「歩く旅」に出かけよう! 自然と文化を愉しむロングトレイルの必携ギアをご紹介
8月も半ばに差し掛かりつつありますが、今年の夏は存分に外遊びを楽しめていますか?あと1ヶ月も経てば、訪れるのは秋。真夏に比べ過ごしやすくなり、山の様相も変化するこれからの季節、オススメしたい新たな遊び方は「ロングトレイル」です。「登る」というより「歩く」にフォーカスした旅的なアウトドアスタイルで、自然だけでなく文化や歴史も味わえるのが魅力。暑さが和らぐこれからの季節は、そんなロングトレイルのベストシーズンなんです。
装備は、基本的に登山のものでOK。ですが、「距離が長くなる」「日数が多くなる」など、快適性や安全面を考えると、少しばかり装備リストを見直しておくのが吉。
そこで、「ロングトレイル=歩く旅」にぴったりのウェアやギアをセレクト。見知らぬ土地の自然や文化を存分に味わうための最新アイテムをお届けします。
「ロングトレイル=歩く旅」とは?
ロングトレイルを日本語に訳すと「長距離自然歩道」。実は、日本各地には北海道から九州まで、数十kmから長いものでは1000kmにも及ぶロングトレイルが整備されています。あの高尾山も、実は大阪までつづく「東海自然歩道」の起点だったりするんです。
実は身近にあるロングトレイル。その魅力は、やはり歩くことで文化や歴史に触れられることでしょう。トレイルのなかにはかつて交易や往来で使われていた古道や巡礼のための道が活用されていることも多く、自然を楽しみながらその土地の風土を体感することができます。ちなみに「熊野古道」や「四国八十八ヶ所のお遍路道」は、古くからある「ロングトレイル」なんです。
登頂を目指して「登る」ピークハントとは異なり、水平移動が中心の「歩く」ロングトレイル。山や自然への向き合い方、ギアのセレクトも変わってきます。そんな「ロングトレイル=歩く旅」の楽しみ方をギアとともにご紹介していきましょう。
part 1 | 歩く旅の醍醐味は、その土地の「文化」に触れられること
ロングトレイルでは
スタートとゴールが離れていることもあり
移動は公共交通機関を使うのが一般的。
街と街をつなぐようなルートで
その時の出会いや興味に身を任せて
自由気ままに旅を楽しみましょう。
街に立ち寄ったら美味しいご当地ご飯を食べたり、カフェでひとやすみしてもOK。
道の駅でその土地の食材を買って
山で調理して食べたりするのも楽しいもの。
でも気合いの入った山装備では
少し居心地が悪いですよね。
街中に馴染み、心地よくいられる
ウェアや装備を選びましょう。
街に馴染むスタイリッシュなウェアを選ぼう
「街でも使いやすい」ウェアとはどういうものなのでしょうか。少し例を挙げると、「マットな生地感」や「ロゴなどが少ないシンプルなデザイン」「落ち着いた色味」などなど。スポーティーな要素が少ないものがベター。一見街着のようなルックスでも、素材やパターンがアウトドア仕様になった山と街「両用」のものがたくさん揃っています。
「HOUDINI(フーディニ)/ウェザーT」はTシャツの形状でありながら防風性能を備え、ウインドブレーカー的にも使える一着。インナーにロングのベースレイヤーを合わせれば、気温変化の大きい秋口のレイヤリングとして活躍してくれます。タウンでも違和感のないデザインもGOOD。
歩く旅では、軽やかに歩みを進められる「Gramicci(グラミチ)/YAMAP別注トレイルショーツ」がオススメ。トングトレイルの多くは標高がそれほど高くなく、ショーツでも歩ける気候。寒ければインナータイツを組み合わせればOKです。
ウールのアイテムで汗の匂い対策も完璧に
何日も歩くことがあるロングトレイルのハイキング。もちろん1泊2日のショート版でも、同じウェアを着ていると気になるのが汗の匂い。そんな「匂い対策」で効果を発揮してくれるのがウール製のアイテムたちです。
汗の匂いの原因である細菌が繁殖しにくく、数日間着ていても快適性が持続します。天然素材であるウールならではの柔らかな着心地も魅力です。
ウールのアイテムといえばベースレイヤーやカットソーなどのインナー系がほとんど。しかし、最近はキャップや小物などでもウールを使ったものが増えており、組み合わせて使うことで全体の快適度がアップします。秋は防寒アイテムとしても役立ってくれますよ。
part 2 | ハイキングをサポートする必携装備たち
街から登山口へ。
アスファルトの道から砂利道、そして山道を歩いていきます。
ときには鬱蒼とした森、険しい岩場のセクションも。
ロングトレイルではシューズのセレクトも大切。
どんなシチュエーションでも対応できる、
信頼のおける一足を選びましょう。
長距離を歩くロングトレイルでは、
歩行をサポートする装備は必須。
「軽さ」や「動きやすさ」を重視した
心も体も軽くしてくれるギア選びが大切です。
歩きを支えてくれる足元装備
ロングトレイルを歩くハイカーから絶大な人気を集めてきた「ALTRA(アルトラ)/ローンピーク」。指先の自由度を高めた広めのフットシェイプ、軽快なフットワークを生み出す軽量性、悪路でもしっかりと地面をグリップするアウトソールなど、まさにロングトレイル向けのスペックが光ります。
そんな「ALTRA(アルトラ)/ローンピーク」と組み合わせて使いたいのが、YAMAPがインソールメーカー・BMZに別注した「BMZ(ビーエムゼット)/YAMAP別注 山を歩くインソール」。立方骨を支える独自の仕組みが採用されたインソールは、足本来の機能を引き出し足を元気にしてくれるスグレモノです。手に取りやすいお値段魅力の「ベーシック」タイプと、軽量で反発力に優れるカーボンを内蔵し、長距離歩行時の負荷軽減を目指してつくられた上位モデル「カーボン」タイプからお選びいただけます。
part 3 | 歩く旅を満喫するために装備を「軽量化」しよう
ロングトレイルでの装備の軽量化は、
快適な歩きのための最大の近道。
UL(ウルトラライト)の装備も、
もともとはロングトレイルが発祥。
軽くすることで体の負荷を軽減し、
長く歩けるようになるんです。
軽量化の第一歩はバックパックから。
縦走登山向けの質実剛健なスペックのものは不要。シンプルに、無駄を削ぎ落としたULスタイルがオススメです。
重い荷物を背負って歩くのは辛いもの。
積極的に軽くしてスマートに歩きましょう。
「軽さ」と「背負い心地」を両立したバックパック
「EXPED(エクスペド)/ライトニング45」は、重さ1kgほどのロールトップタイプのバックパック。軽量モデルでありながらも、無段階の背面調節や快適な背負い心地、動きやすさをそなえたバランスのよさが魅力です。日数や環境にあわせて装備が増減するトングトレイルでは、ロールトップが荷物量に合わせて調整しやすく便利です。
スリーピングマットやジャケットなどを「外付け」できるストラップシステムやオプションパーツが備わっているのもポイント。ギアを挟んだり、ウェアや小物などを収納できる必携オプションを用意しておけば、途中で食材やお土産を買って荷物量が増えても対応可能です。
天候の変化に備えたレインウェアも軽量を意識
数日間のハイキングでは、いつかは雨に降られることもあるでしょう。レインウェアは必携品のひとつ。また、雨から身を守るだけでなく、風や寒さを防ぐためのウェアとしても役立ちます。
アルプスの縦走登山向けのようなしっかりしたものは不要。選ぶポイントはやはり軽量性。バックパックに収納したままのことも多いので、スペックは最低限でOK。防水透湿性を備えたULタイプ、またはトレイルランニング向けのものなどがオススメです。
part 4 | 幕営装備もシンプル&スマートに
歩く旅では宿泊も自由。
ホテルや旅館に泊まるもよし、
キャンプ地があるならテントを張るもよし。
「ここは眺めがよさそう」
「今日天気が悪いから樹林帯でキャンプしよう」など
コースやシチュエーション、そして気分に合わせて選びましょう。
幕営をするならば、こちらももちろん軽さ重視で。「荷物は最小限に、でも快適に」がポイントです。
何日もずっと背負わなければいけない野営装備。
軽いに越したことはありません。
ツエルトとテントのいいところ取りを実現した幕営具
「finetrack(ファイントラック)/カミナモノポール2」は、ユニークな形状の非自立型シングルウォールテント。通常のテントは2本のポールを使うのに対し、こちらは1本。テントとツエルトの中間のような仕組みにすることで、2人用でありながら重量はわずか1㎏を下回る超軽量性を実現しています。
「テントだと重い、でもツエルトだとちょっと心配…」という方にはこれ以上ない選択肢。少し設営にコツが要りますが、軽量性と快適性は抜群。ギア遊びの楽しさも感じられるアイテムです。
軽さと暖かさを両立した寝床スタイル
フードレススタイルの寝袋で軽量コンパクトを実現したシュラフ「NANGA(ナンガ)/YAMAPオリジナル UDD BAG450 HD」。国産ブランドの代表格であるNANGAにYAMAPが別注したモデルで、たっぷりと封入したダウン量のおかげで3シーズンに対応する保温性を備えています。
スリーピングマットは扱いやすいクローズドセル型をセレクト。断熱性と地面からのアタリの軽減力はさすがの一言。休憩時にさっと取り出して座ったりもでき、ひとつは持っておきたい定番アイテムです。
「EXPED(エクスペド)/フレックスマットM」は、約180センチ×約60センチの余裕のあるサイズ感でありながら、300gという軽量性も魅力。長さに余裕があるので頭部分を折りたためば、背中や腰をしっかりカバーしながら、マットを枕としても使うことができます。
照明器具も、ひとつ二役で軽量化を実現
テント泊をする時は、ヘッドライトのほかにも軽量なLEDランタンを持っていくことも多いはず。でも、「PETZL(ペツル)/ノクティライト」があればそれも不要です。ヘッドライトを収納して点灯すると、光が拡散してランタンになる仕組み。不使用時はヘッドライトの収納ポーチにもなってくれる一石二鳥アイテムです。
ヘッドライトスタイルとランタンモードを使い分ければ、テント内での行動もラクラク。「PETZL(ペツル)/スイフト RL」は、軽量でいて900ルーメンという高照度と安心の防水設計が魅力のヘッドライト。バッテリーはUSB充電式ですが、約2時間のフル充電であれば、10ルーメンの照射が約100時間持続するという安心設計となっています。
part 5 | テント泊を快適に過ごすための山道具
外で過ごすとより一層感じられる、日暮れまでのゆったりとした時間。
景色の移ろいを眺めながら夕食を調理し、
自然のなかで静かなひとときを過ごしましょう。
日暮れとともに下がりはじめる気温。
そんなときはサッと羽織れる防寒着があればOK。
ロングトレイルの野営地は
標高が高いところや山の麓のキャンプ場などさまざま。
夜、そして朝を安心して迎えるためにも
防寒装備は抜かりなく!
持っていれば安心! 汎用性の高いテクニカルフリース
保温着として活躍するフリースジャケット。なかでも「patagonia(パタゴニア)/R1テックフェイスフーディ/ブラック/MENS」は、グリッドタイプのファブリックを採用することで、保温性だけでなく通気性も確保。汗をかきやすい行動中にも積極的に着られるアクティブタイプのフリースです。
生地には伸縮性があり、行動時はもちろんリラックス時の着心地も抜群。就寝から翌朝の行動まで着たままでいられます。フーディータイプなので首や顔まわりの保温性もバッチリ。
コンパクトになる中綿ジャケットは万が一に備えて携行しよう
フリースよりも防寒性が必要であれば、「Teton Bros.(ティートンブロス)/ハイブリッドインナーダウンジャケット」を。ダウン素材のなかでも最高級グレードの1000FPダウンと遠赤外線を輻射させることで保温力を高める「Thermo Max」を組み合わせた、まさに「ハイブリッドタイプ」のインサレーションジャケット。軽量でありながら優れた保温性を備えた、ブランドのフラッグシップモデルです。
インナーダウンということもあり襟周りはスッキリ。レイヤリング時のごわつきや着膨れを最小限に抑えてくれる仕様となっています。不使用時はコンパクトに携行できるのも特徴。ロングトレイルでの荷物の軽量化に一役買ってくれますよ。
ロングトレイル=歩く旅に出かけよう!
ピークハントが「垂直志向」なら、ロングトレイルは「水平志向」。高さではなく、距離や時間がキーワードになります。そして自然だけでなく、街や史跡などをめぐるという「旅的要素」がプラスされるのも大きな魅力。出会いや発見はもちろん、普段の登山では通り過ぎるだけだった登山口までの道中の見方も、きっと変わるはずです。
シンプルでありながらも奥深い、ロングトレイルのハイキング。衣食住をバックパックに詰め込み、休日を使って小さな「旅」に出かけてみてはいかがでしょうか?