冬山トレッキングの基本のレイヤリングとアレンジ術
じっとしていると寒く、動き出すと汗ばむ…。冬の登山では、服装選びが特に悩ましいものです。休憩中も行動中も快適に過ごすためには、ウェアの重ね着である「レイヤリング」が重要です。まずは各レイヤーの役割と種類を理解し、その後、天候や山域に合わせてアレンジしてみましょう。
冬山トレッキング・基本のレイヤリングをチェック

基本のレイヤリングは、冬も夏も共通です。ベースレイヤー・ミッドレイヤー・アウターシェルを組み合わせて重ね着を調整し、快適な暖かさを保ちます。特に首都圏近郊の奥多摩や丹沢、奥武蔵などでの冬山トレッキングでは、ベースレイヤーとミッドレイヤーの選び方がポイントです。ベースレイヤーには汗冷えを防ぐ素材のものを、ミッドレイヤーには保温性の高いものを選ぶと快適に過ごせます。
|ドライレイヤー
ベースレイヤーの下に着るインナーは、肌着のような役割を持つレイヤーです。主な役割は、汗を素早く吸収し、ベースレイヤーに渡すこと。これにより、汗が肌に残りにくくなり、冷えを防ぐ効果があります。特に冬場の登山ではこの層が重要です。選ぶ際は、体にぴったりと沿うサイズ感のものを選ぶと、その機能を最大限に活かせます。
finetrack(ファイントラック)/ドライレイヤーウォーム
保温性はドライレイヤーベーシックの約1.5倍。汗抜け機能はしっかり確保されているので、いつでも肌はさらさらに。柔らかい生地感で、素肌に心地よく、ほんのりあたたか。
|ベースレイヤー
ドライレイヤーの上に重ねるベースレイヤーには、冬場はロングスリーブのトップスと、パンツの下に履くタイツを組み合わせるのが基本です。汗冷えを防ぐことも重要なため、乾きにくい綿100%の素材は避けましょう。吸湿速乾性に優れた化繊や、保温性と速乾性を兼ね備えたウール混の素材を選ぶのがおすすめです。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)/エクスペディションシリーズ
防寒と通気、発散という相反する機能を備えたベースレイヤーが、この「エクスペディション」シリーズ。汗を素早く処理しドライをキープ。ベースレイヤーと防寒着がこの一着で済み、シンプルなウェアリングに一役買います。
YAMAP(ヤマップ)/プラックスウール200ロングスリーブT
肌にやさしく暖かいウールに環境負荷を抑えた天然由来のプラスチック繊維を原料とした「PlaX™️(プラックス)」で作られたYAMAPオリジナルのベースレイヤー。肌触りがよく、数日着用しても汗のニオイが気にならないほどの高い防臭・抗菌機能を発揮します。
STATIC(スタティック)/YAMAP別注オールエレベーションロングスリーブ
メリノウールとリサイクルポリエステルの混紡素材。オールエレベーションとは、「すべての標高」という意味。日帰りのハイキングから縦走登山、過酷な冬山登山まで、あらゆるシチュエーションで快適性をもたらせるベースレイヤーです。
YAMAP(ヤマップ)/サンブロックロングスリーブフーディー
紫外線が気になる山行でも、暑さや煩わしさを感じず快適に過ごせるように。YAMAPユーザーさんと真摯に向き合い、寄せられた多くの声をかたちにすることを目指して製品化した一着です。
|ミッドレイヤー
ベースレイヤーの上に重ねるレイヤーで、保温性に優れているフリースや中綿が入ったインサレーションジャケットを使います。秋冬はミッドレイヤーを着込んだまま行動することが多いので、保温性と通気性のあるものを選びましょう。
finetrack(ファイントラック)/ポリゴンシリーズ
化繊綿の入ったインサレーションジャケット。保温性はもちろん、ベースレイヤーが拡散した汗をしっかり吸い上げて蒸散させてくれるので、着込んだまま行動しても蒸れにくい。性能はそのままでYAMAPオリジナルモデルも登場しました。
MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)/YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドシリーズ
フリース生地を低密度のニット構造にすることで「保温」はそのままに「通気」を確保。「行動中は暑すぎて着られない」というネガティブな問題をクリアすることに成功した、YAMAPとマウンテンハードウェアのコラボアイテムです。
NORRONA(ノローナ)/ロフォテンハイロフレックス200フード
表地にソフトシェル素材、裏地には起毛フリース素材を併用することで、ソフトシェルらしい動きやすさを生む伸縮性や通気性の高さはそのままに、適度な保温性も兼ね備えるジャケットに仕上げられています。
and wander(アンドワンダー)/アルファダイレクトフルジップフーディ
汗をかいても蒸れにくく適度にあたたかさを保ち、冬の運動でも寒くもなければ暑くもならない。通気性と保温性を絶妙なバランスで備え、ハイキングや登山だけでなく、軽量を追求するファストパッキング、ULハイキングでも活躍できるモデルになっています。
|アウターシェル
いちばん上に重ねるレイヤーで、風や雨を防ぐ役割があります。冬山ハイキングではレインウェアや、厚手のウィンドシェルなどを使えますが、本格的な雪山では冬用のジャケットが必須。厚手で強風にも耐えられる、雪上で滑りにくい、雪が入りにくい構造など、さまざまな点が雪山仕様になっています。
Teton Bros.(ティートンブロス)/ツルギジャケット・レディバグジャケット
氷の壁を登るアイスクライミング用として作られたものですが、その着心地のよさと、独自のデザインが生み出す機能性が評判を呼び、秋冬のハイキングや登山、スノーシューやスキー・スノーボードまで幅広く使える1着として人気。レディバグジャケットは女性用モデル。
finetrack(ファイントラック)エバーブレスアクロジャケット
縦方向112%・横方向121%という高いストレッチ性が、強風によるバタつきを軽減。加水分解などで劣化しやすい防水性(耐水圧)を長期間維持したり、通常の防水透湿素材では低下する濡れた時の透湿性を乾燥時と変わらず維持するなど、ハードシェルに要求される機能を高次元で実現。雪山シーンも考慮された仕様となっています。
NORRONA(ノローナ)/フォルケティン ゴアテックスパックライトジャケット
軽さと機能性、耐久性をベストなバランスで保つのが、GORE-TEX®ファブリックの「パックライトプラス」。動きやすい立体的なパターン、内部にこもった熱を逃すベンチレーションシステムなど、計算され尽くされた高機能ジャケットです。
|防寒小物
秋冬にはビーニーや手袋などの防寒小物が欠かせません。ウール混のものが、冷えにくくておすすめです。忘れがちなのが足先の防寒。ソックスもウール混の中厚手のものに変えて、足先の冷えを予防しましょう。
MOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)/YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドビーニー・ネックゲイター
保温と通気性を両立した素材、ポーラテック社「ハイロフトグリッド」を使い、頭部の汗とムレが抜けやすいアクティブ向けのフリースビーニーとネックゲイター。山行後は洗濯機で洗える扱いやすさもポイント。
Teton Bros.(ティートンブロス)/リブティービー
メイド・イン・ジャパンの、肌触り、フィット感に優れた高品質なビーニー。街中でも映える絶妙なカラーリングとデザインも特徴。
halo commodity(ハロ コモディティー)/YAMAP別注 マカルーフラップキャップ・リッジファーキャップ
起こりがちな頭部のムレを防ぎつつ、それでいて保温性もある帽子があるといいな、という想いから誕生したファー付きのキャップ。山でもタウンでも、シーンを選ばずに幅広く使いやすいデザインになっています。
handson grip(ハンズオングリップ)YAMAP別注オープンミトングローブセット
冷えやすい手指を寒さから守るグローブにもレイヤリングシステムを導入し、効果的に保温と換気が可能に。3点セットだから寒さや雪の状況に合わせた使い方ができます。
finetrack(ファイントラック)/エバーブレスウインタートレイルグローブ
保温材入りのグローブ。独自開発の防水透湿性素材「エバーブレス」を表地に使い、雨雪から指先を守ってくれます。ストレッチ性があり、タッチパネル操作に対応しているので、行動中から休憩中までずっと着用していてもストレスフリー。
YAMAP(ヤマップ)/トレイルソックス ウールナイロンタビミドル イージーフィット
足のサポート性を高める特殊な技術で編み込んだソックス。履くだけで足裏、両サイドに縦方向に配された強度の強い編み目が、キュッと足裏を掴むように土踏まずを支えて筋肉の負担を軽減します。使用している糸はメリノウールとナイロンを引き揃えて編んだ特製素材。
DARN TOUGH(ダーンタフ)/ハイカーブーツソックミッドウェイトクッション
ムレやニオイに強いメリノウールを採用し、びっしりとニットを編み込んだ靴下は、「快適」以上の履き心地。一般的なアウトドアソックスと比較して7倍という驚異の耐久性を持つ頼れる靴下です。
|保温ウェア
休憩中の保温ウェアとして、中綿入りのインサレーションジャケットを携帯しましょう。ダウンジャケットがおすすめですが、近年は化繊のインサレーションジャケットが進化していて、軽量コンパクトなモデルが増えてきています。
Rab(ラブ)/マイクロライトアルパインジャケット
リサイクルダウンを使ったジャケット。ダウン自体に撥水加工が施されているので、ダウンの天敵である濡れに強いのが特徴。保水しないので、保温性が落ちにくくなっています。
patagonia(パタゴニア)/マイクロパフフーディ
羽毛のような保温性と軽やかさ、圧縮率の高さ、乾きやすさを兼ね備えたパタゴニアを代表する保温着。素材は化繊ながらもダウンのように空気を溜め込み暖かく、濡れても乾きやすいから気温が下がる時期のアクティブシーンに活躍します。
2)基本のレイヤリングにプラスワン
冬山ハイキングでは、ぽかぽか陽気で少し動くだけで汗ばんだり、日中になっても気温が上がらず氷点下のままだったりと、日によって天候や気温の差が激しいことも。各レイヤーの素材や生地を見直して、通気性に優れたものや保温性の高いものなどにチェンジして、より快適に過ごせるように工夫しましょう。
|ウールのベースレイヤーで暖かく

冷え込みが厳しいときは、ベースレイヤーをウール混やウール100%のものにチェンジ。ウールは濡れても冷たくなりにくいという特性があるので、冬山ハイキングにぴったりの素材です。
YAMAP(ヤマップ)/スーパーエクストラファインメリノロングスリーブ
YAMAPがお届けする「スーパーエクストラファインメリノ」シリーズは、メリノウールのなかでもトップレベルの品質を誇る生地を採用することで、ウールの弱点と言われるチクチク感を克服したインナーウェア。天然素材ゆえのドライレイヤーが吸い上げた汗をゆっくりと拡散してくれる「汗対策」効果もあり、快適な行動には欠かせないアイテムです。
|1着あると便利なのが薄手のフリース

ぽかぽか陽気の日には薄手のフリース1枚をミッドレイヤーに、寒さが厳しいときにはその上に化繊のインサレーションジャケットを重ねてミッドレイヤーを2枚に。秋冬は薄手のフリースが1枚あると、便利に使い回せます。
finetrack(ファイントラック)/ドラウトクロージャケット
一度濡れるとなかなか乾かないというフリースの欠点を補い、行動中は熱を放出して無駄な発汗を抑え、休憩中はかいた汗を効率よくウェア外に吐き出して蒸散させる素材「ドラウト®クロー」を使用。行動中は涼しく、休憩中は暖かくという、相反する要望をかなえてくれます。
|ボトムスにもドライレイヤーを追加して汗冷え防止

運動量が多いと、下半身もしっとり汗をかくことも。気温が低いときは一度体が冷えると温まりにくいので、ドライレイヤーをボトムスにも追加して汗冷え対策を強化するのもおすすめです。
finetrack(ファイントラック)/ドライレイヤーウォームタイツ
保温性も兼ね揃えたドライレイヤーのタイツ。ストレッチ性が高くて動きやすく、しっかりフィットするため重ね着してももたつきません。
|風が強いときは下半身にもアウターシェルを

足元はベースレイヤーにミッドレイヤーのボトムスを重ねるのが基本。これだけだと、風が強いときや気温が低いときには、肌寒さを感じると思います。そんなときには、レインウエアのボトムスをアウターシェル代わりに使うのがおすすめです。
finetrack(ファイントラック)/エバーブレスアクロパンツ
どうしても生地は硬く、ごわついた着心地になりがちな雪山のボトムス。そんな概念を根底から覆すしなやかな履き心地。冬山で本気のチャレンジをする人のための、最強のアウターシェルパンツとなっています。
finetrack(ファイントラック)/エバーブレススノーラインパンツ
高い保温性や驚異的なストレッチ性能での動きやすさに、補強を施した耐久性と、熟考されたディテールによる使いやすさをプラス。これを履いていれば、冬のアウトドアアクティビティ中は問題なし。履き変える必要などまったくなくなる、オールマイティーなハードシェルパンツです。
|雪がある時はゲイターをプラス

雪があるときはゲイターをプラスして、ブーツの中に雪が入るのを防ぎましょう。雪解け後、水分を多く含んだ山道で泥ハネからも足回りをサポート。
Rab(ラブ)/トレックゲイター
70デニールのリップストップナイロン生地を使用し、それを二層に重ねることで防水性を高めています。DWR(耐久撥水)加工も施しているので、激しい雨の日でも浸水する心配はありません。
OUTDOOR RESEARCH(アウトドアリサーチ)/クコロゲイター・ヘリウムゲイター
ゴアテックス素材のゲイター。足首まわりには高強度素材が配置されているので、岩やアイゼンの刃が当たっても破れにくくて安心。
|暖かい日はウールのグローブ1枚で

防風・防水性に優れたグローブのほか、薄手のウールのグローブが1枚あると便利。暖かい日はウールのグローブ1枚で充分。寒いときはグローブをレイヤリング。細かい作業をするときに防風・防水グローブを脱いでも、ウールのグローブで暖かさをキープできます。
HANDSON GRIP(ハンズオングリップ)/ホーボーシリーズ
細かい作りが納得のメイド・イン・ジャパンのハーフフィンガーグローブ。フィット感抜群で、メリノウールの優しい肌触りだからインナーグローブとしても使用可。
冬こそ試される基本レイヤリングとアレンジ術
あらゆる状況を想定するに越したことがない冬山トレッキングこそ、基本のレイヤリングと、状況に応じた臨機応変なアレンジ術が求められます。まずは、基本の考え方をしっかりおさえて、必要に応じて細かなチューニングをしていけるようにしたいところです。準備が整ったら山へ飛び出し、暖か&快適に過ごしましょう!