登山用グローブの悩みを解消! 理想の一双が見つかる選び方を徹底解説
グローブは手を冷えや傷から守る大切なアイテム。寒い季節はもちろん、夏でもクサリやハシゴを掴むときなど、一年を通して体を守る重要な役割を果たします。しかし、「種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、目的に合う登山用グローブを選ぶポイントを詳しく解説!次のグローブ選びの参考にしてください。
こんなとき役に立つ! 登山用グローブの活躍シーン
登山用グローブは、夏でも持っておきたいアイテムです。「暑い季節には必要ないのでは?」と思いがちですが、意外と「持っていてよかった」と感じる場面が多いもの。では、実際にどんなシーンで役立つのか、具体的な使用例を見てみましょう。
<朝晩の寒さ対策>
日中は暖かくても、朝や夕方以降に寒さを感じる季節には、グローブがあると指先の冷えを防ぐことができます。特に早春や晩秋、また夏でも日本アルプスのような高山では欠かせないアイテムです。
<森林限界以上のルート>
森林限界を超えるようなエリアでは、夏でも風にさらされることで体温が奪われ、手先も冷えてしまいます。季節や標高に関わらず、歩くルートを確認し、森林限界を越える場合は必ずグローブを携行しましょう。
<雨対策>
雨で手が濡れると体温が奪われ、指先まで冷えてしまいます。雨の可能性がある日や、梅雨時、午後から天気が崩れやすい夏の高山では、レイングローブを携行すると安心です。
<ハシゴやクサリを掴むとき>
グリップ性の高いグローブを装着すれば、ハシゴやクサリを掴む際に汗で滑るリスクを軽減できます。朝早く冷えたハシゴやクサリを握るときにも、グローブがあると快適で安全です。
<凍傷対策>
寒さが厳しい冬は、グローブが最も必要とされる季節です。指先が感覚を失うほどの寒さにさらされ続けると、凍傷のリスクが高まります。十分な保温性があり、特に雪山では防水性も備えたグローブを選ぶことが大切です。
シーズンと性能で考える登山用グローブの選び方
YAMAP STOREでは、これまでご紹介したシーンに対応できる多彩な登山用グローブを取り揃えています。それらを「季節」と「性能」の2つの観点から整理し、代表的なアイテムをリストアップしました。ぜひグローブ選びの参考にしてください!
いつ、どんな目的で使うのか具体的にイメージしよう!
登山用グローブの種類が多い背景には、さまざまなニーズを満たすために細分化されてきた経緯があります。そのため、目的に合うグローブを見つけるには、いつ、どんな目的で使いたいのか、その季節と求める性能を具体的にイメージすることが大切です。
想定される季節は5つ
登山用グローブは主に、「暖かく過ごしやすい春から秋向け」「気温の高い夏向け」「寒さを感じる秋から春向け」「冬のなかでも環境が最も厳しい雪山向け」、「一年を通して使えるタイプ」の5つに分けることができます。
リスト内の季節について
春〜秋:暖かく過ごしやすい春から秋向け
夏:気温の高い夏向け
秋〜春:寒さを感じる秋から春向け
冬:冬のなかで環境が最も厳しい雪山向け
通年:一年を通して使えるタイプ。寒い時期はほかのグローブと組み合わせる
5つの性能の役割をチェック
使う季節とセットで考えたいのが、求める性能についてです。登山用グローブには、「手が傷つかないようにする」「寒さから指先を守る」「風の影響を防ぐ」「雨や雪で手が濡れないようにする」といったユーザーの目的を叶えるために、保温性、防風性、防水性などが備わっています。
リスト内の性能について
保護:手が傷つかないようにする
保温:寒さから指先を守る
防風:風の影響を防ぐ
防水:雨や雪で手が濡れないようにする(防風性を含む)
汗冷え軽減:かいた汗で手が冷えるのを和らげる
覚えておきたいグローブの豆知識
使う季節と求める性能さえイメージできれば、ひとまず紹介したリストから目的に合うグローブを見つけられるようになるはずです。ここでは、さらに知っておくとためになるグローブの知識を3つ紹介します。
<グローブの基本性能>
そもそもグローブは手を覆うアイテムです。そのため、素材によって差はあるものの、すべてに保護・保温性が備わっています。「保護」とだけ書かれているグローブも身に着ければ多少は手の寒さが和らぎますし、「保温」「防風」「防水」と書かれているグローブも手を細かい傷から守ってくれます。
<形による保温性の違い>
グローブは、形によって指先の保温性が異なります。ポイントは表面積の少なさで、外気に触れる部分が少ない形ほど寒さを感じにくくなります。
最も保温性の高い形は、親指のみが独立し、人差し指から小指までをまとめて覆う「ミトン」です。次いで、ミトンから人差し指だけを独立させた「トリガーミトン」、5つの指すべてが独立する「ファイブフィンガー(5本指)」、指先が露出する「フィンガーレス」、手首だけを覆う「リストゲイター」と続き、指先の保温性は低くなります。
ただ、保温性だけを考えるとミトンが最も優れることになりますが、4本の指を別々に使うことができなくなるため、操作性は悪くなります。保温性と操作性は反比例の関係にあることも覚えておきましょう。
<レイヤリングについて>
厚みの異なるグローブを持っていると、対応できる気温の幅が広がります。いちばん分かりやすいのは、インナーグローブとアウターグローブの組み合わせです。寒さが落ち着いているあいだはインナーグローブ単体でも行動でき、指先に冷えを感じ始めたらアウターグローブを重ねて保温性を高めることができます。
特に確実な防寒対策を求められる冬の登山では、天候や標高によって上下する気温に細かく対応できるように、複数のグローブを用意しておくのがおすすめです。
季節と山行スタイルごとにおすすめする、登山用グローブ
最後に、さまざまなシチュエーションを想定して、おすすめのグローブを具体的に紹介します。今年挑戦したい山行スタイルをチェックして、目的に合うグローブを見つけてください!
<春〜秋の日帰り登山>
無雪期の登山用グローブで最初の1枚におすすめなのが、ザ・ノース・フェイスの「ハイカーズグローブ」です。薄手のグローブで、春夏は1枚で日焼け・汗処理対策に、秋冬はインナーグローブとして、アウターグローブと組み合わせて、一年を通して出番の多いアイテムになるでしょう。
<夏の日帰り登山>
トレッキングポールを使う際に不快なのが、手汗によってハンドルが滑ること。そんな真夏には、グリップ性がありながら甲部分に冷却素材を使った、アウトドアリサーチの「アクティブアイスシリーズ」か、甲部分がオールメッシュで通気性の高いノローナの「フィオーロメッシュグローブ」がおすすめです。
アウトドアリサーチのアクティブアイスシリーズにはフィンガーレスタイプもあるので、グローブはしたいけど手の暑さが苦手な方はフィンガーレスタイプを選ぶといいでしょう。
<夏の縦走登山>
上で紹介したグローブに加え、思いがけない寒さに備えて、ハンズオングリップの「ホーボーHF」や、ファイントラックの「エバーブレストレイルグローブ」などを用意しておくといいでしょう。
<秋〜冬の日帰り登山>
秋〜冬にかけて指先が冷えるシーズンは、保温性の高いグローブが欲しくなります。そんな人に向けておすすめできるのが、アウトドアリサーチの「ヴィガーライトウェイトセンサーグローブ(薄手)」「メロディーセンサーグローブ(中厚手)」「ヴィガーヘビーウェイトセンサーグローブ(厚手)」です。寒さの感じ方は人それぞれなので、薄手〜厚手まで厚みの異なるフリース素材のアイテムを3つ用意。気温や体調に合わせてお好みでお選びいただけます。
<冬の日帰り登山・積雪あり>
雪山では指先を冷やしてしまうと血行が悪くなり、しもやけの原因に繋がります。そのため、雪山には夏用と異なり、保温性の高いグローブが必須です。雪山用グローブは「防水・防風性を担う外層」と、「保温性を担う内層」の2層構造で作られていて、この2つが一体型のものもあれば、取り外しできるセパレート型もあります。
一体型のグローブではファイントラックの「エバーブレスアルパインフィットグローブ」、セパレート型ではアウトドアリサーチの「アレート2ゴアテックスグローブ」、ハンズオングリップの「YAMAP別注オープンミトングローブセット」などがあります。
なかには外層単体だけのモデルもあり、この場合は、別途好みの保温グローブと組み合わせて使用します。
<冬の日帰り登山・積雪なし>
積雪がない場合でも冬の山は寒く、特に指先は冷えやすくなります。防風素材を使用したグローブを選択しましょう。
積雪のない冬の登山には、アウトドアリサーチの「ストームトラッカーセンサーグローブ」、ファイントラックの「エバーブレスウィンタートレイルグローブ」、ラブの「キネティックマウンテングローブ」を検討するといいでしょう。
<冬の雪山縦走登山>
泊りがけで雪山を縦走する場合は、ハンズオングリップの「YAMAP別注オープンミトングローブセット」やファインラックの「ドライレイヤーインナーグローブ」+「エバーブレスアルパインフィットグローブ」のように、インナーグローブとアウターグローブを組み合わせて、最強装備で挑んでください。また、想定外の寒さや万が一の紛失を想定して、保温性の異なるグローブを予備として忘れずに用意しましょう。
使途を具体的にイメージして、理想のグローブを手に入れよう!
登山用グローブは、寒い季節だけでなく、夏にも携行しておきたいアイテムです。選ぶときは、いつ、どんな目的で欲しいと思っているのか、具体的にイメージすることが大切で、使う季節と求める性能が定まれば、おのずと目的に合う一双が見えてきます。
これから登山を始める初心者の方は、記事内で紹介した「季節と山行スタイルごとにおすすめする、登山用グローブ」なども参考にして、使いやすいモデルを見つけてください。また、ぜひご自身の挑戦に合わせて、グローブも一緒にレベルアップしてみてください。
理想のグローブを手に入れて、今年も快適に山登りを楽しみましょう!