軽く背負って負担を軽減。暑い季節に欠かせない、軽量化目線の登山コーデ
ジメジメとした梅雨が明けたら、いよいよ本格的な登山シーズンの到来。数カ月先の週末までをイメージして、うきうきと準備や計画を始めている人も多いでしょう。一方でシーズンの始めは、体力面で不安を感じることもあるはず。体力の消耗が大きい暑い時期は、できるだけ荷物を軽くして、軽快に山を楽しみたいものです。
ただし、ただ荷物を減らしたり、軽いものを集めたりするだけでは、楽に、安全に歩くことはできません。軽量化はしたいけれど何から始めればいいのかわからない、軽くて使い勝手のいいものをじっくりと選びたいという人のために、YAMAP STOREが集めた最新の軽量・コンパクトなアイテムを使った、シーン別のコーディネートをご紹介します。
Scene①|夏の低山を軽快に歩く、light & comfortableなハイキングコーデ
気温も湿度も高い低山では、しっかりとした暑さ対策が重要。ウェアも荷物もムダを省いて、ミニマムなスタイルで出かけましょう。大量の汗をかくことを前提に、ウェア選びには吸汗速乾性はもちろんのこと、さらりと軽く、肌触りのいい素材選びや、風通しのよさも重要なポイント。水や行動食、エマージェンシーグッズなど、必要なものは減らさずに荷物を軽くするには、それぞれの重量を少しずつ減らす工夫が大切です。
軽量化アイテム【その1】|レインウェア
安定したお天気の1日なら、本格的なレインウェアの代わりに、軽量でコンパクトなものを選んでみてはいかがでしょうか?薄手のレインウェアなら、風の吹く稜線や気温の下がる山頂付近でのウィンドシェルや防寒着としても使えます。一石二鳥な山道具こそ、真の軽量化アイテムなのです。
●Teton bros.(ティートンブロス)/フェザーレインフルジップジャケット
耐水性、透湿性そして耐久性に優れた3層構造のレインウェアでありながら、200gを切る超軽量性も実現したジャケット。その名の通りの羽のような軽量感は、夏山登山からトレイルランニングまでをカバー。本格レインウェアとは別にひとつ持っておきたいアイテムです。UNISEX展開なので、体型や性別に関わらずお選びいただけます。
軽量化アイテム【その2】|ショーツ
夏ならではのコーディネートといえば、軽快なショーツスタイル。単に生地で覆われる面積が少ないだけでなく、風通しがいいのも涼しさの秘訣。足さばきも軽快で、ムレや汗のべたつきもありません。タイツとの組み合わせで、着こなしの幅も広がります。
●Gramicci(グラミチ)/YAMAP別注トレイルショーツ
山歩きに必要な機能はきちんと備えつつ、デイリーユースしやすいシルエットにこだわったこのショーツ。そのポイントは、股下8インチ(約20cm)の長すぎず短すぎない丈感。化繊特有のつっぱり感を抑えるべく採用されたストレッチポリエステル素材「MINOTECH®(ミノテック®)」は、日本古来の雨具である蓑(みの)から着想を得て開発されており、急な夕立ちや雨のなかでも優れた撥水性を発揮します。
軽量化アイテム【その3】|バックパック
軽い荷物で出かける気軽なハイキングなら、背面フレームがなく、素材が軽量なものを選ぶとより一層快適に。ついつい汎用性のある大きいザックを選びがちですが、ライトハイクや日帰りの山行なら、20リットル未満のバックパックでも問題なく山歩きを楽しめます。
●PAAGOWORKS(パーゴワークス)/バディ16
幅も厚みも上が大きく底はコンパクトな逆三角形型のデイパック。従来のバックパックとは異なるこの形状が、実は背負いやすさのミソ。肩甲骨の上あたりに重心を置いた高重心設計によって、重さを感じにくく、前傾姿勢になる登り坂でもスムーズな足捌きが可能になります。豊富なアタッチメントパーツを賢く取り入れればより一層使いやすさの増す、シンプルながらこだわりの詰まったバックパックです。
●PAAGOWORKS(パーゴワークス)/スナップ
サングラス、スマホ、小銭などの貴重品、コンパスや文具などの細々したアイテムを収納できる、着脱式の小型ポーチ「スナップ」。バックパックのショルダーハーネスに取り付けたり、上部のカラビナでバックパックにぶら下げるなど、自分に合った使い方を見つけてください。同ブランド製品以外のバックパックにも取り付けが可能です。
●PAAGOWORKS(パーゴワークス)/スイッチ
ショルダーバッグやヒップバッグとして使用するのはもちろん、上の画像のようにショルダーハーネスに取り付けて使用することもできるユーティリティバッグ「スイッチ」。サコッシュのように片方の肩のみに荷重がかからないため疲れにくく、携帯や行動食などの小物の携行にぴったりなアイテム。M/L/XLの3サイズ展開ですが、バックパックに連結使用する場合は男性はLサイズ以上がおすすめです。
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Scene②|要素は減らさず重さを減らす。軽量化の基本を押さえた本格登山コーデ
本格的な登山では、軽量化のためとはいえ、安全のために必要なギアやウェア、水や行動食、防寒着などを省略するのはNG。アイテムを減らすのではなく、それぞれの無駄を省くことが、軽量化成功のポイントです。一度の山行中に何度も使える、多用途で汎用性の高いアイテムを選びましょう。
軽量化アイテム【その1】|ウインドシェル
小まめな温度調節が必要な高所登山のシーンで活躍するのが、軽量コンパクトなウインドシェル。極薄なのに保温力に優れ、1枚で手軽に温度管理が可能。あえて1枚加えて持つ意味のある、マルチに使えるアイテムです。
●Teton bros.(ティートンブロス)/ウインドリバーフーディ
通気性、ストレッチ性が備わった「パーテックスクァンタムエア」を採用したウィンドシェル。ストレッチの特性を活かし、あえてやや細身のフィティングになっています。しかし、フロントジッパーはダブルジップ仕様のため窮屈さは感じにくいのが特長です。袖には、肌寒いシーンで嬉しい空気の侵入を防ぐサムホールが用意されています。
軽量化アイテム【その2】|防寒着
軽量コンパクトで保温力の高いウェアとして、ダウンに代わって注目されているのが、濡れに強く手入れもしやすい化繊のインサレーション。ダウン並みの保温力とコンパクト性を備えるものが続々と登場しています。
●patagonia(パタゴニア)/ナノ・パフ・ジャケット
ダウンと同レベルの高い保温力を備える中綿素材「プリマロフト・ゴールド」を採用した化繊インサレーションジャケット。中綿の偏りを抑え、安定させるためのレンガのようなステッチが特徴的です。一見薄手に感じますが、保温性能は夏山のテント泊や小屋泊登山に最適。ジャケット内側の胸ポケットに本体を収納できるパッカブル仕様で携行時もストレスフリー。
軽量化アイテム【その3】|バックパック
背面パネルやフレームを省略した大容量のULモデルは、パック自体は軽くても荷物を支える剛性が不足して、逆に体への負担が大きくなることも。体力やパッキング技術によほどの自信がなければ、軽さだけにとらわれず、背負いやすさや荷重分散も意識した、バランスのいいモデルを選ぶのがポイントです。
●macpac(マックパック)/へスパー
ハーネスやバックパネル、フレーム素材などの工夫により、快適な背負い心地のための機能を落とさずに軽さを追求したファストパッキングモデル。雨蓋やウエストベルトをとりはずしたり、内蔵のフレームを取り除けばさらに軽量化が可能。ステップアップに応じてカスタマイズができる、一緒に成長していけるバックパックです。はじめから雨蓋なしの40リットルサイズもご用意しています。
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軽量化のコツは「ひとつで二役」。汎用性の高い便利な軽量ギア4選
ギアそのものを軽くすることが「軽量化」と捉えられがちな昨今ですが、手持ちの山道具を広げてみると、案外替えの効かないものも多いでしょう。実は、快適さを維持したまま軽量化を目指す際の本当のコツは、「ひとつで二役」をこなせる山道具を選ぶことなんです。YAMAPスタッフが実際に活用している一石二鳥な山道具をここでご紹介します。
1.KATADYN(カタダイン)/ビーフリー
浄水器としてエマージェンシーキットのなかに入れておくのも良いけれど、純粋なソフトフラスクとしてももちろん使えます。給水用としてはナルゲンボトルの500mlを、昼食用や予備の水分をバックパックにしまっておく際には「ビーフリー」を使用すれば、かさばるペットボトルをバックパックに入れておく必要はありません。緊急時用ではなく、あえて一軍として使用しているスタッフも多数。
2.SOL(エスオーエル)/エスケープライトヴィヴィ
軽量で保温性に優れる、エマージェンシーブランケット素材でできた、封筒型の簡易シュラフ。こちらもエマージェンシーアイテムですが、万が一の時だけでなく、シュラフカバーやテント内でのシートとして快適性を高めるためにも便利なアイテム。バックパックの防水ライナーとして使用しているというスタッフも!ただ忍ばせておくだけではもったいないアイテムです。
3.COCOON(コクーン)/タイフーンブランケット
軽量コンパクトなレジャーシート。テントの下の簡易グラウンドシートとしても活用できます。サイドポケットなどに手軽に収納できるので、休憩時や撤収前後の荷物整理にも、一枚あると快適性が上がるアイテム。敷き物として使う以外にも、荷物の雨よけや緊急時の防寒などにも役立ちます。
4.finetrack(ファイントラック)/ナノハンカチ&ナノタオル
ハンカチ18g、タオル40gという軽さで、超コンパクト。石鹸を使わず、水だけで汚れや皮脂や油をすっきり落とせます。これがあればボディシートを別で用意する必要はなし。何度も繰り返し使えるので、お財布にも環境にも優しいアイテム。濡れてもすぐに乾くため、汗ばむ季節はあえて濡らして首に巻けば、気化熱を活用して涼しさも手に入れられます。登山では手放せない1枚です。
そのほかにも、防寒のためのネックゲイターをヘアバンドとして活用したり、手ぬぐいをアイマスクとして活用するのも「ひとつで二役」。荷物は軽いにこしたことはないけれど、軽いことがいつも、すべてに勝るわけではありません。軽さだけを求めるのではなく、軽く感じること、重さを負担に感じないことが一番の目的だと考えたもの選びをすれば、体力的にも気分的にも軽やかに、夏山シーズンを堪能できることでしょう。何よりも、持っていてうきうきするような、お気に入りの道具やウェアを見つけることは、山の大切な楽しみのひとつ。夏の軽量化コーデを、これからの登山計画の参考にしてみてください。