遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

いま、アウトドア界で静かなブームとなりつつある「パックラフト」は空気で膨らませる軽量・小型のインフレータブルボート。“気軽に持ち運べる艇”なので、アイデア次第で様々な遊び方ができる画期的なギアなのだ。ここではYAMAP STOREでも販売が決定したパックラフトの魅力をご紹介します。
[記事作成:櫻井 卓 写真:飯坂 大]

パックラフトって、そもそもなに?

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

「パックラフト」。その名の通り“パック”できる“ラフト(いかだ)”のことで、最大の特徴はその軽量さとコンパクトさ。わずか3kg程度の重さしかないんですが、空気で膨らませれば立派な艇になるんです。もともとはアラスカの原野などを旅するために開発されたもので、当時は川や湖を移動する目的だったのですが、最近ではレジャー用に進化。ホワイトウォーター(急流下り)などもこなせる、なかなかの性能なのです。

日本ではまだまだ認知度の低いパックラフトですが、アメリカ、ニュージーランド、ドイツ、カナダなどでは、かなりのユーザー数が居て、アウトドア遊びの1カテゴリーとして認知されはじめています。


パックラフトのメリットは?

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

川下りの道具としてパックラフトを選ぶメリットは、やはりその軽さとコンパクトさ。
持ち運びがラクなので、公共交通機関を使いやすいのです。

ゴール地点に車を置いて、パックラフトをバックパックに入れて電車を使ってスタート地点に行くこともできますし、バスの利用もラクです。そういったものがない場合でも、タクシーを呼んでしまえば事足ります。いずれにせよ、重量はテント程度なので、バックパックに入れてしまえば、歩くのにもストレスはありません。

ほかにも、通常のフォールディング(折り畳み)カヤックよりも場所を取らないので、1台の車で4人一気に行くことができますし、家での保管場所にも困りません。都市生活者にも優しい艇なのです。

それと、準備撤収の容易さも見逃せない要素です。膨らませるのにかかる時間はわずか5分程度、準備全体にかかる時間を含めても10分程度です。

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

個人的にとても良いと感じているのは、ポーテージが苦にならないこと。ポーテージとは危険箇所(大きな瀬など)があった場合に、上陸して艇を運ぶこと。パックラフトはわずか3kgなので片手でひょいっと運べます。自分の技量などに照らし合わせて「無理せずポーテージしとくか」と判断しやすいのは、安全面の上でも大きなメリットだと思います。


ハイブリッドな遊びができる!

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

さまざまなアクティビティと組み合わせやすいのもパックラフトの持ち味です。

例えば、自転車でツーリングして、川まで行き、そこからパックラフトで川下り。自転車を積載することができるので、ゴール地点からは再びツーリングを楽しむ。

もちろん、通常の川下りキャンプもできますし、湖畔のオートキャンプ場などに持ち込んで、キャンプ時間をより充実させることも可能。旅先に持っていくのもさほど困難ではありません。

軽量・コンパクトなパックラフトだから、遊びのスパイス的に投入できるところも良いですよね。


何が必要なの?

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最低限必要なものとしては、パックラフト本体、パドル、そしてPFD(ライフジャケット)の3つ。これがなくては始まりません。

YAMAP STOREで扱っているものを以下に簡単に紹介します。

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

KOARO(コアロ)/パックラフト

ニュージーランド生まれの新進ブランド。重さはわずか3kgで、収納サイズは20×50cm。オーソドックスな作りで、コストパフォーマンスにも優れます。壊れやすい複雑なパーツを使っていないので、長く使えそうなところも魅力です。

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

Marsyas(マーシャス)/パドル

パックラフト本体のコンパクトさを損なわないためには、4ピースに分割できるパドルがベターです。ブレード部分は岩などに当てることも多いので、カーボンではなく樹脂製がオススメ。

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

mti(エムティーアイ)/ライフジャケット

ホワイトウォーターにも対応する十分な浮力は確保しつつ、コストパフォーマンスに優れたモデル。入門用としては、このあたりで十分。

他にも、行く場所によってはヘルメットも必須ですし、スローロープなどの救助道具も用意したいところです。荷物を載せるのには、各種サイズの防水バッグも必要。ギア面だけでなく、セルフレスキューの知識など、ソフト面もしっかりと学ぶのが安全に楽しむためには欠かせません。

漕ぐこと自体は難しくありませんが、もちろん自然相手のことなので、安全対策はとても重要。いきなり川ではなく、まずは湖などの静水でパドリングや操船方法を練習するのが良いでしょう。川下りの場合は万が一のことを考えて、単独でいくのはできるかぎり避けるべきだと思います。

最近では初心者向けツアーなども各地で開催されているので、まずはそちらに参加するのもオススメです。

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YAMAPスタッフが挑戦!ヒゲ隊長と行くはじめての川下り

百聞は一見にしかず。YAMAPスタッフが、パックラフトでの川下りに挑戦してきました。
初めてのパックラフトに必要な知識を体当たりで教わりつつ、存分に魅力を味わってきました。

体験記事を読む

パックラフトで広がる外遊び

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力

行ける場所が増えるということは、目線が増えることと同義です。

登山を始めた頃を思い出してみてください。それまではただの雲だったものが、天候を読むためのツールに変わり、地図と地形を見比べて自分の現在地を割り出す。それまで気にもしていなかった、高度による植生の変化なども知り、感動したのではないでしょうか。

パックラフトで川に出れば、それまでは眺めるだけだった川が道になります。そして、ただ流れているだけだと思っていた川が、瀬や反転流など実はとても変化に富んでいることに気づくはず。もちろん、その川の水はいつも登山している山から流れこんでいることは言うまでもありません。山だけでなく、川も知ることで、日本の自然の豊かさを別角度から再発見できるのです。

パックラフトは川の世界に飛び込むには、絶好の入り口だと、自身の経験からも自信を持って言えます。

遊びが広がることは、世界が拡がることと同義なのです。

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卸販売のお問い合わせにつきまして

遊びの幅を大きく広げるパックラフトの魅力大分・豊後大野で行われた外国人インフルエンサー向けのイベントの様子

YAMAP STOREでは、企業様、自治体様向けに卸販売も行なっております。パックラフトの導入にご興味のある際はお問い合わせください。

自治体の観光や、キャンプ場、宿泊施設での貸し出し用などにご活用いただいております。 
 
パックラフト卸販売専用お問い合わせ窓口
info@store.yamap.com

前田 央輝(まえだ ひろあき)

前田 央輝(まえだ ひろあき)

1972年鹿児島生まれ。登山アプリを手がける「YAMAP」専属ガイド。お酒と自然と子どもをこよなく愛するフーテンのアウトドアガイド。23歳の時にユーコンの原野を1か月かけて旅し、「この自然の素晴らしさを子ども達にも伝えたい」と自然学校のひげ校長を志すことに。今も夢に向かって全国を駆け回り、自然の楽しみ方を絶賛普及中。アウトドアショップを経営していたこともありウェアやギアなどについても詳しい。 YAMAPの専属ガイド・ひげ隊長が送る、無骨で愉快なYAMAPのB面企画「ひげチャンネル」も更新中。 https://www.youtube.com/playlist?app=desktop&list=PL0yTTQICNPPu2FSh8HyEcf8yejBf63fZe

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