2021年、富士登山のための山道具 YAMAP STORE版
言わずと知られた日本最高峰・富士山。古くから信仰の山として崇められ、2013年には「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された名峰です。登る山としても人気があり、「一生に一度は登りたい!」「登山をはじめるなら富士山で」という方も少なくありません。
そんな富士登山に挑戦したい!という方のために山道具をセレクト。「基本セット」から「あったら便利な小物」、そして「小屋泊で活躍するアイテム」でご紹介します。これまで登山をしたことがなかった人はもちろん、低山ハイクはやってきたけど富士山ははじめてという方まで、必見です。
※新型コロナウイルスの状況や拡大防止への対応は、お住まいの地域によって異なります。国や自治体、関連機関の最新情報を参考に、安全を心がけた登山をしましょう。 コロナ禍における登山についてのYAMAPの考えはこちら
今年の富士登山期間は7月10日~9月10日

2020年は新型コロナウイルス感染防止のため、富士山は全面クローズ。山小屋も休業し、入山者もなく静かな1年となりました。そして2021年。山小屋の感染対策が徹底され、登山時のマナーも広まったことを受け、待望の山開きとなりました。期間は7月10日~9月10日の2ヶ月。富士山山頂へとつづく4つの登山道すべてが上記の期間でオープンします。アクセスやマイカー規制、最新情報は「富士登山オフィシャルサイト」をチェック!
富士登山をはじめるなら、まずは「基本セット」から

「登山デビューは富士山で」というくらい入門の山として親しまれてきた富士山ですが、山頂の標高は3776m。北アルプスの山々よりも高く、夏でも気温は10℃を下回ることも。入門の山であっても装備はしっかりと。登山の三種の神器と呼ばれている「登山靴」「バックパック」「レインウェア」をはじめ、富士登山に欠かせない「キホン」アイテムからご紹介します。
登山靴:
富士山は火山ということもあり基本的には溶岩質なのですが、歩きやすい登山道からゴツゴツとした岩場、細かな溶岩の小石が堆積するザレ場などシチュエーションはさまざま。しっかりと足首を支えてくれ、グリップ力のあるソールを備えた「LA SPORTIVA/TX5」がオススメ。ローカットだと足首から小石が入り込んでしまうこともあり、ミッドカットが効果を発揮します。
バックパック:
レインウェアや行動食、小屋泊の場合はトラベルシーツなどの小物も多く、使いやすいのは40Lほどのバックパック。「MYSTERY RANCH/クーリー40」はメインの収納スペースがY字型に開くため、荷物の出し入れがしやすいのが特徴。歩行時の安定感を高める背面設計や柔らかくフィット感に優れるショルダーハーネスなど快適な登山を支えてくれる機能も盛り沢山です。
レインウェア:
富士山は周囲に山がない独立峰のため、天候がめまぐるしく変化します。「登っているときは晴れていたのに、山頂付近についたら雨が降ってきた!」ということも少なくありません。天気予報は晴れでも、山頂で雨風に吹かれる可能性はゼロではありません。雨に濡れてしまうと不快なだけでなく、低体温症などの危険もあるので、レインウェアは上下で携行するのが鉄則です。
ベースレイヤー:
お椀をひっくり返したような形をしている富士山。基本的にはずっと「登り」がつづくため、体温が上がり汗だくになってしまうことも。汗がウェアに溜まってしまうとベタつき不快なだけでなく、風により熱が奪われ体が冷え切ってしまいます。肌面を常にドライに保つ「finetrack/ドライレイヤーベーシックシリーズ」と速乾性のある「finetrack/ドラウトフォースジップネック」を組み合わせ、確実な汗対策を行いましょう。
防寒着:
山では、標高差100mごとに-0.6℃ほど下がるとされており、3776mの富士山山頂は海抜0mと比較すると約22℃低い計算になります。夏山だからといってTシャツだけで登るのはご法度。山頂で「山ってこんなに寒いんだ…」と震えないためにも、防寒着はしっかり用意して登山に挑みましょう。
ハット or キャップ:
登っていくうちにどんどん「近くなる」太陽。気温は低くても陽射しの強さを実感します。つまり、その分紫外線も強くなっていくので、「1日で日焼けで真っ黒!」ということも。日焼けは肌へのダメージだけでなく、体力も奪っていくため、帽子をかぶるのが大事。日焼け防止、そして根中傷対策にも必ず持っていきたいアイテムです。
靴下:
登山をする方なら「山はウールの靴下!」は常識、かもしれませんが、山登りがはじめての方は家にあるコットンの靴下を選んでしまうこともあるでしょう。普段履いている街用靴下では汗を溜め込んでしまうので、「気づいたら靴のなかがビショビショ…」ということも。コットンは乾きにくいので冷えの原因になってしまうんです。一方ウールは速乾性があり、汗で濡れてもベタつかず快適性が持続。また臭いが発生しにくいのも特徴です。
ヘッドライト:
「日帰り登山だからヘッドライトは不要なのでは?」というのはNG。コースタイムはあくまで一般的な平均速度。「想像以上に疲れてしまって下山が遅くなる」「足首を痛めてゆっくりしか歩けない」など、不足の事態が起こる可能性はゼロではありません。暗い登山道を照らしてくれるのは自分のヘッドライトだけ。お守りとして持っていたいアイテムです。
富士登山を快適にしてくれる便利アイテム

「基本セット」に加えることで、登山をより快適に、安全に楽しむための山道具もセレクト。富士登山に限らず、さまざまな山でも活躍するアイテムでもあります。普段から登山に親しんでいる方にも、是非ともチェックしてみていただきたいと思います。
ゲイター:
富士山の下山道には「砂走り」と呼ばれる小さく軽い溶岩の道があります。ザクザクとスピーディーに下ることができるのですが、シューズに小石が頻繁に入ってしまいます。都度靴を脱いで取り出すのは骨の折れる作業。そこでゲイターがあればシューズとパンツの裾を完全にブロックでき、小石や砂だけでなく雨の際は水の侵入を防ぐことができます。
トレッキングポール:
足や膝に不安のある方はぜひともトレッキングポールを。富士山登山は行程も時間も長く、予想以上に疲労が溜まり、足腰には負荷がかかります。歩行時のバランスの確保に加え、下山時などは体重を分散してくれるので足への負担を軽減してくれます。ポールのありがたさを実感でしょう。使わないときは折り畳んでバックパックにくくりつけておけばOK。
ポーチ:
山頂までのコースタイムのチェックをしたり、刻々と変わる景色を写真に収めたりとスマートフォンを取り出す機会は結構多いもの。また、ドリンクを取り出すためにバックパックを都度下ろすのは結構大変です。スマートフォンや行動食、飲料といった頻繁に取り出したい小物の携行はポーチがあると便利です。
レインカバー:
雨からバックパックを守ってくれるレインカバーですが、雨だけでなく岩とのスレの予防にも効果的。休憩のときにバックパックを下ろすとき、どんなに優しく置いても地面はゴツゴツした溶岩。スレたり穴が空いてしまいます。大切な登山の相棒・バックパックを長く使うためにもレインカバーの着用がオススメです。
スタッフバッグ:
レインウェアや防寒着、小物などはしっかりスタッフバッグで整理してバックパックへ。「ヘッドライトが見つからない」「レインウェアはどこかな」と、使いたいシーンであたふたしないためにも整理整頓は大切です。
サングラス:
強い日差し陽射しから目を守ってくれるサングラスもできれば携行したいアイテムのひとつ。標高を上げていくと雲は遥か眼下へ。太陽を遮るものは何もありません。裸眼では眩しさと紫外線が蓄積していくと目も疲労してきます。そんな日差し対策に加え、砂埃が目に入らないようガードしてくれるため、サングラスは富士登山で使用推奨度高めアイテムです。
ネックゲイター:
日焼け対策で意外と盲点なのが首の後。下山後に真っ赤になってヒリヒリ感じたときにはもう手遅れ…ということも。ずっと足元を見ながら歩いていると直射日光がずっと当たってしまう箇所なんです。そんな首の後を守ってくれるのがネックゲイター。通気性もよく、日焼け対策だけでなく、熱中症対策にも効果的です。
保温ボトル:
冷たい飲み物を入れていけば、汗だくになったときでも最高のクールダウンが可能。逆に温かいものを入れていけば山頂でコーヒーを楽しむことも可能。山小屋で買った飲料を詰め変えてもOK。保温力が高く軽量な「KINTO/デイオフタンブラー」がオススメです。
速乾タオル:
額から滴る汗。山用のタオルを一枚持っていれば快適性がグッと上がります。シャツを汗でビショビショにすることもなく、衛生的にも安心。「finetrack/ナノタオル」は速乾かつ汚れも落としてくれるスグレモノ。コンパクトになるのも嬉しいポイントです。
山用財布:
飲み物や軽食、トイレの使用料など、富士登山ではお金を使うシーンがあります。普段使っている財布よりも山用のコンパクトで軽量なものがあると便利。
小屋泊でじっくり富士山を楽しむなら

富士登山は日帰りの弾丸登山もいいけれど、できれば山小屋に泊まって時間の流れを存分に感じていただきたい。「小屋泊だと荷物が増えるのでは?」と思うかもしれませんが、寝具や食事を提供してくれることもあり、それほど必要なアイテムは多くありません。憧れの山小屋泊登山に挑戦してみませんか?!
トラベルシーツ:
コロナウイルス対策の定番アイテムのひとつ、トラベルシーツ。小屋泊の布団との間に一枚「壁」を作ることができます。防虫効果があるのでダニ予防もOK。保温力アップも期待できる一石三鳥の多機能アイテムです。
エマージェンシーシート:
山頂で朝日を待っているとき、寒さを凌ぐためのお助けアイテムとして、エマージェンシーシートが活躍してくれます。また、もし標高が高い場所で動けなくなり、助けを求めるようなことがあったら…。そんなときのためにも持っていれば精神的にも安心です。
衛生用品:
山の上では一般的な歯磨き粉は環境を汚染してしまうのでNG。ましてや富士山は世界遺産。自然を汚さず、口の中はスッキリしましょう。「ORALPEACE/アウトドア アドベンチャートゥースペースト」は小屋泊の必携品。
コーヒーセット:
夜明け前に山頂に辿り着き、ご来光を待つ間。寒さに耐える時間もアツアツのコーヒーがあれば贅沢なひとときになります。ガスバーナーのセットでは重量もありますし嵩張るので、軽量な固形燃料くらいがちょうどいいでしょう。
お風呂セット:
下山後は温泉に入って疲れと汗をサッと流しましょう。そして気合いの入った山ウェアから、気軽な装いに着替え、仲間と山の時間を振り返る。それも富士登山の楽しみのひとつです。
富士山の頂上で見る景色

富士山はアルプスのように山脈に連なる山ではなく、周囲に高い山がない独立峰。そのため、天候が悪化すると強風や雨、気温の変化に晒されることも少なくありません。正しく準備して、登山に挑んでいただきたいと思います。そして最新情報をチェックし、状況判断も忘れずに。頑張って辿り着いた山頂で見る景色は、ほかの山では味わえない特別なもの。富士山を登ることがいかに愛され、人気を集めてきたか実感するはずです。