夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

難しい夏のアウター選び。とりわけ低山ハイキングともなれば、とにかく暑さとの戦いなので、極力衣類は「薄手」でいたいものです。

でも、時おり何か1枚羽織りたい瞬間があるんですよね。ジリジリと肌を突き刺すような日差しから肌を守りたいとき。虫に刺されないように肌を隠したいとき。移動の電車のクーラー風が寒いとき。そんなとき筆者は、薄手のウインドシェルを羽織っていました。軽くていいんですが、防風性が高いゆえに夏はやっぱりどうにも暑い……。

そんな矢先、通気性が高くて、汗をかいてもペタっとまとわりつくような不快感を軽減してくれる素材を使ったカーディガンに出会った筆者。これが、ウインドシェルでもなく、山シャツでもない、夏に気軽に羽織れるアウターの新しい選択肢として「かなりいいじゃん!」と思ったのです。今回はAXESQUIN(アクシーズクイン)の「YAMAP別注 ヒュッテカーデ」の魅力を徹底レビューしました。

(文:山畑理絵 撮影:茂田羽生)

今回紹介するアイテムはこちら!

《山での快適をこれ一枚で》。アクシーズクインとの初コラボウェア「ヒュッテカーデ」

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

まずは今回筆者がレビューする「YAMAP別注 ヒュッテカーデ」の特長をチェックしてから、本題に入るとしましょう。

着ていて気分がアガる素材「ECOSENSOR®︎」とは

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー素材は、旭化成アドバンスが展開する新しい高機能ファブリック「ECOSENSOR®︎」

「ヒュッテカーデ」最大のポイントは、まず素材にあります。使われているのは、リサイクルナイロン100%の二重織りリップストップ生地。二重織りというのは、2枚の生地を重ねて1枚の布として織ったもの。つまり、表と裏の仕立てが違っているということ。そこがミソです。

表裏で特性の違う素材になっているため、汗の蒸気を放出する高い通気性と、適度な防風性を両立したのが、この「ECOSENSOR®︎(エコセンサー)」という素材です。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

生地に細かい凹凸があるのが伝わるでしょうか? 凹凸がある=肌離れがよくなるため、汗をかいてもペタッと肌に張り付きにくく、さらっとした着心地になる、というわけです。

さらに、生地には少しの雨ならば弾いてくれる撥水性と、適度なストレッチ性も。

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試しに室内で半袖の上から羽織ってみると、確かに肌あたりがドライな感じ。ゆったりとしたシルエットと相まって、着ていてとても気分よし。窮屈感が一切ありません。

ちなみに、ここ数年筆者が購入したり、試着したりした夏用素材のウェアのなかでは、一番と言っていいほど総合的な着心地のよさナンバーワン。これは汗をかいても期待大。山で着てみた感想は後ほど!

重さはおにぎり1個分。見た目以上に軽く、コンパクト

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「ヒュッテカーデ」の重さは約110g(Mサイズ)。おにぎり1個分の軽さです。確かに最初手に取ったとき、思わず「かるっ」と声が出てしまったほど。これも「着心地がいい」と体感した要素のひとつでしょう。

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右側のハンドポケットに丸め込めるようになっているので、収納するととてもコンパクトになります。いくら素材がよくても持っていきづらい仕様では意味がないので、携行性も申し分なし。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

ペットボトルと比較してみるとこんな感じ。バックパックのサイドポケットにもすっぽり収まりました。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー
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さらにきゅっと潰すと、スマホほどの小ささに。ボトムスのポケットにも入っちゃうくらいコンパクトです。軽くて、小さい。これなら着るかわからないような山行でも、「とりあえず持っていくか」と気軽に持ち出せますよね。

……と、「ヒュッテカーデ」の基本的な特長がわかったところで、さっそく山で着てみることに。その実力を確かめていきます!

シーン1|登山中は、ウインドシェルのような感覚で

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ときは7月某日、最高気温30度。標高1,200mほどの山へ出かけました。普段なら軽量なウインドシェルを念のため持っていくところですが、今回は「ヒュッテカーデ」を着用してスタートです。

汗をかいてもベタつきなし。しかも蒸れにくい!

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筆者が山で一番確かめたかったことは、「汗をかいたときにどう感じるか」。汗をかくのは仕方ないにせよ、着用中の不快感は極力少なくしたいもの。

このときの気温は30度。むろん終始汗をかいている状態なのですが、「高温多湿な夏も快適に過ごせるドライタッチな生地」という触れ込みどおり、肌にまとわりつく感じが少ない! 話、盛ってません。リアルに生地が肌にペタッとしにくいんですよ(歓喜!)。冒頭でお伝えしたように、生地に細かい凹凸があることも大きく関係しているのでしょう。

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加えてほどよいリラックスフィットなので、ひとたびビューっと風が吹くと上着のなかに風が入り込んできて、涼しさを感じられる瞬間もありました。温風であっても、汗をかいている肌にはきもちいい〜。

今回、ウィンドシェルのような感覚で羽織ったまま登ったり下ったりを繰り返しましたが、通気性が高く、風を100%シャットアウトする素材ではないため、オーバーヒートすることはさほどありませんでした。いつも着ているウィンドシェルだと蒸れてしまいがちだし、汗で肌にペタペタ張り付いてしまうのですが、「ヒュッテカーデ」は圧倒的に衣服のなかが蒸れにくく、肌離れのよさを実感しました。

生地には撥水性もある

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道中には笹が伸びているところも。素肌剥き出しだとかゆくなることもあるので、夏もこうした気軽に羽織れる長袖があると意外と重宝するんですよね。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー
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生地は水を弾くので、仮に笹に朝露がついていたとしても肌は濡れずに済むでしょう。試しに水をジャボジャボかけてみたら、するする〜っと流れ落ちていきました。想像以上の撥水力。短時間の小雨程度なら、雨具を着なくてもことなきを得るかもしれません。

サングラスの一時置きにちょうどいい胸ポケット

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素材の優秀さもさることながら、ディテールにもこだわりを感じました。まず、胸元のポケット。バックパックのベルトに干渉しづらい位置にあるため、有効的に使えます。これがサングラスの一時置き場にちょうどよかった!

ファスナー付きポケットにはスマホを

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両サイドには合計3つのハンディポケットが用意されています。うち右側のポケット1つがファスナー付きで、絶対に落としたくない小物の収納にぴったり。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

この手のセキュリティポケットは小さいことも多いのですが、スマホが収納できるくらいの大きさが確保されている点も、使い勝手がいいところ。ぱっと見ではわかりにくい細部にまで、山での利便性のよさが考えられているなーと思いました。

個人的には、ヒップまわりをカバーできる丈の長さもよき!

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー身長157cmでMサイズを着用

個人的には、ヒップがちょうど隠れる絶妙な丈の長さもグッときたポイントでして。身長157cmでMサイズを着用していますが、ちょうどお尻をカバーしてくれる丈感でした。

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筆者には袖が少し長かったんですが、むしろ手の甲の日焼け防止には願ったり叶ったり!

弱点は、風でばたつきやすいこと

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今回山で着用するにあたって気になったのは、ゆったりしたシルエットゆえに風でばたつきやすい点です。標高の高い稜線など、風の影響を受けやすい場所での着用にはあまり向いていない(気が散ってしまいそう)かもしれません。

裾は絞れませんし、袖口にもゴムは入っていません。でもだからこそ、風の通りがいいともいえます。防風性よりも、通気性をメインにレイヤリングしたい。そんなシーンで「ヒュッテカーデ」は相性がいいですね。


シーン2|テント泊/山小屋でのリラックスウェアに

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今度はテント泊の際に着てみました。というのもこの「ヒュッテカーデ」、登山後のリラックスウェアとして、着たまま眠ることも見据えてデザインされたもの。そういう背景もあって、ゆったりとしたシルエットが採用されているのだそう。

確かに歩いて疲れたあとは、肩の力が抜けるような窮屈さのないウェアを身にまといたいですよね。締め付けがない「ヒュッテカーデ」は、登山後の着替えとしても相性◎でした。

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー写真はYAMAP「サンブロックロングスリーブフーディー」と重ね着しています

さらにVネックの開き具合が絶妙で、フーディータイプのベースレイヤーと重ね着がしやすいところもこだわったポイントとのこと。

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中わたベストを着込めるくらい余裕がありました。レイヤリングしやすいところも、リラックスフィットの強みですね。

シーン3|下山後にもちょうどよい

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活躍するのは山の中だけじゃありません。細すぎずゆるすぎないシルエットは、下山後の着替えとしてもぴったりでした。過度な装飾のないシンプルなデザインは、街着とも合わせやすかったです。

シーン4|日々の冷え対策・日焼け防止に

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とにかくコンパクトで荷物にならず、持っていくのが苦にならなかったので、日々の生活にも取り入れてみました。たとえば、通勤時の電車や、仕事中。エアコンの冷え対策に、さらっと羽織れる「ヒュッテカーデ」がいい塩梅です。

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そしてOFFの日は日焼け防止の上着として。何度も言うようですが、汗をかいても肌へのまとわりつきが極めて少ない素材なので、屋外で素肌をガードしたいときにもうってつけでした。

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小さなバッグにも収納しやすいので「とりあえず持ってこ」と、気軽に携行できるところが嬉しいですね。

乾きが早く、シワが戻りやすい。ケアも楽ちん

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

山で、街で、日常で着回しがしやすいとなれば、おのずと増えるのが「洗濯」の頻度。洗って室内干ししたところ、1時間後にはさらっさらに乾いていました。

そしてもうひとつ気になるのは、洗濯後のシワ。こうした薄くて軽い高機能素材はシワが戻りにくいイメージがあるんですが、「ヒュッテカーデ」はというと……

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー
夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

きちんとはたいてから乾かさなかったので、左裾に若干シワが残ってしまった……のですが、洗ってテキトーにハンガーにかけたわりには、シワが少なかったです(この後しばらくハンガーにかけていたら、シワはなくなっていましたよ)。

弾力性のあるストレッチの効いたナイロン素材なので、シワができても元の形に戻りやすいようです。乾きも早いし、シワが残りにくい。洗濯後のケアが楽というところも推せます!

結論。軽くて涼しい、夏にちょうどいい羽織りもの。今ならお安く手に入ります

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー

暑いから上着を着たくない。だけど肌を出していると、日焼けや虫刺されなどトラブルの要因になる。そんなとき「ヒュッテカーデ」は高通気で蒸れにくいので、夏の軽登山のお供にぴったりでした。

荷物は重くしたくないけど快適さは求めたい。デイリーユースでも機能的なウェアを身にまといたい。お金を出すならなるべく汎用性の高いウェアがいい。とくにそんな方と「ヒュッテカーデ」は好相性です。

筆者はこの夏何度も着用していますが、レイヤリングの難しい秋口や春先、GW前後の低山にも重宝すると思っています。今ならお安く購入できるので、山と街をシームレスにしてくれる1着をプラスしてみてはいかがでしょうか。

「YAMAP別注ヒュッテパンツ」とセットアップもできます

夏にこそ羽織りたい。素材のよさが引き立つ「ヒュッテカーデ」の使い勝手を徹底レビュー
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なお、「ヒュッテカーデ」には同じ素材のボトムスも展開されているので、セットアップにすることも可能です。軽さと通気性の高さを兼ね備えたボトムスってじつは意外と少ないので、暑い時期でも快適に動けるボトムスをお探しのかたは「ヒュッテパンツ」もチェックしてみてください。

山畑 理絵(やまはた りえ)

山畑 理絵(やまはた りえ)

登山歴15年のライター・編集者。元アウトドア用品専門店スタッフ。のんびり日帰り低山から、山小屋グルメ堪能ハイク、テント泊縦走まで楽しむ。ホームマウンテンは奥武蔵。現在は3歳の娘と山歩きとクライミングジム通いに没頭中。

    紹介したブランド

    • AXESQUIN

      AXESQUIN

      四季の変化に富んだ山を愉しむための、登山用アウトドアクロージング。 身...

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