「MHW × YAMAP」初の別注バックパックに込めた想い|YAMAP開発担当が徹底解説
「MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)」とYAMAPのコラボレーションモデルとして共同開発した、「YAMAP別注マウンテンライト30L」。デイハイクから小屋泊・テント泊登山まで対応するロールトップ型のバックパックです。
同ブランドとの取り組みとしてははじめてとなるバックパックの別注にはどんな想いがこめられているのか、発売にあたり「別注モデルだけの特徴」「ロールトップモデルならではの使いやすさ」「フレーム内蔵による背負心地のよさ」など、その魅力をYAMAP開発担当の小谷野(こやの)がお伝えしたいと思います。
フレームザックの魅力とは?開発のきっかけ

ー バックパックの「フレーム」とは、背面部に内蔵されている骨組みのような構造のことですね。最近はUL(ウルトラライト)の流れで、フレームのないバックパックもよく見かけますが、「YAMAP別注マウンテンライト30L」は、アルミ製のフレームが内蔵されています。あえてフレームを入れた理由は?
そもそも別注をしようと思ったのが、MHWがフレーム入りのバックパックを開発しているという話を聞いて興味を持ったからなんです。
ちょうど、自分もいろいろなバックパックをテストしているうちに、フレームなしのULパックの使いにくさというか、デメリットみたいなところが気になっていました。
YAMAPユーザーからも、「荷物が安定しない」「パッキングが難しい」という声があるのは知っていました。たしかにフレームがない分、バックパック本体は軽くなるのですが、荷重が肩だけに乗るので長時間の山行で痛くなってしまうとか、荷重が分散されないので重く感じてしまうんですよね。

ー フレームを入れることで何が変わりますか?
30リットルモデルなら、日帰り登山はもちろん、夏であれば小屋泊やテント泊でも使える容量。そうなると必然的に荷物量が増え、背負う重量も重くなっていきます。
ここで大事なのが、荷重分散です。フレームが入ることで、肩、背中、腰で、しっかりと重さを分けて背負うことができます。すると歩行時の安定感が増して、重さを感じにくくなるんです。しかも、マットやテントポールなどを外付けしても、フレームがあるのでバックパックが形崩れせずに安定してくれます。

ー これだけ荷物を乗せてもガッチリしててブレないですね。ぐにゃぐにゃしません。
男性はもちろんですが、女性の方がフレームパックを使うメリットがあるかもしれませんね。背中と腰でも背負えるので、肩が痛くなりにくいですよ。
バックパックの正しい背負い方
フレーム内蔵のバックパックの場合、背負い方が重要です。山で登山者を見ていると、背負い方が合っていない人を多く見かけます。せっかくなので、背負い方をおさらいしてみましょう。

①まずはウエストベストを腰骨のあたりに合わせて締めます。骨盤で荷重を支えるイメージです。

②ショルダーのハーネスを引き上げて背中と肩をフィットさせます。

③チェストストラップを締めます。これで行動中の横揺れを抑制させつつ、背中全体への荷重の分散を補助します。

④最後にロードリフター(バックパック本体上部とショルダーストラップの付け根部分をつなぐストラップ)を引いて完成です。ロードリフターのありなしで、背負い心地、重さが出たときのフィット感が変わってきますね。
ー ぴったり背中にフィットしました!
背中全体でバランスよく背負えるのが理想ですが、荷物が重いときは腰に荷重が乗ると楽ですね。腰の骨盤の上あたりで背負う感じです。
しっかり調整できていれば、重さを感じにくくなるんです。コットを乗せてみますがどうでしょうか? 実はこれ2kgもあるんです。

ー 言われないとわからないくらいです。手に持っているときは重いと思ったのですが、全然楽。
アルミフレームがしっかりと重さを支えてくれるからなんですよね。
YAMAP別注モデルは何が違う?
ー「YAMAP別注マウンテンライト30L」ならではの特徴について教えてください。MHWのレギュラーモデルからの変更点などは?
大きな変更点はロールトップ仕様になっているところですね。レギュラーモデルは雨蓋タイプなのですが、30リットルほどのバックパックでは雨蓋がない方が荷物の出し入れがしやすいのではと考えました。
雨蓋をなくしロールトップ仕様にすることで、荷物量の変化に柔軟に対応できるようになり、同時に軽量化にもつながりました。レギュラーモデルが1100gほどですが、別注モデルでは900gを切っています。

ー 結構軽くなったんですね。
そうですね。雨蓋は頻繁に出し入れする小物を入れることが多いと思いますが、最近はサコッシュやポーチがその代わりになっていると思うんですよね。
また、本体からの荷物の出し入れは、ロールトップからだけでなく、本体横にあるサイドジッパーからも可能で、ストレスなくアクセスできます。
ー 荷物を取り出すたび、ロールトップを巻き直すのが面倒に感じてしまう私にとっては、横から荷物を出し入れできるのはとても魅力的に感じます!

ー ショルダーポケットについてもお伺いしたいのですが。
最近、ショルダーハーネスにボトルやスマホを入れられるようにポケットが元々備え付けられたバックパックをよく見かけます。便利ではありますが、必要性に応じて着脱できてもいいな、と思って面テープで取り外しできるポケットにしました。
備えつけだと、他の機能と干渉することもあるので、使わないときは外せるようにしています。外して別の場所につけてもいいですし。
ー スマホの定位置になりそうですね。
ハイドレーション用のホールから充電ケーブルを出しておけば、充電しながら使えますよ。

ー ほかにも変更点はありますか?
サイドのコンプレッションベルトを着脱・位置変更できるようにしました。
レギュラーモデルではベルトが本体に縫い付けてあるんですが、別注モデルでは取り外し可能な仕様に。これによりスノーギアなんかの大きめな荷物も、ベルトの取り付け位置を変更することで無理なく固定できるようになっています。使わないときはベルト自体を外してもいいですし。
ー ベルトやショックコード、内蔵レインカバーのプリントもオリジナルカラーですね。
僕にとってマウンテンハードウェアらしい色のひとつ、「ブラウンゴールド」をアクセントに入れてみました。いい感じだと思いますがいかがでしょうか?
楽しみ方は自由自在。拡張可能な万能バックパック

ー「YAMAP別注 マウンテンライト30L」は、ズバリどんな人に使ってほしいですか?
最近は、軽量化よりもいろいろな山の楽しみ方をしたいという人がまわりには多くて、ある程度の荷物量を快適に背負えるバックパックが求められていると思っています。山でおいしいご飯を食べたいとか、カメラを持っていって写真を撮りたいとか、いろいろあると思うんです。
そういう意味で、「つい荷物が多くなってしまう」「バックパックが重くて快適に背負えていない」と感じている方にはぜひとも試していただきたいですね。
ー 背負い心地もいいですし、荷物を慌てて入れても形が全然崩れない感じはありますね。パッキングのしやすさも「YAMAP別注 マウンテンライト30L」の魅力ですね。
ボトムが細い形状も安定感に繋がっていると思います。MHWが得意とするアルパイン向けのバックパックの技術もあると思いますが、バランス感はかなりいいですね。
「YAMAP別注 マウンテンライト30L」は、日帰りの近場の登山から小屋泊のアルプス登山だったり、ひとつあればいろいろな山行に対応できる万能なバックパックに仕上がっていると思います。

ー 小谷野さんも「YAMAP別注マウンテンライト30L」で山に行きましたか?
日帰りでは茶臼岳(栃木)や谷川岳(群馬)へ、泊まりでは八ヶ岳(山梨、長野)の天狗岳〜硫黄岳〜赤岳縦走ですね。やっぱりフレームザックっていいなと単純に思いました。これまでは、自分もフレームレスばっかりだったんですが、フレームが入っていることで全然疲れない。本当にラク。
ー 背負ってみないと、この軽さというか、安定感はわからないですよね。

軽くして出かけることが、どんどんめんどくさくなっていて……。最近はテントのアウターとコットでテント泊してるんですよ。寝心地を高める追求をすると、荷物って重くなってしまうんですよね。行動中以外の時間をどれだけ楽しくできるか、というのもありますね。
ー 過ごし方を豊かにしようと思ったら、なんかいろいろ持っていきたくなりますよね。
軽くするのもいいんですが、楽しみはどんどん広げていきたい。そんな方にオススメのバックパックです。
「YAMAP別注マウンテンライト30L」で登山をもっと快適に

バックパックは、登山における三種の神器のひとつ。背負い心地のよさが、山行の楽しさや快適性を大きく左右します。体にしっかりとフィットし、使いやすい機能を備えているバックパックを選ぶことで、余計なストレスがかからず、体力の消耗を抑えられる。きっと、「YAMAP別注マウンテンライト30L」が登山をもっと快適に、楽しくしてくれるはずです。
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