YAMAP専属ガイド・ひげ隊長のギアレビュー|初夏のテント泊装備を解説

全国各地から開山祭の報が届き、本格的な夏山登山シーズンはもう目の前。一部の高山をのぞき、ほとんどの山では雪や厳しい冷え込みはなくなり、快適に山を歩ける季節になりました。そんななか、「今年こそはアルプスを歩こう」「テント泊に挑戦してみよう」と、ステップアップを狙っている方も少なくないはず。今回は「夏のテント泊」をターゲットに、「快適に歩くためのウェア」と「使い勝手のよいギア」にフォーカスしてご紹介。レビューするのは、YAMAP専属ガイドのひげ隊長。最新ギアの解説を、ひげ隊長のユニークなコメントともにお届けします!

「通気と防風をマスターせよ!」|初夏ハイクのコーディネート

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まずご紹介するのは「ウェア」。ひげ隊長曰く、夏のウェアリングのコツは「暑さと寒さ」対策なのだとか。天気がよく日差しが強ければあっという間に汗だくになってしまいますが、一方で雨が降り風が吹くような悪天候や標高の高いアルプスでは気温が低く、寒さを感じることも。夏の登山は、この暑さと寒さへの対策を、ひとつの山行のなかで行わなければならないのです。

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ちなみに、今回歩いたのは北八ヶ岳。トレイルの標高は2000mほどあり、周辺のピークは2400m前後。初夏とはいえ樹林帯では涼しさを感じますが、歩いているときはじわっと汗ばむことも。

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そんな初夏ハイクのスタンダードのコーディネートがこちら。ベースレイヤーには速乾性に優れたポリエステル素材のものを着用し、トップスには「通気と防風」機能を兼ね備えた山シャツを。ボトムスには通気性に優れ撥水加工を施してあるパンツをセレクト。

こちらの山シャツ「YAMAP別注 コアエアシェルシャツ」は、YAMAPとマウンテンハードウェアが共同開発したモデル。メインファブリックには、「パーテックスクァンタムエア」という最新素材を採用。特徴としては、ウインドシェル的に使える耐風性と、行動時の汗を発散してくれる通気性を備えていること。

  • ひげ隊長

    山シャツのいいところは、ボタンの開け閉めで通気の調整ができること。下だけ開けたり、真ん中だけ開けたりというのはジッパータイプではできないからね。あとは、純粋におしゃれ。下山後、そのままバーにビールを飲みにもいけちゃう。ポリエステル製なのに生地がシャカシャカしないのもこのモデルならでは!

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ボトムスは同じく別注モデルですが、アメリカのパンツブランド・グラミチによる「YAMAP別注トレイルパンツ」。定番モデルである「ルーズテーパードパンツ」をモチーフに、素材メーカーの帝人が開発した「MINOTECH®」を採用。水を弾く特殊な繊維構造により、生地の通気性を損なうことなく雨をブロックしてくれます。ゆったりめのシルエットなので歩きやすさも抜群です。

  • ひげ隊長

    グラミチといえば、クライミングでの脚の動きに対応した、股下のガゼットクロッチが有名。ハイキングでは足捌きのよさを支える、ありがたい設計だよね。そんなグラミチらしさに加えて、個人的に気に入っているのは肌触りとこのカラー。アウトドアパンツとは思えないカジュアルな見た目だけど、履いてみるととても快適。夏は暗い色だと暑苦しいからワントーン明るめの色味がいいんだよね。

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パタゴニアのキャップを「2ケタは持っている」と豪語するほどのキャップフリークのひげ隊長。
「ダックビルショーティトラッカーハット」は、ロングセラーの「トラッカーハット」を短めのツバと柔らかい素材でより軽やかにチューン。メッシュ部分が頭部のムレを効果的に逃してくれるので快適な着用感が持続します。

  • ひげ隊長

    キャップというと、固いツバをイメージするかもしれないけれど、これは固い芯が入っていないのですごく柔らかい。コンパクトに収納できるし、ヘルメットを着用してもOK。おじさんには嬉しい防臭加工が内側に施してあるのも魅力的。さすがパタゴニア!

防寒は化繊インサレーションを活用してスマートに

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防寒着には、前シーズンに登場し、ひげ隊長の愛用品となった「YAMAP別注 ポリゴンライトジャケット」を。ファイントラックが独自開発した軽量化繊「ファインポリゴン」を中綿に使用し、朝晩の冷え込みから体を守ります。

  • ひげ隊長

    手にした瞬間、すごく軽いからこれで防寒は大丈夫?と思うけど心配なし。適度な保温力があって、かつ化繊素材なので汗や水濡れにも強い。登りはじめは寒くてミドルレイヤーを着て、歩いているうちに暑くなっても汗が抜けてくれるから、ダウンと比べて脱ぎ着が少なくて済む。バックパックをいちいちおろさなくてもいいのは嬉しいよね。

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同じくパンツも同シリーズの「YAMAP別注 ポリゴンライトパンツ」をセレクト。冷え込みが気になる秋山登山や冬の低山ハイク、夏山のテント場での保温着として活躍する一着です。

  • ひげ隊長

    テント場に到着したらすぐに上から履いちゃう。トレッキングパンツだけだと、やっぱり寒いじゃん。夏とはいえ下半身の防寒着を持っていると安心なんだよね。すごくコンパクトになるので、悩むくらいなら持っていっちゃう。ジャケットとセットで持っていたいアイテムだね。

軽量性と機能性を両立した最新バックパック

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バックパックは、ニュージーランドの「macpac(マックパック)/へスパー50」。マックパックといえば、クラシックな質実剛健なイメージを持っている方も多いはず。しかし、こちらのモデルは本体重量わずか1140グラム。装備の軽量化をしたいハイカーに最適なライトウェイトモデルです。

  • ひげ隊長

    コットンみたいなアズテックという素材がマックパックの代名詞にもなっているけど、こちらは薄いナイロン生地を使って軽さを追求。やっぱり軽いに越したことはないじゃん。それでいて、フレームが入っていたり、背面の設計やヒップベルトがしっかりしていたりと、背負いやすさは抜群。ちょうどいいバランスなんだよね。

パッキングをコンパクトに。ひげ隊長の山ごはん装備

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つづいて紹介するのは、バーナーを使った山ご飯の装備。「火を使ってお湯を沸かして調理する」ことで、山奥でもおいしい料理を食べることができます。なかでもクッカーにはいくつものラインナップがありますが、ひげ隊長が気にしているポイントは「軽量でコンパクト」であること。

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数々のユニークなアウトドアギアを展開する「EVERNEW(エバニュー)」からは、軽量なクッカーをピックアップ。優れた金属加工技術により、硬度の高いチタンをわずか0.3mmにまで薄くすることで軽量化を実現。タフな使用にも耐えうるまさに一生モノです。

  • ひげ隊長

    500mlのお湯を沸かせれば、ほとんどの山ご飯をつくることができる。これはちょっと余裕をもって600mlあって、具材たっぷりでインスタントラーメンをつくるのもラクラク。軽量で強度の高いチタン製というのも、ギア好きにはたまらないよね。わずか95gで、薄型で収納もしやすく、耐熱ハンドルもついたクッカーの完成版。

「これさえあれば」をピックアップ! テント泊の基本装備

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そして、テント泊登山でもっとも重要な「野営ギア」。日帰り登山とは違い、テントやシュラフ、マットなど、山中で快適に寝るための道具が欠かせません。日本の山のみならず、世界各地でのテント泊経験のあるひげ隊長。2023年最新ギアをレビューコメントとともに解説します。

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開発者自身がハイカーだという韓国発の気鋭のULブランド、「ZEROGRAM(ゼログラム)」。その代表的なモデルの「オールニューエルチャルテンプロ 1.5P」は、フライシートとインナー、そしてフットプリントの3つのパーツが一体化しており、すばやい設営が可能。ポールは吊り下げ式となっており、雨天時でもテント内を濡らすリスクを最小限に抑えてくれます。

  • ひげ隊長

    実は、はじめてこのテントを建てたんだけど、構造さえ理解していれば3分くらいで設営できるんじゃないかな。ちょっと贅沢に1.5人用でテント内も広々。天高も十分で、快適なテントライフが送れるはず。それにしても、テントの進化はすごい!

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シュラフは、国産ブランドの「NANGA(ナンガ)」とYAMAPのコラボレーションモデル「 YAMAPオリジナル UDD BAG450 HD」。こちらのシュラフ、フードレスというちょっと特殊な形状を採用しているのですが、比較的気温の高い夏山ではこのくらいが快適。頭が寒ければ、ダウンジャケットなどの防寒着と組み合わせればOK。持っている道具を上手に活用することが、軽量化につながるんです。

  • ひげ隊長

    3シーズンであれば、これくらいのダウン量のシュラフがあれば快適に寝られるよね。そして、やっぱりナンガのシュラフはいい! ダウンがふわふわだから寝心地もいいし、保温力も最高。インサレーションを上下着込めば、0度くらいまでは対応できそう。春から夏、そして秋まではこれだけで十分なんじゃないかな。

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最後は、テントマット。折りたたみ式のウレタンタイプや空気を入れて膨らませるタイプがありますが、「EXPED(エクスペド)」のマットは収納時のコンパクトさがアドバンテージの後者。さらに、エアーマットのなかに化繊の保温素材を封入することで断熱効果を高めたモデルとなっています。

  • ひげ隊長

    空気の力ってすごいよな。地面が冷たくても、デコボコしていても、これがあれば快眠できる。両サイドが少し高くなっているから、寝返りをうっても滑り落ちにくくなっているのもいいデザインだね。

山行をよりスマートにしてくれる小物たち

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「最後にこれだけは紹介させてくれ!」と、ひげ隊長がお気に入りの小物が、パタゴニアの「ブラックホールキューブ」シリーズ。いわゆるスタッフバッグに区分される、さまざまな装備を収納するものなのですが、パタゴニアならではの使い勝手のよさが盛り込まれたスグレモノなんです。

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  • ひげ隊長

    まずは、シンプルな1気室タイプのスモールの方から。ちょうどアウトドア用のガス缶のサイズになっていて、クッカーやバーナーをひとまとめにして収納しているんだよね。調理器具だけでなく、衛生用品を入れたりしてもいい。生地は耐水性があって、大切な小物を入れるのにも最適だよね。頻繁に使う小物を入れてテント内で吊るしておくこともできる。

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  • ひげ隊長

    ミディアムの方は、キャリーケースのような2気室構造。ハマグリみたいだよね。ここには、エマージェンシーキットとヘッドライト、反対側にはレインウェアを入れている。着替えを入れたり、食材を入れたり、整理整頓をしたい小物の収納はこっちかな。容量は6リットルくらいあるから、結構入るよ。

YouTube「ひげちゃんねる」もチェック!

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夏のテント泊装備をひげ隊長のレビューとともにお届けしました。これからのシーズン、山行回数が増えるとともに高まってくるテント泊への思い。装備を調べてみると、たくさんのバリエーションがあってどれを選んだらいいの?と悩んでしまうこともあるでしょう。今回ピックアップしたものは、定番から最新モデルまで網羅しつつも、ひげ隊長のお墨付きとも言えるものばかり。自信を持って、オススメできるものを集めました。YouTubeチャンネルの方でも、今回の山行の様子を配信中。こちらも合わせてチェックしてみてください。


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