パタゴニア春夏新作続々入荷!“新定番”候補生たちをピックアップ!
パタゴニアといえば、長く愛され続けるロングライフなアイテムが多いのも特徴です。中には創業当時からリニューアルし続けていたり、リバイバルするアイテムたちもあります。2023年の春夏シーズンでも、そんな長く使い続けられそうな“新定番”とでもいうべきアイテムたちが続々入荷中です。そんな中でも、ここでは特にYAMAP STOREに新しく加わった5つのアイテムをピックアップしました。それぞれのアイテムを紹介してくれるのは、ライターの櫻井卓さん。パタゴニアのアイテムを長年愛用してきた櫻井さんの目線で“新定番”たちを掘って行きたいと思います。
櫻井 卓(さくらい たかし)
1977年生まれ。「TRANSIT」「Coyote」などの旅雑誌の他、登山雑誌「PEAKS」やアウトドア誌「Be-pal」、ファッションカルチャー誌「Houyhnhnm Unplugged」など多数のジャンルで執筆中。趣味は海外のトレイルを歩くことで、好きなエリアはカリフォルニアのヨセミテ北部。
漁網リサイクルで生まれた3レイヤー・レインウェア
■patagonia(パタゴニア)/スレートスカイジャケット
自然の中で遊ばせてもらっているわけですから、登山者にとって環境への配慮は当然の義務だと思います。いまでは、当たり前のような顔でこんなことを言っている僕ですが、そのことに気付かせてくれたのも、パタゴニアという企業の存在が大きいんです。
パタゴニアと言えば、アウトドアブランドの中でもいち早く環境負荷軽減への活動を始めたことでも有名。有名な「クリーンクライミング」にはじまり、これまでにも様々な取り組みをおこなってきていますが、その最新バージョンと言えるのが「ネットプラス」と呼ばれる取り組み。海洋プラスチック汚染を減らすため、廃棄されていた漁網などのプラスチックををリサイクルし、ウェアに採用するという試みです。
これまでは、ウェアの一部などに使用されるのに留まっていましたが、この新しいレインウェア「スレートスカイジャケット」のメイン素材はほぼ100%漁網リサイクル。もちろん環境への配慮だけでなく、機能的にも入門登山から数泊の縦走登山まで対応する3レイヤージャケットに仕上がっています。
特徴的なディティールとしては、胸上のフラップ。スナップボタンで留めることができるので、雨に降られたらフラップだけ閉じてジッパーをフルオープン。こうすればポンチョ的に使えるので蒸し暑い梅雨時期などにすごく重宝するはずです。
この胸のフラップはデザイン的にも良いアクセントになっていますし、ネットプラス以外にもフッ素を使わない撥水加工など環境配慮も万全。文字通り“胸を張って”着続けられる。そんなアイテムだと思います。
一度着たら病みつきに!愛用者多数の中間着
■patagonia(パタゴニア)/ナノエアライトハイブリッドフーディ
「ナノエア・フーディ」がリリースされた時に大感動した記憶があります。それまでの化繊中綿の概念を覆すような圧倒的な汗抜けと保温性の見事な両立。2014年のデビューと同時に購入したのですが、いまだに山行の時は季節を問わず常に携行している不滅の四番バッターです。ただ、やはり春夏に着用するとなると、ちょっと暑いかなと思うことも。
そんな中で訪れたこの「ナノエアライトハイブリッドフーディ」の復活の知らせ! 実は2019年に一度廃番になったアイテムなんですが、愛用者の熱い声に後押しされて復活。「ナノエア・フーディ」をさらに尖らせたアイテムで、背面パネルや脇の下、腕の内側に、R1エアのニットパネルを配することで、汗をかきやすい場所の通気性が格段にアップしています。このことで、山行中はずーっと着っぱなしという使い方をしやすくなっています。
行動中のレイヤリング変更って、けっこう手間ですよね。「ザックを下ろし、取りだし、脱いで、着て、しまって、背負う」こうやって文字にしてみると分かるように、意外とアクション数が多い。この動作をすることなく、山行を続けていけるというのは、無精者の僕としては、ありがたい限り。テクニカルなルックスなので、街でも山でも! みたいな使い方は難しいかもしれませんが、山の中においてはまさに万能選手。愛用者たちがこぞって復活を望んだというのも納得の“一度着たら手放せなくなる”アイテムだと思います。
使えるシーンが多すぎる!全方位型万能パンツ
■patagonia(パタゴニア)/R1デイリーボトム
気付けばついつい着ちゃってる。そんなウェアと出会えるほどシアワセなことはないと、個人的に思っています。この「R1 デイリー・ボトムス」はまさにそんな存在です。その最大の理由はその汎用性の高さにあると思います。
素材に採用されているのはR1デイリー。R1シリーズのちょうど中間に位置する素材で、通気性と保温性のバランスがすごく良いんです。裏地が起毛フリースになっていて肌触りが良い点も個人的には高評価。
使い方としては、小屋泊や縦走の時にサブパンツとして持って行くのが良いですね。小屋やテントではリラックスウェアとして1枚で着用できますし、伸縮性や速乾性にも優れているので、行動着としても問題なく機能します。さらには寒い時期にはインナーとして使えるスリムなシルエット。
サブパンツっていままでは、軽量化のために真っ先に省いていた装備なんですが、これだったら持って行きたい! もちろん山以外でも部屋着としても最高ですし、寒い時期のランニング用パンツとしても使える。とにかく1着持っていたら、さまざまなシチュエーションに対応してくれるのは間違いないと思います。
長年寄り添う相棒はシンプルこそベスト
■patagonia(パタゴニア)/テラヴィアパック
自身がバックパックに求めることとしては、『それひとつでいろいろ使える』というのを重視しています。そうなるとシンプルイズベストの境地になっていくのが常なんですが、この「テラヴィアパック」はまさにそんな存在です。
メインのコンパートメントはとうぜん1気室。本当に必要な箇所にだけ取り付けられたポケット配置。いろんなディティールが「必要かどうか」という基準にもとづいて、シビアに突き詰められている。一言で言うと、とても“潔い”バックパックだと思います。使い方としては28Lは日帰りや1泊2日の小屋泊まり。36Lを選べば、小屋泊利用の、さらに長期間の縦走も可能だと思います。
シンプルであるがゆえに、工夫次第でさらに使い勝手が向上していく感じも個人的には好きなポイントです。パッキングが上手になればなるほど、驚くほどたくさんの荷物が入るし、自分に馴染んでくる感覚を味わえるのは、やはりこういうシンプルさが大切だと痛感させられました。素材にも耐久性が高いものが採用されているので永く付き合って行けそうな“共に育って行く”相棒のようなバックパックだと思います。
今回、「長く使える」ということにフォーカスしてピックアップしてみましたが、ロングライフであるということは、それだけ買い替えのタイミングが少なくて済むということ。それだけでなく「パタゴニア」が提唱する「余計なものを買わない/売らない」という考え方にもマッチします。長く使えるというのは、コストパフォーマンスに優れるだけでなく、その分、製品を無駄に製造し続ける必要がなくなっていくということにも繋がります。
つまり、同じ物を長く使い続けていくことで、環境負荷軽減にもなっていく。限りある資源と自然環境を守りつつ、末永くアウトドアで遊ぶには、アイテム選びからシビアにしていきたいと、あらためて感じさせるアイテムばかりでした。
これからのアウトドアウェア選びで、少しでも長く、大切に使えるものを選ぶための参考にしていただけますと幸いです。
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