パタゴニア「最新アウトドアパンツ」3モデルをアルプス登山で徹底レビュー!
待ちに待った夏山シーズンが到来。登山好きにとってはテント泊登山や縦走登山など、アクティビティの幅が広がる嬉しい季節のはじまりです。そんな夏山登山を控え、ジャケットにシューズ、バックパック、テントなど装備チェックは抜かりないと思いますが、あらためてチェックしてほしいのが登山用のパンツ。
今回は、新モデルが3つも登場した「patagonia(パタゴニア)」にフォーカス。テクニカルな登山に対応する「アルトヴィアアルパインパンツ」、ロングトレイルのような長距離山行に最適な「アルトヴィア トレイルパンツ」、そしてあらゆる登山シーンで活躍するマルチな「ポイントピークトレイルパンツ」を徹底レビュー。八ヶ岳を中心に登山ガイドを行う武井滋幸さんのコメントも合わせてお届けします。
![パタゴニアの最新アウトドアパンツをアルプス登山で徹底レビュー](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/78d65f74777d47f3980343dd5547c570/20210727_articles_patagonia-new-pants-2021_main_01.jpg?w=1000)
テクニカルなシーンにも対応する中厚手の多機能トレッキングパンツ。
「patagonia / アルトヴィア アルパインパンツ」
まずは、パタゴニアのアウトドアパンツのフラッグシップモデルとも言える「patagonia / アルトヴィア アルパインパンツ」からご紹介。こちらはソフトシェルのような少し厚めの生地感が特徴。ターゲットとしては、岩稜帯のあるアルプスやアルパインクライミングなど、テクニカルな要素のある登山。岩や枝などとのスレを想定しているため、生地が厚く耐久性を高め、肌を守ってくれる効果を持たせているんです。
シルエットは比較的細め。お尻まわりはゆったりしながらも、膝から先はテーパーがかかりスッキリした印象です。ストレッチ性と立体的なパターンを採用していることもあり、足上げ、足さばきはとてもスムーズ。
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中厚手と聞いて気になるのが「動きやすさ」ですが、心配ご無用。軽量かつ伸縮性に優れる素材を使っているため、大きく足を上げても突っ張る感覚もなくスムーズ。伸縮性の秘訣は、4方向に伸縮するドビー織りによるもの。肌触りも柔らかいので着ていてゴワつきを感じることはありません。
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アルプスのような高山では、朝晩の冷え込みも気になります。「patagonia / アルトヴィア アルパインパンツ」は適度な防風性も備えているので寒さを感じることもなく、一方で通気性もあるため汗ムレも最小限。夏山シーズンのハイキングではオーバースペックかもしれませんが、岩場や藪漕ぎをするような山行ではその耐久性が効果を発揮してくれるはずです。
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「patagonia / アルトヴィア アルパインパンツ」の大きな特徴が、2種類の生地を組み合わせていること。膝とお尻、裾の内側などのスレやすい箇所にのみ厚手の生地を重ねているんです。これにより岩などとのスレから体を守りながらも、全体の軽量化や通気性を確保しています。
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傾斜の高い岩場をよじ登るときに擦りやすい膝まわり、歩行時にシューズがぶつかりやすい裾の内側、加えて、座ったときに穴が空きやすいヒップの3箇所に強度の高い素材が配置されています。
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サイドに2つ、ヒップの右に1つ、として右のふとももに1つ、合計4箇所のポケットを採用。いずれもジッパータイプで小物の携行も安心です。
裾のコードはシンプルでありながら高機能なパーツを採用。引っ張って割れ目にコードを引っ掛けるだけの簡単操作も魅力です。
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武井さん「ストレッチ性の高い2種類の生地が適所に配置されているのですが、どちらも薄い生地なので夏でも履きやすく感じました。3つある前ポケットは全てベンチレーションの役割もあります。膝のポケットはかなり下にあり、大きさもギリギリスマホが入るくらいの大きさです。歩くとかなりブレるのでスマホの持ち運びは現実的ではないかもしれませんが、サイズ感の参考にしてください。今回紹介する3つのパンツの中では、機能性、快適性、シルエットなどの面で、これから夏に履くには1番バランスが良いパンツだと思います」
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「patagonia / アルトヴィア アルパインパンツ」はこんなシーンにオススメ!
☑︎ 槍ヶ岳や穂高岳など、岩場が多いエリアの山行
☑︎ 藪漕ぎやバリエーションルートなど灌木のあるルート
☑︎ アルパインクライミングなど、ハーネスを着用するアクティビティ
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通気性と伸縮性に優れ、ライトトレッキングに最適。
「patagonia / アルトヴィア トレイルパンツ」
「patagonia / アルトヴィア トレイルパンツ」は、その名のとおりトレイル歩きのためのアウトドアパンツ。軽量性と伸縮性を追求し、長距離歩行の際の継続的なストレスは最小限に。どこまでも歩いていけそうな軽やかさが魅力です。
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夏山登山では、暑さ対策でショートパンツを選ぶこともありますが、枝や岩でケガをするリスクもあるため、できればロングパンツがベター。「patagonia / アルトヴィア トレイルパンツ」は夏向けということもあり、生地は薄手。サラッとした着心地と相まって夏山でも比較的クールに着用できます。細身のすっきりしたシルエットも好印象。
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長距離を歩く場合、足上げ時の疲労をいかに軽減できるかがポイント。「patagonia / アルトヴィア トレイルパンツ」はストレッチ性が高く、大きな段差でもラクラク。ちなみに素材にはPFCフリーのDWR加工(過フッ素化合物不使用の耐久性撥水コーティング)を施してあり、ちょっとした雨や汚れもしっかりブロックしてくれます。
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スリムなシルエットでありながらも、優れたストレッチ性により動きやすく、着用感も良好。裾周りがスッキリしているため歩いていて裾がバタつくこともありません。ストレスフリーとはまさにこのこと。低山ハイクからロングトレイルまで、歩きを極めたい方にはこれ以上ない選択肢でしょう。
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裾には拡張ジッパーを採用し、すっきりしたシルエットを実現しながらも、脱ぎ着のしやすさにも配慮しています。ハイカットのシューズを着用するときにはジッパーを開ければゲイターのように使用することも可能。
ポケットはサイドに2つ、ヒップの右に1つ、として右のふとももに1つ、合計4箇所のポケットを採用しています。いずれもジッパータイプで小物の携行も安心。
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ジッパーを閉めたときにパーツが隠れるポケットが採用されています。パッと見ただけではなかなか気づかないポイントですが、歩行時に手やバックパックなどに当たったり、引っかかったりするリスクが大幅に軽減される嬉しい配慮。
膝は曲がりに合わせた立体裁断・縫製となっています。これも足の負荷を軽減してくれる設計のひとつ。生地の伸縮性との相乗効果もあり、軽やかな着用感に貢献しています。
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武井さん「軽く、薄い生地を使っているので、暑い夏でも快適。3つのパンツの中では唯一、後ろのポケットもベンチレーションになっているのもポイントでしょう。裾の調整はジッパータイプで、個人的にはこのタイプの方がスッキリしていて好みです。ストレッチ性が高く、立体裁断のおかげでどんな姿勢をとってもつっぱらずに歩きやすいと感じました。丸めると500mlペットボトルほどとコンパクトになり軽量なので、旅行の際などにも使える点もよかったですね。腰回りの調整は他のベルトを用意しなければならないのですが、自分の好きなベルトを着用できるとするか、重量増や手間ととるかで評価が変わってくると思います」
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「patagonia / アルトヴィア トレイルパンツ」はこんなシーンにオススメ!
☑︎ ロングトレイルや縦走登山などの長距離&長時間の山行
☑︎ ファストパッキングなどの軽やかさを求めるアクティビティ
☑︎ 低山のライトハイクや小屋泊登山など
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どんなシーンにも対応できるトアウトドアパンツの新たなスタンダード。
「patagonia / ポイントピークトレイルパンツ」
今回紹介する3本のアウトドアパンツのなかでも、もっともスタンダードを極めたといえるのがこの「patagonia / ポイントピークトレイルパンツ」。スタンダードと聞くと、とくに特徴がなく普通のものと思うかもしれませんが、どんなシーンもカバーできる優れた汎用性があるということでもあります。つまり、多くの登山者にとって、実用性があり、機能的であるということ。
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シルエットは裾周りがばたつかず、テクニカルなシチュエーションでも足捌きのよいスリムタイプ。腰と膝に立体裁断を施しているので動きやすさも良好。ユニークなのは通気性を高めるためにフロント部分と膝下の後ろ側に薄手の生地を使っていること。摩耗が少ない箇所に通気性のある生地を充てることで快適性を確保しています。
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生地は6.5オンスのナイロンとポリウレタンの混紡素材。2つの繊維をダブル織りにすることで適度な厚みと強度を実現し、かつ伸縮性のあるポリウレタンを混ぜることでストレッチ性も確保しています。
「アウトドアパンツは耐久性!」という方にもオススメ。スレや穴が空きやすい膝とお尻の2箇所には厚手の生地をプラスしているので耐久性もバッチリです。
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ストレッチ性もこのとおり。膝には補強生地を配置していますが、それでもしっかり伸びてくれるので足上げもスムーズです。股下には伸縮する薄手素材のガセットを設け、大きく足を開脚してもしっかり伸縮してつっかかりません。通気性もあるのでウェア内のムレも軽減。
裾先にはシューレースに引っ掛けるフックを配置。藪漕ぎをしたときでも裾が上がって来ません。フックの根本には小さなポケットがあり、不使用時は収納可能です。
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腰と裾周りはベルクロで調整する仕様。瞬時に適度なフィット感を得られるだけでなく、ジッパーやパーツを使う調整方法よりも軽量化できるのが特徴です。グローブをしていてもワンタッチで調整可能。
裾先は絞ることでウェアやシューズ内への泥や汚れの侵入を防ぐことができます。緩めれば脱ぎ着がスムーズに。
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武井さん「パタゴニアらしいデザインとスリムなシルエットが魅力。生地のストレッチ性と立体裁断のおかげで快適に足の上げ下げができました。2種類の生地の切り返しがアクセントになっていて、過酷な環境で使用する際にも安心感に繋がっています。ただ、補強生地の箇所はレインウェアとの相性次第で足上げがしづらくなるかもしれません。前のポケット4つが内側にメッシュ部分があり、暑いときはベンチレーションとして活躍してくれました。ウエストの調整が両側のベルクロでできる点はとても調節がしやすいですね。膝上のポケットは高い位置にあり、3つの中では唯一スマホを入れてもブレにくくお気に入りです」
![パタゴニアの最新アウトドアパンツをアルプス登山で徹底レビュー](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/205d684d34694a93adf8c40aa988d39b/20210727_articles_patagonia-new-pants-2021_18.jpg?w=1000)
「patagonia / ポイントピークトレイルパンツ」はこんなシーンにオススメ!
☑︎ 岩場の多いアルプス登山
☑︎ 歩行距離の長い縦走登山
☑︎ パンツに耐久性を求めるタフな山行
![パタゴニアの最新アウトドアパンツをアルプス登山で徹底レビュー](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/063ad1a3bee94152bb92d802dc21f0ce/20210727_articles_patagonia-new-pants-2021_27.jpg?w=1000)
進化をつづけるパタゴニアのアウトドアパンツ
パタゴニアのアウトドアパンツといえば、アメリカ西海岸らしいゆったりとしたシルエットをイメージする方も多いかもしれません。しかし近年は、より洗練されたスタイリッシュなモデルにも力を入れており、日本の過酷な山岳シーンにも対応できるスペックを備えたラインナップが充実しています。
今回紹介した3つのアウトドアパンツはその代表格。機能的かつ実用的、しかもスリムフィットでコーディネートもしやすいとあれば、試さない手はありません。登山は「歩き」のアクティビティ。アウトドアパンツもしっかり見極め、お気に入りのアイテムリストに加えてみてはいかがでしょうか。