テント泊に魅せられて - YAMAP STORE TENPAKU PROJECT
テント泊の楽しみ方は人それぞれ。回数を重ねるごとに、新しい魅力を発見したり、自分だけのこだわりが生まれることも。ここではそんなテント泊に魅せられた人たちの、とっておきの楽しみ方をご紹介します。孤独を楽しむ人、山小屋とのハイブリッドで楽しむ人、女性ならではの楽しみ方…。
テント泊が初めての人も、ベテランの人も。ぜひ自分らしいテント泊の楽しみ方を見つけてみてください。
テント泊に魅せられて:YAMAP 大塩さんの場合
YAMAP / 大塩 雄馬(おおしおゆうま)
1993年、静岡生まれ。YAMAP所属エンジニア。「登山に必要な情報はYAMAPがすべて提供する」を目標に、自身の登山経験を活かしながらYAMAPのサービス開発に取り組んでいる。
いきなりこんなことを書いて、あっけにとられてしまうかもしれませんが、私はテント泊をするなら圧倒的にソロ派です。
そんな私が、これからあなたをソロテント泊の世界に招待します。
そもそも登山とは、自然と向き合いながら自分がその一部に溶け込むような気分に浸ることができるのが最大の魅力であると私は考えています。
もしあなたがこれに共感していただけたなら、きっとあなたもソロテント泊を最高に楽しめるかと思います。
大自然の中に自分を置きっぱなしにするということ
テント泊のおもしろさというのは、大自然の中に自分を置きっぱなしにできることにあり、私はいつもその感覚を求めてテント泊を楽しんでいます。
「自然の中に自分を置きっぱなしにするというのは、どういうこと?」
と、疑問に思われる方もいるかもしれません。わかりやすく言えば、"ずっと外にいる"ということです。
山に泊まる場合は、山小屋泊かテント泊かの二択になります。
山小屋では美味しい食事が提供されますし、ふかふかの布団で寝心地もよく、その魅力は十分にあります。
しかし、山小屋に泊まってしまうと、なんだか自然界からいったん普段の日常に戻されてしまったかのような感覚になることがあります。
きっとこれは、自分自身から”窓の外に広がる大自然の世界”をシャットアウトしてしまっているからだと私は思います。
一方でテントは、たった1,2枚の薄い幕を挟んでいるだけで、そこはもはや外の世界と変わらない。
外では、常に自然の音が鳴っています。風が吹き、木々が揺れ、小鳥たちがなにかを話している。テントの中にいると、これらの音がすべて聞こえてくるのです。
風が吹けばテントも揺れる。雨が降ればテントも濡れる。
太陽が沈むとあたりは一気に暗くなり、とたんに冷え込む。それと同時に空気の香りが移り変わっていく。
テント泊なら、これらの自然現象をすべて肌で感じ取ることができます。
せっかく私たちは都会の喧騒を忘れたくて山に来ているんですから、大自然を五感で味わう時間は長いほうがいいですよね。
このように、テント泊のいちばん面白いところは、まさに24時間、自分自身が自然と向き合えることにあると私は思います。
ちっぽけな自分を感じたいから、ひとりでいく
さらに、自然と向き合いたくてテント泊をするなら、ぜひともひとりで行ってみることをおすすめします。
ひとりで山を歩くと、とにかく孤独感がある。
これはソロ登山を日頃から楽しんでいる人はもちろん、皆とわいわい登るのが好きな人でも、想像できるのではないでしょうか。
この孤独感こそが、テント泊だといい薬味になるのです。
前文で、私は自然に還る感覚を求めて山に登るというお話をしましたが、ソロの孤独感がその感覚をより引き立ててくれます。
グループでのテント泊や山小屋泊では、同行の友人たちや、相部屋になった見知らぬおじさんたちが無意識に心の拠りどころとなってしまい、無意識のうちに自分自身を自然界から引き離してしまう。
しかし、ソロテント泊では、拠り所は自分自身のみ。
朝から夜まで、さらには次の朝を迎える瞬間までも、大自然との一対一の対話を楽しめるのです。
テントを担いで、山と向き合いにいこう
今週末の登山の予定を、あなたはもう計画していますか?
その計画は、ひょっとして分単位で区切られた綿密すぎるプランになっていないでしょうか。
次に登る山の見どころを、あなたは下調べしていますか?
入念に調べた結果、気づけばあなたは現地に行く前からすでにそこで見られる景色を知っていて、「あそこで写真を撮って、インスタグラムに載せよう」なんてことを考えていないでしょうか。
ぜひ、一度その計画を白紙に戻してみてください。
細かいことは忘れて、とにかくテントを担いで思いっきり山と向き合いにいきませんか。
「ああ、またあの感覚を取り戻したい。」
都会の暮らしでくたびれてしまった頭でこの文章を書きながら、たまらず次のテント泊登山に思いを馳せている私でした。
テント泊に魅せられて:ライター 櫻井さんの場合
ライター / 櫻井 卓(さくらいたかし)
1977年生まれ。「TRANSIT」「Coyote」などの旅雑誌の他、登山雑誌「PEAKS」やアウトドア誌「Be-pal」、ファッションカルチャー誌「Houyhnhnm Unplugged」など多数のジャンルで執筆中。趣味は海外のトレイルを歩くことで、好きなエリアはカリフォルニアのヨセミテ北部。
テント泊&小屋食事ハイブリッド
若い頃は完全自立型のテント泊ばかりしていた。理由は単純で、知らない人と関わるのがめんどくさかったのだ。
そんな僕も歳をとり、カドも取れてきた。
山小屋に泊まる機会も増えてきて、小屋での知らない人との会話も楽しめるようになったし、小屋泊の持つ魅力もわかってきた。けれど雑魚寝系はちょっと慣れないというのも事実として根強く居座っている。
ある知り合いの女性は、男性との初添い寝が、山小屋で隣になったヒゲモジャオジサンだったという、なんとも微妙な初体験エピソードを披露してくれたけど、もはやオジサン側になった僕としては、複雑な心境。「僕なんかが隣でスミマセン」的な申し訳なさを感じてしまうのだ。
そんなワケで、最近気に入っているのが、寝るのはテントで、食事は山小屋でいただくというスタイル。テント泊=自炊と思っている人も多いかもしれないけど、実はテン泊の人にも夕食を提供してくれる小屋は結構多いのだ(要事前確認)。
このハイブリッド型テント泊をすると、当然コストは上がるけど、一方では多くのメリットもある。自炊が苦手で、フリーズドライ一辺倒な僕のような人間にとっては、小屋の食事の美味しさはもちろん、栄養的にも嬉しいし、“料理が美味いグルメ山小屋探し”という新しい楽しみもできた。上手に小屋を繋いでハシゴ飯プランを作れば、持ち運ぶ食糧を減らすこともできるので、長いテン泊縦走もしやすい。自炊する必要がないので、テント場でボーッとできる時間も増える。
そして、歳をとるごとにさみしんぼ度が加速している中年オトコにとっては、小屋の食事時の見知らぬ人との会話が染みるのだ。
ある小屋では、往年の縦ライン入りジャージが行動着というオールドスクールな大先輩登山者と隣り合わせ、お互い九州出身ということで大盛り上がり。テント場まで芋焼酎持参で遊びにきてくれた。こうした出会いが小屋ではしばしば起こるのだ。なんと小屋で出会ったのがきっかけで、お付き合いが始まり、そのままゴールインなんてパターンもあったりするという。
そういうメリットの他にも、僕が感じるテント泊と小屋食事を合わせる良さは“小屋にある程度のお金を払うことができる”ところだ。もちろん学生さんなんかは、完全自立型のテント泊で安く山を楽しむべきだと思うし、僕自身そんな貧乏ハイカーの1人だった。でも、ある程度の収入を得たいま、山小屋にちょっとでもお返しができれば良いなと感じる僕のような人間は多いはず。登山道を整備し、緊急時には遭難救助も行い、山のインフォメーションを現場で届けてくれる。そんな山小屋があるからこそ、僕たちは楽しく登山ができているわけなのだ。
テント泊登山の魅力はキープしつつ、小屋への恩返しも(微々たるものだけど)できるんじゃないかということで、このテント泊&小屋食事スタイルを続けている。
最近、知り合いの小屋主から聞いてナイスアイデアだなあと思ったのは、テン場にバーカウンターのようなものを設置して、1杯単位でお酒を提供するという案。なかなか利用者同士でのコミュニケーションが取りにくいテント場における社交の場。グラスを片手に山の思い出を語らうもよし、星空を肴に悦に入るもよし。なにより外で呑むのって単純に気持ち良いし、酔っ払っても寝床はすぐそこにある。
名付けて「TEN-BAR(テンバー)」。締めが駄洒落かよ、と。
テント泊に魅せられて:finetrack TOKYOBASE 阿部さん、林さんの場合
finetrack TOKYOBASEスタッフ /
阿部 恭子(あべきょうこ)・林 絵美里(はやしえみり)
finetrack TOKYOBASE女性スタッフ。「最高のアウトドアウェアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ」という信念のもと、四季を通してアウトドアスポーツに惜しみなく時間と情熱を注いでいる。TOKYOBASEではカミナドームなどのテントを実際に手に取ることができるほか、スタイルに合ったウェアや道具の提案してくれる。
テント泊で過ごす「贅沢な」時間
「カミナドーム」を筆頭に、テントギアも数多く手がけるfinetrack。
「最高のアウトドアウェアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ」という信念のもと、社長をはじめスタッフ全員が、四季を通してアウトドアスポーツに惜しみなく時間と情熱を注いでいます。
そんな遊びのプロである、finetrackTOKYOBASEの女性スタッフの阿部さん、林さんに、テント泊の魅力についてお話を伺いました。
阿部さん:テント泊は、実はfinetrack入社後から始めたんです。周りのスタッフに勧められたことがきっかけで、今ではすっかりテント泊ならではの開放感、自由度、そして非日常感に魅了されています。
夫と二人で行くことが多いのですが、テント泊での楽しみは、なんといっても絶景を眺めながら飲むお酒です。
私のお気に入りは「バロークス」という飲みきりサイズのスパークリング缶ワイン。テント泊に必ず持っていく定番です。缶なので炭酸も抜けず、重くないので便利ですよ。
ワインに合うおつまみを持っていったり作ったりする楽しみもあります。
また、テント泊でお酒を飲みながら話す会話は、自宅で二人で食事しながら話す内容とはちょっと違うことも。
例えば、何年後にはどうなっていようか、とか。将来移住したい土地や、夢のような将来設計の話なんかをしています。
開放感のある非日常の空間だからこそ、お互いに話せる内容なのかもしれませんね。
林さん:私は基本的にはソロでテン泊することが多いです。
普段の生活の中で、仕事、日常のことを忘れ、自分にじっくり向き合う時間をつくる事はなかなか難しいので、テント泊では一人の時間をとことん楽しんでいます。
一人の時間の中でも、一番好きな時間は「地図を見る時間」。
日帰りだと見ることのできない、夕焼け、星空を眺めがら、地図を見ている時間がたまらなく好きです。明日のルートのことや何をするかを考えながら、山の表情を一日中外でわくわくしながら楽しんでいます。
頑張った自分へのご褒美。テント泊の贅沢な時間
林さん:普段はソロで行動が多いのですが、大型連休になると実家近くの鈴鹿山脈で、登山好きな母とのテント泊を楽しんでいます。
そこでの楽しみは、やっぱり美味しいご飯!
地元の食材で鶏きのこ鍋を作ったりと、毎回豪華なご飯を用意します。確かに荷物にはなるんですけど、せっかく山で食べるご飯なので、豪華に。食材から調理器具、全部一式背負っていきます。
テント泊という楽しみがあるから、重い荷物でも頑張って登れる。「美味しいご飯の待つ目的地」を目指すことができます(笑)
阿部さん:私は星空の撮影が好きで、夜中、コンパクトデジカメと三脚をテント前に設置して撮影をしています。
テントをさっと開けるだけで、満天の星空と山の稜線が広がります。「目の前にすぐ絶景がある」贅沢は、テント泊ならでは。
実際、荷物も重いし大変な思いをして登るわけですが、そこには頑張った分だけの楽しみが。好きなタイミングで好きなことができる時間は、テント泊でしか味わえない贅沢だと思っています。
テント泊を始めてみたい方へアドバイス
阿部さん:初めは、テント場までアクセスの良い低い低山や、近くに山小屋があるテント場から始めていただければ安心かと思います。避難小屋などにシュラフを持ち込んで、一度チャレンジしてみるのもいいかもしれません。
小屋泊やデイハイクよりも荷物も重いし、設営がスムーズにできるかなどの心配も多いと思いますが、テント泊デビューの前に荷物を多めにして登山してみたり、実際に荷物を全部詰めてイメトレしてみたり、事前にテントを立てる練習をしておくと、当日戸惑うこともないと思います。
また、ついあれもこれも詰めてしまって、荷物が必要以上に重くなりがちです。「本当にこれいるのかな?」という再チェックも重要です。
林さん:ソロの場合、リスクや負担もあり、トラブル発生時は一人で対処しなければならないので、エマージェンシー用品はしっかり準備し、近況の登山道の情報もできる限り調べます。また、同じルートを歩いている人やテント場にいる周りの人とコミュニケーションを取るようにし、情報収集をしています。
阿部さん:基本的には男性の荷物と変わらないのですが、
・汗拭きシート、ドライシャンプー
・ドライレイヤー
・シュラフカバー
・ナノタオル
などを用意しておくと快適に過ごせます。
ドライレイヤーは、着替えなくていいし、匂いも気にならないのでおすすめ。
女性は寒さに弱い方も多いので、濡れにも強いようなシュラフカバーを用意しておくとより安心です。また、山だとお風呂に入れないので、体のベタつきをタオル一枚で軽減できるナノタオル、汗拭きシート、ドライシャンプーなどもあると、身体もさっぱりしますし、気持ちもリセット出来ます。
あとは、テンションが上がるご褒美があると!
荷物も重くなるし大変ですが、このスイーツを食べるんだ、美味しいご飯を食べるんだ、というご褒美があると頑張れますよ!
finetrack TOKYOBASEでは、カミナドームやカミナモノポールを店内で実際に組み立てることができるほか、組み立てのレクチャー動画、便利な使い方をご紹介する動画なども配信しています。
YAMAP STORE TENPAKU PROJECT CONTENTS
YAMAP STORE TENPAKU PROJECT テント泊に魅せられて