特徴・シーン別に登山用靴下を分析|歩きを快適にする靴下選びの方法

登山に適した靴下として登山用の靴下というものがありますが、一般的な靴下とは何が違うのでしょうか。また、靴下の種類もショートやロング丈、素材もポリエステルやメリノウールとさまざまにあるので、どのように選んだらいいかわからない……。自分に合った靴下はどれなのだろう?

そんな登山者の悩みを解消すべく、登山用靴下の違いとシーンに合った選び方を紹介します。新たに買い足すときの参考にしてみてくださいね。

そもそもなぜ、登山用靴下を選んだほうがいいの?

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

そもそもなぜ、登山用の靴下を選んだほうがいいのでしょうか。それは登山用の靴下が一般的な靴下とは異なり、登山に適した機能が付加されているからです。

登山は山を歩いて楽しむアクティビティです。一般的な道路とは違った不整地の登山道を主に歩きますが、長時間歩いていると足への負荷がかかり疲労感もたまってきます。その足の疲労感を軽減させ、できるだけ快適に登山を続けるためのアイテムのひとつが登山用の靴下です。

登山用の靴下はクッション性やサポート性、通気性などの機能をもち、歩行のサポートや足の疲労感の軽減、靴ずれなどの怪我の予防など、快適に登山を楽しむ助けとなってくれます。

山行期間や登山時期、行く山によって最適な靴下が変わってくるので、山行に合わせて履き分けるのがおすすめです。

たくさん種類があるから、何をどう選べばいいかわからない……!

登山用の靴下と一言にいっても丈や爪先の形状、靴下の厚み、素材など、種類がさまざまにあるので何を基準に選べばいいのかわからないという登山者もいるのではないでしょうか。どのような違いがあり、どんなシーンに適しているのか、順を追ってみていきましょう。

丈の違い

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

まず、靴下の丈に違いがあります。くるぶし(アンクル)丈の短いものから、膝上(オーバーニー)まで丈があるものもあり、季節や履くシューズ、また自身の登山スタイルや好みに合わせて丈を選びます。シューズによって適さない丈もあるので、自分の登山靴を確認したうえで選びましょう。

・アンクルソックス(別名:ミニクルー)

くるぶし丈で、トレランシューズなどローカットシューズと合わせて履くのに適しています。逆に、くるぶし以上の高さのある靴に合わせてしまうと靴が肌に当たって靴擦れなどのトラブルを引き起こす原因となります。

丈が短く足の覆われる面積が少ないため暑い季節に向き、トレランやファストハイクなどスピーディに行動するアクティビティとの相性がいい形状です。


・ショートソックス(別名:1/4クルー)

くるぶしより上で、足首を覆うほどの丈がある靴下です。トレランシューズや、ファストハイク向きのトレッキングシューズなど、ローカット寄りの登山靴に適しています。アンクルソックスと同様に比較的暑い季節や早いテンポで登山を楽しみたい時に足元を極力涼しくさせることのできる靴下です。


・ミドルソックス(別名:マイクロクルー)

ふくらはぎに少しかかるぐらいの丈の靴下です。ミッドカットやハイカットの登山靴に適していて、一般的な登山靴に合わせるなら、まず選ぶべき基準となる長さです。靴下の厚みを変えることで、オールラウンドに履ける長さでもあります。


・ロングソックス(別名:クルー、ブーツソック)

ふくらはぎが半分ほど隠れる丈で、多くの面積を靴下で覆う分、暖かさや足の保護性が増します。秋や春先など冷え込む時期や、標高の高い山での登山において足元を暖かくしたい人に向き、厚みを変えることで冬季にも向く長さです。


・オーバーニーソックス(別名:オーバーカフ)

ふくらはぎをすっぽり包み込み、膝上まで長さのある靴下です。高山帯や冬季に適したモデルに多く、膝まで包み込むことで保温性や保護性が高いことが特徴のひとつです。厚さや機能性により、雪山登山やスキーなどに使い分けられます。

素材の違い

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう(左から、コットン/ポリエステル、ポリエステル/ナイロン、メリノウール)

登山用の靴下は素材の違いも大きな特徴で、素材によって通気性や保温性、速乾性などが異なります。素材の特徴を理解して、季節や登山スタイルに合わせて素材を選択すると良いでしょう。靴下に使用される代表的な素材を紹介していきます。

・ウール
熱伝導率が低いので冬は暖かく、夏は涼しく感じることができ、吸湿性にも優れています。メリノウールであればさらに繊維が細いため、肌に触れたときの柔らかさや保温性も高まります。抗菌や消臭効果もあり、濡れても冷えにくいなどメリットが豊富ですが、いっぽう化繊に比べると乾きにくいところや虫食いに弱いなどのデメリットもあります。

・コットン
吸水性が高いため汗を吸収しやすく、さらっとした肌触りの良さが特徴です。ただ化学繊維に比べると乾きが遅く、乾く過程で体の熱を奪うため気温の低い時期には適さないでしょう。通気性にも優れているので夏場であれば快適な素材です。

・化学繊維(ポリエステル・ナイロンなど)
通気性や速乾性に優れ、天然素材に比べると耐久性や摩耗性、軽さにも優れます。いっぽう吸湿性が低く、静電気が起きやすい、臭いやすいなどのデメリットもありますが、各社メーカーの開発により年々改良されている素材でもあります。

・ハイブリッド素材
ウールやコットンなどの天然素材に化学繊維を組み合わせたもので、相互のメリットを補填し合い、機能性を向上させることができます。混紡率を調整することで特性のバランスが変化し、よりアイテムに相応しい素材をつくり出すことができます。

厚みの違い

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

登山用靴下は用途によって靴下の厚みも変わります。季節や歩行時間により、通気性や速乾性を求めるのか、あるいは保温性やクッション性が必要となる場合もあります。厚みを使い分けることで、快適性がぐっと向上します。ここでは主な厚みの違いを紹介していきます。

・薄手(ライトウェイト)

通気性や速乾性があり、低山ハイクやファストハイク、夏場の日帰り登山など、涼しさを求めるときに適しています。薄手のためクッション性がないものがほとんどのため、長時間の歩行にはあまり向かないでしょう。


・中厚手(ミッドウェイト)

適度にクッション性と保温性を備えているため、夏のアルプス縦走など長距離を歩いたり、重たい荷物を背負って歩く場合に最適な厚みです。靴下の厚みが靴擦れの防止や足の疲れを軽減させる助けとなります。


・厚手(ヘビーウェイト)

中厚手よりさらに厚く、保温性やクッション性もより高められています。長距離を歩く際や冬季の有雪登山など、より硬いソールの登山靴を履く場合に有効で、足を保護し、疲労感を軽減させられます。

つま先の形状の違い

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

登山用の靴下は機能性を踏まえて、つま先形状がいくつかあります。一般的な靴下と同様にラウンド型がもっともベーシックではありますが、より快適さや歩くことに特化してラウンド型以外のつま先形状も増えてきています。では、つま先形状別の特徴を紹介していきましょう。

・ラウンド型
爪先が袋状になった、もっともベーシックで主流ともいえるデザインです。袋状のため靴下内部に空間をもつことができ、それによって保温性が保たれます。末端冷え性の人や寒い時期の登山にはつま先の保温性が確保できるラウンド型が向いているといえるでしょう。

・5本指
靴下自体を指先1本ずつ独立させることで指が動かしやすくなり、指先に力が入りやすく、地面をしっかりと踏み込むことができます。また蒸れにくさも特徴で、足に汗をかきやすい人やスピーディに歩く人などにもおすすめです。ただ指先の生地が増えるぶん足先の幅が広がるので、つま先が細いシューズの場合はきつく感じるなど相性が良くないので気を付ける必要があります。

・タビ型
日本古来の靴下ともいえる足袋をベースにしたデザインで、親指のみを独立させることで5本指のように指を広げて地面を掴むような動きができ、踏ん張りの効いた安定感の歩行が可能です。また5本指のデメリットである脱ぎ履きのしにくさを解消している点もタビ型のメリットです。

機能性

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう(左)クロステーピング構造によるアーチサポート(右)かかとのずれを防ぐヒールロック

登山用の靴下には編み方などを変えることでクッション性やサポート力などの機能性を向上させているモデルもあります。より登山に特化した機能性をもった靴下を選ぶことで登山時の歩行を快適にサポートしてくれます。ここでは高機能登山用靴下に備わった機能をいくつか紹介します。

・クッション性を考えた素材の配置
足の形状やフィット感を考えて、足のパーツごとに靴下の編み方を変えて機能性を高めているモデルもあります。よりクッションが必要な箇所にはパイル編みでボリュームアップさせたり、逆にクッションが不要な箇所は生地を薄くし通気性を優先させるなど、疲れを軽減させ快適に歩き続けるための工夫がなされています。

・コンプレッション機能
足首やふくらはぎを適度に加圧し、筋肉のブレを抑制するなどの効果が期待できる機能です。歩行時のパフォーマンス向上や疲労回復など、登山時の歩行をサポートしてくれます。

・アーチサポート機能
靴下の編み目の強度や方向を変えることでテーピングのように土踏まずなどの足のアーチ構造をサポートする機能を備えたもので、長時間歩行の疲労によって緩んでしまうアーチを支え、足や膝への負担を軽減させる効果が期待できるものです。

自分のシューズとの相性も確認し、季節に合わせて靴下を選ぼう

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

登山用の靴下にはさまざまな種類があることを説明してきましたが、まず考えるべきは自分が普段履いているシューズと相性がいいモデルを選ぶことです。それから、解決したい悩みや困りごと、登山スタイルに合わせて厚みや素材、サポート機能も含めて吟味してみましょう。
ここでは、たくさんの種類が揃う「YAMAPトレイルソックス」シリーズから、困りごとや登山スタイルごとに合うおすすめのモデルをいくつかピックアップし紹介していきます。ソックスを選ぶときの参考にしてみてくださいね!

【日帰り登山】オールラウンドに活躍するミドル丈ソックス

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

ほどよい厚みとクッション性を備えた、通年通して使いやすい中厚手タイプのミドル丈ソックス。ふくらはぎにかかるぐらいの長さで、どの丈のシューズとも相性の良いモデルです。
長すぎず、短すぎない、ちょうどいいソックスが欲しいハイカーに。

トレイルソックス タビ ミドル
タビ型の中厚手のミドル丈ソックス。親指が独立しているため指先による足の踏ん張りが効き、安定感のある歩行を可能とします。足の負担を軽減させるアーチサポート機能も備わり、長時間の歩行にも向いたソックスです。登山用ソックスにはめずらしい、明るいカラーとデザインも好評です。

トレイルソックス タビ マウンテン
トレイルソックスの機能性や快適さはそのままに、足元に山の稜線を描いた「マウンテン」シリーズ。履いた瞬間に気分が上がる、凝ったデザインが魅力です。
機能性と遊び心のバランスが絶妙で、思わず人に見せたくなる一足です。

【縦走・テント泊】複数日履き続ける、洗濯できない状況には?

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

同じく、通年使いやすい中厚手のミドル丈タイプですが、なんといってもポイントは「メリノウール」。
肌触りがよく、調湿性・消臭性に優れたメリノウールは、汗をかいても蒸れにくく、長時間ソックスの中を快適に保ちます。縦走登山など、数日にわたる山行でも安心して使える靴下です。

トレイルソックス ウールナイロン タビ ミドル
メリノウールを使用した、タビ型の中厚手ミドル丈ソックス。
摩擦に強いナイロンを組み合わせた特製糸で、やわらかな履き心地と高い耐久性を両立しました。
親指が独立したタビ型デザインが踏ん張りをサポートし、安定した歩行を実現。つま先とかかとにはクッション性のあるパイル地を採用し、長時間の行動でも快適です。
堅めの登山靴にも対応し、長距離歩行での疲労や靴擦れを軽減する信頼の一足です。

トレイルソックス ウールナイロン 5本指 ミドル
ひそかにファンの多い「5本指」ソックス。これまでショート丈のみの展開だったトレイルソックスシリーズに、待望のミドルタイプが登場しました。
指の間までしっかり生地が入り込み、汗を吸収して蒸れやニオイを軽減。実際に履いてみると、指同士がベタつかず快適です。さらに、メリノウールの防臭機能により、長時間履いても驚くほどニオイが気になりません。

【フィット感を重視】足のむくみが気になる場合は?

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

履くだけでテーピング効果が得られる、強いサポート力が特長のトレイルソックスシリーズ。しかし、歩き疲れて足がパンパンにむくんでくると、サポートがキツく感じてしまう…そんな声に応えて開発されたのが、「イージーフィット」モデルです。

トレイルソックス ウールナイロン イージーフィット
従来モデルに比べて締め付け感をやや弱めに調整しているため、「少しきつい」と感じていた方や、山歩きで足がむくみやすい方でも快適に着用できます。トレイルソックスシリーズの中でも、特にリピート買いされるほどファンの多いソックスです。長時間歩く予定がある人にもおすすめ。

【ショート丈】蒸れを防いで快適なソックス

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

暑い時期の登山や、ローカットのトレッキングシューズに最適なショート丈のソックス。低山や日帰りハイクにも適した、蒸れを防ぎながら適度なサポートが得られる靴下です。

トレイルソックス タビ ショート
トレランシューズやローカットのトレッキングシューズに合わせやすい、ショート丈のタビ型ソックス。
親指が独立したデザインにより指先の踏ん張りが効き、安定感のある歩行をサポートします。
さらに、アーチやかかとをしっかり支えるサポート機能を備えているため、長時間の歩行でも足や膝への負担を軽減。軽快な足さばきを求めるアクティブなシーンに最適な一足です。

トレイルソックス ウールナイロン 5本指 ショート
同じく、トレランシューズやローカットのトレッキングシューズに合わせるのに最適。こちらはつま先形状が「5本指」なのが特徴です。
指が1本ずつ独立することで、より素足に近い感覚で地面を掴んで進むような歩行を感じることができるでしょう。また、調湿性・消臭性に優れたメリノウール素材なので、ニオイや蒸れの防止にも。汗をかく季節の強い味方です。

靴下のレイヤリングにも注目!

靴下のレイヤリングにも注目!

登山後、登山靴を脱いだときに靴下の濡れを感じたことがある人も多いとは思いますが、実は足の裏は汗をかきやすい箇所であり、登山中にも相当な量の汗をかいています。これにより、足先の冷えや、足がふやけたことによって皮膚が擦れてできる水ぶくれなどのトラブルもありますが、靴下にも「レイヤリング」を取り入れることで足のお悩みを解決する方法もありますよ!

ファイントラック/ドライレイヤーインナーソックス5本指レギュラー/UNISEX
足をつねにドライに保つ、靴下においてのドライレイヤーです。アンダーウエアのように靴下の下にインナーソックスとして履くことで汗を素早く発散させ、上に重ねて履く靴下に吸収させるので、肌面は乾いた状態を保つことができ、汗濡れによる足のトラブルを回避できるアイテムです。

スタッフの愛用モデル紹介「トレイルソックス、私はこれを選ぶ!」

スタッフの愛用モデル紹介「トレイルソックス、私はこれを選ぶ!」

トレイルソックスを愛用しているYAMAPスタッフの皆さんに、それぞれの一押しソックスをレビューしてもらいました!
次のページからは、個性豊かな山スタイル、それぞれの足悩みを持つメンバーが赤裸々にトレイルソックスの実例エピソードを語ります。
ぜひ、選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

> 02 / スタッフレビュー

登山靴と同様に、靴下選びもとっても重要。季節やシーンに合わせて最適なものを!

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

登山用の靴下はたくさんの種類がラインナップされていますが、実はそれぞれ役割が異なり、適したシーンがそれぞれにあるということを紹介していきました。

季節やシーンに合わせたぴったりの靴下を選ぶことがなにより大切で、それが合致してこそ、その靴下のもつ機能性が十分に発揮されるのです。

より快適な登山をもっと楽しんでいくために、アナタの登山にとって最適な一足を見つけてみてくださいね!

自分にぴったりの靴下が見つかった!
ところで、お手入れは……?買い替え時は……?

登山用の靴下にはどんなものがあるのか。違いを知って自分に合ったモデルを見つけよう

靴下を履き続けていると、だんだんとパイルがつぶれ、クッションの反発が低下してきます。クッションを感じなくなってきた頃が買い替え時。クッションがなくなると靴のフィット感が変わり、靴擦れなどの足のトラブルの元となります。月に1~2回の登山であれば、1年程度で買い替えるようにしましょう。

また、洗濯する際には、靴下を裏返しにして洗濯ネットに入れて洗濯機へ。
このひと手間を加えるだけでパイルを長持ちさせることができます。
もっと詳しいお手入れ方法はこちらの記事をご確認ください。

お手入れ記事を読む

    紹介したブランド

    • YAMAP

      YAMAP

      「つづく、つながる、ものがたる」を大切にしているYAMAP STORE...

    • finetrack

      finetrack

      「本当のアウトドアウエアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ。」 f...

    関連する記事

      関連する記事は見つかりませんでした