テント泊登山に必要な持ち物リスト|必需品と便利グッズをすべてお見せします
「いつかは日帰り登山や小屋泊から、テント泊へ」。そう思っている方は少なくないはず。テントにシュラフ、マットなど宿泊に必要な装備はなんとなく想像がつくけれど、「揃える道具って、これだけで本当に足りてる?」「どんな道具を揃えたら、快適にテント泊を楽しめるのだろう」という疑問や悩みが、テント泊を志すハイカーにとって、最初の壁ではないでしょうか。
そこで、テント泊登山をするにあたっての必需品に加えて、あると便利なアイテムまでをピックアップしてリスト化してみました。合わせて、実際にテント泊を行うスタッフが厳選する山道具をご紹介。これからテント泊をしてみたい!という方のギモンを、一気に解決していきましょう!
初めてのテント泊なら、レンタルという選択肢も
「テント泊に挑戦したい」と思っていても、必要な装備の多さに事前準備の段階で諦めたこともある人もいるかもしれません。YAMAPでは、いちから揃えるには金銭的負担が大きく購入をためらってしまう人や、道具を購入を検討しているけどまずは試してみたいという人に、山道具のレンタルサービス「YAMAP RENTAL」をご用意しています。
ハードルの高かった「テント泊登山」に、登山道具のレンタルを活用してチャレンジしてみては?
|1|はじめにチェックしたいテント泊登山の必携品
「テント泊登山」というだけあって、もちろんテントは欠かせません。まずはテントとその周辺ギアを確認していきましょう。テントの設営や睡眠に欠かせない必携品です。
■「テント泊登山」の必携品、山岳テントと周辺ギア
①山岳テント(本体、ポール)
②グラウンドシート
③ペグ
④マット
⑤シュラフ(寝袋)
①テント(本体、ポール)
テント泊登山で使用するテントは、「山岳テント」と呼ばれる専用のものを使用します。「山岳テント」には、概ね以下のような特徴があります。
1)悪天候から身を守る「防水生地」を使用している
2)嵐や突風にも耐えられる「強度」を備えている
3)バックパックで背負って登れる「軽量性」がある
4)山での行動や宿泊を想定した「便利な機能」を設けている
山岳テントを理解する上で知っておきたいのが「自立式」と「非自立式」、そして「ダブルウォール」と「シングルウォール」です。「自立式 × ダブルウォール」や、「非自立式 × シングルウォール」といったように、ほとんどのテントはこの組み合わせでできています。
「自立式」と「非自立式」とは
「自立式」とは、ポールを本体に組み込んだときにテントの形状が完成されるもののこと。多くの方が思い浮かべるであろうテントの形状で、ポールを組んで立ち上げて、固定するペグを打ち込めば設営が完了します。設営が簡単で強度が高く、日本の山岳環境への対応度も高いのが特徴。一方の「非自立式」とはポールを本体に組み込んだだけではテントが立ち上がらず、本体に設けられたガイライン(細いロープ)をペグで地面に固定することで設営するもの。設営と張る場所を選ぶのに多少テクニックが必要ですが、ポールが少ない分、軽量性を高めているのが魅力。「非自立式」は、中級者向けのテントと言えるでしょう。
「シングルウォール」と「ダブルウォール」の違い
「ダブルウォール」とは、居住空間となるインナーテントと、防水機能のあるフライシートに分かれているもの。2層構造になるため結露がしにくく、また結露に直接触れにくいというメリットがあります。「シングルウォール」とは、防水透湿生地一枚で構成されたテントで、ダブルウォールに比べると快適性に劣るものの軽量性に特化しているのが魅力です。構造がシンプルなので、早く設営できるのもメリットでしょう。
オーソドックスな山岳テントは「自立式 × ダブルウォール」
日本の山域のほぼ全てに対応できるのが、「自立式 × ダブルウォール」のもの。雨が多く変わりやすい天気、高山ならではの風や寒さにも対応できる仕様を採用しているものがほとんどです。まずはこの「自立式 × ダブルウォール」を選んでおけば安心。YAMAP STOREではおすすめの3モデルをご用意しています。
finetrack(ファイントラック)/カミナドーム
タフさと軽さと快適さのすべてを追求した、メイドインジャパンのベーシックテント。本体重量は1280g(一人用)と、「自立式 × ダブルウォール」のタイプとしては最高レベルの軽さが特徴です。別売りオプションとしてスノーフライと内張りをプラスすれば、厳冬期にも対応する4シーズンテントとしても使用できます。
muraco(ムラコ)/ラピードエックスワン 2P
キャンプやツーリング向けの大型テントで人気を博した「muraco(ムラコ)」が贈る、待望の山岳テント。アウトドアで映えるmuraco(ムラコ)のクールなデザインが、登山シーンでも楽しめるとあって大きな話題になりました。出入り口の屋根(前室)の使いやすさや広い居住空間など、快適性に対して非常にこだわりのある仕様のテントです。
②グラウンドシート
テントの下に敷く強度の高い防水シート。テントの底面を石や木の根などから守り、かつ雨天時には水の侵入を防いでくれる大切なアイテムです。製品によってはグラウンドシートが付属されているものもありますので、内容を確認して必要に応じて購入しましょう。
③ペグ
テントを地面に固定するためのペグは、製品にも必ず付属していますが、山行時の破損や紛失に備えて予備を数本持っていくのがおすすめです。
④マット
就寝時やテントの中で過ごすときに敷くマット。大きく分けて2タイプあり、空気を入れて膨らませるインフレータブルタイプと、発泡させたウレタンなどを使ったクローズドセルタイプがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して選ぶことが大切です。
■インフレータブルタイプのメリット・デメリット
最大のメリットは、手のひらサイズのコンパクトさ。しかし、膨らませる手間がかかるのと、パンクのリスクには注意が必要です。
■クローズドセルタイプのメリット・デメリット
最大のメリットは丈夫さ。岩の上にも敷いてもOKなど使いやすさに定評がありますが、かさばるためパッキングには工夫が必要です。
⑤シュラフ(寝袋)
快適な眠りのための必需品「シュラフ」。軽量で圧縮性が高く、春から秋にかけての3シーズンの低山や夏の高山に対応する、ダウンのシュラフが初心者の選択としては主流と言えます。
|2|テント泊で絶対に必要なウェア&ギア
テント泊をする、というのはつまり、山のなかで一晩を過ごす、ということです。山のなかは、灯りもなければ、空調もありません。テント周辺とテント内での活動を支えてくれる必須のウェア&ギアをピックアップしました。
■テント泊で絶対に必要なウェア&ギア
①ヘッドライト
②防寒着
③LEDランタン
④衛生用品
⑤防水スタッフバッグ
①ヘッドライト
テント泊に限らず携行しておきたいヘッドライトですが、テント泊では間違いなく出番の多いアイテム。テント場からトイレや水場までの往復はもちろん、テント内での作業にも使用します。明け方出発の山行予定であれば、必然的に使用時間も長くなるので予備電池を忘れずに持っていきましょう。
②防寒着
山のなかで夜を過ごすなら、忘れてはいけないのが防寒着。夏であっても朝晩と日中の気温差は非常に大きく、昼間は半袖で過ごせても、夜は氷点下を下回る…なんてことも起こります。保温性と携行性に優れた中綿入りの防寒着などを必ず携帯しましょう。下半身は最悪シュラフにくるまればOKですが、インサレーションパンツがあると快適性がアップします。
③LEDランタン
夜間のテント内の調理や作業時に活躍する灯り。光が拡散するタイプなので目に優しく、ヘッドライトのバッテリーの消耗も抑えられます。登山時に歩きながら充電ができるソーラーパネル式のLEDランタン「CARRY THE SUN(キャリー・ザ・サン)」はYAMAP STOREのベストセラーアイテムのひとつです。
④衛生用品
汗拭きシートや保湿クリーム、携帯トイレなどの衛生用品も、山のなかのテント泊なら必携品ですが、わかっていても案外忘れがちなのが「歯磨き用品」。山の環境を壊さないためにも、自然に優しいマウスケア製品を選んで携行するのがベターです。
⑤防水スタッフバッグ
シュラフや着替え、電子機器などの濡らしたくないギアの携行や、雨天時のテントの収納に活躍する防水性のスタッフバッグ。テント泊に限らず、山行には欠かせないアイテムなので、サイズ別に複数持っているといいでしょう。
|3|テント泊登山の質を高めるアイテムたち
テント泊の質を高めるために、「マストではないけれど、あると便利&快適なアイテム」をYAMAP STOREが厳選ピックアップ。山のなかでの小休止の時間をよりリラックスして過ごすためのアイテムが揃っています。
■テントで過ごす時間を快適にする周辺ギア
①サンダル
②テントシューズ
③クッカー類
①サンダル
テント場で過ごすときに履くサンダル。汗で蒸れた登山靴を履き替えて脚を開放してあげることもテント場での過ごし方のコツと言えます。外で調理をしたり、トイレや山小屋に行ったりするときには登山靴をいちいち履く手間も解消されます。
②テントシューズ
寒がりさんなら、テント内で足先を冷やさないためのテントシューズを持っていくのもおすすめ。末端を温めることで寝付きもよくなり、慣れない環境でも質の高い睡眠を得ることができます。秋〜冬のテント泊では必須のアイテムです。
③クッカー類
いつもはコンビニのおにぎりや惣菜パンで簡単に食事を済ませている人も、テント泊をするなら「山ごはん」を楽しんでみるのはいかがでしょう?登山向けの軽量な調理ギアを使って温かいごはんを食べることで翌日の山行への英気を養いましょう。
つづいてご紹介するのは、「睡眠の質」にフォーカスしたアイテムたち。快適なテント泊のためにYAMAP STOREがおすすめする登山小物をご紹介します。
■睡眠の質を高める周辺ギア
①シュラフカバー
②インナーシーツ
③枕
①シュラフカバー
ダウン製のシュラフは、「濡れ」が最大の弱点。そんなシュラフをすっぽりくるみ、結露や濡れから守ってくれるシュラフカバー。保温性を高める効果も期待できるため、シュラフの適応温度が足りないときなどにも使用します。予測できない山の天候や気温に対応するために、ひとつザックに忍ばせておきましょう。
②インナーシーツ
シュラフの内側に敷くインナーシーツは、肌触りがよく内部の保温性も高める効果があり、快適な睡眠を追求したい方には最適。新型コロナウィルス拡大以降、衛生管理の観点から山小屋泊でも持参を推奨されることが多くなっているアイテムです。旅行先での快適な眠りにも役立つ、トラベルにも応用できる快適便利グッズなのです。
③枕
頭を安定させてくれる、ふくらませて使うタイプのまくら。空気を抜けば薄くコンパクトになるので携行性もバツグンです。ウェアなどを入れるスタッフバックを枕に応用する人も多いですが、そんな方のための枕になるスタッフバックもご用意。枕で快適な眠りを手に入れてください。
そのほかにも、耳栓やアイマスクなど、野外環境だからこその騒音や明るさの対策になるアイテムを携行するのも吉。翌日の山行を万全の状態で迎えるためにも、眠りの質向上を心がけましょう。
自分の山行にあった装備選びを
テント泊の必携品と、あると便利なオプション的なギアを紹介しました。「思った以上にいろいろ必要なんだな」と思うかもしれませんが、ご自身の山行に合わせて、適切なものをセレクトすればOK。テント泊を繰り返すうちに「やっぱりあった方がいいな」「これはなくても大丈夫そう」と、自分だけのギアリストが完成していくのもテント泊登山の楽しみのひとつです。今回の読みものを参考に、今年の夏はぜひテント泊登山にチャレンジしてみてください!