【YAMAP×マウンテンハードウェア】別注フリースを大雪山・旭岳でテスト&レビュー|スノーボーダー・吉田啓介
プロスノーボーダーとして国内外で活躍する吉田啓介さんが、YAMAPとMountain Hardwear(マウンテンハードウェア)が共同開発した、YAMAP別注ポーラテックハイロフトグリッドジャケットをレビュー。秋の北海道・旭岳でのテント泊山行でのリアルな使用感をおします。
ホームタウンである北海道・旭川からほど近くにある大雪山。旭岳(2291m)をはじめとする山々は、夏はハイキングや縦走登山、冬はバックカントリースキー・スノーボードのフィールドとして親しまれています。そんな大雪山での、発汗が伴う「登り」、風を受ける稜線での「歩き」、そしてテント場での「停滞」など、さまざまなシーンでのインプレッションを伺いました。
今回ご紹介するアイテム
— 秋のはじまりを感じさせる9月中旬の旭岳での登山になりましたが、レイヤリングについて教えてください。
日中の気温は15℃ほどで、朝晩や風が強いときは体感10℃くらいまで冷え込む初秋らしい気候でした。旭岳は2000mちょっとの山なのですが、緯度が高いので、関東の3000m級の山と同じくらいの気候です。紅葉がちょうどはじまるシーズンで、もう少ししたら朝は霜が降りるくらいの気温感をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
今回は、日中の行動時はロングスリーブの化繊のベースレイヤーの上に「YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット」を着用しました。
この時期の北海道は朝晩の寒暖差が大きく、体温調整が難しいのですが、登りではどうしても汗をかいてしまいます。いつもこの汗に悩まされるのですが、「YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット」は生地に通気性があるので、汗抜け感がよく、ジャケットを脱がずに稜線まで登ることができましたね。
— 標高が上がっていくと風速10mほどの風が吹いていました。手がかじかむほどの寒さでしたが、どのように対応したのでしょうか。
保温着であるフリースジャケットですが、通気性も備えているため、風が強すぎると体のなかが冷えてしまいます。そのため稜線に出たタイミングで、防風のためにレインジャケットを羽織りました。風が強いシーンでは通気をコントロールすることが大事。風を止めることでフリース内の空気を留めるので、ウィンドシェルやインサレーションウェアでもよいと思います。
また、風が強かったり、寒さが厳しいときは首周りの防寒が欠かせません。「YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット」は、ハイネックタイプなので首回りもしっかり保温してくれました。
一方で、フリース生地の通気性よりもヒートアップが上回るようなシーンでは、ジッパーを空けて強制的に換気をすることで体温調整を行っていました。ダブルジッパー仕様なので上下どちらをベンチレーションにするか選べるのもよかったですね。
— 行動中だけでなく、テント場での調理や休憩など、停滞しているときの着用感についても教えていただけますか?
生地の柔らかさと適度な厚みのおかげで、リラックスした時も快適でした。シェルジャケットやインサレーションを組み合わせても着膨れしにくいのでシルエットが崩れませんし、厚手のフリースにありがちな、ごわっとした感じもありませんでした。これから寒さが一層厳しくなる冬は、ジャケットやインサレーションを重ねれば快適に行動できると思います。
— ジャケットと同時に開発したビーニーとネックゲイターはいかがでしたか?
今回の山行では、ジャケットを基本レイヤリングとし、ビーニーとネックゲイターは寒さが気になるシーンで着用しました。いずれも生地が同じくポーラテックのハイロフトグリッドなのですが、やはり保温と通気のバランスを実感できました。ビーニーとネックゲイターはかなりコンパクトになるので、ポケットに入れて持ち運べるのもよかったですね。
気温差がある時や風が強い時はミッドレイヤーなどのポケットに入れておくと便利。寒くなってきたらすぐに着用できる手軽さも魅力だと感じました。
— 山行だけでなく普段の生活でも着用していただきました。YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッド」シリーズの魅力についてお伺いしたいです。
メインの活動がスノーボードということもあり、これから迎える冬でもしっかり活躍してくれそうだなと思っています。とくにバックカントリーでは、長い時間雪山を登ることもあります。「YAMAP別注 ポーラテックハイロフトグリッドジャケット」の保温と通気なら脱ぎ着を減らして行動できるので、いい雪のコンディションを逃すこともないのかなと期待しています。
家族とキャンプをすることも多いのですが、アウターとして使っていてもいいし、そのままリラックスウェアとして寝ることもできるので、ずっと着たままでした。ミドルレイヤーは、これ一着で済みそうです。
ウィンタースポーツでのミッドレイヤーとして、春先はアウターとして、夏の高所登山の保温着として、1年のシーズンを通して活躍してくれると思います。
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一年を通して着られるYAMAP限定フリース
吉田啓介(よしだ・けいすけ)
1989年生まれ、北海道旭川市出身のプロスノーボーダー。北海道を拠点に、年間180日以上雪山に入る。バックカントリーを中心とした映像制作をメインで活動し、昨年公開されたムービー「backyard」をマウンテンハードウェアのグローバルより公開中。