冬のはじまりを南房総の低山で|小春日和ハイキングにおすすめギアをレビュー
日帰りハイキング志向のユーザーさんへ向けて、季節×ロケーションを軸にアイテムレビューをお届けする本連載。
前回は、早秋の北八ヶ岳で秋の日帰りハイクにおすすめのアイテムをレビューしました。
前回にひきつづき、アウトドアライターの大城実結さんが旅の様子をレポート。今回の舞台は、初冬を迎えた南房総・烏場山(からすばやま)。のんびりとハイキングを楽しみながら、冬の低山ハイクで活躍するアイテムをご紹介します。
この記事で紹介するアイテム
心和む、花嫁街道ほがらかハイクへ
こんにちは、ライターの大城です。
ある晴れた朝、ふと思い立って「今日はのんびり登ろうか」と低山に向かう。そんな時間は、私の愛するもののひとつ。
取材へ行ったのは初冬を迎えた週末でした。寒い地方の初降雪のニュースが報じられるなか、南房総には南国を思わせる暖かな雰囲気が漂っており、万全な寒さ対策しつつもどこか肩の力が抜けたような感覚に。
今回登ったのは千葉県・烏場山。もしかすると「花嫁街道」という名前を聞いて、ピンとくる方が多いかもしれません。
花嫁街道の由来は、その名の通り「かつて花嫁が通ったから」なのだそう。昔は山間と海辺の集落を繋ぐ交流道として利用されてきた道で、潮汲みから生活物資の往来、通学路として生活道として使われてきました。さらには花嫁行列もこの道を通って嫁いでいったことから、この名前が残っているそうです。
烏場山は標高266mの低山ですが、山頂からは房総の山々をはじめ、晴れた日には伊豆半島や富士山、伊豆大島なども見えるとのこと。テレビ番組でも取り上げられた山として、関東近郊のハイカーに親しまれている一座です。
今回のハイキング概要
●テーマ:冬の晴れ間を狙って低山ハイキング
●総距離:11.1km
●獲得標高:608m
●コース上の特徴:距離は少々長めだが、獲得標高は控えめ。のんびりとハイキング気分を味わえる。
●季節:初冬
●その他:昼食は下山後、近くのカフェで
今回登場するアイテムは5つ
そんなハイキングへ持って行ったのは、以下のウェアやギアです。トレイル歩きの様子と合わせて、それぞれ詳しくご紹介しますね。
【ヘッドウェア】ビレイフラップキャップ/ハロ コモディティー
【フリース】YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット / マウンテンハードウェア
【ボトムス】YAMAP別注ウィンタートレイルパンツ/グラミチ
【バックパック】YAMAP別注 マウンテンライト30L/マウンテンハードウェア
【サブバッグ】YAMAP別注 2WAYサコッシュ/マウンテンハードウェア
履いてわかった、2〜3本欲しくなるパンツ

実は私こと筆者、秋冬ハイク用のパンツに困っていました。
タイツ+夏パンツだと心許ないし、かといって雪山を想定したパンツはオーバースペックである上に、見た目の“ガチ感”が否めない。心地良く歩けて、こなれ感があるパンツが欲しい ── そんな私の思いに応えてくれたのが、「YAMAP別注ウィンタートレイルパンツ」でした。
YAMAP別注ウィンタートレイルパンツ|グラミチ

ウィンタートレイルパンツの開発コンセプトは「冬山で使える機能と、街でも着られるデザインの両方を、どちらも妥協せずに手に入れること」。一度履けば、その心地よさとほどよい保温力、丈感に納得です。
着用してまず最初に感じるのが、肌当たりも優しく肌離れもグッドな素材感。採用したのは台湾のテキスタイルメーカーSINGTEXが作る「STORM FLEECE(ストームフリース)」という素材です。表はさらりとした触り心地のソフトシェルで、耐久撥水加工も施されているため多少の雨でも安心。
そして肌に当たる内側は目の詰まった短い起毛で、グリッド状のスリットが施されています。保温性を発揮しながらも肌離れが良いため、蓄熱しすぎずにちょうど良い温度を保ってくれます。この日も、ハイクアップ時は汗ばむほどの陽気でしたが、オーバーヒートはせずドライな履き心地をキープしてくれました。
よく伸びる4wayストレッチ+スタンダードなテーパードシルエットで、足の伸縮もらくらく。ストレスフリーに足の上げ下げができ、ハイキングの快適性をサポートしてくれます。

そして個人的に気に入っているのが、この絶妙な丈感。フリースとお揃いの赤色にした靴下がチラリと見えるのは嬉しかったです。
ちなみに私は身長163センチで着用サイズはSでしたので、靴下チラ見せを楽しみたい方はご参考に。アイテムページにはスタッフ着用比較画像もありますので、好みのサイズを探してみてくださいね。
冬の陽気に映えるノスタルジックなキャップ

冬ハイクの定番ヘッドウェアといえばニット帽ですが、一辺倒になりがちですよね。とはいえ、状況に合わせて露出する耳も温めたいし、デザイン的にもコーディネートのアクセントになるといいな。そんな方におすすめしたいのが、ビレイフラップキャップです。
ビレイフラップキャップ|ハロ コモディティー

ビレイフラップキャップの良いところは、キャップでありながら「頭の体温調整しやすい」ところ。フラップ部分にはフリース生地が施され、耳から首元までしっかり覆い、保温性を高めてくれます。
この日のハイクのように暖かな日は、フラップ部分を折り上げて風通し良く、寒くなれば下げて耳や首を保温できる作りとなっています。
本体には耐摩耗性と伸縮性に優れたCORDURA生地を採用。ギュッと畳んでザックに収納してもヘタれない上に、コンパクトになります。加えて、80gとかなり軽量。帽子が不要なシーンや、旅先でもフットワーク良く出し入れできるのも大きな魅力ですね。
結局ロールトップ仕様30Lが最強なのでは?

正直、日帰りハイクに30Lバックパックは不要なのでは、と思っていました。ただ、ロールトップ仕様のバックパックであれば可変性が高く、容量に合わせてサイズを調整できるのも事実です。
となれば、今回のようにライトな山歩きはもちろん、コーヒー用具をすべて詰め込んで出かける「コーヒーハイク」から、おやつをたっぷり忍ばせた「ご褒美ハイク」、さらには山小屋泊の登山まで。そんな幅広いシーンをしっかりと担ってくれるバックパックをご紹介しましょう。
YAMAP別注 マウンテンライト30L|マウンテンハードウェア
「YAMAP別注 マウンテンライト30L」は、シンプルながら使いやすいロールトップ型のバックパックです。背負い心地やパッキングのしやすさを考慮し、背面にはアルミのフォームフレームシートを装備。これにより、荷物の量にかかわらず綺麗なシルエットを保ち、安定して背負うことができます。
ロールトップ仕様ですので、メイン開口から荷物を出し入れできるのはもちろん、サイドジッパーから収納物へのアクセスも可能。防寒着やジャケットの出し入れにも向いています。

例えばこの日、想定以上に暑くなったため、行動中もサイドジッパーからフリースの出し入れを頻繁にしました。そんなときにも、30Lを背負っていれば安心です。防寒着が嵩張る冬の低山ハイクでの有用性を感じた一幕でした。
荷物を収納してロールトップできっちり高さを調整し、最後にコンプレッションをすれば内容物がブレることなく安心して背負えるのはとても便利。日帰りハイクから山小屋泊まで挑戦したい、と考えている方におすすめできるバックパックです。
あったらいいな、を詰め込んだ究極サコッシュ
ハイキングの定番スタイルに、バックパック+サコッシュのダブル収納スタイルがあります。サコッシュといえば、シンプルな四角い袋状が一般的ですが、その利便性を最大まで引き出したアイテム──「YAMAP別注 2WAYサコッシュ」をご存知でしょうか。
YAMAP別注 2WAYサコッシュ|マウンテンハードウェア


確かなものづくりで定評のあるマウンテンハードウェアとYAMAPが、登山者の声を聞いて作り上げたサコッシュがこちらです。
この日、私が特に便利さを実感したのが、底部にしっかりと施されたマチでした。広げると7センチほどの幅になるため、この日私はミラーレス一眼レフを入れて持ち運んでいました。生地感も厚みがあり安心感を持って使えます。

表のメッシュポケットには手ぬぐいをイン。携行食や飴を入れるのにも良さそうですね。肩の紐も幅広でクッション入りなので、紐タイプのサコッシュと比べて肩への負担も感じづらいのも良いところです。
さらにこのサコッシュは、衣類なども入る大型バッグを内蔵しており、下山後にはお買い物袋に大変身。うっかりエコバッグを忘れた時でも安心です。
肩にかけられるショルダータイプなのも頼もしいポイント。これなら道の駅でも気兼ねなくお土産や地元野菜を存分に買って帰ることができますね。
暖かい空気を纏うアクティブフリース

房総の初冬はまだまだ暖かかったのですが、稜線で風に吹かれていると心許なく感じます。そんなときに羽織ったのが「YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット」。
着回しやすいカラー展開と、さらに使いやすくアップデートされた2025年モデルに注目です!
YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット|マウンテンハードウェア
まずひと目見て「素敵な色味!」と感激したのがこちらの1着。
新作のカラーラインナップは、ブラック・グレー・ボルドーの3色。モノトーン+赤色という、洗練されたカラー展開です。個人的に推したいのは「ボルドー」。というのも、女性向けの赤色といえば、少し黄色がかり明るすぎたり、紫色に寄りすぎていたりと、アウトドアラインでちょうど良いボルドーカラーを見かける機会はなかなかありませんでした。
満を持して「ちょうど良い色味が出たぞ」という感動をまず伝えさせてください! もちろんブラックもグレーも、シックで都会的な雰囲気さえ感じさせる色味です。コーディネートに合わせて選んでみてくださいね。

そして素材にもポーラテック社の「ハイロフトグリッド」という生地を採用しており、通気性を高めつつ、空気層を持たせることで保温性も向上しています。
汗抜けが良く、冬であれば1日中着用できると謳っているアイテムではあるものの、この日の南房総は季節外れの暖かさ。そのためハイクアップ時には脱いで、山頂から下山まで着用し、程よく保温するという使い方が適切でした。
ブラッシュアップされた新作ジャケットは、首後ろにドローコードを配してフィット感を高められるようになったり、袖にサムホールが追加されたりと、より暖かさを逃がさない構造に進化しています。
暖かく柔らかで、汗蒸れ知らずなこのジャケットは、実は寒暖差の激しい都会の電車通勤でも大活躍します。まさに山でも街でもフットワークの軽くなるジャケット、ぜひ袖を通してみてください。
静かに癒やされるトレイル、下山後のほっこり幸せ
というように、あらゆるギアについて「どう使おう」「これは便利だ」などアレコレ考えていた矢先、見上げた空があまりにも美しくて、途中から細かく考えることをやめてしまいました。ここだけでしか味わえない空気や情景をたっぷり吸収して、あとは原稿を書く未来の私に任せよう、と。
そして烏場山の山頂に到着。いわゆるピークハントで得られる大きな喜びとは感覚が違い、心地良い幸せがどこまでも続いているような山でした。

かつてここを歩いて山側もしくは海側の集落へ嫁いでいったお嫁さんたちも、このような景色を見ていたのでしょうか。
冬至(とうじ)間近の日中はあまりにも短いため、西日に急かされながら下山となりました。そこから腹ぺこで向かったのは和田浦駅から徒歩3分の「わだぱん」。看板犬に歓迎されながら、自家製パンとチャイをいただくことに。
お店のお母さんに今日の山のお話をすると、この地域の話や他愛のない話で盛り上がって、楽しい時間はあっという間に過ぎ去ります。

週末の低山ハイクで、知らない山や地域、初めましての人と出会うことって幸せだな。そんな当たり前の喜びを噛みしめる名もなき週末。椅子から立ち上がるとやはりグラミチのパンツの履きやすさに驚いてしまうのでした。
大城 実結(おおしろ・みゆう)
学生時代に「衣食住を担ぐ」魅力にハマり込み、自転車や登山などアウトドアを垣根なく楽しむ。「サイクルスポーツ」などの雑誌や、各種Webメディアで執筆中。モットーは体当たり。比較的どこでも寝られる特異体質を持つ。




