早春の登山の大敵・花粉対策をしっかりして快適に歩こう!
まだまだ寒い日も続きますが、立春を過ぎれば暦の上では春。低山では梅・カタクリ・ミツマタなど早春の花や日差しの温もりが嬉しい時期ですが、この季節から悩ましい存在となるのが「花粉症」です。目の痒み、鼻のムズムズ感、止まらないくしゃみ…そんな症状のせいで登山を思う存分楽しむことができないのは残念ですよね。
春本番になってからも飛散する花粉がスギからヒノキに変わり、黄砂も加わることで、複数のアレルギーを持つ人には長期戦を強いられます。せっかく訪れた春を満喫するためにも、徹底的な花粉対策が大切。今回は早春の低山登山で活躍する、花粉対策アイテムを紹介します。
そもそも登山で行うべき花粉対策って?
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花粉症で悩む人がこの時期に登山をする場合、どんな対策をすればよいのでしょうか。まずは時系列に分けて、考えてみましょう。
登山前:医師から処方されたあるいは薬局で販売されている薬の服用や、目薬・点鼻薬の使用が挙げられます。ただし、必ず以前に服用・使用歴がある薬剤を使用して下さい。登山中に追加で服用・使用した際に、初めての薬で重篤なアレルギー反応を起こすリスクがあるからです。
登山中:鼻や目の粘膜になるべく花粉を付着させないため、これらをガードするアイテムを使用しましょう。ウェア類も花粉が付着・堆積しやすいウールやフリースなど起毛した生地は避けて、ポリエステルのジャケットやソフトシェルなどツルっとした手触りの生地をセレクトするとよいでしょう。
登山後:登山で着用したウェア類をそのままにしておくと、家の中に花粉を持ち込むことになってしまいます。なるべく早く花粉を落として洗濯しましょう。これが億劫にならないために、そもそも洗濯しやすいアイテムをチョイスするのも有効です。
登山中の花粉対策に有効なアイテムを厳選
対策①|マスクの代わりにネックゲイターの着用
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鼻腔・口腔を花粉からガードするためにはマスクの着用が有効ですが、深い呼吸が必要な登山では、息苦しさを感じたり、呼気と外気の温度差で蒸れや濡れが発生することもあります。長時間の行動では、ゴムによる耳のストレスを感じやすいのも難点となるでしょう。
そんな時におすすめなのが「ネックゲイター」の使用です。本来は首の保温が目的のアイテムですが、捲り上げることで鼻・口を覆うことが可能。水分や行動食の補給をする際も付け外しの手間がないためストレスを感じにくいでしょう。
クレビスチューブ|halo commodity
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日本発のヘッドウェアブランド「halo commodity(ハロ コモディティー)」は、機能性とファッション性を兼ね備えた帽子類が人気のブランド。そんな同社がリリースするネックゲイターです。
表面のリップストップポリエステルは高い伸縮性が特徴ですが、花粉が付着しにくい生地でもあります。吸水速乾・放湿冷却・消臭・抗菌・防臭効果がある裏面もあわせて薄く軽量なため、春先に着用しても暑すぎることがないのも快適です。
YAMAP別注ダブルフェイスネックゲイター|finetrack
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日本発のアウトドアブランド「finetrack(ファイントラック)」とYAMAPが共同開発したネックゲイター。ダブルフェイスのモデル名通り、「厚手・保温性重視」と「薄手・通気性重視」のふたつの面で構成されています。
小春日和と呼ばれる暖かい日から花冷えと呼ばれる寒の戻りまで、春先は意外と気温の変動が激しいもの。どちらの環境でも使える2通りの機能を、ひとつのネックゲイターでカバー。裏面はいずれもドライレイヤー®︎クールを使用しており、呼気による蒸れを素早く発散してくれます。
YAMAP別注 ブラッシュドネックゲイター|[sn]super.natural
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スイス発のブランド「[sn]super.natural(スーパーナチュラル)」は、繊維が細かく、保温性・吸湿性に優れているばかりでなく、肌触りのよさから敏感肌の人でも着用できる、希少なメリノウールを使用したアイテムを作り続けています。
YAMAPが同社に別注したこのアイテムを構成する生地は表面にポリエステルを100%使用しているため、堅牢性が高いだけでなく花粉も付着しにくい特性。裏面はウール84%、ポリエステル16%とウールの配合率を上げることで頬などの着用感も良好です。
対策②|髪を花粉から守る帽子(ツルッとした素材)
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頭髪も花粉が付着・堆積しやすい部位で、帰宅して入浴・洗髪するまでは家の中に花粉を持ち込んでしまう原因になります。
このため帽子で頭髪を花粉からガードするのが有効。ニット帽などの起毛素材でなくツルっとした素材が、花粉対策にはおすすめです。
ビレイハット|halo commodity
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ネックゲイターでも登場したブランド「halo commodity(ハロ コモディティー)」の本領が帽子類です。素材自体が蒸れにくい機能を備えているだけでなく、サイドのループとコードを連結して締めたり緩めたりすることで、寒い時・暑い時の調整も容易です。
本体の耐摩耗性と伸縮性に優れたCORDURA生地は、耐久性だけでなく花粉も付着しにくい素材。ブリム(つば)の裏面に配されたフリースが外見上のアクセントとやさしい肌触りを両立しています。
ソルトパスキャップ|halo commodity
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同じくハロ コモディティー製ながら、スポーティーな印象を演出してくれるキャップスタイルのアイテム。速乾性のあるナイロン生地・内側のメッシュ加工・サイドの通気孔も相まって、夏場まで着用できます。
本体はアイテム名の「ソルトパス」の通り塩縮加工を施したナイロン生地。まるで和紙のような手触りの自然なしわやハリ感があり、花粉が付着しにくく強度も高い素材です。
メッシュイナフハット|RIDGE MOUNTAIN GEAR
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日本発のアウトドアブランド「RIDGE MOUNTAIN GEAR(リッジマウンテンギア)」がリリースする帽子。ブリム(つば)の長さや開き具合が前・横・後で異なる、デザイン面はもちろん、風の影響を考慮した機能面でも優れた逸品です。
本体部分には撥水性・防風性・浸透性を備えたナイロン100%素材・東レStunner®を使用し花粉の付着も低減。通気性が抜群でしめつけ感もないメッシュ部分も相まって、帽子の中が蒸れることもありません。
対策③|凹凸の少ない素材で花粉を落とすウェア
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帽子同様に、ウェアもフリースなどの起毛した生地は花粉が付着しやすいため、なるべく表面に凹凸の少ない、花粉が付着しにくく落としやすい素材がおすすめです。今回はジャケットとボトムスの両方を紹介します。
ムーンウォークフーディー|HOUDINI
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スウェーデン発のアウトドアブランド「HOUDINI(フーディニ)」のこのウェアの特徴は、多数のカプセル内に暖かい空気を閉じ込めて保温するという斬新な設計の生地を全体に使用し、雨風を受けやすい部位に防風性に優れた生地を重ねるという、2種類の素材のいいとこどりを実現しているところです。
フロントはダブルファスナーを採用して上からも下からも開閉可能で、ウェア内の温度調整も容易です。こちらもフード付きなので、帽子を別途着用する必要はありません。
フーディニジャケット|patagonia
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気温が高い日に好適なジャケットが、アメリカ発のアウトドアブランド「patagonia(パタゴニア)」の超軽量ウインドシェル。その重量はわずか105gと羽のような軽い着心地を実現しています。
いち早く環境負荷への取り組みを行っている同社ならではのリサイクルナイロン100%の生地は、花粉が付着しにくいだけでなく防風性と高い耐水性・撥水性を発揮。透湿性も高いのでウェア内は蒸れにくく、汗をかいてもさらりとした快適な着心地が持続します。
YAMAP別注 ブラッシュドジップアップフーディー|[sn]super.natural
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気温が低い日におすすめのジャケットが、ゲイターでも登場した「スーパーナチュラル」に別注した生地を使用したこのウェア。表面は花粉の付着を防ぐポリエステル100%ながら、裏面にはウールを84%配合し、薄さの割に暖かく感じることでしょう。
天然の調湿・調温機能を持つウールは、ウェア内の蒸れも吸収し急登など暑さを感じる場面でも快適。フィット感をドローコードで調整できるフード付きなので、ウェアと帽子の両方の役目をこの一着で完結できます。
ヘッジオーバーベスト|THE NORTH FACE
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アメリカ発の人気アウトドアブランド「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」のベスト型インサレーションウェア。通常のアクティブインサレーションはミドルレイヤーとしての着用を想定していますが、このウェアはアウターシェルとしての使用を想定しています。
このため表面は花粉が付着しにくいだけでなく、高い堅牢性を備えています。また内部のポリエステル綿も濡れに強く、温かさをキープしてくれます。寒の戻りで急激に気温が低下したり粉雪が舞うような状況でも、素早く身体を保温してくれる心強い一着です。
ベーシックトレイルアンクルパンツ|YAMAP(ヤマップ)
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山好きなスタッフとユーザーさんの声を集めて作り上げた、YAMAPのこだわりトレッキングパンツです。特に海外ブランドにありがちな、丈が長く足首周りに裾が溜まってしまうという悩みを解消した絶妙なアンクル丈で、ほとんどの人にジャストフィットします。
足を動かしやすい伸縮性と堅牢性・耐摩耗性・撥水性を備えた生地は表側は高密度で花粉が付着しにくく、裏側は肌への接触箇所を減らす凹凸のある二重構造。後部のベンチレーションやスマホポケットなど、細部まで使いやすさや快適さへの工夫が詰まっています。
アルパインライトパンツ|THE NORTH FACE
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「ザ・ノース・フェイス」のトレッキングパンツを代表するモデルで、リピーターも多い逸品です。裾にかけて細くなるテーパードなデザインは、スリムなシルエットを演出するだけでなく足捌きも良好です。
薄手のソフトシェル生地は花粉が付着しにくいだけでなく、膝の立体裁断や股下のガゼットクロッチで、大きな足の動きを妨げることがありません。裏地は起毛タイプなので、寒さを感じる春先でも温かく肌触りも良好です。
対策④|帰宅後はしっかり洗濯
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花粉が付着しにくい素材のアイテムを身につけていても、完全に花粉を除去するためには着用後のケアが重要です。しかし、いきなり水洗いすると繊維の中に花粉が入り込んでしまいます。屋外で払い落としたり、生地を傷めない弱めの吸引力に設定した掃除機で吸い取るなどした上で、洗濯しましょう。
またポリエステルやナイロンなどの化学繊維は生地がなめらかで花粉が付着しにくいものの、静電気が発生しやすいという側面もあります。各アイテムの洗濯表示を確認した上で使用可能であれば、柔軟剤を使用した洗濯が静電気防止に有効です。
YAMAP限定 折りたためるソフトバケツ|YAMAP
![早春の登山の大敵・花粉対策をしっかりして快適に歩こう!](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/99a2a1b36e174a629c65188bf91f4e4d/250211-springs-hayfever_19.jpg?w=1000)
洗濯前にあらかじめ花粉を除去しても、ウェアには汗・泥・埃が残っているものです。こうした時に有効なのが、洗濯機に入れる前にじっくりつけ置き洗いすることです。このバケツは文字通り折りたたむことができ、吊り下げ用のフックもついているので、あらゆる場所にコンパクトに収納可能です。
洗濯後のケアや他のアイテムも重要
![早春の登山の大敵・花粉対策をしっかりして快適に歩こう!](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/4b001c39cafa469faa29981427c6f85d/250211-springs-hayfever_20.jpg?w=1000)
洗濯したウェアに再び花粉が付着するのを防ぐためには、室内干しがおすすめです。綿など乾きにくい素材は生乾き臭が気になったり、室内の湿気を逃すための換気でかえって室内に花粉が入ってしまうこともありますが、速乾性に優れたアウトドアウェアは、こうした心配が少ないのもメリットです。
また頻繁に洗濯できないザックなども、帰宅したら屋外でブラシなどで花粉を払い落としてから保管することを忘れないようにしましょう。
花粉からのストレスをしっかり対策して、春ならではの花々や、やわらかな陽射しを享受しながらの登山を満喫しましょう。
![鷲尾 太輔](https://images.microcms-assets.io/assets/ac11bed9236c49c3b40aa3bdd2103202/300eacb5cfba4dee8fc2ba6bd31c076c/%E9%B7%B2%E5%B0%BE%E3%81%95%E3%82%93%E7%94%BB%E5%83%8F.jpeg?w=1000)
鷲尾 太輔
登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。山岳ライターとして、様々なメディアでルートガイド・ギアレビューから山登り初心者向けの登山技術・知識のノウハウ記事まで様々なトピックを発信中。登山ガイドとしては、読図・応急手当・ロープワークなどの「安全登山」をテーマとした講習会を開催しています。