ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

登山の”名脇役”といえば細々としたものを入れられるバッグやポーチ。
特にウエストポーチとサコッシュは、手の届きやすい場所に収納をプラスできるため非常に便利です。

しかし、「どう使い分けたらいいんだろう?」と迷っている方も多いはず。今回は、ウエストポーチとサコッシュそれぞれの特徴やメリット、気をつけたいポイントを解説し、登山のサブバッグ選びの悩みをスッキリ解消します。

アイテムを身に纏うように持ち運べる「ウエストポーチ」

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

ウエストポーチは「ウエストバッグ」や「ファニーバッグ」と呼ばれ、登山のみならず、釣りやサイクリングなどアクティブシーンでも人気なバッグです。

ルーツはズバリ、ミリタリー起源!

ウエストポーチの起源は、米軍を由来とするボディバッグや、ネイティブアメリカンのバッファローバッグという説があります。現代では「両手が空いて自由に動きやすい」という点が選ばれる主な理由ですが、命に関わるほど過酷な環境下においては、その利点は比べものにならないほど重要な要素となります。
日本で広まったのは80年代で、腰に直接巻き付けるその密着度の高さから、海外旅行での貴重品用バッグとして浸透していったそうです。
登山シーンにサコッシュが登場する以前は、ウエストポーチを腰につけたり、斜め前に掛けにして山行へ行っていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

メリット:フィット感に長けていて、かさばるものもOK

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

ウエストポーチのメリットといえば、体へのフィット感の高さが挙げられます。体への密着度が高いということは、厳しい岩場でも体全体の動きに合わせてしっかり追従してくれるため、荷物の揺れによるストレスはありません。

また、斜め掛けや腰にしっかりと固定することで、やや重めのアイテムも持ち運べるのが魅力です。
例えば、予備のドリンクやゼリー飲料、コンパクトカメラなど、ややかさばって重さのある物もしっかり収納できます。またウエストポーチは、細やかなポケットワークが施されているものも多く、日焼け止めや虫刺され薬、簡易的なファーストエイドを分けて入れておきたいときに便利です。

使用のコツとして挙げられるのが、ザックとの相性を考慮すること。アイテムによってはバックパックのヒップベルトとの干渉があるため、事前に試してみましょう。

シンプルを極めた袋として生まれた「サコッシュ」

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サコッシュといえば、長方形の袋に長い肩紐をベースにしたシンプルな収納袋が原型ですが、近年では内外にポケットが付いていたり、口にジップやボタンが取り付けられていたりと、多機能化したモデルが主流になっています。

ルーツは自転車レースの補給食入れだった!

サコッシュのルーツは、実は自転車のロードレースにあります。数百キロを走る過酷なレースでは、チームからの補給が不可欠です。
補給食やドリンクボトルを入れたサコッシュは、選手に手渡され、選手はそれを斜め掛けにして水分や栄養を補給します。自転車に乗ったまま中身を取り出す必要があるため、サコッシュは平らな袋に長い紐がついただけの簡易的なもの。加えて、使い終わったサコッシュはチームに投げ返されるなど、本来かなり荒く扱われるバッグなのです。

メリット:地図やノートなどの「平たく薄いアイテムの」収納に◎

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サコッシュは取り出し頻度の高いアイテムの収納に適しています。形にもよりますが、特におすすめは、ナビゲーション・記録関連のアイテム。意外と収納に困る紙地図やルートメモ、ノートなどの収納に最適です。胸の前にポケットが増えるようなスタイルになるため、素早く取り出すことができます。

他にも、コンパクトカメラやアクションカメラ、予備バッテリーなど取り出す頻度の高いアイテムを入れてもグッド。

ただ、左右どちらかの肩に負担がかかるのが斜め掛けの宿命。ボトルなどの重量物を入れるのはおすすめできません。また、ポケットや仕切りが付いていないサコッシュだと、リップクリームやケア用品など細かいアイテムを入れると迷子になってしまう可能性もあります。


さて、ここまではウエストポーチとサコッシュの特徴やメリット、収納に適したアイテムなどを紹介してきました。それぞれに魅力がある一方で、弱点は正反対。まさに一長一短で、選ぶのが悩ましいところです。山域や使用シーンによっても、選ぶポイントは異なります。

下記に、特徴をパッと見てわかるように大まかに整理してみました。自身の山行スタイルに合わせて、購入の際の参考にしてみてください。

\ウエストポーチの特徴/


・やや重いものを入れても安定
・厚みがあるものでもOK
・岩稜帯や縦走登山などハードな山行向き
・収納小物(例):飲料系ゼリー、コンパクトカメラ、スマートフォン、防寒具等

\サコッシュの特徴/


・ノートや紙地図のような平たくて、やや大きく薄い形状を収納するのに最適
・低山や日帰り登山のようにのんびり歩く登山スタイルにマッチ
・収納小物(例):スマートフォン、ノート、紙地図、てぬぐい、行動食等

弱点を克服した“進化型サブバック”に注目!

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

このようにサコッシュとウエストポーチには、それぞれ向き不向きがあったのがこれまでの話。しかし近年、これらの垣根を越えた「進化形アイテム」が登場しているのをご存知でしょうか?
従来の特性を活かしながら、より使いやすくマルチにアップグレードした注目の2アイテムを見ていきましょう。

ナッツパック|ロウロウマウンテンワークス

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往年の登山者からは「懐かしい」と声の上がるウエストポーチをブラッシュアップしたのが、ロウロウマウンテンワークスの「ナッツパック」です。

ベルトの調整幅が広く、ウエストポーチとしてもボディバッグのような肩掛けスタイルも可能になっています。例えば登山中は斜め掛けにして体の前方で固定し、山小屋やテント場では腰に固定して使うという2通りの使い方ができます。加えてショルダーベルトはバックルで着脱できるため、ベルトを外しスタッフバッグ的な使い方もできる優れものです。

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そして触ってみて驚くのが、生地の薄さとしなやかさ。採用したのはUL(ウルトラライト)では定番の30デニールのシルナイロン。総重量約80gという驚きの軽さながら、3.5Lもの容量を叶えているのも魅力です。500mlのペットボトルも余裕を持って収納でき、見た目以上にアイテムが収納できる驚きがあります。

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そしてこのナッツパック、使わない時は内部ポケットに収納できるパッカブル仕様です。しかも収納時は11.5×9.5㎝と非常にコンパクトになるため、「念のためにザックに入れておこう」といったお守り的な使い方も。例えば、下山時の風呂やレストランで貴重品だけ身に付けておきたいときも、小回りの効くウエストポーチやボディバッグとしてスマートに使えるでしょう。旅先にもちょうどいい、頼れるULサブバッグです。

YAMAP別注2WAYサコッシュ|マウンテンハードウェア

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「YAMAP別注2WAYサコッシュ」は、マウンテンハードウェアとYAMAPが共同で開発した、使いやすさに絞り込んで作り上げたサコッシュです。これまでの概念を覆す高機能なサコッシュとして徹底的に設計されています。

まず注目したいのが、底部に施されたマチ。これにより、これまで「平たく・薄いもの」と制限があった収納物の幅がぐっと広がりました。さらに、ストラップには薄手のクッション材を詰めたパッドを施すことで、肩への食い込みを軽減。多少の重量物を入れたり、長時間持ち運んでもストレスを感じにくくなっています。

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

そしてこのサコッシュ、大幅な拡張が可能である点も大きな特徴のひとつ。なんと、背面ポケットの内側にはA3サイズの大型バッグが縫い付けられ、折り畳んで収納されているんです。
例えば、下山後に道の駅や地元スーパーで目に入ったご当地おやつや地酒。ザックに入りきらないお土産もサコッシュを拡張すれば、持ち運びも楽々です。

収納物の幅を広げ、拡張性を併せ持った高機能サコッシュは、きっとあっと驚く使いやすさを山行にプラスしてくれるはずです。

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方
ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

使いやすさを極めたサブバッグをその手に

ウエストポーチ or サコッシュ?注目の進化型サブバックで見つける理想の使い方

登山で役立つサブバッグとしてのウエストポーチとサコッシュ。今回はそれぞれの魅力や使い方を解説し、その上で進化形アイテムも紹介しました。

これまで両アイテムともに、メリットとデメリットがありましたが、使いやすさを追求した各メーカーの工夫により、得意を伸ばしながら弱点を克服するようなサブバッグも増えています。

山行スタイルにぴったりのサブバッグが見つかれば、山での快適性がグッとアップするはず。ぜひお気に入りのサブバッグとともに、山のある日々を過ごしてみてくださいね。

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