぜひご覧ください。

今まで気にしていなかった、バックパック本体の重さ

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ひげ隊長「本当に軽いね!いつもと同じ道具を入れているからこそバックパック本体の軽さを感じる。でも、フレームが入ってるから、重心もブレないし安定感もある。自分のイメージしていた軽量のバックパックとは全然違った。仕入れを検討したあの頃と比べたら、かなり進化してるなあ」

蒸し暑い日本の低山でも快適な背負い心地

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ひげ隊長「今日は気温が高いから、木陰になる林道を歩いていても汗が止まらない。でも、不思議と背中の蒸れや不快さは全然感じないね。身体に触れる面は腰までメッシュになっているし、その中にあるシートが凹凸状だから、空気がよく通るんだね。ショールームで見せてもらった時から良さそうだとは思っていたけど、実際にフィールドで使うとその威力がよくわかるよ」

「古き良き」を愛する人にこそ使ってもらいたい軽量バックパック

ひげ隊長が今年はギアの軽量化に挑戦 | macpacの新作バックパックをレビュー

ひげ隊長「やっぱり僕は自他共に認めるクラシックおじさんだから、古いものが大好き。新しいものは身構えちゃうし、毛嫌いしてる節もあるんだよね。だから、UL(ウルトラライト)とかは、正直に言えば、“若者のためのもの” だと思ってた。山では重たくて頑丈なバックパックを背負うのが、やっぱり格好いいしね。

でも実際使ってみたら、いやあ、『よかった』どころじゃないね。知らなかったことが恥ずかしくなってきちゃった。軽くて、背負い心地もいい『へスパー』なら、憧れのニュージーランドのミルフォードトラックも軽快に歩けそう。

実は、一番最初にこの『へスパー』を見た時、軽量を意識したバックパックなのに、良くも悪くも普通のバックパックだなと思ったの。フレームもあるし、肩のハーネスもペラペラしていないし、腰のハーネスもちゃんと付いてるし。

でも、だからこそ逆に、ファストパッキングとか、ライトウェイトと言われても、とっつきやすいデザインだった。大好きな、歴史もあるマックパックが作ってるというのも、安心できたポイントかな。ULを自分とは無縁のものだと思ってた、僕みたいな人には本当におすすめしたい。

これを機に、ほかの軽量ギアも試してみようかな」

<へスパー&ハーパー>
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前田 央輝(まえだ ひろあき)

前田 央輝(まえだ ひろあき)

1972年鹿児島生まれ。登山アプリを手がける「YAMAP」専属ガイド。お酒と自然と子どもをこよなく愛するフーテンのアウトドアガイド。23歳の時にユーコンの原野を1か月かけて旅し、「この自然の素晴らしさを子ども達にも伝えたい」と自然学校のひげ校長を志すことに。今も夢に向かって全国を駆け回り、自然の楽しみ方を絶賛普及中。アウトドアショップを経営していたこともありウェアやギアなどについても詳しい。 YAMAPの専属ガイド・ひげ隊長が送る、無骨で愉快なYAMAPのB面企画「ひげチャンネル」も更新中。 https://www.youtube.com/playlist?app=desktop&list=PL0yTTQICNPPu2FSh8HyEcf8yejBf63fZe

    紹介したブランド

    • macpac

      macpac

      1973年、ニュージーランドで生まれたマックパックは、「Simplic...

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