登山用バックパックの選び方を徹底解説|「どれがいいかわからない」に終止符を
登山時の荷物を「運ぶ」ためのバックパック。しかし、ひとことでバックパックと言ってもサイズや機能、デザインなどバリエーションはさまざま。あれもこれも見ているうちに「どれが自分に合っているんだろう」「行きたい山にはどんなモデルを選んだらいい?」と悩みが浮かんでくることもあるでしょう。そこで、今回はYAMAP STOREが厳選したモデルを、テーマ別でご紹介。最高の相棒がきっと見つかるはずです!
バックパックの大きさは、山行プランに合わせて選ぼう

登山用バックパックを選ぶとき、最初に悩むのは「大きさ(容量)」ではないでしょうか。「自分にはどれくらいの容量が必要なのだろう?」と、不安になることもあるかもしれません。でも大丈夫。バックパックの容量は、想定する山行のスタイルや装備に合わせて選ぶことができます。
たとえば、日帰りで3時間以内のライトハイキングなら20L前後のバックパックで十分です。4~8時間ほどの本格的な日帰り登山には30L前後、小屋泊やテント泊を計画している場合は40L以上の容量が必要になります。
また、どの山行計画でも調理をする場合は、クッカーやバーナー、食材などが加わり荷物が増えるため、+5L程度の余裕を持って選ぶのがおすすめです。
さて、バックパックの容量について理解したところで、次はテーマ別の詳しい解説に進んでみましょう!用途や状況に応じたポイントを押さえれば、さらに自分にぴったりのバックパックを見つけるヒントが得られるはずです。
第一章:「山道具」としての機能を重視。背負い心地や耐久性にこだわった逸品

「歩いているうちに肩が痛くなる」「岩場で安定感がほしい」といったストレスとは無縁なモデルがこちら。背負い心地のよさだけではなく、厳しい環境下での長期間の使用にも耐えうるタフさが魅力。安くない買い物だからこそ、長く使えることは大事な要素です。
patagonia(パタゴニア)/ テラヴィアパック 28L

言わずと知れたアメリカの名アウトドアブランド「patagonia(パタゴニア)」から届いた登山向けバックパックは、痒いところにしっかり手が届きつつも、余計なものは一切ついていない、考え抜かれた隙なしのディティールを持ったバックパック。
リサイクル素材でつくられたリップストップナイロンを、厚さ違いで適材適所に採用し、軽量性と耐久性の両立を実現。活動中に嬉しいさまざまな収納ポケットが施されており、背面や腰ベルトの裏側は通気性を考慮したメッシュ仕様となっています。


さらに「テラヴィアパック 28L」には、急な悪天候に対応するための内蔵レインカバーが装備されています。これにより、突然の雨でも荷物をしっかり守ることができ、別途レインカバーを用意する手間も省けます。これから登山を始める方の「ファースト登山パック」として、真っ先におすすめしたい製品です。
macpac(マックパック)/ ウェカ

創業から50年を迎えた「macpac(マックパック)」。この長い歴史を支えてきたのは、過酷なニュージーランドの自然環境に対応するために開発された「アズテックECO Canvas」という特殊素材です。この素材は、オーガニックコットンとポリエステルを混紡し、天然素材のようなクラシカルな風合いと長期間の使用にも耐えうる耐久性を両立させています。さらに、デニムのように使い込むほど味が出る特徴があり、経年変化が山行の思い出と重なっていくことで、より一層の愛着が生まれる製品に仕上がっています。


素材だけでなく、背負心地もいいのがウェカの良さ。荷重のかかる背中と腰の部分にのみ配置された分離型の背面パッドは、しっかりと厚みがあり歩行中の衝撃を吸収・分散。縦方向につけられた凹凸によって、通気性も確保されています。
MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)/ブリッジャー

米軍が使用するバックパックも手かげており、堅牢なものづくりに定評のある「ミステリーランチ」が考える、「多機能」なのに「軽く感じる」という相容れない二つの要素を融合した革新的な登山用バックパック。それが「ブリッジャー」シリーズです。


特徴的なのは肩から胸にかけて優しくフィットするベスト型のショルダーハーネスデザイン。幅広のベルトは荷重を分散させ、バックパックとのフィット感も高めてくれます。またこの部分はポケットにもなっているため、スマホや飲料なども収納できます。
大きく開くメイン収納スペースだけでなく、細かなポケットも充実。パッキングが楽しく感じられる、初めてのテント泊におすすめのバックパックです。
第二章:ライトウェイトモデルで身体への負荷を軽減。足取り軽く、たくさん歩こう!

UL(ウルトラライト)は、アメリカのロングトレイルから生まれた「軽量化で体の負荷を減らし、長く歩く」スタイル。かつては一部のハイカー向けでしたが、今では一般登山者向けアイテムも増え、定番ジャンルとなりました。本章では、ULテイストの軽量モデルを厳選してご紹介します。
Okara(オカラ)/リーテッ

山と街、二つのシーンでの使いやすさを考慮してデザインされた「Okara(オカラ)」のバックパック。その中でも、小型で軽量性を重視して作られているのが「リーテッ」です。容量は約12Lとコンパクトで、ライトハイキングやアタックザックとしての活用にぴったり。一見するとデザインの可愛らしさが目を引きますが、実は高機能な本格仕様です。


本体の脇部分には、メインスペースに直接アクセスできる止水ファスナーが施されており、荷物の出し入れがとてもスムーズ。防水透湿素材を採用し、開口部をロールトップ式にすることで、水濡れへの耐性を強化。山でも街でも、機能性とデザイン性を両立した頼れるパートナーとして活躍してくれます。
macpac(マックパック)/へスパー&ハーパー

「マックパック」が手掛けるファストパッキング向けの新モデル。従来のクラシックなイメージを刷新し、軽量性と背負いやすさを追求した仕様に進化しました。メイン素材には摩擦に強いUTSコーティングを施した100Dリップストップナイロンを採用し、フィールドでの耐久性も申し分ありません。


バックパネルは波型にすることで、フィット感と通気性を両立。荷物の背中へのアタリも軽減され、快適な背負い心地を支えています。フロントとサイド、そしてウエストベルトなど多彩なポケットが使いやすさを向上。ユニセックスモデルの「ヘスパー」とウィメンズモデルの「ハーパー」があります。小柄な女性には「ハーパー」がオススメ。
第三章:日常でも使える配慮が嬉しい、一石二鳥なデザインバックパック

「せっかくバックパックを購入するなら、幅広く使えるデザインが好ましい。」そう感じる方は多いのではないでしょうか。登山用としての機能性を備えつつ、日常のスタイルにも自然に溶け込む、そんなバックパックもたくさんご用意しています。
そして、ルックスだけでなく機能性も妥協しないのがYAMAP STOREの目利き。実用性とデザイン性を両立した、あらゆるシーンに映えるバックパックをご紹介します。
macpac(マックパック)/ツイ

どこか懐かしさを感じるクラシカルなデザインが魅力の「ツイ」。第一章でご紹介した「ウェカ」と同じ「アズテックECO Canvas」を素材に採用し、90年代に人気を博したデイパックデザインをベースに、現代の使いやすさを追求してアップデートされた製品です。


最大15〜16インチのノートパソコンが収納できる背面スリーブや、キークリップ付きの便利なポケットを内蔵。一見シンプルな外観ながら、外側にはペットボトルや折りたたみ傘が収納できるサイドポケットも備えています。さらに、アクティブシーンに欠かせないチェストストラップ付き。どんなお出かけにも寄り添ってくれる、頼もしい相棒になること間違いありません。
RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)/バンビエックスパック

「自分たちが使いたいもの」をテーマにものづくりを続ける日本発のガレージブランド「Rawlow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)」。その代表作ともいえる「バンビエックスパック」は、日帰り登山に最適な28Lサイズのバックパックです。
クラシカルなデザインに、ULテイストあふれるメッシュポケットや高耐久のX-PACファブリックを組み合わせ、ハードなアクティビティにも対応可能します。


見た目のスタイリッシュさだけでなく、歩行時の安定感を高める設計も魅力。重心を上半身にしっかりと乗せる工夫により、疲れにくく快適な背負い心地を実現しています。スポーティーすぎないシームレスなデザインで、山から街まで幅広く使える魅力的な一品です。
RIDGE MOUNTAIN GEAR(リッジマウンテンギア)/ワンマイル

「日常と山での道具を分け隔てなく使用できる」を製品コンセプトに掲げる「RIDGE MOUNTAIN GEAR(リッジマウンテンギア)」。その思想を体現し、日常生活とハイキングの双方で活躍する機能性、容量、デザインを追求して作られたのが「ワンマイル」です。


背面にはPCを収納できるスリーブや、両サイドに大きめのメッシュポケット、キークリップなど、日常使いに便利な仕様をしっかりと押さえています。一方で、ヘルメットやトレッキングポール、ピッケルといった登山用具を取り付けられる本格的なディテールも併せ持っているのが大きなポイント。さらに、取り外し可能でクッションとしても使える背面パッドが付属しており、細やかな気遣いが感じられる設計です。
Okara(オカラ)/ミッテン

女性らしい愛らしいデザインと、本格登山仕様のディテールを兼ね備えた30Lザック「ミッテン」。これひとつで通勤通学から旅行、週末のハイキングや山小屋泊の登山までーー幅広く活躍してくれる万能さを持ち合わせた、心強いバックパックです。


開口部は、第二章でご紹介した「リーテッ」と同じロールトップ型を採用。荷物の量に応じてサイズを調整できるため、使えるシーンが広がります。さらに特徴的なのは、フロントに配置された大型メッシュポケット。デイリー向けのバックパックではあまり見かけないデザインですが、これが驚くほど便利。山では携行食やウェア、街では本や携帯バッテリーなど、頻繁に出し入れしたい小物をたっぷり収納できます。ぜひ自分らしいスタイルで使いこなしてください。
第四章:ギミックが心をくすぐる、次世代のバックパック

バックパックに求められる機能は年々進化しています。ただ荷物を運ぶだけでなく、使いやすさや収納の工夫、さらには個性を演出するデザイン性も欠かせません。そんなバックパック市場のなかでも、創意工夫が凝らされた最新のバックパックを集めました。
patagonia(パタゴニア)/ウルトラライトブラックホールトートパック

パタゴニアのロングセラー製品でもある「ウルトラライトブラックホールトートパック」。一見すると普通のトートバッグのようですが、実はトートとバックパックの2WAYデザインを備えた多機能アイテムです。トートバッグとして使用する際は、バックパック用のショルダーストラップを本体内側に収納できるため、シーンに応じた使い分けが可能です。


容量は27Lと十分な大きさで、登山用としても問題なく活用可能。フロントや両サイドには外ポケットを備え、小物の整理にも便利です。さらに、コンパクトに折りたためるパッカブル仕様で、旅行や出張時にスーツケースへ忍ばせておけば、旅先でのハイキングやお出かけにも大活躍します。アウトドアメーカーならではの機能性と実用性を兼ね備えた一品です。
holo(ホロ)/ユーティリティバックパック

アウトドアアクティビティに造詣の深いデザイナーの「自分のスタイルに合うバッグを作りたい」という思いから生まれた「holo(ホロ)」。最大の特徴は、メインスペースを上下に分ける「2気室構造」です。バックパックを横切るジッパーを開けると、上部とボトム部にアクセス可能。荷物を分けて収納でき、整理が簡単になります。


ボトム部には保冷温効果のあるクッションを内蔵し、ドリンクや食材はもちろん、カメラや釣り道具などの精密機器の収納にも最適。バックパック内部の「荷物がごちゃつく」「取り出しにくい」といった課題を解消する、アウトドアに嬉しい新発想のバッグです。
EXPED(エクスペド)/ブラックアイス 30

シンプルでスタイリッシュなフォルム、余計なものを削ぎ落としたデザインが際立つ「ブラックアイス 30」。ロールトップ式の開口部やギアを固定するストラップなど、アルパインバッグならではの正統派なギミックが詰め込まれています。


最大の特徴は、高い防水性を誇る素材と構造です。アルパイン向けらしい強度に優れた400DのHDリップストップナイロンを採用。岩との摩擦などにも強く、安心感があります。また、耐水圧が10,000mmもある完全防水で、雨の日でも荷物を水濡れから守ります。沢登りにもおすすめの製品です。
MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)/テラフレーム50 3-ZIP

山岳用バックパックの常識を覆す画期的な収納システム、「OVERLOAD®フィーチャー」を備えた「テラフレーム50 3-ZIP」。この独自機能は、バックパックの背面フレームと本体を離脱させ、その間に荷物を積み込むスペースを生み出すという革新的なアイデアから生まれました。


元々はハンティングで仕留めた獲物を効率的に運ぶために開発されたこの機能を、山岳用バックパックに応用したのがこの製品です。登山道具の他に濡れたテントやクッション性のある大型の荷物を分けて収納できるため、パッキングの自由度が飛躍的に向上します。また、特許取得済みの3-ZIPデザインにより、バックパック全体へのアクセスが容易で、荷物の出し入れもスムーズ。ヘビーな荷物をスマートに運ぶ新時代のバックパックです。
「選ぶ悩み=楽しみ」として捉えよう

アウトドアメーカー各社からさまざまなバックパックが発売されており、どれを選んだらいいのか悩んでしまうのも無理はありません。今回は大きく4つのテーマでピックアップしてみましたが、それぞれ個性あふれるモデルばかり。気になったバックパックをぜひともチェックしてみてください。最後に、山行シーンやシーズンに合わせて選ぶのもいいのですが、直感でコレ!と決めてしまうのもアリ。そのバックパックに合わせて山を選んだり、山行スタイルを決めたっていいんです。それくらい、バックパックは魅力的なプロダクトなのですから。
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