24春夏の新作2アイテムをテスト&レビュー【YAMAP × MOUNTAIN HARDWEAR】登山ガイド・水間大輔
MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)公式アスリートであり、登山ガイドとして活躍する水間大輔さんが、YAMAPとの新作コラボレーションアイテム「コアエアシェルシャツ」と「エアトレイルパンツ」をレビュー。日本の山々を熟知した水間さんならではの視点によるインプレッションをお届けします。
Mountain Hardwear 公式アスリート
水間 大輔(みずま・だいすけ)
1978年生まれ。富山県富山市出身。ハーフパイプ競技でのスノーボードプロ資格を得る。現在は富山県立山町をベースに立山ガイドとして活動し、同時にスノーボーダーとしてバックカントリーフィールドにてスプリットボードを用いたスタイルで、さらなる奥山の斜面に思いを馳せている。 奥深い剱、立山の魅力を長期間に及ぶテント泊にて映像を集め、スライドショーや試写会を行い発信している。日本山岳ガイド協会 登山ガイド ステージII、スキーガイド ステージI、日本雪崩ネットワーク 雪崩業務従事者 レベル1
— まずは、シャツスタイルのウェア「コアエアシェルシャツ」の率直なインプレッションをお伺いできますか?
シャツスタイルのウインドシェルということで、とても楽しみにしていました。テストしたのは樹林がなく風が通りやすい低山。日差しの暑さを感じる一方、風の冷たさを感じるようなシーンもありました。
着てみてまず感じたのは軽さでしたね。一般的な山シャツはもう少し厚みのある生地を使っているので、羽織った時の軽さには驚きました。シャツスタイルはその形状から、スポーティーというよりはフォーマルな、パリッとしたイメージを持つかもしれませんが、「コアエアシェルシャツ」は生地が薄手で柔らかいうえにストレッチしますし、とても軽い。着てみると、シャツ特有の堅苦しさがないというか、ストレスがないというか、いい意味でシャツらしさがありませんでしたね。
つぎに感じたのは、「コアエアシェルシャツ」最大の特徴である通気性。通気と言っても、ダイレクトに風が抜けるというよりは、ムレが自然に抜けていく感じですね。春とはいえ、歩くとじわりと発汗するのですが、ムレが滞留する感覚はありませんでした。同時に、防風性能も備えているので、風をダイレクトに受けるシーンでは体温が奪われないのもよかったですね。寒さから身を守る防風性とムレない通気性という、矛盾する機能を両立しているウェアというのは、新感覚でした。
— シャツスタイルの使いやすさ、メリットはどのようなところにあるのでしょうか?
ボタンを開け閉めすることで通気を調整できることでしょうか。ジッパーよりも間違いなく調整がしやすいですよね。部品がボタンだけなので軽量ですし、屈んだときにジッパーが当たらないのもいいと思います。
実は、僕も以前はよく山でシャツを着ていたんです。ただ、レイヤリングを重ねていくとどうしても首周りがごわつくし、ストレッチ性があまりなくて、次第に着なくなってしまったんですよね。シャツのデザインやスタイルはとても気に入っていたんですが……。
その点、「コアエアシェルシャツ」は生地が薄手で柔らかいので、ごわつきや不快感がほとんどない。機能性スポーツウェアのようにストレッチするので動きがスムーズでした。襟周りも生地が柔らかいので、ボタンを上まで留めても苦しくないですし、レイヤリングしても圧迫感がありません。またシャツスタイルで山にいけると思うと嬉しかったですね。
— 同時に発売する新作「エアトレイルパンツ」についても教えてください。こちらはロングパンツでありながらも、「Dot Air®︎」という通気素材を使うことで汗ムレを抑えることにこだわったモデルです。
こちらはドライな履き心地が魅力だと感じました。メッシュのような肌触りと言うとわかりやすいでしょうか。生地に少し凹凸があり立体的なので、汗をかいても地肌にまとわりつかないのがいいですね。これは汗をかく夏山にもよさそうだと思いました。
そして通気がすごい。熱がすっと抜けていく感覚がありました。汗をかくときって、登っていたり歩いたりしているときですよね。動くことで風が抜けるし、止まっていれば無駄に通気することもないので汗冷えがありません。
細かいところですが、「エアトレイルパンツ」は腰回りの設計がすごくいいと思いました。アウトドア用のパンツは細身のデザインが多い上に、利便性を考えてたくさんポケットがついていたりするじゃないですか。そこにいざスマホなどの小物を入れたりすると、行動中にポケットやパンツの縫い目が肌に当たって気になってしまうんですよね。その点、「エアトレイルパンツ」は生地のドライタッチとゆとりのある腰回りのデザインの相乗効果なのか、ストレスや違和感がありませんでした。
しかも、生地がとてもよく伸びるし軽い。そのおかげか、少しゆるめのシェイプのわりには動きやすいし、登山以外でも軽いランニングなら使えそうです。シェイプも今っぽいというか、いい感じにマウンテンハードウェアらしいアメリカンなテイストが抑えられていて、コーディネートがしやすいと思います。
— 機能面だけでなく、個人的に気に入ったポイントはありますか?
「コアエアシェルシャツ」はデザインですね。シャツスタイルは大好きなのですが、いろいろな形があるじゃないですか。山シャツでも、ぼくは海外仕様の細身で着丈の長いデザインは苦手なんです。でも「コアエアシェルシャツ」は、ゆったりとしたボックスシルエット。YAMAPとマウンテンハードウェアのコラボレーションは日本人の体格にあわせてデザインされている感じが伝わってきますね。アメリカらしいカジュアルさを残しているところも好みです。
もうひとつ、「コアエアシェルシャツ」も「エアトレイルパンツ」も、スマートフォン用のポケットがついているところですね。それぞれちょうどいい位置にあって、揺れにくいような工夫もされています。ジャケットやパンツのポケットに入れることが多いのですが、歩くとポケットの中で動いてしまったり、肌に当たったりして気になってしまうんです。そんなストレスが一切なかったですね。
— 夏は連日、ガイドとして立山を歩いている水間さんですが、暑さ対策として「コアエアシェルシャツ」と「エアトレイルパンツ」はどのように役立つと思いますか?
そうですね。山行時間の短い日帰り登山であれば、軽装でサッと行って帰ってくることもできます。それこそ半袖やショーツといった選択肢もありますが、標高の高い山だったり、天気が変わるような行程の山行では、しっかりしたウェアと装備が必携です。
「コアエアシェルシャツ」と「エアトレイルパンツ」は、通気による快適性が魅力ですが、適度な耐風性があるので寒さから身を守ってくれますし、パンツも丈がロングなことで肌をしっかりと保護してくれます。快適性も大事ですが、こういった安全性も忘れてはいけない大切なポイントだと思います。そういう意味では、「コアエアシェルシャツ」と「エアトレイルパンツ」は、安全性を担保しつつ快適性も追求しているということで、これまでは暑さを我慢したり、レイヤリング調整をしながら夏山を登っていたという方にとっては、理想的なウェアになってくれるのではないでしょうか。
< 水間さんが着用しているアイテムはこちら>
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熱がこもりにくい快適な履き心地
夏山の悩みを克服するトレッキングパンツ
Air Trail Pant(エアトレイルパンツ)
高温多湿な日本の山では、行動中の汗によるベタつきや不快感が悩みの種。涼しさをとるならショートパンツも選択肢のひとつですが、登山道に生い茂る草木や岩などから素肌を守り怪我を予防することもとても重要です。そこでYAMAPは、これまでトレードオフだとされていた快適性と安全性とういう二つの条件を同時にクリアする登山用パンツの開発に着手。蒸し暑い夏の山を快適にすごすための新定番トレッキングパンツをお見逃しなく。