【今必要な秋冬パンツ最新モデル6選】進化を続ける登山パンツ、選ぶときのチェックポイントは?
繊維加工技術の向上に伴い、登山ウェアは年々進化しています。それは素材だけでなくディテールにもいえること。
歩行の快適さを左右する「トレッキングパンツ」においても、高いストレッチ性をもっているのはもはや当たり前で、よりストレスフリーな履き心地を実現するため、生地のカッティングやウエスト周りの構造、ポケットの仕様など各ブランド工夫がみられます。

そんな「進化の時代」のトレッキングパンツ選びで注目すべきポイントは、「シルエット」「ウエスト」「ポケット」「裾」「素材」。
今回はこの5つを意識しながら、YAMAP STOREが今季おすすめする最新トレッキングパンツをご紹介します。
【春夏秋冬】1年通して履き回せるトレッキングパンツ
春夏秋3シーズン向けのトレッキングパンツだから冬には向かない? いいえ、必ずしもそんなことはありません。薄手であってもタイツと組み合わせて保温性をプラスすれば、冬の山でも十分履き回すことができます。
コツは、タイトすぎないシルエットでサイズ選びをすること。トレッキングパンツが自分の身体にフィットしすぎていると、どんなに高機能なパンツでも、タイツを履いた時にかえって動きにくくなってしまう場合があります。
ここではタイツと合わせても履きやすい、1年通して活躍するトレッキングパンツの最新モデルをご紹介します。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)/マウンテンカラーパンツ/WOMENS

「シンプルで着回ししやすい」と評価の高いザ・ノース・フェイスのトレッキングパンツ。数多くのモデルが発売されていますが、この秋新たに仲間入りしたのがこの「マウンテンカラーパンツ」です。
■シルエット


足首に向けて細くなるテーパードシルエットは、脚さばきがしやすく、もたつかないのがポイント。腰回りをはじめ全体的にゆったりとしたサイズ感で、タイツと併用しやすいデザインです。
■ウエスト

ウエストは伸縮性のある組み紐で、好みのフィット感に調節可能。むろん結ばなくてもずり落ちることはないので、トイレのときも着脱がスムーズ。
■ポケット

左サイドには「山と高原地図」などを収めておくのにぴったりな縦長のポケット。ここに入れればさっと出し入れできるので、紙地図派の方にはとくに嬉しいポイントではないでしょうか。
■素材

素材は、ストレッチ性のあるナイロン生地。はっ水加工が施され、小雨や泥ハネがつきにくくなっている点も◎。
「マウンテンカラーパンツ」というモデル名の通りカラーバリエーションが豊富で、野暮ったく見えてしまいがちな秋冬のコーディネートを明るくしてくれます。
NORRONA(ノローナ)/フォルケティン フレックス1パンツ

北欧圏にまたがるノルウェーの過酷な自然環境下で使用できる、耐久性の高いアウトドア用具を作り始めたことからはじまったノローナ。この「フォルケティン フレックス1パンツ」にも、山をめいっぱい楽しむための工夫が散りばめられています。
■シルエット


細すぎず太すぎない、絶妙なシルエット。膝のあたりで少し絞り、立体裁断を施すことでフィット感と動きやすさを両立。中にタイツを履いた際にも無駄なもたつきを抑えてくれます。
■ウエスト

ウエストはワンアクションで好みのフィット感に調整OK。トイレのとき、ウエアをインしたいときに素早く対応します。ベルトが通っていない分、あたりが優しいところもポイント。
■ポケット

ポケットはジッパー付きで、前面に3つ、ヒップに1つ。開口部が上を向いているので、中身が落ちにくい形状です。
■裾
1番のユニークポイントは、裾まわり。足元にファスナーとボタンを設けることで裾の太さを調節でき、ボリュームのある登山靴を履いたときでもしっかりと靴の開口部を覆うことができます。
加えてドローコードもついているので、靴にインすることも可能。さらに、裾がずり上がらないようにするフック付き。雪や小石の侵入を軽減します。
■素材

素材には、ナイロンとポリエステルを混紡したオリジナルの「flex1(フレックスワン)」を使用。アクティブな動きを支えるストレッチ性はもちろん、通気性、速乾性、はっ水性も兼ね備えています。加えて裏地には凹凸があり、汗をかいてもべたつきにくいところも◎。
その他にも、蒸れを排出する大型のベンチレーションや、股下のガゼットクロッチなど、登山に欲しい機能を全カバー。それでいて重量430g(Mサイズ)という軽さ。
「かゆい所に手が届く」。そんな言葉が似合う1本です。
■トレッキングパンツと合わせたいおすすめのインナータイツ
【1枚であったか】裏起毛仕様のトレッキングパンツ
秋冬向けのトレッキングパンツは肌面が起毛していることが多く、タイツを履かなくても保温を得られるため、重ね着の煩わしさがありません。なかには防風性を兼ね備えているモデルもあり、冷たい風からも身を守ることができます。さらにタイツと併用すれば、氷点下を下回るような時期にも対応します。ここでは寒い季節に持っておくと心強い、裏起毛仕様のモデルをご紹介します。
Gramicci(グラミチ)/YAMAP別注ウィンタートレイルパンツ

2022年春、クライミングパンツに定評のある「グラミチ」とYAMAPがタッグを組んで企画する「トレイルシリーズ」。ありがたいことにアウトドアを愛するみなさまからご好評をいただき、この秋ウィンター仕様になって新たに誕生しました。
■シルエット

目指したのは、「秋冬の山で使える機能」と「街でも履きたくなるデザイン」の両立。そこで、動きやすくスマートに見えるテーパードシルエットを採用。加えて、ウエストをコンパクトにすることで裏地が肌に触れる範囲を増やし、フリースの保温力を得られるように工夫。
■ウエスト


ウエストは、片手でらくらく調整できるウェビングベルト仕様。これは50年以上前にグラミチが開発した画期的なシステムで、グラミチならではのDNAを受け継いでいます。
■ポケット

お尻のエクボの部分には、スマホの収納にうってつけのジッパー付きポケットを。この位置、この角度が絶妙で、座ったときの干渉をなくし、出し入れもしやすくなっています。


前面にはハンドポケットが2つ。裏地を柔らかいメッシュにすることで通気性を確保し、着用時にポケットがもたついて見えないようにこだわりました。洗濯時に乾きやすいのもポイント。
さらにヒップポケットも1つ。こちらはフラップにベルクロテープをつけ、取り出しやすく、でも落としにくい仕様に。
■裾

裾には何もつけずシンプルに。パンツの裾同士が擦れ合わないので、ストレスのない足運びができます。
■素材


表地は、ストレッチ性のあるしなやかなソフトシェル。耐久撥水加工を施しているので、雨や汚れを弾き、意外に汚れがつきやすい雪の季節もストレスなく使えます。そして裏地は、保温性と通気性に優れたフリース素材。グリッド状になっているのがポイントで、「あったかいけどムレにくい」快適な状態をキープ。
股下にはガゼットクロッチを備え、岩場などの大胆な足運びも生地がつっぱることなく、動きやすさを後押し。
山歩きに必要な機能はきちんと備えつつ、シルエットにも徹底的にこだわり仕上げたウィンタートレイルパンツ。「タイツ履くと動きにくくなるからなぁ…」と感じたことのある方にも、ぜひ手に取っていただきたい1本です。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)/バーブサーマルパンツ

ザ・ノース・フェイスのベストセラーパンツといえば、「バーブパンツ」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。細身ながらも動きやすく、街履きでも浮かないシルエットに惚れ込むハイカー続出。その人気モデルに保温性をプラスしたのが、この「バーブサーマルパンツ」です。
■シルエット


シルエットは、ほどよいリラックス感のあるテーパード。膝は立体裁断で、足の動きを妨げません。
■ウエスト

ウエストで注目すべきは、ベルトのパーツ部分。バックルではなく、あえてフックにして上から差し込む仕様になっています。これならグローブをしていてもつけ外ししやすく、操作性◎。
■ポケット


ポケットは、ハンドポケット2つとヒップに1つ。ヒップポケットは返しがついているので、ジッパーを閉め忘れても中身が落ちにくいという気配りが。
■裾

裾にはフックが内蔵され、靴紐に引っ掛けることでずり上がりを防止。さらにハトメもついているので、別途ゴム紐を用意して通せば足首まわりをしっかりカバーできます。この辺りはハーネスの着用を想定したつくりで、クライミング要素のある山行に適応できるように考慮されています。
■素材


生地は、寒冷下でも高い伸張回復性を保つストレッチ素材。防風性にも優れています。「サーマル」という名の通り裏地は起毛し、1枚で履いてもあたたかな仕様です。
寒い時期であっても、登りが続けば汗をかくもの。生地が裏起毛となれば、尚さら「暑くなる時があるかも」と思いますよね。でも、その問題は太もも脇のベンチレーションで解決。ウエア内にこもった熱を効率的に排出することができます。
随所にこだわりが光り、寒冷シーズンや季節の変わり目で快適度をグッと上げてくれるでしょう。
【テントや山小屋で】防寒仕様のトレッキングパンツ
山小屋やテントサイトで心ゆくまでリラックスしたい時、保温素材のパンツがあれば、山でのひとときが至高のしあわせに変わります。この項目ではおもに「防寒性」、「リラックスさ」、「携行のしやすさ」の3つに着目し、おすすめの防寒パンツをご紹介します。
HOUDINI(フーディニ)/アウトライトパンツ

名品「パワーフーディ」はじめ、多くのファンを魅了しているフーディニ。「CORE COMFORT=最高の着心地」をブランドコンセプトとして掲げているだけあり、この「アウトライトパンツ」も例に漏れず"やみつき必至"の1本です。
■シルエット


腰から裾にかけてテーパードしたデザインはもたつきが少なく、裏起毛のあったかパンツでありながら見た目はすっきり。
■ウエスト

ウエストは紐で微調整できるので、山ご飯をたらふく食べたあとでも心配はご無用。
■ポケット

両サイドにはジッパーポケットが完備。パンツの縫製パターンに添うように取り付けられているため、見た目もスマートなのが特徴。リラックスパンツだと思われがちですが、肌寒い日の行動着として履くのも大いにアリだと思います。
■裾

裾のリブのおかげで足首は固定されるので、大きめのサイズを選んで裾をたるませて履くのもいい感じ。お好みのシルエットを存分に楽しんでください。
■素材

使用しているフリースは、薄手ながらも保温力の高いポーラテックの「Power Stretch Pro Light」。パワーストレッチという名だけあって伸縮性は抜群です。表地はきめ細やかで、さらりとした肌触り。一般的にこういった素材はデリケートな側面があり、摩擦によりピリングが発生しやすいのがウィークポイントですが、この素材はポリエステルにナイロンを合わせることで耐摩耗性が向上。ピリング(毛玉)が出来にくくなっています。
裏地は目の詰まった短い毛足。これが足全体をやさしく包み込み、極上のぬくもりを生み出します。
重さは260gと軽量で、着替えとして携行してもよし、履いて行動するもよし。身軽にあたたかさを得られるフリースパンツがあると、寒い季節のハイクがもっと楽しくなります。
Finetrack(ファイントラック)/YAMAP別注 ポリゴンライトパンツ

冬の行動保温着や春夏の携行用保温着として、多くの遊び手から支持されているファイントラックの「ポリゴン2UL」シリーズ。機能性の高さ、使い勝手のよさはそのままに、よりシンプルなデザインと落ち着いたカラーにこだわったYAMAPが渾身の別注モデルがこの秋に登場します。
中綿に採用されているfinetrackの自社開発による「ファインポリゴン®」という特殊素材は、汗抜けがよく濡れにも強く、かつ行動中であってもムレが少なく快適な着心地をキープできるのが魅力です。
■シルエット


用途としては、冷え込みが気になる秋山登山や冬の低山ハイク、夏山のテント場での保温着など。タイツの上やシェルパンツの下に着用することで適度な防寒・防風効果を得ることを目的としています。いわゆるダウンパンツのような使い方になるので、ウエストやヒップ周りのシルエットはややゆったりめ。膝下は細めのテーパードシルエットです。
■ウエスト

腰回りの調整はシンプルなボタン留め&ゴムを内蔵した伸縮タイプとなっています。さらに紐で微調整もできるので、フィッティングの調整もラクラク。とくに厳冬期登山などでは、タイツにトレッキングパンツ、さらにオーバーパンツを履いてしまうと、レイヤリングが重なり腰回りが窮屈になることも。バックルやベルトなどアタリの原因となる要素はできるだけ省きたい、そんな思いに応えたシンプルかつ機能的な設計です。
■ポケット

通常モデル「ポリゴン2ULパンツ」と異なる点のひとつである、ポケットの位置。通常モデルにはヒップポケットと内ポケットがありますが、別注モデルでは冬の低山登山や夏のテントサイトなどでアウターパンツとして履くことを想定し、ハンドポケットのみを配置しています。
■裾


そして、股下と裾にもこだわりをプラス。ガセット部分をストレッチ素材にすることで動きにくさを軽減し、裾も同じ素材で冷気の侵入をシャットアウト。窮屈さがないので、リラックスして履くことができます。
■素材

封入されているのは、通常モデル同様「ファインポリゴン」が2枚。これはダウンや化繊綿の弱点を見事に克服した素材で、「水に濡れてもロフトを維持できる」、「保水しないため乾きが早い」、「シート形状で偏りや抜け出しの心配がないため、コールドスポットの発生を抑えた縫製が可能で、均一な保温力を得られる」といった特長のある画期的な保温素材です。
重さは213g(M)で、収納サイズは500mlペットボトルほどのコンパクトさ。バックパックに忍ばせておけば、山での憩いの時間がきっとよりよいものになるはず!
※こちらの商品は2022年11月1日発売開始予定です。
秋冬の山旅も、フットワークを軽く

秋が深まるにつれて山の気温はどんどん低くなっていきますが、紅黄に染まる森の美しさと散りゆく儚さ、呼吸するたびに感じる凛とした空気、いつまでも眺めていたい澄みわたる空……。どこを切り取っても“眼福”で、この時期、その瞬間にしか味わえない魅力が秋冬の山にはたくさん存在していますよね。
寒さはわたしたちのフットワークを重くしがちですが、優秀なトレッキングパンツを身にまとって軽やかにいきましょう。