山の寒さに「羽織もの」を| 夏の高所に欠かせないシェルの選び方を解説
いよいよ夏山シーズン本番! 計画の詰め段階に入っている人も多いのではないでしょうか。今回は「夏山の寒さ」をテーマに、防寒アイテムのひとつである「羽織りもの」の選び方をご紹介します。
「夏山の寒さ」ってどんなもの?

猛暑の平地から一転、夏山で「寒い」と感じたことのある人は意外と多いはずです。夏で寒さを感じる要因には、山岳環境ならではの特有のシチュエーションがあります。
▶高所の冷え
一般的に標高が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がるとされています。例えば標高2500mの山では、平地よりも15℃低いことも珍しくはありません。
▶風に吹かれることでの冷え
また風による体感温度の変化にも注目です。一般的に風速1m/sで体感温度が1℃下がるといわれています。樹林帯を越えて稜線に出た瞬間、強風にあおられることも。長時間風に吹かれ続けると汗冷えも相まって、一気に冷え込んでしまうため注意が必要です。
▶天候の急変、霧や雨
突然の雷雨や霧に遭遇することもあるでしょう。体が濡れた状態で風に吹かれるとさらに冷えが深刻化していくため、体を濡らさないことと防風することが重要です。
▶朝晩の冷え込み
夏は日照時間の長いシーズンですが、朝晩の冷え込みには注意が必要です。テント泊や山小屋を利用した登山をはじめ、早朝から行動開始する山行や、日没後の行動も想定される場合には、特に気温の変化に備えておきましょう。
夏の羽織ものチェックポイント4つ

このような「夏の寒さ」から身を守るために、軽くて頼れる羽織りもの=シェルの携行は欠かせません。選ぶ際にチェックしたいのはこの4点です。
1.軽量でコンパクト
荷物はなるべく少なく、コンパクトに抑えたいものです。ウインドシェルも例外ではありません。おすすめはパッカブルになるタイプ。収納袋のようになくすこともありませんし、瞬時に小さくなるため便利です。
2.通気性と防風性のバランス
汗や熱を逃がすための通気性と、体温が奪われるのを防ぐための防風性。その両方のバランスを考慮しましょう。一見相反する機能ですが、最新の高機能生地ではこの2要素を両立しているものもあります。
3.撥水性
撥水性があれば突然の小雨や霧雨にも対応できるため、「レインウェアを出すほどではないな」というシーンで役立ちます。天候変化や気温差が生まれやすい夏山では欠かせない性能です。
4.日差し対策
気温は低くとも、高所に行けば行くほど紫外線の影響は受けやすくなります。それを踏まえて、紫外線対策としてUVカット機能のあるウェアや、日差しを遮るための工夫。の施されたウェアを選ぶと安心でしょう。
タイプ別で見るYAMAPおすすめウェア
これらを踏まえたウェアを3点ピックアップしました。今回注目するのは、夏山に欲しい機能を備えたスタイルの異なるアイテム。タイプ別にそれぞれの特徴を詳しくご紹介します。

低山や高所、トレランも。アクティブに夏山を楽しみたい
低山から高山帯、縦走やトレランまで、アクティビティを横断して夏を謳歌するあなたへ。マルチに活躍する王道シェルは、Teton Bros.(ティートンブロス)の「ウインドリバーフーディ」です。
ウインドリバーフーディ|ティートンブロス

ティートンブロスは日本の山岳特性を踏まえて製品開発に臨むアウトドアブランド。その中でもウインドリバーフーディは、夏のみならず通年活躍する超軽量なジャケットです。
このフィーディーは「20D Durable Stretch Nylon」という、防風・撥水性に優れながら、裏面には微細な凹凸を施すことで、肌離れの良さを実現した画期的な素材を採用しています。

加えてストレッチ性に長けているのもこの生地のポイントです。タイトなシルエットながら、岩や木の根にしがみついたり、ハシゴを登ったりと、上半身の動きが激しいシーンもストレスフリーに。頭の動きに追従するようなフードは、過酷な環境でも頼れる存在です。
そして細やかな使いやすさもウインドリバーフーディの魅力。袖口からの冷気の侵入を抑えるサムループや、前屈みになっても背中が出づらいよう長めに設計されている背面など、細部までヒンヤリ対策が施されています。


夏山での冒険はもちろん、春や秋のシェルとして、さらには自転車やランニングまで。アクティブに体を動かしたい人への最適解といえるでしょう。
「山シャツスタイル」で機能的に歩きたい
近年、再注目を集める「山シャツ」。トラディショナルな登山スタイルでありながら、最新の機能性を掛け合わせたウェアも続々登場しており、男女問わず人気のあるスタイルとして知られています。
登山中から下山後まで、シャツスタイルで自分らしく過ごしたい人におすすめなのが、MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)の「YAMAP別注 コアエアシェルシャツ」です。
YAMAP別注コアエアシェルシャツ|マウンテンハードウェア

「脱ぎ着がいらないウィンドシェル」を目指して作られた「YAMAP別注コアエアシェルシャツ」は、防風性・通気性・ストレッチ性・デザイン性を兼ね備えた1枚。「脱ぐと肌寒い、着ると蒸し暑い」という日本の夏山にフォーカスしたシェルです。
これらの機能性を叶えるのは「PERTEX®QUANTUM AIR™(パーテックスクァンタムエア)」というナイロン生地。ナイロン特有の強度はそのままに、通常のナイロンの約25倍の通気性を備えた最新ファブリックです。
この特別な生地を落とし込んだのが「山シャツ」というかたち。山シャツは、細かく体温調整のできるボタンや、日差しを遮る襟など、もともと優れた機能を持っているアイテムです。


開け閉めが容易なスナップボタンを採用しているほか、立ち襟の状態で留められる仕様など、山シャツならではの機能をさらに生かしたディテールに仕上げています。
脇下にはスリット型の2段階ベンチレーションを配し、見えない場所でオーバーヒートを防ぐ工夫も。

シェルに「着たまま」という選択肢を与える、山シャツスタイル。袖をまくったり、襟を立てたり、時には前を開け放ったり。さまざまな着こなしを楽しめる最新版の山シャツです。
山も街も! 夏を謳歌する垢抜けウェア
夏は山だけではなくて、海も川もキャンプもフェスも、とことん楽しみたい! 街からフィールドまで場所を問わず夏を謳歌したい人に最適なのが、AXESQUIN(アクシーズクイン)の「YAMAP別注ヒュッテカーデ」です。
YAMAP別注ヒュッテカーデ|アクシーズクイン

垢抜けたリラックス感と、ニュアンスのある色味。一見、シティユースのアパレルかと思いきや、実はこれアウトドア用のシェルなんです。そんなギャップに驚かされるのがこの「YAMAP別注ヒュッテカーデ」。

山小屋(ヒュッテ)でリラックスできるように開発されたこの1着は、どんなウェアにも合わせやすく気軽に羽織れるよう、襟無しのVネックカーディガンをベースにデザインしました。ゆったりとしたシルエットながら、すっきりとした首元で軽やかなスタイルへ。

そしてこのデザイン性に加え、フィールドで求められるスペックの素材を採用しているのも魅力。
リサイクルナイロン100%の二重織りリップストップ生地を採用し、ストレッチ性や透湿性、撥水性を兼ね備えています。さらに、この素材はアクシーズクインではハンモックに使用しているほどのタフな素材。また、独特なマットな風合いは、生地表面の凹凸から生まれたもの。この凹凸が、肌離れの良さも叶えているんす。
気軽なハイキングや登山に。下山後の羽織ものとしてはもちろん、空調の効きすぎたオフィスにも。この1枚があれば安心できる身近なシェルとして、どんな場面でも活躍するでしょう。
最適なシェルで夏の冷え対策を

「夏の寒さ」と言われても、街ではピンと来ないかも知れません。山の天気は気まぐれである上に、さまざまな気象条件やコンディションが重なり、想像を超える寒さになることは珍しくありません。
今回紹介した羽織ものは、どれも夏山の第一線で活躍してくれるウェアばかり。山の歩き方やアクティビティの種類からシーンを想像して、ぜひお気に入りの1着を見つけ出してみてくださいね。