フリース、ダウン、どれを選んだらいいの? 今から使えて春にも活躍する「中間着」を極めよう!

「中間着」とは、ミドルレイヤーとも呼ばれ、いわゆるフリースやダウンジャケットを指すアイテムのこと。登山ウェアのなかでも「保温」が大きな目的で、アウトドアメーカー各社からさまざまなタイプが発売されています。しかし種類が豊富なために、どれを選んだらいいのか迷ってしまうこともあるはず。そこで注目したいのは、「保温」「通気」「動きやすさ」の3つ。登山の快適性を左右する、大切な「中間着」を選ぶためのポイントをお届けします。

中間着は、着ることで保温性を高めてくれる「保温ウェア」。しかし、寒い時期や時間であっても、ハイクアップ時やアクティブな活動をしたときには、ウェア内に汗によるムレや熱が発生してしまいます。汗は体を冷やし、不快なだけでなく場合によっては低体温症を引き起こしてしまうことも。そこで、中間着を選ぶ際には、保温だけでなく、汗やムレ、熱を溜め込まずウェアの外に逃がす機能を持たせたものを選ぶ必要があるのです。

今回ご紹介する中間着は、「保温」「通気」「動きやすさ」の3つのポイントで、「フリース」と「化繊インサレーション」をセレクト。いずれも保温という大きな目的は同じですが、通気性のある素材を使用していたり、使用する生地のパターンやデザインで機能をプラスしていたりと、バリエーションはさまざま。それだけ中間着は登山ウェアのなかでも目的や用途がさまざまある、大切なアイテムだということ。ゆえに選ぶのが難しいと感じる方もいるかもしれませんが、まずは大きなカテゴリーである、「フリース」と「化繊インサレーション」について解説していきたいと思います。

濡れに強い「フリース」

フリース、ダウン、どれを選んだらいいの? 今から使えて春にも活躍する「中間着」を極めよう!

フリースとは、もともとはウールの代用品として開発されたもの。素材は、「PET(ポリエチレンテレフタラート)」という石油繊維でできた起毛素材で、細い繊維の間に空気を溜め込むことで保温性を高めています。ウールの保温性と柔らかさを人工的に作り替えたものとも言えるのですが、水を溜め込みにくいのでウールよりも早く乾くこと、耐久性に優れることが特徴となっています。

基本的には、気温が低いシーズンは、ベースレイヤー(肌着)の上に着用し、寒ければ上にシェルジャケットやダウンジャケットを着て体温調整をするのが定番の使い方。よほど暑くならない限り、常時着用しているウェアでもあります。

フリース素材には、薄手のものから厚手のもの、毛足の長いものや短いもののほか、グリッド状の特殊なパターン、裏表で質感が違うものなど、多くのバリエーションがありますが、基本的には「行動時」に着ることを想定した作りになっています。というのも、通気性による汗の抜けやすさ、生地の伸縮性による動きやすさが良好なため、歩きながら着ていてもヒートアップしにくく、快適性が持続するから。もちろん、アクティブなタイプから保温性を優先したタイプまであるので、自分の目的にあったものを選ぶことで最大限に効果を発揮してくれます。

フリース、ダウン、どれを選んだらいいの? 今から使えて春にも活躍する「中間着」を極めよう!

リンゲン アルファ90 ジャケット/NORRONA

表面はふわふわとした綿のようでありながらメッシュのような通気性を備えたポーラテック社による「アルファ」ファブリックを採用したフリースジャケット。中綿素材を生地に包まずに表に出すことで「抜け感」を最大限に高めており、汗をかきやすい方は是非とも試してほしい一着。

保温性:★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★★

オススメの登山:アルパインクライミング、冬山登山、縦走登山、日帰り登山

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コアジャケット/OMM

次世代の保温素材として注目されている「プリマロフトネクスト」を使用。メッシュ状の生地に羽毛の構造に模して作られたポリエステル繊維を編み込みんだもので、通気性に優れ、軽量なのが特徴。ファストパッキングやアクティブな山行に対応する快適性と動きやすさを高めたモデル。

保温性:★★
通気性:★★★
動きやすさ:★★★★★

オススメの登山:ファストパッキング、トレイルランニング、低山ハイキング

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HOUDINI(フーディニ)/アウトライトジャケット

フリース素材を開発したポーラテック社による新素材「パワーストレッチプロ」を採用。一見オーソドックスなフリースジャケットですが、生地の伸縮性を高めることで動きやすさを持たせているため、着用感も良好。冷えやすい首と手首をしっかりカバーするデザインも特徴。

保温性:★★★
通気性:★★★
動きやすさ:★★★★

オススメの登山:縦走登山、日帰り登山、低山ハイキング

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finetrack(ファイントラック)/ドラウトクロージャケット

独自開発の素材「ドラウトクロー」を使用したフリースジャケット。行動中は熱を放出して無駄な発汗を抑え、休憩中はかいた汗を効率よくウェア外に吐き出して蒸散させることで、「行動中は涼しく」、「休憩中は暖かく」という、相反する要望をかなえてくれます。

保温性:★★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★★

オススメの登山:雪山登山、縦走登山、低山ハイキング

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PeakPerformance(ピークパフォーマンス)/ヘリウムハイブリッドジャケット

体感部分にダウン素材を配置したユニークなフリースジャケット。冷えが気になる体はしっかり守りつつ、可動範囲の大きい腕周りと汗をかきやすい脇下とサイドをフリース素材にすることで快適性をアップ。

保温性:★★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★★

オススメの登山:日帰り登山、トレイルランニング、ファストパッキング

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最新素材を使用した「化繊インサレーション」

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もうひとつは、化繊インサレーション。インサレーションとは「中綿」のことで、ダウンジャケットのダウンにあたる素材です。濡れると保温力が落ちてしまうダウンの代用品として開発が進められてきましたが、近年は軽量で保温性が高く、ダウンに引けをとらないスペックの中綿が登場。多くの中間着に採用されています。

保温性と軽量性に優れるだけでなく、前述の「濡れ」に強いのが最大のメリット。汗や雨による水分を溜め込まずにゆっくりとウェア外に発散してくれるので、いろんなシチュエーションでも着たままで快適性がキープできるんです。メリットとしては、保温性が高く、かさばらない(軽量・コンパクト)、濡れても乾きが早い、洗濯できる、など。行動中でも休憩時でも、移動中でも常時着ていられる中間着をコンセプトに開発されたモデルも増えてきています。

ひとことで言えば、とにかく使いやすい人工的なダウン。洗濯機で洗えるモデルも多く、山行後にほかの登山ウェアと一緒に洗うことができるのは嬉しいポイント。常に中綿をフカフカに維持できるので、ウェアの効果が変わらず実感できます。

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フォルケティン オクタジャケット/NORRONA

ダウンの軽さと化学繊維の扱いやすさを兼ね備えたインサレーションジャケット。細い繊維そのものに空気を含ませることで保温力をもたせ、網目状に織り上げることでムレを軽減するという理想的な素材「OCTA」を使用。表面には撥水加工を施してあり、対応できる天候の幅が広いのも魅力。

保温性:★★★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★

オススメの登山:縦走登山、日帰り登山

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ポリゴン2ULジャケット/finetrack

行動中に着用できる化繊インサレーションとして開発されたモデル。通気性にすぐれる独自開発素材を中綿に使用することで、アクティブに動いても汗が溜まることなく快適性が持続します。バックパックに忍ばせておけるコンパクトなパッカブルタイプ。

保温性:★★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★

オススメの登山:低山ハイキング、トレイルランニング、ファストパッキング

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アルゴンライトジャケット/PeakPerformance

防風性のある表生地を使用することで防寒性を高めたモデル。ウェア内で偏りにくいシート状の中綿に独特なキルティングパターンを組み合わせることで保温性がアップ。シェルジャケットを着用できるスリムなボリューム感も魅力。

保温性:★★★★
通気性:★★★
動きやすさ:★★★

オススメの登山:低山ハイキング、日帰り登山

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ナノパフジャケット/patagonia

パタゴニアの定番化繊インサレーションジャケット。リニューアルをかさね、ユーザーの声を反映させることで進化してきた傑作といえるアイテムです。シート状の中綿は保温と通気のバランスに優れ、「いつでも着ていられる」一着です。

保温性:★★★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★

オススメの登山:縦走登山、日帰り登山、低山ハイキング、ロッククライミング

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オールウェザーT/HOUDINI

Tシャツのような形状のインサレーションウェア。中綿が封入してあるので見た目よりも軽量で軽やかな着心地。インナーにロングスリーブのベースレイヤーを着用して体幹部分の保温を目的に着るのがオススメ。

保温性:★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★★★

オススメの登山:低山ハイキング、キャンプ、トラベル

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テンスリープシャツ/Teton Bros.

「Vivo」という通気性に優れた中綿素材を採用したシャツタイプの化繊インサレーションジャケット。シャツスタイルでありながらも4WAYストレッチ素材を使用し、動きやすさも良好。ボタンを外せばベンチレーションにもなり効果的な通気が可能。

保温性:★★
通気性:★★★★
動きやすさ:★★★

オススメの登山:低山ハイキング、キャンプ、トラベル

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残雪〜春山シーズンに向けて、中間着をしっかり見極めて準備をしましょう

フリース、ダウン、どれを選んだらいいの? 今から使えて春にも活躍する「中間着」を極めよう!

春とはいえ山の気温は低く、中間着を含めてウェアの防寒対策は必須です。しかし、ここで問題になるのが、「気温は冷たい」のに「体は暑い」という状況。ハイクアップやアクティブに動いていると活動により体が発熱し、汗をかきます。そこで着ているウェアを脱げばいいかというと、やはりそれでは寒くなってしまうため、防寒効果のある中間着を着用する必要があります。ここでポイントになるのが「保温」と「通気」のバランスでウェア内を適度な状態に保ち、体温調整が正しくできること。

そこで中間着。低い気温や冷たい風から体を守りながら、熱と汗を効果的に発散する効果のあるウェアを着用することで、快適に山で活動し、過ごすことができるようになるんです。フリースや化繊インサレーションというと、「防寒」を優先してしまいがちですが、快適性につながる「通気」と行動を妨げない「動きやすさ」を備えたウェアを選ぶ必要があります。

フリース or 化繊インサレーション? どちらがいいの?

着用する人の行動内容や傾向、山の環境により一概には言えませんが、運動量も多く汗をかきやすいという方は「薄手のフリースジャケット」、寒さを感じやすく、ゆっくり歩きたいという方には「化繊インサレーション」がオススメ。また、それぞれの特性を組み合わせるのもアリ。アクティブに行動するときはフリース、休憩時や気温が低い時は化繊インサレーションを羽織る、というのも一般的な方法です。どのようなシーンで使いたいのか、また、ご自分がどういう登山をしたいのかを思い浮かべて、選んでいただければと思います。

紹介したブランド

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    「本当のアウトドアウエアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ。」 f...

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    フリースのパイオニアとして、世界中のクライマーやスキーヤー、トレイルラ...

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