秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本

気温が大きく下がりはじめるにつれ、本格的な秋山・冬山シーズンが到来します。秋冬シーズンは一日の気温差が大きく日照時間も短いため、ウェアに関しても相応の準備が必要です。

ここで大切にしたいのが「レイヤリング(重ね着)」です。レイヤリングとは、それぞれのウェアが持っている機能を十分に発揮させながら、着る順番や、重ね着する枚数を調整すること。登山では基本的な考え方です。
 
独自のレイヤリングの考えを体系化し、登山者にわかりやすく伝えているアウトドアメーカーの「finetrack(ファイントラック)」。今回は、知れば快適さが格段に変わるレイヤリングの方法と、注目の「ドライレイヤーウォーム」などこの秋冬に活躍するレイヤリングに最適のアイテムを、ファイントラック商品企画課の森田摩有子さんにお伺いしました。

秋冬登山のレイヤリングの基本

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本画像提供:finetrack

日増しに寒さが強まってくるシーズン。ウェアのレイヤリングにおいて大切なことは何なのでしょうか。
 
「秋冬だと暖かさを重要視される方が多いのですが、一番重要なのはドライ感なんです。汗を肌から離し、それを外に出してあげること、そして外からも濡れないことが大切です」

と、開口一番「ドライ」であることが大切だと教えてくれた森田さん。肌をドライに保つことで、過酷な環境でも体温を奪われずに行動できるといいます。
 
改めて、finetrackが提唱しているレイヤリングシステムについて聞いてみました。
 

「私たちが提唱している5レイヤリングは、撥水肌着+吸汗速乾着+吸汗拡散保湿着+耐水・透湿シェル+防水・透湿シェルという、L1〜L5までそれぞれ役割の異なる5枚のウェアを重ね着して、ウェアをドライに保つというもの。とくに、秋冬は気温が低いうえに日照時間が短く、グリーンシーズンと比べたら過酷な環境。水は空気の約25倍の熱伝導率があり、肌が濡れていると一気に体温を奪われてしまいます。だから、それぞれの機能に特化したウェアを環境に応じて適切にレイヤリングすることで、快適で楽しく活動する余裕が生まれます」(finetrack:森田)


各レイヤーは以下の通り。

L1=ドライレイヤー:撥水
L2=ベースレイヤー:吸汗
L3=ミッドレイヤー:蒸散
L4=ミッドシェル:耐水、透湿
L5=アウターシェル:防水、透湿

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本画像提供:finetrack

「冬は汗をかきづらいイメージがありますが、体はしっかり汗をかいているんです。たとえば関東で人気の丹沢エリアのような一般的な登山の場合でも、シーズン関係なく1ℓほどは汗をかくと言われています。登山は運動量が多く、内側から濡れることが多いんです。そんな時、肌に触れている服が濡れていれば体温を奪われ続けるので、上からいくら服を重ねて着ても温まりません。ですのでドライをキープすること、そして汗処理できる適切なレイヤリングが大切なんです」(finetrack:森田)

 

そのためには、肌に汗を残さないことが大切。ファイントラックは肌から汗を素早く離して濡れ戻りを防ぐ「ドライレイヤー(L1)」が多くのハイカーに支持されています。秋冬の登山には保温力が高い「ドライレイヤーウォーム」シリーズがオススメです。秋冬のレイヤリングにプラスすると、より快適な登山ができること間違いなしです。

 

また、併せてこのシーズンにおすすめしたいのが「ポリゴン2ULジャケット(L3)」。適度な通気性があって、濡れに強く、行動着として着続けることができるため、ハードな登山をする人にも、デイハイクなどを楽しみたいに人にも重宝される一枚です。


どちらも汗抜けと保温性に優れたアイテム。早速、その機能を見ていきましょう。

「ドライレイヤーウォーム」は「ベーシック」対比で高い保温性と柔らかい肌触りを実現

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本ドライレイヤーシリーズの中で、最も厚手の生地を使用

肌に直接着る、いわば肌着の役割にあたる「ドライレイヤー」には、シーズンに関わらず広く使える「ベーシック」、暑い時期をより涼しく凌ぐための「クール」、そして、秋冬のシーズンの登山にもってこいの「ウォーム」の3シリーズがラインナップされています。

 

ドライレイヤーウォームの大きな特徴としては、ドライレイヤーベーシックに比べて約1.5倍の保温性を持っていること。

 

「ドライレイヤーウォームは、高いレベルの暖かさと着心地のよさを目指して開発されました。雪山登山やバックカントリースキーなど、スノーアクティビティにもぴったりです」(finetrack:森田)

 

ドライレイヤーベーシック、もしくはクールを持っている方は、生地が軽く薄い印象を持たれているかもしれませんが、ウォームには最も厚手の生地が使われています。低温の環境下でも頼れる存在です。

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本サーモラボ法により衣類の保温性を数値化した値(clo値)。スキンメッシュ®(現・ドライレイヤーベーシック)の保温性と比較して、約1.5倍のclo値が得られた(画像提供:finetrack)

その暖かさの理由は、生地にあるといいます。
 

「汗抜けを良くするために、生地を貫通する孔をもつメッシュ状に仕上げたんです。これで汗抜け機能を高め、重ね着した吸汗ベースレイヤーに汗が素早く移行するようにしています。また、立体的な編み方で、生地にかさ高を持たせました。撥水機能と生地のかさ高の相乗効果でドライな着用感と同時に保温性も高めているんです」(finetrack:森田)

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本

「保温性以外にも抗菌防臭、静電気の発生を抑える制電糸を採用するなど、こだわったポイントがたくさんあります。糸を構成する繊維1本1本の太さを細くして数を2倍にしたことで、肌当たりの柔らかさ、生地の伸びやすさが出て、着用時のつっぱり感を軽減しているんですよ」(finetrack:森田)


今シーズン、ドライレイヤーウォームシリーズに「ブラトップロングスリーブ」が仲間入り

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本

これまで、男性用と同様に、女性のラインナップにもロングスリーブはありましたが、2021年の秋冬シーズンから、女性にとって嬉しい「ブラトップロングスリーブ」が登場しました。

 

「ブラとロングスリーブが1枚になることで、着用枚数も少なくなり汗抜けも良くなりました」と森田さん。このアイテムのテーマは「ストレスフリー」。バストのフィット感を保ちながら締め付け感のストレスを軽減し、長時間着てもいかに快適な着心地にできるかにフォーカスしたと言います。

 

2018年の開発スタートから10回以上の試作を経て、ついに完成。開発当初、チーム唯一の女性だった森田さんの意見はもちろん、finetrack女性社員や登山メディア関係者、販売店などから集めた使用感へのフィードバックなどがたくさん反映されているそうです。

 

女性なら特に気になるブラの部分について聞いてみました。

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本

背面にある幅広のパワーネットで、ブラカップの部分を線ではなく面で支えることでストレスなく自然に体に沿わせてくれます。ブラカップが本体生地から独立した構造で、フィットしやすいように作られているのが特徴的です。

 

「縫い目の部分など、当たって痒くならないように肌あたりの良さを追求したんです。また腕上げをするシーンを想定し、腕を上げてもブラカップが引っ張られないような造りになっています」(finetrack:森田)

 

効果的に使用するためには、着用サイズが重要になるドライレイヤー。

 

「広く浅いカップを使用し、いろんな大きさのバストに合う形になっているので、基本的に胴回りや体格に合わせてサイズを選んで問題ありません。しかしサイズ感としてはカップが深くないため、『人よりも大きめ』という人はワンサイズ上を選択してもいいかもしれません」(finetrack:森田)

 

すでに「ドライレイヤーベーシック」は持っていて、秋冬シーズンに特化したものを使いたいという方や、寒がりの方には、ぜひ一枚持っていてほしいアイテムです。アイテムラインナップには「タイツ」もあり、冬場の暖かさと快適さを足元から後押ししてくれます。

〈ドライレイヤーウォーム〉の商品ラインナップはこちら

適度な保温力と軽量性を追求した万能インサレーション、「ポリゴン2ULジャケット」

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本

行動保温着として適度な汗処理と通気性を備えたミッドレイヤー、ポリゴン2ULジャケット。「ミッドレイヤーとして何を着るべきか迷っている」という人にまずはおすすめしたいアイテムです。

 

「ポリゴン」とは、finetrackが開発した世界初のシート状立体保温材「ファインポリゴン」のこと。ミッドレイヤーの裏地で吸汗した汗を保水することなく、優れた通気性によって、ウエア内部から汗を素早く外に排出します。

 

「化繊インサレーションは、水に強いけれどダウンと比べてかさばる、という特徴があると思いますが、ポリゴン2ULジャケットは保温性だけではなく、軽さとコンパクトさにこだわりました。一度羽織っていただくと、その軽さが分かるかと思います」(finetrack:森田)

 

軽さと携行性に優れ、行動着としても保温着としても活躍してくれる一枚。汗処理と通気性も兼ね備えているので、登山開始時から、ずっと着用したまま登ることもできるのが大きなメリットです。

 

「たまにダウンを着たまま登る方がいらっしゃいますが、通気性が少ないためムレてしまって行動着には向いていないんです。ポリゴン2ULジャケットだと、ダウンや汗処理が苦手なフリースと比べ濡れやムレなどによる不快感も防ぐことができます。特に日照時間が少ない秋冬において、衣類着脱によるタイムロスを防ぐことにもつながりますよ」(finetrack:森田)

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本調湿性試験(finetrack試験データ):ポリゴン2ULジャケットは、一般的なダウンジャケットと比較して約30分早く、多湿状態から初期の衣服内湿度に到達(画像提供:finetrack)

ポリゴン2ULジャケットはコンパクトなため、登山中はザックに入れておいて、小休止や食事の場面でサッと羽織るのにも適しています。晩秋〜冬の低山ハイクなどの時も強い味方になりそうです。
 

また樹林帯を抜けた途端に強い風が吹きつけるようなシーンや、気温が低い場合などは、ポリゴン2ULジャケットの上から、風を防いでくれるミッドシェルを着れば、さらに暖かく、そのまま行動することができます。活動量が多くても通気性と大きなベンチレーションでウェア内の蒸れを排出できるので、秋冬の幅広いアクティビティで活躍してくれるはずです。

秋冬レイヤリングにおすすめ! 各レイヤーのアイテム

秋冬登山の暖かさと快適さを左右するレイヤリングの基本画像提供:finetrack

ここまで、「ドライレイヤーウォーム」(L1)と「ポリゴン2ULジャケット」(L3)を特に取り上げてご紹介してきましたが、改めて秋冬シーズンに取り入れたい、各レイヤーでオススメのアイテムを森田さんにお伺いしました。

ご自身が今持っている登山ウェアで、足りていないアイテムはありませんか? 手持ちのウェアに1枚プラスしたり、チェンジしたりすることで、グッと秋冬登山が快適になること間違いなしです。

(L1)ドライレイヤーウォームロングスリーブ/ブラトップロングスリーブ


ドライレイヤーシリーズ中、最も保温性が高いシリーズ。伸びの良いニットメッシュ生地で着心地抜群。寒がりな方や、秋の登山を暖かく過ごしたい方、雪山に行かれる方におすすめの一品です。

(L2)ドラウトフォースジップネック

オールシーズン活躍する定番のベースレイヤー。汗をかいたらすぐに吸水し外側へと拡散させることで、常に肌とウェアをさらさらに保つ速乾性が秋冬も大活躍です。

(L3)ポリゴン2ULジャケット


独自開発のシート状立体保温素材「ファインポリゴン」を2枚封入し、適度な保温力と軽量性を備えたミッドレイヤー。濡れても保温力を維持し、ウエア内のムレを排出する通気性にも優れています。

(L4)フロウラップフーディ


防風性、透湿性に優れたミッドシェル。優れたストレッチ性によりしなやかでつっぱり感がなく、体の動きにしっかりついてきてくれるのが特徴です。シーズンを問わず、様々なアクティビティで活躍してくれます。

(L5)エバーブレスフォトンジャケット


防水透湿のアウターシェル。生地がしなやかで動きやすく、ハードシェルによくありがちなシャカシャカ感が少ないのが特徴。ストレッチ性があり、しなやかで快適な着心地。雨や風、寒い外気温を遮るなどマルチに活躍します。

レイヤリングの基本がわかっていれば、自分の登山計画や天気予報と相談しながら、秋冬の山を快適に過ごすための調整ができるはず。ぜひ、試行錯誤を繰り返したり、新たなウェアを追加したりしながら、レイヤリングをマスターしていってください。

それが楽しい登山につながることは間違いありません!

森田 摩有子(もりた まゆこ)

森田 摩有子(もりた まゆこ)

finetrack(ファイントラック)商品企画課所属。登山、セーリング、シーカヤック、テレマークスキー、サイクリングなどが趣味で、プライベートもアクティブに過ごしている。「ドライレイヤーウォーム ブラトップロングスリーブ」の開発スタート時はチーム唯一の女性。自身の体験を元に「いかに着心地よいウェアを作れるか」を追求している。

紹介したブランド

  • finetrack

    finetrack

    「本当のアウトドアウエアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ。」 f...

関連する記事

    関連する記事は見つかりませんでした