【2026年最新】富士山登山の持ち物・服装を完全解説 YAMAP STORE版
言わずと知れた日本最高峰・富士山。古くから信仰の山として崇められ、2013年には世界文化遺産にも登録された名峰です。「一生に一度は登りたい」「登山デビューは富士山だった」という方も多く、毎年多くの登山者が訪れます。
たくさんの方が訪れる「入門の山」として親しまれてきた富士山ですが、決して気軽に登れる山ではありません。
・標高: 高山病のリスクのある3,776m
・山頂気温: 夏でも10℃以下になることがある
・気温差: 海抜0mと比べて約22℃低い計算(100mごとに約0.6℃低下)
・天候: 周囲に山がない独立峰のため急変しやすい
・地形: 溶岩岩場・ザレ場など、足場が不安定な箇所が多い
正しい装備を揃えることが、安全で快適な富士登山の第一歩です。これまで登山をしたことがなかった人はもちろん、低山ハイクはやってきたけど富士山ははじめてという方まで、富士登山に挑戦したい!という方のために基本装備から応用装備まで、山道具をセレクトしました。
この記事でわかること
富士山登山に必要な持ち物・服装の全リスト(必須/推奨/山小屋泊別)
登山靴・ザック・レインウェアの選び方と目安スペック
初心者がやりがちなNG装備とその理由
山小屋泊・ご来光をより快適にする追加アイテム
富士山登山の持ち物リスト一覧
まず全体像を把握しましょう。詳しい選び方は記事後半で解説します。
アイテムリスト

山小屋泊の場合は追加で

下山後に用意しておくと便利
着替え、サンダル、温泉セット(石鹸・シャンプー・メイク落としなど)

チェックリストをPDFで印刷して使いたい方はこちら 持ち物チェックリストをダウンロード(PDF)
三種の神器:登山靴・ザック・レインウェア
富士登山でまず揃えるべき3アイテムです。この3つが揃っていれば、登山の基礎は整っています。
登山靴:ミッド〜ハイカットタイプを推奨
富士山の登山道は、舗装された道からゴツゴツした溶岩岩場、細かい溶岩砂が積もったザレ場まで多様です。ミッド〜ハイカットは足首のぐらつきを防ぎ、砂や小石が靴の中に入り込むトラブルも防げます。グリップ力のあるソールも選ぶ際の重要なポイントです。
ローカットタイプのトレイルランニングシューズやアプローチシューズで登る方もいますが、その場合は足首のサポートがない分、体力・筋力・バランス感覚でカバーする必要があります。砂の侵入対策としてゲイターの併用も必須です。登山に慣れていない方や、初めて富士山に挑戦する方はミッド〜ハイカットを選ぶのが安心です。
スニーカーは防水性・グリップ力・足首サポートのいずれも不十分なため、富士登山には適しません。
バックパック(ザック):30〜40Lが目安
日帰りなら30L前後、山小屋泊なら35〜40Lが適しています。
レインウェア・防寒着・行動食・水など、荷物は思った以上に多く、30L程度は必要です。自分の身長に合ったサイズを選ぶと、長時間背負っても疲れにくくなります。登山用バックパックには、歩行時の安定感を高める背面設計や、体にフィットするショルダーハーネスが備わっており、普通のリュックとは快適さが大きく異なります。
最近はULギアやトレイルランニング用のベスト型など、より小さいザックで登る方も増えています。ただしそれらは、装備全体が軽量・コンパクトなもので揃っていること、ある程度の走力や登山経験があることが前提です。手持ちの装備や一般的なアイテムで揃える場合は、30〜40Lを基準に選んでください。
レインウェア:上下セパレートタイプ
天気予報が晴れでも、レインウェアは必携です。
富士山は独立峰のため天候が急変しやすく、晴れていた空が山頂近くで突然の雨に変わることは珍しくありません。雨に濡れたまま強風にさらされると低体温症のリスクがあります。ポンチョタイプは風で巻き上がるため不向きです。コンパクトに収納できる軽量タイプを選びましょう。
身につけるもの:必須アイテム
アンダーウェア:汗冷え防止インナーを着用
富士登山だけでなく登山の「隠れた必須アイテム」です。汗冷え防止インナーを着るかどうかで、快適さが大きく変わります。
富士山はほぼ一貫して登り続ける山で、体温が上がり大量の汗をかきます。汗がウェアに溜まるとベタつきや不快感だけでなく、風で体温が急速に奪われる原因になります。汗冷え防止インナーは汗を素早く外側へ逃がし、肌面を常にドライな状態に保ってくれます。ドライレイヤーを効果的に着用するために、上には吸水速乾性のあるベースレイヤーを着用しましょう。
ベースレイヤー:速乾性の高い長袖を推奨
半袖でも問題なく登れますが、長袖をおすすめします。
富士山の登山口より上には樹木がなく、日差しを遮るものが一切ありません。気温は低くても紫外線は非常に強く、日焼けは肌へのダメージだけでなく体力の消耗にもつながります。長袖であれば日焼け対策になるうえ、転倒時の擦り傷防止にも効果的です。速乾性の高い素材を選べば、汗をかいても快適に着続けられます。UVカット機能付きのウェアを選べばさらに効果的です。
暑さが気になる方は、長袖の上に半袖を重ね着するスタイルや、半袖+アームカバーという組み合わせもおすすめです。いずれの場合も、コットン素材は汗で濡れると乾きにくいため避けましょう。
登山用パンツ:肌を露出させないことが重要
ロングパンツが基本ですが、機能性タイツ+ショートパンツの組み合わせも人気のスタイルです。いずれの場合も、肌を露出させないことが大切です。高所では紫外線が強く、岩や砂礫による擦り傷のリスクもあるため、生足での登山は避けてください。
高所では疲労で足の動きが鈍くなるため、伸縮性のある素材を選ぶと歩きやすさが段違いです。コットン素材(ジーンズ含む)は濡れると重くなり乾きにくいためNG。軽量で速乾性のある登山用パンツ、またはスポーツ用のタイツを選びましょう。
なお、ショートパンツ+タイツスタイルの場合、夜間や早朝のご来光待ちは非常に冷えるため、ロングパンツも1枚持参すると安心です。
帽子:ツバの広いタイプがおすすめ
日焼けは肌へのダメージだけでなく、体力の消耗にもつながります。
標高が上がるほど太陽が近くなり、紫外線も強くなります。熱中症対策としても欠かせません。顔まわりや首の後ろまでカバーできるツバ広タイプやシェード付きを選ぶと、塗り忘れによる「うっかり日焼け」も防げます。
身につけるもの:推奨アイテム
手袋:薄手の登山用グローブがあると安心
岩場での手の保護・紫外線対策・防寒と、複数の役割を果たします。夏のハイシーズンなら、登り始めから山頂まで通しで使える薄手タイプで十分です。スマートフォン操作ができるタッチパネル対応のものを選ぶと便利です。
軍手は手軽に手に入りますが、コットン素材のため濡れると乾きにくく、濡れた状態で強風にさらされると急激に冷えてしまいます。また岩場や鎖場ではグリップ力も劣るため、登山用グローブを選ぶ方が安心です。
靴下:ウール素材がおすすめ
コットン素材は汗を溜め込んで乾きにくく、蒸れやニオイの原因になります。ウール素材は汗で濡れてもベタつかず快適で、ニオイも発生しにくい特性があります。蒸れが特に気になる場合は、汗を吸い上げるドライ系インナーソックスとの重ね履きも有効です。
ストック(トレッキングポール):足・膝に不安がある方
富士登山は距離・時間ともに長く、予想以上に足腰に負荷がかかります。下山時に体重を分散してくれるため、膝へのダメージを大幅に軽減できます。使わないときは折り畳んでバックパックに括りつけておけば邪魔になりません。
サングラス:日差しと砂埃から目を守る
標高が上がると雲が眼下になり、太陽を遮るものが何もなくなります。裸眼では眩しさと紫外線が目に蓄積し、疲労につながります。砂埃のガードとしても効果的です。
ゲイター:「砂走り」を歩くなら
砂走りは細かい溶岩砂のザレ場で、ゲイターなしでは靴の中に砂や小石が頻繁に入り込みます。その都度靴を脱いで取り出す手間は想像以上に疲弊します。ゲイターを着ければ靴とパンツの隙間を完全にブロックでき、雨天時の水の侵入も防げます。
時計:あると行動管理がしやすい
スマートフォンで時刻確認は代用できますが、常にサッと確認できる時計があると行動がスムーズです。休憩時間の管理や、ご来光の時刻確認にも役立ちます。スマートフォンは寒冷地でバッテリーが急激に減りやすいため、できるだけスマホへの依存を減らしておくと安心です。
ザックに入れるもの:必携アイテム
ウィンドシェル・防寒着:夏でも必ず持参
山では、標高が100m上がるごとに気温が約0.6℃下がるとされており、標高3776mの富士山山頂は、海抜0m地点と比べると単純計算で約22℃も低い環境になります。
そのため、夏山だからといってTシャツだけで登るのはご法度。山頂で「山ってこんなに寒いんだ……」と震えないためにも、防寒着はしっかり用意しておきましょう。
特に富士山は風を遮る樹木がなく、強風によって一気に体温を奪われることも多いため、ウィンドシェルの携行は非常に重要です。薄手でコンパクトに収納できるものなら、休憩時や風が強い場面でサッと羽織れて便利。防風性に加えて、保温性のある中間着を組み合わせれば、夏の富士登山でも安心して行動できます。
行動食:こまめな補給が大切
登山は消費カロリーが大きく、エネルギー切れは体力低下に直結します。山小屋でカレーやラーメンを食べることもできますが、それだけでは不足します。おにぎり・パン・エネルギーバーなど食べやすいものを複数持参しましょう。疲れて食欲がないときはゼリー飲料が補給しやすくおすすめです。空腹を感じる前にこまめに補給することが大切です。
飲料水:最低1〜1.5Lを持参
水分不足は行動不能につながる危険があります。山小屋でも購入できますが、山頂に近づくほど価格が高くなります。登山口でしっかり補充しておくことをおすすめします。
ザックに入れるもの:推奨アイテム
ヘッドランプ+予備電池:ご来光を見る予定の方は必須
山頂でご来光を見るには、暗い時間帯に登山道を歩く必要があります。両手がフリーになるヘッドランプは転倒防止に不可欠です。消灯後の山小屋内での荷物探しにも役立ちます。充電式の場合はモバイルバッテリー、電池式の場合は予備電池を必ず携行してください。
スマホのライトで代用するのはNGです。片手がふさがって転倒リスクが上がるうえ、寒冷環境ではバッテリーが急激に消耗するため、いざというときに肝心のスマートフォンが使えなくなる危険があります。
ザックカバー(レインカバー):雨天時と砂埃対策に有効
急変しやすい富士山の天候に備えて、ザックカバーを携行しておきましょう。雨の際にザック内への浸水を防ぐのが主な役割です。
また、下山ルートの砂走りや砂礫地帯では砂埃が舞いやすく、ザックカバーをつけておくとザック全体を砂から守れます。雨が降っていない場面でも、砂埃が多い状況では活躍してくれます。なお、ザックカバーだけでは完全防水にはならないため、濡らしたくない貴重品や電子機器は防水バッグやジップロックに入れておくと安心です。
ファーストエイドキット:万が一のケガや体調不良に備えて
絆創膏・消毒液などの外傷薬と、胃薬・解熱剤などの内服薬を1セット用意してください。常備薬はひとつの袋にまとめておくと、いざというときにすぐ取り出せます。高山では病院へのアクセスが困難なため、普段より少し多めに持参しておくと安心です。
日焼け止め:こまめな塗り直しが大切
富士山は樹木がなく紫外線を遮るものがないため、平地より格段に日焼けしやすい環境です。汗で落ちやすいため、サコッシュなど取り出しやすい場所に入れてこまめに塗り直しましょう。帽子・サングラスと組み合わせると効果が高まります。
その他の持ち物
・タオル・手ぬぐい:汗拭きや砂ほこり対策に。薄手の手ぬぐいは速乾性が高く便利
・トイレットペーパー:鼻をかんだり濡れたものを拭くなど何かと使える。ビニール袋に入れて保管
・現金・小銭:トイレ使用料(100円玉が多いと安心)・山小屋での飲食代に。山用の軽量財布が便利
・保険証:怪我や病気に備えて必ず携行
・マスク:砂埃の多い下山道で活躍
・予備の靴紐:登山中に靴紐が切れるトラブルに備えて
山小屋泊・ご来光を快適にする追加アイテム
日帰りでは不要でも、山小屋泊やご来光を目指す場合に持っていくと快適さが大きく変わるアイテムです。
ニット帽子・ネックウォーマー
早朝や夜は昼間より一段と冷え込みます。首元を温めると体全体が効果的に温まります。ネックウォーマーは下山時の砂ぼこり対策としても使えます。
スタッフバッグ
レインウェア・防寒着・小物をカテゴリ別に整理してバックパックへ。必要なものをすぐ取り出せるようになり、暗い山小屋の中でも慌てません。雨や汗で濡れた衣類を入れるのにも活躍します。
インナーシーツ
山小屋の布団との間に1枚はさむシーツです。衛生面での安心感があるほか、ダニ予防・保温力アップと一石三鳥の働きをします。
耳栓・アイマスク
富士山の山小屋は大部屋での相部屋が基本スタイルです。他の登山者のいびきや、夜中にトイレや出発準備をする人のヘッドランプの光が気になって眠れないことも。この2つがあると、山小屋でも十分な睡眠を取ることができます。
カイロ
山頂でご来光を待つ時間は体を動かせないため、全ての防寒着を着込んでも寒く感じることがあります。いくつか用意しておくと安心です。
汚れ落としタオル・ボディシート・ウェットティッシュ
山小屋にはお風呂がないため、汗や汚れが気になります。水で濡らして拭くだけで汗・皮脂を落とせる速乾タオルや、サッと拭けるボディシートがあると1日の終わりに快適に過ごせます。ウェットティッシュは食事前後や手洗い代わりにも重宝します。
下山後に用意しておくもの
着替え
下山後に温泉で汗と砂を落としたあとに着替える服を用意しましょう。公共交通機関で移動する場合はザックの中に入れて持ち歩くため、軽量でコンパクトにまとまるものが理想です。防水のスタッフバッグに入れておくと濡れる心配もありません。
サンダル
登山靴を長時間履いた後、足を解放したいときに重宝します。ビーチサンダルなら軽くてかさばらず、ザックに入れても邪魔になりません。
温泉セット
石鹸・シャンプー・メイク落としなどをポーチにまとめておきましょう。下山後の温泉は疲れた体の回復にも効果的です。
登山前の最終確認に。持ち物チェックリストのPDFはこちら 持ち物チェックリストをダウンロード(PDF)
正しく準備して、安全で快適な富士登山を

富士山は周囲に高い山がない独立峰のため、天候が悪化すると強風・雨・急激な気温変化にさらされることも少なくありません。いかに安全・快適に登るかが、富士登山を楽しむ最大のコツです。
万全の準備を整えたうえで挑んだ先には、ほかの山では味わえない特別な体験が待っています。日本一高い場所から見下ろす絶景、長い道のりを歩ききった達成感。そこには登ったことのある人にしかわからない感動があります。
今年の夏、ぜひ富士登山に挑戦してみてください。














