ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

記事:低山トラベラー 大内 征


巨石、巨岩。好きなんですよね。特に信仰と結びついた磐座(いわくら)には昔から関心があるので、日本中の低山里山や霊峰に数えきれないほどフィールドワークに出かけています。

巨大な岩石が山頂にどーん!と鎮座している場合もあるし、山麓の樹林帯にひっそりと鎮まっていることもある。これは自然の造形か、はたまた人為か。その佇まいを見ただけで静かに高まっていく自分の心をぎゅっと掴むようにして、ぼくは息を殺したまま、しばらくそこに立ち尽くすわけです。

芽吹きのパワー漲る東京ローカル、その気持ちよさを再確認

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

折に触れて会いに行くお気に入りの巨石が、全国にいくつもあります。たとえば東京なら、武蔵五日市駅から歩いていける金比羅山の天狗岩が素晴らしい。春には桜の美しい里山で、入れ替わるように咲き誇るつつじの季節は芽吹きたての新緑が目に眩しい。東京ローカルの実力を再確認できる低山でもあります。

このくらいの山行なら、20L程度の小さなザックが便利。ミステリーランチのインアンドアウト19は背負いやすくて機能的なのが◎です。小さく畳んで携帯できるパッカブル仕様なので、テント泊縦走や小屋に荷物をデポして山頂に向かうようなケースでも活躍すること間違いなし。もちろん、旅行や出張の時にも。大型ザックやビジネスバッグに忍ばせておくと心強いアイテムです。

これにちょっとした食べ物と飲み物、天候の急変に備えたレインウェアとウィンドシェル、それとお守り代わりにヘッドランプを入れて、いざ入山。

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

途中、展望台からの眺めは低山ならでは。つい先ほど歩いてきた町がすぐ眼下に広がっています。丘陵地を流れる秋川によって浸食された、山と山に挟まれる谷のような地形。こういう地形を「谷戸」と言いますが、コンクリートに覆われた平地の印象が強い東京にも、起伏と変化に富んだ魅惑のフィールドがあるんだなあと、あらためて思うのです。まさに地域再発見、ですね。

登山中に備えたい、紫外線対策アイテム

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

それにしても、こうも眩しいと目がやられてしまいそうになります。ぼくはあまり目が強くないと自覚しているのでフロートのアストラは必須アイテム。登山はもちろん、一年を通してあらゆる自然活動、車の運転、そして普段の外出にも欠かせない道具のひとつです。もう、これがなければ生きていけません……。

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

煌めく太陽に微かに消耗しはじめた頃、そこに爽やかな風が吹き抜けました。あまりの気持ちよさに悶絶しながらも低山の魅力をひしひしと感じ、自然のパワーを全身で受け取る時間。なんとも贅沢です。

思わず足を止め、そこにあったベンチに腰掛ける。いやはや、近場でこれだけ気持ちを整えられる自然があることに、あらためて感謝しなければ。

会いたかった天狗岩に、ひさしぶりのご挨拶

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琴平神社のすぐ裏に、この天狗岩があります。手前の小さな岩が、こちら側の世界とあちら側の世界を分け隔てる門、つまり磐境(いわさか)のようです。まさにその境界を越えようとした瞬間、にわかに冷たい風が吹き始めました。境界は結界、ぼくは異界に立ち入ってしまったのかもしれません。

ついさっきまでの新緑の爽やかな空気は一変し、早春の頃に逆戻りしたような肌寒さ。こんな時のためにも、ウィンドシェルを持っておくことを推奨。このTeton Bros.(ティートンブロス)ヘッドウォールフーディは薄すぎず厚すぎずな生地がいい具合で、この季節の風はもちろん保温対策としても優秀。杉の山中に映える鮮やかなイエローをさらりと身に纏い、ふたたび天狗岩に向き合います。

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

信仰の対象となる巨石には石仏や石祠が並ぶことが多く、注連縄がぐるりと張られていることも。その岩石が神仏の依り代で、里の人々から大切にされていることを知ることができます。

大きな石や岩には、なにか特別な力が秘められているように感じます。ぼくは岩石の佇まいそのものに惹かれるので、そこに石祠や注連縄がなくとも、巨石の前では手を合わせ山旅の無事を祈ったりします。直感的に何らかの気配を感じ取っているのかもしれません。

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ
ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

ところで、石と岩の違いに明確な定義はなく、実は説明することがなかなか難しい。地盤についているものを岩、地盤から離れているものを石。地面に埋まっていて大きいものを岩、持ち上げられる場合は石。ゴツゴツしているものは岩、つるっとしているものは石……。

などなど、様々な表現で説明されます。たしかに漢字から考えても、岩は「山+石」だし、語感としても納得できます。すると、この天狗岩は、岩なのか石なのか……。

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なーんてことを考えながらじっくり観察していると、身体が冷えてきました。ウィンドシェルを羽織ったまま天狗岩の裏手に続く岩場に登って、ちょっと身体を動かします。Teton Bros.(ティートンブロス)ニュースクランブリングパンツ2.0はストレッチの効いていて、こんな感じの岩登りでも足の動きを妨げることがありません。やや丈の短い感じも季節的にフィットして調子いい。

さあ、この後さくっと山頂に立ち寄ったら、ピストンで武蔵五日市駅に戻りましょう。

巨石の、その奥へ。金比羅山のわかりにくい山頂を踏む

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実は、2016年に上梓した『低山トラベル』という本に、金比羅山のことを書きました。山頂がわかりにくい山で、樹林に囲まれた頂には簡素なプレートだけが目印として括り付けられています。琴平神社と天狗岩があるあたりを山頂だと勘違いする人が多いのも頷けるほど、山頂感ゼロ……。

ひと昔前のプレートと違っていたのは、風雨でボロボロになったとかで、おそらくどなたかが差し替えてくれたのでしょう。いずれにしても、相変わらずわかりにくい山頂ではありました。

ちょっと巨石に会いたくて。芽吹きの東京低山でソロハイクを楽しむ

YAMAPのログには、武蔵五日市駅からぼくが歩いたルートが青い線で表示されています。使用中は地図上に主要な登山道が赤い線で描かれていて、その上をGSP(スマートフォンの位置情報)が辿るという仕組み。だから、登山道から外れればすぐにわかるし、距離・標高・時間(コースタイム)も同時に表示されていて、心強いことこの上なし。

現代の登山スタイルを大きくアップデートしてくれたYAMAPは、ソロハイクには絶対に欠かせないものとなりました。ハイカーのみなさん、登山ギアとともにアプリの入手もお忘れなきよう。

着用アイテム一覧

大内 征(おおうち せい)

大内 征(おおうち せい)

低山トラベラー、山旅文筆家。歴史文化や神話民話を辿って日本各地の低山霊峰を歩き、ローカルハイクの面白さを探究。ピークハントだけにとらわれない“知的な冒険”を山旅に求め、文筆と写真と小話とでその魅力を伝えている。 NHKラジオ深夜便「旅の達人~低い山を目指せ!」レギュラー、著書に『低山トラベル』シリーズ(二見書房)、『低山手帖』(日東書院本社)など。YAMAP MAGAZINEで連載中の「低山トラベラー大内征の旅する道具偏愛論」が好評。

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