「どれがいいかわからない」に終止符を。登山の相棒「バックパック」徹底ガイド
登山時の荷物を「運ぶ」ためのバックパック。しかし、ひとことでバックパックと言ってもサイズや機能、デザインなどバリエーションはさまざま。あれもこれも見ているうちに「どれが自分に合っているんだろう」「行きたい山にはどんなモデルを選んだらいい?」と悩みが浮かんでくることもあるでしょう。そこで、今回はYAMAP STOREが厳選したモデルを、4つのテーマでご紹介。最高の相棒がきっと見つかるはずです!
機能重視!背負い心地や丈夫さにこだわった逸品

「歩いているうちに肩が痛くなる」「岩場で安定感がほしい」といったストレスとは無縁なモデルがこちら。背負い心地のよさだけではなく、厳しい環境下での長期間の使用にも耐えうるタフさが魅力。安くない買い物だからこそ、長く使えることは大事な要素です。
MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)/クーリー

アメリカの伝説的バックパックデザイナーである、デイナ・グリーソンが率いるミステリーランチ。米軍が使用するバックパックも手かげており、質実剛健な作りとあらゆるフィールドでの背負い心地のよさが魅力です。


特徴的なのは「3ジップデザイン」と呼ばれるユニークなフロントの開閉システム。ガバッと開ければ荷物が一目瞭然。また、背面長を調整できる「フューチュラヨークシステム」も秀逸で、身長や体型に合わせて最適なフィット感を実現可能。重い荷物を背負ったときでも、しっかりしたパッドとハーネスのおかげで安定感があり、バランスを崩さず軽快に歩くことができます。日帰り登山向けの20Lサイズ、小屋泊登山向けの30Lサイズがラインナップ。
PAAGO WORKS(パーゴワークス)/バディ

トレイルランニング向けバックパック「RUSH」で培った機能をふんだんに盛り込んだハイキングモデル「BUDDY」シリーズ。アクティブな山行時でも「ブレない」高重心設計を採用しており、クラシカルな見た目からは想像できないほどのフィット感のよさが魅力。ポケットの配置も登山での行動パターンを考慮した配置になっており、使っているうちに「よく考えられている!」と作り手の思いを感じるほど。

メイン開口部は体側に開く仕様となっており、アタッチメント部分はショルダーハーネスに連結する設計になっているのですが、これは重心を体に寄せることで負荷を軽減するための工夫。背中に吸い付くような背負い心地を体感すると、ついつい走り出してしまいたくなるほど。小屋泊にも対応する33リットルモデルと、日帰りハイクに最適な22リットルモデルがラインナップ。
軽量モデルで身体への負荷を軽減

もともとはアメリカのロングトレイルを歩くために生まれたUL(ウルトラライト)。軽量化を追求することで、体の負荷を抑えて長く歩こうというというスタイルです。かつては一部のハイカーが取り入れるマニアックなものでしたが、現在は一般登山者向けのULアイテムも多く展開され、メジャーなジャンルのひとつとなりました。ここではそんなULのテイストを感じさせる軽量モデルをピックアップ!
macpac(マックパック)/へスパー30&ハーパー30

ニュージーランド発のバックパックメーカー「macpac」が新たに展開をはじめたファストパッキング向けモデル。これまでのクラシックなイメージを一新し、ライトウェイト&ファストなラインナップが登場しました。なんと重量は約730g(ヘスパー30/S2サイズ)と超軽量。軽量モデルでありながらも、やはりmacpac。メインファブリックには摩擦に強いUTSコーティングを施した100Dリップストップナイロンを採用するなどフィールドでの耐久性もバッチリ。


バックパネルは波型にすることで、フィット感と通気性を両立。荷物の背中へのアタリも軽減され、快適な背負い心地を支えています。フロントとサイド、そしてウエストベルトなど多彩なポケットが使いやすさを向上。ユニセックスモデルの「ヘスパー」とウィメンズモデルの「ハーパー」があります。小柄な女性には「ハーパー」がオススメ。
MONTANE(モンテイン)/トレイルブレイザーLT

創業者の2人が南米チリで過酷な遠征を経たことをきっかけに、1993年イギリスで生まれたアウトドアブランド「MONTANE(モンテイン)」。『Farther. Faster. (より遠く、より早く)』をコンセプトに、プロの登山家たちと共に商品開発を行なっています。「トレイルブレイザーLT」は総重量わずか300g前後のウルトラライトなバックパック。独自設計のハーネスを用いることで、さまざまな体型のユーザーにフィットし、アクセスの良いポケットワークと拡張性の高いバンジーコードで、ファストハイクからランなど、幅広いシチュエーションに対応します。


メインファブリックには、丈夫で超軽量ながら高い耐水性を併せ持つシルナイロンを採用。ステッチ部分には防水シームテープを圧着加工し、メインコンパートメントには防水性の高いロールトップデザインを採用。耐水機能を最大限に高めています。
メッシュ生地を採用したショルダーハーネスは、通気性抜群。ウェアを羽織るような軽さと背負い心地を実現する重要な要素です。
荷物量の変化にも対応|ひとつで何役もをこなすマルチパック

当然のことながら、山行内容や季節によって荷物量は変化します。そのため日帰り登山はデイパック、小屋泊は30L、縦走は…というように複数のバックパックを持っているという方は少なくないはず。しかしバックパックを揃えるのも、都度選ぶのも大変。そんな悩みを解決してくれるのが、「容量調整」ができるモデル。ロールトップやコンプレッションを上手に使うことで荷物量にかかわらず最適なフィット感を実現してくれます。
and wander(アンドワンダー)/エックスパック 30L バックパック

2011年にブランドがスタートした、日本発ガレージブランドの代表格「and Wander」。ISSEY MIYAKE出身のデザイナーが放つモードなアイテムは、その機能性と相まってファッションアイテムとしても人気を集めています。この「エックスパック 30L バックパック」はブランドの初期からラインナップする定番モデルのひとつ。メイン生地にX-PACを使用した軽量性が魅力で、斜めに大きく開くメインコンパートメント(本体内部)へのアクセスジッパーがトレードマーク。


小屋泊にちょうどいい30Lモデルですが、サイドの上部と中央部にコンプレッションベルトを設けており、締めることで荷物量が少ないときでも安定感を維持することが可能。これひとつで日帰り登山や小旅行にも活用できる万能バックパックです。
macpac(マックパック)/へスパー40&ハーパー40

先ほどご紹介した「ヘスパー&ハーパー30」の40Lモデル。こちらはサイズアップに伴い、安定感を高めるためにフレームをプラス。そのフレームは「ヘリウムエア」と呼ばれるブランド史上最軽量のものを採用し、40Lモデルでありながら重量はおよそ1000gに抑えています。


最大の特徴は、トップを丸めることができ、荷物の量に合わせて内容量を調整できるバックパックであること。山行や荷物量にあわせて都度バックパックを変える必要がなく、荷物多めの日帰り登山から小屋泊、ファストパッキングまでこのバックパックで完結します。
背負いたくなるデザイン|登山仕様のデザイナーズパック
バックパックもウェアも、デザインや色へのこだわりははずせない!すこし懐かしいような、オールドスクールなデザインが好き!という方にはこちらを。ファッション的にも楽しいですし、趣のある山小屋で写真をパチリ!というのもいいですよね。そして、ルックスだけでなくもちろん機能性も重視しているのがYAMAP STOREの目利き。背負っているときでも、その魅力を感じられるモデルを揃えています。
RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)/バンビ

「自分たちが使いたいもの」をテーマにものづくりをする日本のガレージブランド「RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)」。「バンビ」は日帰り登山にちょうどいい28Lサイズでありながら、重量はなん500gを切る軽量モデル。ザラっとした風合いのナイロン生地をベースにしつつも、ULテイストあふれるメッシュポケットやX-PACファブリックなどを組み合わせることで、レトロさとガレージブランドらしさをミックス。


見た目のスタイリッシュさもさることながら、歩行時の安定感を高める上半身に重心を乗せた設計や多彩なポケット&ボトルホルダーが山での実用性を高めています。メイン生地のナイロンをX-PACファブリックに変更したモデルもご用意していますので、ぜひチェックしてみてください。
macpac(マックパック)/ウェカ&ツイ

来年創業50周年を迎える「macpac(マックパック)」。長い歴史のなかでブランドを支えてきたのは、過酷なニュージーランドの自然環境に耐えうる素材として開発された「アズテック」というコットンとポリエステルを混紡した特殊素材。自然の風合いに耐久性をプラスすることで、長期間の使用における耐久性を向上。デニムのように使うほどに味の出るため、経年変化=山行の思い出として愛着が増すのも魅力となっています。


そんな「アズテック」に、環境に配慮した軽量タイプ「エコ アズテック」が登場。これまでのテイストをそのままにアップデートしています。もちろん背負い心地や機能性も充実。トップリッド(雨蓋)&2本締めのクラシックなルックスは、コーディネートを楽しみたいという方にもイチオシです。23年春夏シーズンには、コンパクトな20Lサイズの「ツイ」も登場しました。
「選ぶ悩み=楽しみ」として捉えよう

アウトドアメーカー各社からさまざまなバックパックが発売されており、どれを選んだらいいのか悩んでしまうのも無理はありません。今回は大きく4つのテーマでピックアップしてみましたが、それぞれ個性あふれるモデルばかり。気になったバックパックをぜひともチェックしてみてください。最後に、山行シーンやシーズンに合わせて選ぶのもいいのですが、直感でコレ!と決めてしまうのもアリ。そのバックパックに合わせて山を選んだり、山行スタイルを決めたっていいんです。それくらい、バックパックは魅力的なプロダクトなのですから。