ツルギジャケットは美しい|YAMAP STOREスタッフが押す理由
2013年の発売以来、プルオーバー(頭からかぶって着用する衣服)タイプのデザインと卓越した機能性から、多くの登山者の注目を集めてきた「Teton Bros.(ティートンブロス)」のハードシェル「ツルギジャケット」。
山や街中で見かけると、思わず見入ってしまう不思議な魅力を漂わせる1着です。
果たしてその魅力の正体とはなんなのでしょうか。 今回はYAMAP STOREスタッフが実際にツルギジャケットに袖を通し、その魅力と機能を紐解きます。
なんて美しい服なんだろう
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「ツルギジャケット」は、2007年創業の国内ブランド、ティートンブロスが手がけるハードシェル。もともとアイスクライミング用に開発されただけあって、防水性・通気性・耐久性のどれをとっても、その性能は非常に優れています。
ただ、今回のレビューでまずお伝えしたいのは機能性もさることながら、その美しさ。「機能美」という言葉がありますが、ツルギジャケットはまさに機能と美しさを備えた非の打ちどころのない1着です。
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シンプルなプルオーバーの設計によって、フルオープンのフロントファスナーは排除され、斜めファスナーに。ポケットは腹部に大きなものがひとつ。各パーツの色使いも生地と同系色で統一され、不要なものが削ぎ落とされたミニマルな美しさを体現しています。
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また、高めの襟とシンプルなデザインが相まって、縦に美しいラインが出現。
装備品が多く、レイヤリングも複雑になりがちな秋〜春の登山では、どうしても見た目が賑やかになりますが、この1着をまとうだけですっきりとした雰囲気を出すことができました。
加えて特筆すべきは、生地の柔らかさ。防水シェルにありがちなゴワゴワ感はまったくなく、どのように動いても美しいシルエットが崩れることがありません。
「洗練されたデザインで柔らかく、縦の美しいラインを実現するハードシェル」。言葉にすると簡単ですが、これがなかなか見つからない。
だからこそ、私はツルギジャケットに袖を通した時、直感的に「なんて美しい服なんだろう」と感じたのだと思います。
柔らかい・薄い・頑丈・ムレない|とにかく快適な生地
袖を通した時の「美しい」という印象があまりにも強く、機能性についてお話しするのが後回しになってしまいました。
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ツルギジャケットは、もともとアイスクライミング用として作られた3レイヤーのプルオーバージャケットです。
その出自からも想像できるように、素材の機能性は圧巻。薄手・軽量の柔らかな生地ながら防水性や防風性はもちろんのこと、ストレッチ性、耐久性を併せ持ち、寒い時期の激しいアクティビティで十分に活躍できる機能を備えています。
中でも特に注目したいのが「汗抜けの良さ」。
寒い時期の登山とはいえ、急な坂を登る際やバックカントリースキーのハイクアップ時には結構な量の汗をかきます。その汗が冷えることで体温が低下し、体調に異変をきたすことも珍しくはありません。
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ツルギジャケットは、登山やバックカントリースキーよりもよりシビアなアイスクライミングを想定して設計されているため、この点にも抜かりなし。
2021年秋冬のモデルから、通気防水に優れた素材「タズマ」が使用されているのですが、これは、ティートンブロスと東レが3年間にわたって共同開発してきた新素材。長い急登を登る時など、体温が一気に上がって汗をかく場面で、その汗抜けの良さが実感できます。
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裏地に使われたニット素材がシェルの内側にこもった湿気を吸って、タズマがそれを外に排出する。この絶妙なコンビネーションによって、快適性が担保されるのです。
今回のレビューは2月の低山で実施しましたが、10度を超える気温下での急登ではやはり汗をかきました。ですが、その通気性の良さから、さらっとした着心地が損なわれることはなく、汗で衣服が肌にまとわりつく感触もほぼありませんでした。
「斜めのファスナー」を開けば、あっという間にクールダウン
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ツルギジャケットの代名詞といえば、首元から左側腹部に向けて斜めに走るダブルジップのフロントファスナー。デザイン的な理由で配されているとお思いかもしれませんが、実は機能的な理由があるのです。
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運動量が増え暑くなった時に下から開けば、手軽にウェア内の通気が可能。さらに暑くなった時には、首元から大きく開ければ、一気に涼しい空気がウェア内に送り込まれます。
フロントファスナーにベンチレーションの機能を統合させたことにもツルギジャケットの「機能美」が感じられます。
実際、今回のレビューでも暑さを感じた際にフロントファスナーを下から開いてみたのですが、一般的なハードシェルのベンチレーションよりも大きく開口されるため、ウェア内の熱気を短時間で換気することができました。
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また、フロントファスナーとは逆の右側には、腹部のポケットにつながる斜めのファスナーを配置。左側フロントファスナーの内側からもポケットにアクセス可能です。
ポケットは大きな容量のメッシュタイプ。手袋やスマートフォンなどを気軽に入れられて、とても便利に感じました。
登山スタイルに合わせて選べるバリエーションモデル
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ここまでお話ししてきた通り、ツルギジャケットは比類なき美しさと機能性を兼ね備えた名品です。ただ「以前から気になっているものの、低山しか登らないから、これほどのハイスペックなものはいらない」「サイズが女性には大きすぎる」と思われている方もいるかもしれません。
そんな方にぴったりなのが、ツルギジャケットのDNAをそのまま継承し、低山ハイクやトレイルランニングを想定して作られた「ツルギライトジャケット」と、女性向けのフィッティングで再設計された「レディバグジャケット」。
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ツルギライトジャケット(約239g Mサイズ)は、使用する生地の厚さや、ディテールの設計を変更し、ツルギジャケット(約355g Mサイズ)と比較して約110gの軽量化が図られています。トレイルランニングやハイキングに特にオススメです。
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一方、レディバクジャケットは、女性の体型を考慮し、ツルギジャケットの機能はそのままに専用パターンを採用したレディースモデル。本来、ツルギジャケットはユニセックスモデルなのですが、女性ファンからの根強い声を受けて生まれたアイテムです。
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これから本番を迎える残雪期。厳しい冬から暖かな春に向かう山には、輝く雪と柔らかな緑の織りなす絶景が広がっているはず。
ツルギジャケットが、その美しい冒険のお役に立てれば、幸いです。