防災の日特集|自然災害への備えは登山・アウトドア用品で
9月1日は「防災の日」。1923年の同日に発生し、10万人以上が犠牲になった関東大震災をきっかけに制定されました。その後も、記憶に新しいだけでも阪神淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震など、度重なる地震災害に見舞われている日本。
さらに近年は、地球規模の気候変動を起因とする大型台風・ゲリラ豪雨も頻発し、自然災害に遭うリスクは、むしろ高まっていると言えるでしょう。
年々高まるこうしたリスクに対して、私たちは為すべき術がないのでしょうか。いえ、そんなことはありません! 日頃の備え次第で、万が一の災害遭遇時に、少しでも安全・快適に過ごすことができるのです。
こうした自然災害のリスクの備えに、アウトドア用品の活用が注目されています。私たちが愛する登山をはじめ、アウトドアアクティビティで使用されているアイテムは、突き詰めれば「自然の中でのサバイバル」を目的として開発されたスグレモノ。
今回は想定されるシーン別に、災害遭遇時にも活用できるアウトドア用品をご紹介します。
(文:鷲尾 太輔)
まずは自分の身を守ろう! 1次避難に役立つアイテム
災害が発生したら、第一にとるべき行動は「自分の生命を守ること」。とにかく身体へのダメージをなるべく少なくして、救助隊・捜索隊や救援物資の到着まで「生き残る」ために何が必要かを考えましょう。
ヒントになるのは火山噴火や強風・低温状態で救助を待つシチュエーション
2014年の木曽御嶽山噴火では、時速数百km/hともいわれる噴石が降り注ぎ、登山者を襲いました。これ以来、全国の活火山では避難シェルターの建設や山小屋にヘルメットを設置するなどの対策がとられています。
2009年のトムラウシ山遭難事故では、身体が濡れた状態で強い風雨にさらされた登山者の多くが、低体温症に罹患し翌日の救助隊到着を待つことなく犠牲になりました。
1次避難で考慮したいのは、こうしたケースから学ぶ「自分の生命を守る」備えです。
地震で役立つアイテム
地震では戸棚や天袋に収納しているものや照明器具などが落下してきます。机の下などに避難するのも有効ですが、ヘルメットがあるとより安心。停電した際に手元・足元を照らすヘッドランプや、飛散したガラスの上を行動する時に足を守るサンダルも重宝しますよ。
マイルストーン/MS-H1 ハイブリッドモデル クールは、充電リチウム電池でも乾電池でも使用可能、かつ軽量&コンパクトなヘッドライト。リグ/リカバリーサンダル フリップフロップは、通常のサンダルより足底が高く厚みがあるので、より安全に避難が可能です。
豪雨や津波に役立つアイテム
水の熱伝導率は空気の20倍以上。身体の表面が濡れている状態は、低体温症のリスクに直結します。豪雨の中で避難する際などは、レインジャケットを着用して身体を濡らさないことを意識しましょう。浸水や津波などで身体が濡れてしまい、乾いた衣服に着替えることもできない場合は、サバイバルシートを羽織ることで身体から熱が奪われるのを防ぐことが可能です。
ラブ/ファントムプルオンは、わずか90gという超軽量レインジャケット。コンパクトに収納できるので、様々なアイテムを揃える必要がある防災対策グッズのひとつとして加えやすいですね。
食べる・寝る・暮らすを維持! ライフライン復旧までに役立つアイテム
1次避難を完了し自宅も無事。しかし電気・ガス・水道などのライフラインが寸断されてしまうという状況では、災害前と同じ生活ができません。ここで重要なのは、食べる・寝る・暮らすなどの行為を日常生活に近い状態で維持することです。
ヒントになるのは避難小屋(無人小屋)で宿泊するシチュエーション
北海道・東北・屋久島などに多い避難小屋。多くは管理人が常駐しておらず、寝具(シュラフ)を持参し、食事も自炊する必要があります。シェルターとなる建物はあるもののライフラインがないという点では、避難小屋での宿泊に備えたアイテムが参考になりますよ。
まずは「灯り」を確保しよう
夜になれば暗くなるという当たり前の事実を痛感させられるのは、避難小屋も停電状態の災害時も同じ。まずは内蔵された電源で灯せる照明器具を利用し、夜でも安心して過ごせる環境を確保しましょう。
キャリー・ザ・サン/YAMAP限定ウォームライト ミディアムは、太陽光で充電可能。ライフラインが停止した状態が長期間続いても安心です。ソト/虫の寄りにくいランタンケースセットは、CBガス缶を使用した高い照度で室内がより明るく。持ち運びしやすいケース付きなので、ザックへのパッキングも容易です。
災害時だからこそ大切にしたい「食べる」こと
気温が低い山で長時間行動した後に、温かいものを食べるとホッとしますよね。様々な心理的ストレスが蓄積しやすい災害時もそれは同じ。ガスが止まった状態でも温かい食事を調理することができる自炊器具は、ぜひガスカートリッジのストックも含めて用意しておきましょう。
フリーズドライ食品やミネラルウォーターのローリングストック(食品や飲料水を少し多めに買っておき、賞味期限が迫ったらそれら食べて新しい食品を買い足す習慣)も最近はメジャーになってきました。フリーズドライ食品を日常生活でも取り入れて、調理法や味に慣れておくことも意外と大切です。
<現在入荷待ちのアイテム>
SOTO(ソト)
マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター/シルバー
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SOTO(ソト)
ナビゲータークックシステム/ブラック
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水道が止まった状態では、清浄な水の入手が困難なことも。調理だけでなく飲料としても必要な「水」の確保も大切です。例えば北海道の山ではエキノコックス症(キタキツネによる寄生虫症)の恐れがあるため、沢水は煮沸して飲む必要があります。優れた浄水機能をそなえたカタダイン/ビーフリーがあれば、飲用をためらう水しか入手できない場合でも安心して調理や飲用水に利用できますよ。
食べることとあわせて忘れてはいけないのが口腔衛生。長期間の避難生活では歯磨きを充分にできないことによって、感冒や感染症に罹患する人が多くなります。きちんとした口腔ケアで、健康を維持しましょう。
最大の休息「寝る」をより快適に!
ライフラインが停止した不自由な環境、健康を維持するために「食べる」と同じかそれ以上に重要なのが「寝る」ことです。豪雨による浸水などで普段使っている寝具が濡れてしまった際に役立つのがこのエスオーエル/エスケープライトヴィヴィ。単体で使用しても良いですし、少し湿っている…という寝具のインナーシュラフとして活用することもできますよ。
プライベート空間の確保でストレスを軽減! 避難所生活で役立つアイテム
残念ながら自宅の損壊や浸水が激しく居住が不可能な場合、体育館などに開設された避難所で長期間を過ごすことに。仮設トイレが設置され、給水車や炊き出しによって飲食も供給されることが多いものですが、大半の時間を同じ境遇の大勢の避難者と「ひとつ屋根の下」で過ごすことになります。プライベートのない環境でストレスが蓄積し、心身の健康を害する人も多い避難所生活、少しでも快適なものにしたいですよね。
ヒントになるのはテントで宿泊するシチュエーション
幕営指定地でテントを張って過ごす山行スタイル。「自分だけの空間」で気兼ねなく過ごすことができることから、近年さらにテント泊の登山者が増えています。
時には数百人での「雑魚寝」状態となる避難所。昨今は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からパーテーション(仕切り板)が設置されることもありますが、高い天井の空間に響く物音などから完全に隔絶されるのは難しいものです。
そんな時は避難所にテントを張って、プライヴェート空間を確保しましょう。山でのテント泊同様、灯りや物音が気にならないようにアイマスクや耳栓を用意しておくのもおすすめですよ。
<現在入荷待ちのアイテム>
EVERNEW(エバニュー)
トレイルマット180/グレー
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避難所でも設置されるまでに時間がかかりがちなのがお風呂。長期間入浴できないストレスも、ファイントラック/ナノタオルで身体を清拭することで緩和できます。
体育館などの避難所では空調(特に暖房)設備がないケースも。軽量・コンパクトな保温ジャケットを一枚持っておくと、快適に過ごすことができます。
いつ発生するか予測できない自然災害…素早く持ち出せる準備を!
ここまで様々な状況に応じた自然災害遭遇時に役立つアウトドアアイテムをご紹介してきました。これらのアイテムは、もちろん登山でも使用可能。テント泊スタイルの登山者なら、ほぼ同じ装備で対応できるでしょう。
けれどもこれらのアイテムはただ揃えておくだけではダメ。筆者は代変わりして普段の山行では使用しなくなったザックに収納しておき、災害発生時に素早く持ち出せるようにしています。
1次避難に必要なアイテムはザックの外側や雨蓋など取り出しやすい場所に、調理器具やテントなどはザックの下の方に収納するなど、使用する順序を考えてパッキングしておきましょう。濡れると困るシュラフや保温ジャケットなどは防水性の袋に入れておくと良いですよ。
大切なのは、登山で使用してクリーニングなどした後にバラバラにしないこと。ローリングストックでは食品を消費したらすぐに新しいものを補充するのが原則ですが、これらのアイテムも使用後はきちんとまとめて収納しておきましょう。
万一の事態を安全・快適に乗り切るための備えを、この機会に見直してみませんか。