テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

私たちは、1日、1週間、1ヶ月のうち、すべての時間を自然のなかで過ごしているわけではありません。平日の3分の2の時間は睡眠や仕事などにあてられていたりと、自分の意思で使うことのできる時間は、非常に限られています。仕事や日常生活の疲れが溜まっているときは、なかなか「山へ行こう」「体を動かそう」という気持ちにもなれないものです。

限りある余暇の時間のなかで、自分の心がおもむくままにアクティブに行動するためには、ココロとカラダが健康な状態である必要があります。

日本発のスポーツライフスタイルブランド「NEUTRALWORKS.(ニュートラルワークス.)」は、そんな 「いつでも動き出せる状態」をサポートするために、アクティビティの最中だけでなく、その前後にある「コンディショニング」にもフォーカスをあてたプロダクトを提案しています。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

ブランドのタグラインでもある「GET YOU READY」。「“READY”な状態」という言葉には、シンプルな「健康」とは少し異なる深い意味がありました。ブランド事業部長である大坪岳人さんと共に「NEUTRALWORKS.」の哲学に迫ります。

ー「ザ・ノース・フェイス」「マックパック」「アイスブレーカー」など海外発のアウトドアブランドの日本展開や製品企画を行うスポーツアパレルメーカー「ゴールドウイン」のオリジナルブランドとして立ち上がった「NEUTRALWORKS.」。立ち上げの経緯やブランドに込められた想いについて教えてください。

「NEUTRALWORKS.」は、2022年から始まったスポーツライフスタイルブランドですが、実はもともとはショップとして始まったものでした。2016年、外苑前に「ニュートラルワークス東京」としてカフェ、ショップ、ジム併設の3階建て複合施設として誕生したのが始まりです。

当時からコンセプトは大きく変わっておらず、カフェ、ショップ、ジム、すべてがコンディショニング、つまり「整える」をテーマにして展開をしていましたね。当時、それまでの一般的なジムは、「鍛える、痩せる」などがメインの目的だったのに対し、「ニュートラルワークス東京」ではストレッチルーム、低酸素室などを設け、水素吸引などの体験ができる空間として用意していました。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは旧店舗「ニュートラルワークス東京」

ー ショップからブランドへと変化したのはなぜですか?

コロナの影響が大きかったでしょうか。長い自粛期間でお店に足を運ぶことも難しくなり、東京オリンピックも延期になってしまいました。コンディショニングの「場」として用意していたショップに、そもそも足を運べなくなってしまっては本末転倒です。しかし、ショップが掲げるコンセプトや想い自体にブレはなく、伝えていくことに意味も価値も感じていました。そこで、お店に来なくてもコンディショニングができるように、プロダクトやメディアを通して接点をつくっていこうと考え、ブランドとしてのリスタートが決まりました。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

ー 多くのスポーツブランドやアウトドアブランドは、そのフィールドにいる時間をサポートするプロダクトを開発していると思いますが、あえてその前後の時間である「コンディショニング」をブランドの軸としているのはなぜですか?

自分自身もこのブランドと関わるようになって気付かされたことではあるんですが、日常から自分の状態を「◯点だ」と意識している人ってあんまりいないんですよね。「疲れたな」って感じた時にどうやってそれを整えるのか、そもそも疲れにくい自分をつくることやコンディショニングの方法を知らない人って、現代ではすごく多いんです。だからこそ、その点に着目しました。

自分たちの生き方やアイデンティティのひとつであるアウトドアやスポーツを全力で楽しむために、カラダとココロを整え「“READY”な状態」をつくることはとても重要なこと。しかし、食や美容の世界では多く見かけるようになりましたが、“準備ができた状態をつくる”とか、“体と心を整える”といったことを手掛けているアパレルブランドは、ほかにないと思うんです。

「“READY”な状態」をサポートをすることが、結果としてアクティビティを楽しめる状態をつくることに繋がる。この信条こそが「コンディショニング」にこだわる理由ですね。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

ー「NEUTRALWORKS.」 の考える「コンディショニング」とは?

「コンディショニング」というのは、ココロとカラダを最適化すること。私たちは「ニュートラルな状態」または「“READY”な状態」と定義しています。「健康」と表現するには少し異なるニュアンスで、カラダやココロのゆらぎを受け入れて、その人自身が持つ本来の力を発揮しやすくなるよう調整されている状態。個人差はあると思いますが、そんな状態を「ニュートラルな状態」と呼ぶのかなと思います。

ー「NEUTRALWORKS.」の思想を体現するようなプロダクトはありますか?

「NEUTRALWORKS.」では、24時間のココロとカラダをサポートするために「MOVE」「SLEEP」「WORK」「NSKIN」の4軸のカテゴリでプロダクトを提案しています。このカテゴリ構成そのものが、「NEUTRALWORKS.」の思想を表現しているように思いますね。いかに自分の状態を理解し、ニュートラルな状態を作れるかにトライしていく商品群です。肌着や寝具なども、24時間のなかで多くの時間を共にするもの。無意識の状態の質を高めることもコンディショニングのひとつであると考えています。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは肌着カテゴリの「NSKIN」(左)と寝具や寝間着を提案する「SLEEP」(右)

「WORK」カテゴリでは、日常の中にある色々な「WORK」を支える服として企画をしています。仕事はもちろん、家事もひとつの「WORK」ですよね。そう考えると、一人きりで自分のためだけに「WORK」をしている人っていないと思うんです。仕事にせよ、家事にせよ、必ず自分以外の人と関わるもの。だからこそ、「本人だけでなく、関わる人にとって良いか」も考えながら企画をしています。具体的には、清潔感のあるデザインや匂いの気にならない素材を採用するなど。私たちの存在は、自分以外の他者、スケールを広げれば地域や社会が良くないと成立しない。「自分だけがGOOD」な状態は、私たちの考える「ニュートラルな状態」ではないですね。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

ー 人の枠を超えて地球や環境のことまで視野を広げているのですね。

最近よく耳にする「Well-being(幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態)」という言葉ですが、これはひとりだけで成立するものではありません。たとえば、自分が肉体的に健康な状態でも、パートナーや友人、会社や地域に関わる人々や環境の状態がよくなければ、Well-beingではない。これからのブランドやものづくりは、この視点がなければ成り立たないと感じています。「NEUTRALWORKS.」では、地球のWell-beingを目指して、Goldwinの環境基準を守りながらものづくりをしています。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは廃棄されたバナナの茎を有効利用した繊維を採用した製品(左)と魚網のリサイクル繊維が含まれたポロシャツ(右)

私はニュートラルワークス事業部に移る前、「ザ・ノース・フェイス」のアパレル企画の統括ディレクターをさせてもらっていたのですが、「ザ・ノース・フェイス」が掲げる『NEVER STOP EXPLORING.』の思想を今でも大切にしています。ですが、「NEUTRALWORKS.」を始めてからは、ただ突き進むだけの冒険ではなく、「誰かのために」をより一層大事にするようになりました。知らないコト・モノ・ヒトを伝えて「持続可能」を作る、このことに大きな意義を感じるし、それを体現することで、理解者を増やしたいと思っています。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

ー アウトドアをライフスタイルに取り入れている人たちにおすすめの製品はありますか?

ゴールドウインのオリジナルブランドとして、10年以上展開していた「MXP(エムエックスピー)」というブランドをご存知でしょうか。「臭わない、を着る。」をコンセプトに、主に登山シーンでの汗や身体のニオイの原因を中和する消臭テクノロジー「マキシフレッシュ®プラス」を開発・提案していたブランドです。「マキシフレッシュ®プラス」は加齢臭にも効果があると証明されたことでJAXAに興味を持っていただき、宇宙飛行士たちが着用する「宇宙下着」にも採用されました。

そんな「MXP」の抗菌機能、消臭機能、保温機能、制電性、動作快適性、着心地の良さなどは私たちが掲げるコンセプトと非常に親和性が高いということで、2023年の2月からは「NEUTRALWORKS.」に合流することになりました。YAMAP STOREでも取り扱いのある「スムースコンフォート」シリーズも、このMXPのテクノロジーが継承されたものです。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは
テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とは

一見シンプルな無地Tシャツだからこそのこだわりがたくさん詰まっています。例えば、生地に適度なハリ感を持たせることで実現した身体にまとわりつかない快適な着心地や、ステッチ(縫い目)が極力表に出ないように設計することで生まれるミニマルかつ上品な雰囲気など。ここまでは他のブランドでも似たようなものがあるかもしれませんが、汗や加齢臭のニオイをカットする「マキシフレッシュテクノロジー」が加わることで唯一無二の無地Tシャツになります。オーガニックコットンを80%、ユーカリの木や廃材、間伐材を原料にした再生繊維を20%使用し、環境配慮型素材のみで作られていることも大きな特長です。

綿素材の衣類はアウトドア業界ではタブーと見なされがちですが、『山行の帰りやお風呂のあとも合繊繊維の服を着たいか?』と言われれば、私自身の答えは『NO』。肌馴染みのよい綿素材の服を着る方が気持ちいいですよね。実際に、スポーツアクティビティの前後に愛用してくださるお客さまがとても多いアイテムでもあり、ビッグシルエットなデザインのため、下はタイツやランショーツでも上にこのTシャツを着ているだけでこなれ感があるとご好評いただいています。

そのほか、吸湿速乾となめらかな肌触りが特長の「MXP/ファインドライ」シリーズを継承した「NSKIN」のアンダーウェアはアクティブシーンにもデイリーユースにもおすすめ。こちらも加齢臭対応の消臭機能付きで、ギフト需要も高いアイテムです。

ー 「NEUTRALWORKS.」が考えている今後の展望を教えてください。

「NEUTRALWORKS.」は、『アウトドアやスポーツをコンセプトにしたブランド』ではなく、『生活に欠かせないブランド』になりたいと考えています。あそこに行けば良いものに出会える、そう思われるブランドであり、ショップを目指しています。

テクノロジーで地球と人のゆらぎを整える。ニュートラルワークス.が掲げる哲学とはブランドとしてリスタートを切ったのち、2022年11月にオープンした恵比寿店(右)

まだまだ挑戦できていないこともたくさんあります。医療機器としての認可がとれるくらいの製品づくりにもトライしていきたいし、外苑前の旧店舗で実施していたスムージーの提供も再開したい。一人一人のお客さまはもちろんですが、企業を巻き込んで従業員のココロとカラダを整えるようなBtoBサービスの展開も検討しています。人、社会、環境のゆらぎに寄り添い、「整えたい」と思ったときに必ずそばにいられる、そんなブランドや場所でありたいと思っています。

大坪 岳人(おおつぼ がくと)

大坪 岳人(おおつぼ がくと)

1979年石川県出身。2004年ゴールドウイン入社。「ザ・ノース・フェイス」のアパレル部門のマーチャンダイザーとして素材開発から製品企画を担当し、21年まで同ブランドのディレクターとして企画とマーケティングの統括に従事。同年4月から「GET YOU READY」をタグラインに、ココロとカラダをニュートラルに整えいつでも“READY”な状態へとサポートするブランド「ニュートラルワークス.」の事業部長に。

    紹介したブランド

    • NEUTRALWORKS.

      NEUTRALWORKS.

      スポーツライフスタイルで24時間を過ごしたい人たちの、ココロとカラダを...

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