早秋の北八ヶ岳での活躍ギアをレビュー|秋の日帰りハイクにおすすめアイテム3選
便利そうなアイテムを発見しても、実際にフィールドで使ってみなければ真価はわからないもの。
本記事では日帰りハイキング志向のユーザーさんへ向けて、季節×ロケーションを軸に選定したアイテムのレビューをアウトドアライターの大城さんがご紹介します。今回の舞台は9月上旬の北八ヶ岳、秋のハイキングに活躍する注目の3アイテムを深掘りしてもらいました。
苔生す森と絶景を巡る北八ヶ岳の秋ハイク

こんにちは、ライターの大城です。
今回は「秋×北八ヶ岳」を軸に、日帰りハイキングで麦草峠〜白駒池〜ニュウを訪れました。総距離や獲得標高などの難易度は低いものの、美しい原生林に延びる木道歩きと、山頂からの絶景を堪能できる大満足ルートです。
ゆるハイクということで昼食は山小屋で頂く予定だったので、荷物も比較的コンパクトになりました。

訪れたのは9月上旬とまだ夏の名残を感じられる時期。ただ、街ではうだる暑さでも、山には確かに次の季節がやってきており、吹き抜ける風や日が陰ったときの冷たさに、端境期という言葉が自然と脳裏に浮かんだものです。
それでいて日中は夏を思わせる暑さ。日差しもあり、日焼け対策やオーバーヒートにも気を遣わないといけない、これはまた難しい時期です。
ハイキング概要
総距離:5.6km
獲得標高:310m
コース上の特徴:苔生す森と山頂を楽しめるコース。山小屋も2箇所点在。
季節:9月上旬
テーマ:軽荷でほがらかに歩いて、心身リフレッシュ
その他:車でのアクセス。昼食は山小屋で食べる予定。
それを念頭に、この日に大活躍したアイテム3つをご紹介しましょう。
【バックパック】日帰りアイテムが気持ち良く入りきる絶妙な22L
ハイキングや登山のバックパックの選び方で大切なのが、荷物量に対してちょうどよいサイズを選ぶこと。例えば、大は小を兼ねるからとオーバーサイズのバックパックを使うのは、荷室で積載物が暴れてしまうなど、パッキングの観点からあまりおすすめできません。
今回のようなハイキングであれば15〜25L程度がちょうど良く、今回持参したMYSTERY RANCH(ミステリーランチ)「カタリスト22」も例外ではありません。
カタリスト22|ミステリーランチ
カタリストはハイキングから軽登山、日常生活まで毎日活躍する万能バックパックです。
手に持った瞬間に分かる重厚感は、もはやミステリーランチの代名詞。素材として採用された500デニールコーデュラナイロンは、重さではなく芯を感じさせるしなやかさがあります。
そしてミステリーランチの象徴ともいえるY字型に配置されたジッパーにも、大ぶりでスムーズに開け閉めできる「YKK® chain and coated zippers」が採用されています。
この3ジッパーシステムは非常に画期的で、パッキングが楽しみになってしまうほど荷物が詰めやすい!観音開きした側面内部には細かなメッシュポケットが配されているため、小分けポーチを使わずとも、ヘッドライトやコンパスなどの小物類も整理整頓して収納できます。
ザック底部の荷物も取り出しやすいため、どこもデッドスペースにならないのが長所です。
さらに便利だったのが上部ポケットの収納力です。キークリップが内蔵されている上部ポケットは、見た目以上の収納力を誇り、すぐに取り出したいアイテムを次々と入れられます。
結論から言うと、今回のハイクで22Lは少し余ってしまったほど。それは車に下山後の着替えを保管できたからというのもありますし、クッカー類を持参していなかったというのもあるでしょう。また気温も高かったため、かさばる保温着も不要でした。
しかし、この余裕こそが使用シーンを拡張する証拠で、期待感もアップ。PCポケットもあるため、通勤用のバッグとしても使えるし、今回のような気軽なハイクにも、山頂でコーヒーを嗜むような登山にも活用できる──そんな絶妙な容量感がこの22Lのバックパックにはあります。
【キャップ】日差しも風もおしゃれにシャットダウン
そんなカタリスト22を背負いながら歩いていると、時折雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせ汗ばむ気温になりました。こんなとき活躍するのがhalo commodity(ハロ コモディティー)「YAMAP別注 クレストキャップ」。これがまたイカしたミニマムキャップなんです。
YAMAP別注 クレストキャップ|ハロ コモディティー
研ぎ澄まされたシンプルデザイン。それでいて、山で必要な機能性がすべて詰め込まれたのがこのクレストキャップです。
表地にはUVカット性能(UPF50)に加え、通気性と撥水性を兼ね備えたポリエステル素材を採用。その上で汗を効率よく発散するために、内側にはメッシュ素材を採用しオーバーヒートを防ぐ仕組みに。額が触れる汗止めには抗菌・防臭機能を備えた吸水速乾素材を用いました。

そしてベーシックでありながらも洗練されたカラーリングとディティールにも注目。色味はベージュ、チャコールグレー、ライトグレーの3種類。6枚パネル構造で頭の形にしなやかにフィットし、後頭部のバックルで調整も可能です。
ワンポイントは後ろのハロ コモディティーの刺しゅうのみなので、好みでワッペンを縫い付けるなどのDIYも楽しそうですね。シンプルに被るもよし、自分らしくカスタムするもよしのベーシックキャップになることでしょう。
強い日差しを想定して作られたこのクレストキャップですが、秋山でもなお性能が光ります。この日私が被っていたライトグレーのキャップは、写真で見ると苔むした樹林帯によく映える色だと改めて感じました。

一般的なスポーツキャップとは一線を画す、都会的で目を引く質感の表地もグッド。コーディネートはもちろんですが、訪れる場所の雰囲気に合わせて色を選ぶのも素敵です。
必要な機能が詰め込まれた万能キャップは、どんな山行でも重宝するアイテム。こだわりのコーディネートで山歩きを楽しみたい人にぜひおすすめしたいアイテムです。
【ミッドウェア(中間着)】軽くて暖かい、なのに汗抜けグッドなフリース

一般的に気温は100m上がるごとに0.6℃下がると言われています。スタートした白駒池入口付近の標高は2115m。単純計算をすると平地よりも約12℃程度低いということになります。ただ、樹林帯であることとハイクアップだったこともあり、汗ばむほどでした。ところが稜線に出てから様相は一変します。
慌ててキャップを押さえるほどの強風と、先ほどまでかいていた汗の気化熱により、体温がみるみるうちに奪われていきました。ここで羽織ったのが、STATIC(スタティック)の「YAMAP別注アドリフトクルー ウィズ ポケット」(以下、アドリフトクルー)です。
YAMAP別注アドリフトクルー ウィズ ポケット|スタティック
ひと言で表すなら「ドライで暖かい」、それがアドリフトクルーの魅力です。
通気性を重視した表地のメッシュ、保温性を重視した裏地のフリースが一体化した、「Octa® CPCP®(オクタ® シーピー・シーピー®)」という高機能生地を採用。蒸れづらく、驚くほど軽いのが特徴です。

着用するとすぐに暖かい空気を纏っているような感覚に。それでいて抜群の通気性により汗を逃がしてくれるため、汗冷えもあまり感じません。そして山頂からゴールまで、アドリフトクルーを脱ぐことなく行動しました。
これまでレイヤリングは「暑くなれば脱ぐ」「寒くなれば着る」が基本でしたが、その脱ぎ着の回数を減らそうというのがこのアドリフトクルー。保温性と通気性を高い水準で併せ持つことで、行動時も快適に着続けることが可能です。

例えば、もう少し寒くなれば上から防風性のあるシェルを羽織るのも良さそうですし、山小屋での停滞ウェアとしても心地良いでしょう。
総重量はなんと単一電池1つ分(135g/Mサイズ)という驚異的軽さなので、小さく圧縮すれば体温調整の難しい電車や飛行機でも重宝しそうなアイテムです。山でも街でも、季節を跨いでアクティブに動きたい方はぜひ試してみてくださいね。
心ゆくまでハイキングを楽しむために
体の疲れに相反するように、充足感で満たされる心。下山後の疲労感は、なぜあそこまで心地良いのでしょうか。この感覚も山の魅力のひとつなのだろうなあ、と流れゆく車窓の外の景色を見ながら感じていました。
荒々しい山容が荘厳な景観を生み出す南八ヶ岳に対して、北八ヶ岳は重厚感のある森が広がるエリアです。静かに自然と触れ合いたいとき、日常から離れてゆっくり過ごしたいときに寄り添ってくれる、そんな場所です。
そして山での時間を心から堪能するためには、シチュエーションにフィットしたギア選びも大切です。四季の移ろいやエリアの特徴、ルートから、改めて装備を厳選してみませんか?
今回注目した秋のハイキングに活躍する3アイテム
大城 実結(おおしろ・みゆう)
大学の部活動にて「衣食住を担ぐ」魅力にハマり込み、自転車や登山などアウトドアを垣根なく楽しむ。在学中に編集会議 編集ライター講座大賞を受賞、以後商業ライターとして「サイクルスポーツ」などの雑誌や、各種Webメディアで執筆中。モットーは体当たり。比較的どこでも寝られる特異体質を持つ。